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官能小説【5話】恋する貴女へ特別な快感(おもてなし)を〜若旦那の恋の手ほどき〜
僕を感じてほしい
『痛いかな?少し、腰を上げて、鹿埜』
指先の震えを止められない。
四つん這いになった鹿埜は、好きを初めて受け入れる覚悟で震えたまま、シーツを掴む。
自分の中に、自分じゃない何かが入って来る。本当に、これがみんな、幸せなの? わからない、と。
でも、今日はきっと大丈夫だと確信が持てる――。
「ん、ああっ……」
瞬一の挿入で声が自然に漏れた。
いつも、どこで喘ぎを入れよう?と待ち構えて緊張していたが、トロけた身体では、そんな余裕はない。
「随分、ひらけたな。調……、いや、おもてなしした甲斐があったぞ」
「あ、や、やぁ……っ……はい、って、来る……!」
「僕が、分かるか?ここにいる」
腰を引き寄せられる度に、瞬一との距離が縮まる気がして、鹿埜は唇を軽く噛んで、コクコクと頷いた。
上半身を上げると、屹立した胸の突起が何かに引き上げられるように、引き締まって鹿埜を優しく虐め始める。
自分の躰なのに、瞬一のものみたいだった。
「きみは……こうやってみると、意外とグラマラスなんだよ、な……綺麗な身体してる」
瞬一の声もかすれ始めて、鹿埜はぞくりと背筋を震わせた。
(わたしは、瞬一さんのものなら、なんでも震えて感じるんだ。さっきの言葉だって)
『おかしな話だけど、僕も今まで以上にドキドキしていたんだ。まるで少年に戻ったみたいにきみに恋い焦がれて』
「鹿埜っ……僕に絡みついて来ていて、嬉しい」
ずく、ずく。と音が聞こえるようなあの動きがやって来て、鹿埜は僅かに口を開ける。
ひくひくと同じく震える太腿の付け根の振動は、さっき「おもてなし」を受けた、ラブグッズとよく似ているのだ。
「ね、気持ち、いい?」
鹿埜は降りた髪を振るようにして、背中に感じる瞬一を見ようと上半身を捻った。と、ぐるり、と腕を?まれて、一気に視界に天井と瞬一が飛び込んだ。
「……や、見ないで」
急に明るくなった中で、瞬一を見上げる。
逞しく動く下半身は、鹿埜にぴったり寄り添っていて、動きを止めた。高まっていた熱が、逃げていった。
「止めちゃった……?動かないと、終わらない、よ?」
「僕を感じて欲しいんだ」
瞬一は汗の滲んだ鹿埜の頬と、目元を撫でた。
「そうしてるほうが、いいんだ。……僕からの愛が、ゆっくり、鹿埜に浸み込むから」
きゅうううん。感じた途端、鹿埜の胎内はぎゅ、と瞬一に絡み始めた。無意識だった瞬一を抱きしめる腕に、力を籠める。
違和感のあった繋がりも、もう、トロけてしまって、勝手に腰が包み込もうとする動きになった。
「ん、ん」
「ちょ、鹿埜!いきなり、絞るな」
鹿埜は言葉を忘れて、両脚を瞬一の腰に絡ませる。
ラブグッズで愛された感触と、今の瞬一のゆっくりした感触でぐちゃぐちゃになった中で、鹿埜は腰を震わせながら、瞬一にキスを強請った。
――どこも、かしこも、おもてなし、して。
“イク”ということ
「瞬一、さぁん……好きです」
泣いて縋った。
わたしはこの人を愛しているのだと、やっと、身体と心が繋がったみたい。
焦って。イくことばかり考えて。恋をしてるのも忘れていたわたしは馬鹿だ。瞬一からの愛は、性急に終わるものじゃないのに。
わたしはいつだって、ゆっくり、こんな風に愛されたかっただけなのに。
わからなくて、ごめんね。わたし。
「もっと、もっと、して。もっと、深く、来て」
唇も、繋がっているところも。
全部埋めて、離れているところなんか無くして。
「鹿埜……やっと、欲しがった」
ぽたりと顔に雨が降った。見上げると、瞬一から零れた涙だった。
「そうだよ、そうやって言えば、いくらでも達してイけたんだ」
「わたし、イけるの?」
がくがくと震える腰骨に、瞬一の太いモノは、しっかりと支えになっている。
でも、きっと、あの動きをされたなら。
瞬一は小さく「動くぞ」と鹿埜に囁き、鹿埜の指に指を割り込ませた。
腕を伸ばさせられて、鹿埜は身体を伸ばす。絡んだ足を離さないように、しっかりと巻き付けると、瞬一はナカでもっと熱くなった。
「ん……っ……」
探していたものは、きっと、近い。
――どうしてイけないんだろう……
独りで泣いた。そんな思いも、ガラスが飛び散るようにひび割れてゆく。
「あ、ふ、あ、ああっ……そ、それ、や、うそ、違……あ、あ……っ」
瞬一は、少しずつ少しずつ、鹿埜の中を手繰り寄せるようにして、奥に入った。
「く……」
震えの止まらない鹿埜の中をまさぐるように、塗り替える。
丁寧に胎内全てに刺激を与えるように、小さな動きを繰り返す。
ラブグッズのローターのような小さな刺激と似たような、甘いさざなみを起こすように。
「瞬一さぁん……あ、あ……」
鹿埜は目を瞠った。瞬一の肩に腕を回し、捕まって、ただ、揺られたくて力を抜いた瞬間。
瞬一の中に飛び込むような奇妙な感覚が鹿埜を襲った。
すると脳裏がふわふわして、一気に真っ白になった。

「ふあっ……――っ……っ」
「うっ……」
奥に逃げ込むみたいに躰がうごめいている。
気づいて頬が熱くなった。嬉しさで涙がこぼれた。
「今の……が?」
信じられない想いで、瞬一を見上げる。
目元の涙を舐めとられて、また顔を腕に埋めた。まだ、瞬一は繋がっていて、顔をしかめつつも、鹿埜に応えるキスをした。
「やっと、イけたな。大変な上客だ。そして、きみは僕を離そうとしない……わかるだろ?」
鹿埜はぎゅっと瞬一の四肢に顔を押し付けていた。
恋は緩やかに、流れていく。
不思議な感覚。絶頂は飛んでいくものではなくて、おもてなしでゆっくり愛されてわかるものなんだって。
もう、イけたとか、そういう類ではなく、愛されるってこういうことなんだ。
だから…。
――今度は、わたしが愛してあげなきゃだめだと思った。でも、もうちょっとだけ。
鹿埜は鼻先を擦りつけた。瞬一はずっと固いまま、鹿埜を力強く抱いている。
いつだって、そうだった。いつだって、この人は何だかんだで、自分を鹿埜に捧げてくれていた。
鹿埜は、まだ浸っている口調で、告げた。
「もう一度。瞬一さん、今度は一緒にイクの」
今度は一緒に
冷たい畳が胸を擦る。背中にキスを浴びせられて、のけぞった。視線が置いたままのラブグッズにそそがれているのを見抜かれた。
「ここから先は、ラブグッズも立ち入り禁止だ」
瞬一の息が荒くなっていく。それが嬉しい。
ポイントが分かって来た。鹿埜は瞬一の言葉を思い出す。
――見抜かれたか。ああ、限界に近いな。
こんなにも愛するきみが、違うもので気持ちよさそうにしているんだぞ?嫉妬も芽生えて意地悪したくもなるよ――
「ね……コツが分かって来たから……今度はちゃんと一緒にイクの」
恥ずかしいけれど、うつ伏せになるように腕を引いた。
畳に擦られる胸が気持ちよいとか、終わったあとの火照った四肢に畳が気持ちいいとか。
何より、瞬一とは背丈があるので、このほうが、きっと良いはず。
「せっかくのきみのもてなしを我慢はしない」
――入って来た。うつ伏せだと揺らされる振動が強い。
初心者には少々厳しかったかと耐える前で、畳に手を伸ばすと、瞬一の手も追ってきた。
「可愛いな。ひくひくしてるところがよく見えて……」
台詞と共に囁かれる。指で擦られただけでやばい領域に堕ちた。
あまりの温かさと台詞の丁寧さで溶けそう。
(今までは抱いて欲しいって言っていた。でも、今日からは「受け止めさせて」ときっと言える。だから)
「瞬一さんにも、……気持ちよくなって欲しい。気持ちよくなる深さまで来……て」
また、イキそうな気配がする。
コツを掴んでしまうと、何度でも駆け上がれた。超えられなかった快感の彼方。
でも、まだ、おもてなし、できてない。
――丁寧に挿入してくれる瞬間はマリンビーンズのあのゆっくりと彫り込まれる快感(おもてなし)と重なっていく。同じように中をうごめく感覚も。でも、ずっと強烈で愛おしい。
「だから最後まで、離さないでね」
ぎゅうっと首に捕まって、奥まで受け入れた。お腹の奥で伺っていたわたしが瞬一さんを抱きしめる。
そっと指で触ると、繋がった鼓動が溶け合うのが分かる。
好きだから、胎内でも抱きしめたい。
好きを伝えるのが、セックスなんだ。快感は幸せと一緒なんだよ。
だからこれからも、いっぱいする。
いつしか横向きに抱きしめ合って、鹿埜は瞬一の腕の中で、何度目かで大きく震えて、その喘ぎはまた、同時に重なる唇に吸い取られた。
射精の感覚も、すっかり慣れて、むしろ悦んでしまっている感じがする。
障子が輝いた。空が少しばかり明るくなってきている兆しだ。
朝陽を浴びて、光に浮かび上がるような瞬一のからだに、手を伸ばした。
「朝だ。これが、最後」
「はぅ……っ……ん、んんっ……ああっ……」
(やっぱり意地悪な瞬一さんは。喘ぐ声までも、「おもてなし」をしようとしたの。やっと、分かった。乗り越えたからこそ、あなたに辿りついた――……)
愛を信じるには
(腕枕の一番いいところを探して、鹿埜がモゾついた。あれだけしたのに、瞳はむしろ、綺麗に愛で輝いている)
「瞬一さんに、おもてなし、できました?」
「充分に。ほら、少しは休まないと辛いぞ……」
「はい、ちょっとだけ、一言だけ、伝えたいの」
(恥じらいながら、嬉しそうに頬を染めた鹿埜は言えなかった言葉をようやく押し出した)
「これで、わたし、あなたの妻になれる気がします。待たせてごめんなさい」
「長かったな。でも、ゆっくりでいいと思ったよ。きみはマイペースなようだから」
――僕も、言えるだろうか?
やっと、心から、彼女に愛を込めて、伝えられるだろうか?
(抱きしめた四肢は、ふにゃんとして、僕の腕に溶け込むようだった)
「僕もますます鹿埜が愛おしい。一生大切にすると心も体も誓える」
(鹿埜は、泣き笑顔を見せてくれた。そう。もう、愛されることを疑わなくていいんだ。あとは、きみが強くなって、愛情を手放さなければいい。もし手放したなら、何度でも拾って抱かせてやるつもりだけど、きっと、もう、大丈夫だろう)
……そこは、お互いさまだったな。愛を信じるには勇気が要る。
障子はすっかり清廉な白を取り戻し、優しい陽光が、初夏の旅館を照らし始めていた。
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あらすじ
ついにひとつになった二人。
待ち望んでいた“イク”という感覚にたどり着いた鹿埜は、いつだって自分に尽くしてくれていた彼のことが愛しくてたまらなくなって…。