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官能小説【最終話】きみの声じゃないと駄目なんです!
カレの目の前で焦らされて我慢してイって…
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の大賞作品です。
ひく、ひくんと身体が勝手に痙攣している。痙攣なら今日だけでも何度か起こしているけれど、たぶんその比じゃないぐらいの重いやつ。もう指先一本すら思い通りにならない気がした。快感が身体にしみついてしまって、もう二度と元に戻らないんじゃないかってぐらいの悦楽。そんな悦楽のさなかにいる私を、高峯君はどこまでも征服するつもりのようだった。
「っ、……は、そんなに欲しいの、俺の」
ぬるぬるで、ぽっかりと口を開けてしまった入口に、彼自身が厭らしく擦り付けられる。ぬかるみに少し沈めては抜いて、沈めては抜いてを繰り返す彼のせいで、お腹の奥がひどくさみしい。
早く、とは流石にはしたなすぎて言えず、私は彼の腰を内腿で挟んでは煽るように擦り上げることしか出来なかった。はやく、はやくほしいのに。耳を散々舐め回されて、お腹の中頃までを彼の指に許してしまった今となっては、理性は微かにしか残っていない。それなのに、彼はひどいことをする。
「――――ああそうだ、睦月さん」
カチリ、という音がした。
「ん、っふ、なに、」
「これ、今度は見ててあげるから……自分でイッてみて」
「えっ、な……っ、ァ、あッ!」
「いつもしてるみたいに、自分で当てて……俺に一人でえっちするとこ、見せてよ」
手に握らされたものが何なのか。それを判別するよりも先に、身体に暴力的なまでの快感が走る。先ほどまでの快楽地獄では放置されていた秘芯へと、彼が私の手ごとローターを宛がったのだと理解したときには、私は既に一度イキかけていた。
だめ、これ、駄目になる。咄嗟に手を離そうとするが、そんなことは彼もお見通しらしく、がりりと耳たぶを甘く噛まれて蕩けるように名前を呼ばれる。
「『イかないと俺のこれ、挿れてあげません。それ以上我慢したら、おかしくなっちゃうって言ったの誰でしたっけ……?』ね、睦月さん?」
「――――は、あぁ、ッん!!」
「あ、これも聞いたことあったんだ。睦月さん、本当に俺の声好きなんだね」
揶揄いと嗜虐の織り交ざった声は、私が最初に聞いた玉子焼きさんの作品の台詞をそらんじてみせた。その間も遠慮も容赦もなく、無慈悲なローターが私を責める。びく、と爪先が震える感覚が短くなって、お腹の奥へと快感が収束していく。腰が重い、思考がまた白く溶けていこうとする、――――もう駄目だと、目の前の男の人に縋るように私は手を伸ばした。
「いっ、もう、ゃ、イく、たかみねく……!」
「『もうイっちゃうんだ。おあずけにしては簡単すぎたかな……ああ、じゃああと十秒我慢しましょう。出来たら挿れてあげます。でも……』」
私は思わず目を見開いた。この先の台詞は当然知っている。知っているけど、まさか、そんな。
「『十秒我慢できなかったら、もう一回イキ直し。俺の言う通りにイって、締めて、よがるイイコになるまで、俺のはあげません』」
「ッ……っうそ、むり、我慢なんて出来な……っ」
「『じゅーう、きゅーう……』」
ほ、ほんとにやるの。ぶるぶると震え続けるローターを律儀に宛がったまま、私はむずがるようにシーツを蹴った。いつもアプリで聞いてるときは途中でイキそうになって、ぎりぎりで何とか耐え抜ける淫らな遊び。でもとてもじゃないけれど、今日は我慢できる気がしなかった。だって、ここにいる高峯君は本物なのだ。耳元で囁かれるカウントダウンも、アプリで聞いていたころと全く同じはずなのに、そこに当たる吐息が、微かに感じる温度が、匂いが、気配が違う。なんで、私は今までこれを我慢出来ていたんだろう。
「『よーん、さーん……』」
「ア、っや!ァ、ああっ……!だめ、イっちゃ、あ、あっ……!!!」
「『……にい、いち、』」
ぜろ。ほとんど吐息の、最後のカウント。その音が耳孔を通り抜ける感覚に身体中が粟立って、反射的にローターを強く押し付けてしまう。馬鹿だ、分かってる、分かってるのに、――――私は獲物よろしく敗北の証として喉を晒して、激しく全身を震わせてイッた。
カレと繋がって…
「っハ、はー……っ、あ、あ……」
「……えろすぎなんだけど……」
はー、と高峯君が息を吐いた。そのあんまりな台詞に反論することも出来ず、私は再びびくびくと足や腰を震わせることしかできない置物になる。そんな私を労わるように、目の端に浮かんだ生理的な涙を彼の唇が拭ってくれた。
「俺の声でイく身体になっちゃってるんだ……?」
睦月さん、俺の声でどれぐらいシたの。
「……黙秘権は、」
「ありません」
「……わからない、ほとんど……毎日とか、じゃない?知らないけど……」
「っ……ああもう、よくできました。でもごめん、もう俺、駄目」
「え?」
もう、挿れるから。宣言とほぼ同時、まだイッたときの痙攣が収まっていない中を、ずぶずぶと彼自身が分け入ってくる。その感触に、私はまたすぐに上りつめて、頂点から帰ってこれない。くるしい、のに、こわいぐらいにきもちいい。
「う、っあ、うそ、なんで……ッぁ、」
「は……っ、く、」
高峯君が、少しだけ苦しそうに息を詰める。アプリの中の音声で何度も聞いたはずのそれは、実際に耳にすると信じられないぐらいなまなましい。瞼を持ち上げた彼の額から、一筋の汗が落ちる。私の胸に当たったそれが滑り落ちていく感覚。また私に、これは現実だと突き付けてくる。
今私は、ずっと恋焦がれていた人に、聞くだけで気持ちよくなってしまう声の主に抱かれているのだと。
「……本物の俺、はいっちゃいましたね」
同じことを考えていたらしい高峯君が苦笑する。その顔を見た瞬間、またぎゅう、と中を締めてしまった。ああ、入ってる。私の身体もようやくそのことに気付いたらしく、きゅん、きゅんと甘えるように断続的に締めてしまうのを止められない。はしたない、恥ずかしい、――――でも、その締め付けをほどくように突き入れられると、おかしくなるほど気持ちいい。
「ぁ、っは、くるし……おっき、い……」
「ッあ、もう、ほんと睦月さん、バカ……!」
かわいい。ばか。余裕のない声が耳元で八つ当たりのごとく吐き捨てる。この声も駄目、お腹の奥に響く。がつがつと奥を突きあげ始めた高峯君に何とかそう伝えようとするものの、揺さぶられている状態では満足に声も出せない。それなのに、宛がったローターは何故かそのままにしてしまっていて、高峯君の声とローターの感覚が、毎日の一人えっちを想起させて、勝手にどんどん気持ちよくなってしまう。快楽のキャパシティを超えている。分かっているのに、手はさらにぐりぐりと秘芯をいじめようとした。
「っだめ、なの……まって、まって……!」
「駄目、ッじゃない、だろ……!自分でそんなとこ弄ってるくせに……!」
「ヒ、あ……っあっ、ゃ、あぅ、ん!」
「あー……くそ、えろ……」
「あッ!だめ、だから、イッちゃうから、」
「は、すき、すきです睦月さん、俺の声にどきどきして、俺の声できもちくなっちゃうあんたが、」
もったりと重い水音と、肌と肌が叩きあわされる音が部屋に響く。奥の奥を叩かれてる感覚に、壁が下りてくるのが分かってぞくぞくする。ゆるんだ口に、高峯君も気付いたのだろうか。奥ばかり狙って、腰をぐっぐっと押し込まれてしまう。どんなに気持ちよくても自分の指じゃ届かない、男の人じゃないと触れられないその場所。そこに入り込もうとする動きが、ひどく本能的な『愛している』に思えてしまえばもう駄目で、私は。
「た、かみね、く」
「侑真って呼んで。俺の名前呼んで、俺に好きだよって言われて、やらしくイッて、」
「んっ、ァ、ゆ、ーまくん、侑真くん……!」
「ぁっ、く、ほら、イけ、睦月……!」
すきだよ。
ぐちゃぐちゃで荒い呼吸音の合間、中で熱いものが震える感覚と同時に、今まででいちばん優しいその声を聞いた瞬間、私は断末魔には甘すぎる悲鳴を上げた。
玉子焼きの由来
「し、死ぬかとおもった……」
「俺だって、睦月さんが毎日俺の声で一人えっちしてる……なんて言わなきゃ、こんなにしてないですって」
「嘘だ……」
水を持ってきてくれた高峯君、――――侑真君の背中をぺしりと叩けば、彼はイテ、なんて白々しく眉をしかめて蹲る。
「もー……ほんと、いきなりすぎて頭がついてかない……」
「俺と睦月さんは晴れて恋人ってことで」
「ごり押ししようとしてない?」
「だって睦月さん、俺のこと好きなんでしょ?それに俺の声も大好きみたいだし……声だけでイけるか、今度試してみる?」
「それは怖いから絶対やだ……というか、そもそも、」
私のこといつから好きだったの。溜息混じりの質問に、侑真君はゆるりと首を傾げて笑った。
「さあ?最初にいいな、って思ったのは配属されて三日目に、仕事の進め方について教えてくれたときですけど」
「えっ、か、かなり前じゃない……?」
「っすね。で、あー好きだな、って思ったのは分けてもらったお弁当の、玉子焼きがめちゃくちゃ美味しかったとき。時期は覚えてないですけど……あとは笑顔かわいいなとか、甘やかしたいなとか思ったときですかね」
「た……」
玉子焼き。言われてみれば、確かに覚えがある。確か侑真君が入社して半年ぐらい経った頃に、仕事で大きなミスをしてへこんでたから元気づけようと思って。自分の好物だからと毎日お弁当に詰めていた玉子焼きを分けてあげたのだ。そのとき、彼は『今まで食べた中で一番美味しいです』って笑ってくれて。
「……だから、名前が玉子焼きだったの?」
「ああ、はい。何でもいいからって言われて、思い浮かんだのがそれだったんで……」
少し照れくさそうに侑真君が腕を擦る。なんだ、やっぱりかわいいところもあるじゃん。私がにこにこ笑えば、彼はさらに視線を泳がせて、「そ、そういえば、」
「睦月さんから、まだ好きって聞いてません」
「え、そ、そうだっけ……?」
「うん」
確かに、思い返せばそうだったかもしれない、――――じっと侑真君の顔を見つめ、私はぼんやりと考える。
声とローターとえっちから始まるお付き合い。人には話しづらいことこの上ない馴れ初めだけど、ここまで来てしまったらもう、彼以外の人とのえっちで満足できる気がしないなあ。
「好きだよ。侑真君の優しいところも、声も、ぜんぶ大好き」
そういうのもひっくるめて、とは流石に言わないけれど、抱きしめてもう一度キスしてくる侑真君の「俺のやつならまだいいですけど、もう俺以外のやつで一人えっちしないでくださいね」という言葉に、君以外のではしたことないよって答えられてしまう時点で、たぶんこの結末は決まっていたのだ。
END
あらすじ
彼の声で、痙攣するほどの快感に溺れていく。
『俺に一人でえっちするとこ、見せてよ』そう囁いた彼も、ローターの振動でイってしまった睦月を見て我慢ができなくなり…。