注目のワード

官能小説 先生とわたし 1話【LCスタイル】

戸惑い

望月里香は他人の体温を感じながら、相反する二つの感情の間で揺れ動いていた。
その一つは、喜びだった。高校時代からずっと憧れ慕ってきた人と、彼女は今抱き合っている。

淡い憧れが叶うのはこの上なく嬉しいことで、彼女の心はあたたかいもので満ち満ちていた。

もう一つは、戸惑いだった。高校の先生であった彼──青木優という──はどうせ自分のことを子供としか見ていないだろうと思っていたし、それに里香には恋人もいた。

だから再会しても恋愛対象としては見られていないと勝手に思い込んでいた。

欲しいと言って

こうして抱き合うのは何かの気まぐれだと、彼女は思おうとしていた。決して、優が自分を好きなわけではないと。自分を恋人にしたいわけではないと、里香は自身に言い聞かせていた。

なのに、である。思わず優に抱きついた里香を、彼は優しく抱きしめ返してくれた。抱擁の意味を考えに考えても、彼女にはわからなかった。
ベッドの端に腰掛けながら、里香は戸惑いの声をあげる。


「せんせ……?」


抱きついた体勢から顔を少しずらして、里香は優の額に自分の額をくっつけた。


「先生、いいの……?」

「ああ、いいよ。望月が俺を求めてくれるなら、いつだって俺は応じるさ」


少し低めの優の声が、里香の耳に響いた。あくまで受け身でいたいような優の言葉に、里香は頬を膨らます。


「求めてくれるなら、なんて消極的な答えじゃイヤ。先生から私を欲しいって言って」

「……仕方ない子だな、望月は」


優からの答えの代わりに、彼は里香にキスをした。優の薄い唇が、里香の柔らかい唇にふわりと当たる。触れるだけのキスなのに、体温が伝わってくるようで里香は胸が高鳴った。


「……それに、その『望月』って言うの、もうやめてください」

「それなら、……里香も……俺のことを『先生』って呼ぶのもやめてくれよ。先生って呼ばれると、生徒といけないことをしてるような気になっちゃうから」

「そうですね……ううん、そうね。優、さん……もう一度、キスしよ?」


少し恥ずかしそうに優の名を呼んで、里香は今度は自分から唇を寄せる。一度ついばむようなキスをしてから、彼女はおずおずと舌を出して優を誘い出した。


「んっ……は……ぅ……っ」

キスする男女


だんだんと激しくなるキスに、里香は吐息を漏らした。頭の中がだんだんぼうっとして、キス以外のことが考えられなくなる。目の前の愛しい人と昂まりたいという気持ちだけが、彼女を突き動かしていた。


「せんせ……じゃなかった……優さんっ……私……」


里香が息継ぎをするように一旦唇を離す。彼女は喜びのせいか涙目になっており、キスを終えるとその顔を見せないように優の肩に顔を乗せた。


「里香。キスだけで満足?」


彼女を抱きしめたままの手で、優は里香の背中を二、三度さすった。里香は、キスだけで満足していないことを悟られないように、優にぎゅっとしがみつく。だが彼女の本心は、彼にはお見通しだった。


「……満足じゃないでしょ? 少なくとも、俺はもう少し続きがしたいな」

「……ほんとに?」

「うん、本当に。……っていうか、里香。俺がそういう風に求めるように、仕向けてるだろ?」


優の声には若干の苦笑いが含まれていた。彼には、里香が自分に続きをするよう促しているように思えたらしい。実際のところ、里香も優がリードしてくれたら嬉しいと思っていたから、あながち間違いでもなかった。


「いいから……続き、しよ?優さん」

「ああ」


優は頷くと、ベッドに彼女を横たわらせた。

夢を見てるみたい

彼の部屋には、ほとんど物がない。シンプルな部屋に、真っ白い壁紙と天井が貼られているのが逆に目に付くぐらい物がなかった。
里香はベッドに仰向けになりながら、不思議な気分になった。


(私、先生の恋人になったってことだよね)


視線を天井のあちこちに揺らめかせていると、里香の上に覆い被さった優が彼女にたずねる。


「どうした?何か変なものでもあったか?」

「ううん、違うの。優さんと結ばれるのが、変な感じ──あ……いや、変って、ネガティブな意味じゃなくて、嬉しいんだけど不思議な感じがして」


慌てて弁明する里香の髪を、優は優しく撫でた。


「そっか。確かに、出会った頃とは立場も何もかも違うもんな」

「うん」


優はとびきり優しい瞳で里香を見つめたあと、彼女の首筋に唇を寄せた。キスが首筋に落とされていくと、その度にかすかな音がする。


「……っ、ん……んんっ……」


首筋をなぞる優の刺激に、里香は思わず声をくぐもらせた。


「里香、もっと声出していいよ」

「でもっ……」

「聞かせてよ、里香の声。今君が俺の腕の中にいるって、実感させてほしい。再会して、里香に惚れて……これが夢じゃないって実感したい」


夢、と聞いて里香はハッとした。
首筋への愛撫に背中がゾクゾクしていたが、彼の言葉はそれよりも彼女をどきりとさせた。


「夢、ね……んっ、くぅうっ……あ、ぅっ……」


執拗に首筋を唇で食む優に対し、里香は何も考えられなくなりそうだった。
そんな中でただ一つ、夢という言葉が彼女は引っかかっていた。

里香自身も優と同じように感じていたのだ。


(先生とこんなことになるなんて、夢にも思わなかった)

発端

ことの始まりは、久しぶりに開かれた高校の同窓会だった。

連絡先のわかる同学年全員に声がかけられたこの会だが、皆大学を卒業して社会人になったばかりということで、集まったのは連絡した人数の三分の一程度だった。

里香は同じクラスで仲が良かった友人たちと、最近の仕事や生活について話していた。
就職して一人暮らしを始めた人もいれば、親元に残ってのんびりしている人もいる。
里香は大学生の頃から付き合っている彼氏と同棲をしていると告げると、結婚間近かと友人たちに詰め寄られてしまった。


「まだわかんないよ、結婚するかどうかなんて。最近はあんまりうまくいってないし」

ため息混じりに答える里香に、友人の一人、昌美がはつらつとして言葉を返す。
「でも、結婚は考えてるでしょ?じゃなかったら同棲なんてしないよね」

「ま、まあね……」


その時、里香の視界に一人の男性が映った。

ちらりとそちらを見ると、彼も里香の方をたまたま見ていたらしく、目があう。目があったのは、高校二年生の時に英語の担当をしてくれた青木優先生だった。

先生は、里香のことを視線にとらえると彼女の方へまっすぐ歩いてくる。


(青木先生だ……高校生の頃、憧れてたなあ)


高校を卒業してから五年経っても変わらぬ先生の姿に、里香はほんの少しホッとした。


「望月。久しぶりだな」

「青木先生!お久しぶりです。お変わりなく」


お変わりなく、なんて社交辞令がすんなり出てくる自分自身に驚きもしたが、里香は笑顔を先生に向けた。

かつての先生に再会した主人公


「変わらないか……確かに、そのまま歳だけとってる感じだな」

「おいくつでしたっけ」

「俺?今年で32だよ」


そう言って笑う先生の顔は、社交辞令でもなんでもなく、出会った頃と何も変わらなかった。

憧れていた人だから、もっと想像の中で美化されているかもしれないと思っていたのに、先生は想像のままだ。里香は嬉しくなって、つい明るい声でこう言う。


「ねえ、先生。せっかくだから連絡先交換しませんか?」

「ああ、いいよ。この辺に住んでるなら、たまに飲んだりしよう」


里香と先生は携帯電話を取り出すと、何の気なしに連絡先を交換した。

まさかこれが新たなときめきを里香にもたらすなんて、その時の彼女は想像もしていなかった。


初恋に近い憧れが、叶う瞬間が訪れるなんて、ひとかけらも──。

⇒【NEXT】再び先生と里香の運命は…(先生とわたし 2話)

あらすじ

憧れだった高校の先生と大人になって再会し、
抱き合っていること…

それは里香にとってこの上なく嬉しいことだった。

しかし、彼女は戸惑いを感じていた。

彼女は年の差からして彼の恋愛対象になれないと
勝手に思い込んでいたし、

彼女には恋人がいた…。


憧れの先生と夢のような再会…
新連載官能小説「先生とわたし」第1話!

この記事を読んだ方にオススメのコンテンツ

この作品を読んだ方にオススメの商品はこちら!



一足先にラブコスメ漫画を読みませんか?

官能小説はやっぱりLC!女性のためのすべて無料の官能小説サイト『エルシースタイル』!女性向けのえっちな小説や、女の子向けの投稿小説作品、セックス体験談を多数掲載中!短編から長編まで、エルシースタイルでしか読めない女性のための連載官能小説をお楽しみください。

2019クリスマスSP
  • クンニ
  • さくらの恋猫
  • ヌレヌレSP
トロけるエッチ
騎乗位動き方
虚羽あす
虚羽あす
女性向け・男性向け小説/シナリオを執筆するフリーランス…
カテゴリ一覧
感じる官能小説
幼馴染(全3話)
仕事一筋(全3話)
遠距離恋愛|遠距離恋愛カップルの官能小説
夜明け前〜解放〜(全6話)
夜明け前〜出逢い〜(全6話)
絵の中のあなた(全3話)
空をつなぐ(全8話)
恋のチカラ(全6話)
恋愛エクスプレス(全8話)
キミに出会う旅(全5話)
君が気づかせてくれたこと(全6話)
home sweet home(全4話)
恋の花の咲かせ方(全5話)
まだ見ぬ君へ(全4話)
ここにいること(全4話)
未来の花ムコ(全4話)
彼女の生きる道(全7話)
本当の幸せ ―私の誤算―(全3話)
コイの記憶(全3話)
救世主(全3話)
再びの春(全3話)
天使の羽(全3話)
キャンパス(全3話)
恋愛診断(全3話)
傷心旅行(全3話)
甘い恋愛(全3話)
始まりは雨(全3話)
遠回りした私たちの恋(全4話)
LOVERS〜恋が始まる〜(全6話)
LOVERS〜恋が揺らぐ〜(全6話)
LOVERS〜恋がざわめく〜(全6話)
揺れる明るみ〜癒し〜(全6話)
揺れる明るみ〜包容〜 (全6話)
うずきがとける(全7話)
おんなの、秘めごと|森下くるみの官能小説
バースデーバレンタイン|渡辺やよいの官能小説
安藤呂衣は恋に賭ける|内田春菊の官能小説
私の知らない私|女性向けSM官能小説
ウーマン・オブ・プラネット
官能小説の書き方(投稿)
その指が恋しくて|指フェチの官能小説
あなたを感じる〜電話エッチ〜|テレフォンセックスの小説
寂しさの粒|マリッジブルーで婚約破棄を考える女性の官能小説
ルームナンバー701
美味しいセックス|おいしいフェラの官能小説
目で感じる官能エロ小説
「もうひとつ」の誘惑|ディルドの官能小説
新着小説作品
あなたを掴まえたい(年下彼氏)|年下男子との恋愛小説
夜はまた明ける
秘密の氷が溶ける音
心の糸を結ぶ場所|婚活パーティーが舞台の官能小説
Sweet of edge
となりのS王子「ファースト・クリスマス」|クリスマスHの小説
となりのS王子小説版 恋におちたら|上司との恋愛官能小説
先生とわたし|先生と生徒の恋愛官能小説
【小説版】シンデレラになる方法 〜誓子の場合〜
【小説版】夜ごと課外レッスン|夫婦の官能小説
クロスラバーズ spotA 谷崎美陽の場合
クロスラバーズ spotB 吉井月乃の場合
妄カラ女子 spotA 小森未由の場合
純白と快感のあいだ|ひと夏の恋を描いた官能小説
妄カラ女子 spotB 榊川彩子の場合
パラレルラブ spotA 加藤直紀
パラレルラブ spotB 高木洋輔
同居美人 projectA 名取千織
同居美人 projectB 上塚想子
心も体もつながる夜は
幼なじみの甘い脅迫|幼馴染との官能小説
甘恋レッスン|幼馴染とするエッチの練習小説
恋のメイクレッスン|可愛い女の子の恋愛小説
彼女を震わせるモノ|ローターで攻める官能小説
オンナノコ未満、オンナノコ以上
本当にあった物語|ラブコスメの体験談小説
恋猫、飼い始めました。|リモコンバイブが登場する官能小説
Lovecure|ラブホテルでのセックス官能小説
二度目の恋におちたから|セカンドバージンの小説
Vな彼女と彼氏/凛野あかり
【小説版】タワーマンションの女たち
年下わんこのおねだりタイム|玩具の官能小説
今夜は私から/矢野樹
私も知らないわたし/結奈
初めてのひみつ/凛野あかり
心も体も通わせて(全4話)
マンネリ打破!恋愛スイッチ(全2話)
プリンセスになりたい(全2話)
恋の誘惑は唇から(全3話)
インサート・コンプレックス|エッチができない官能小説
上手なキスを教えて?|上手なキスの仕方がわかる官能小説
秘密、蜂蜜、果実蜜|三松真由美の官能小説
エッチな女性はお好みですか?
私だけの、キミでいて。|膣トレで自分磨きをしていく官能小説
あなたのすべてが性癖なのです。|アナルセックスの官能小説
きみの声じゃないと駄目なんです!|言葉攻めで感じる小説
欲望まみれの執事に愛されて|執事とのSM官能小説
彼の知らない私と、私の知らない彼
「気持ちいい」を聞かせて|同棲中のセックスレス小説
恋する貴女へ特別な快感(おもてなし)を〜若旦那の恋の手ほどき
ひとりえっちの為の短編エッチ小説(オナニー小説)
投稿官能小説(短編)
大人の恋愛小説(短編)
夏目かをる小説|夏目かをるが描く無料官能小説
官能コラム
おすすめ官能小説レビュー
クリエイターズサイト
無料動画を見る
招き恋猫
メルマガ登録して最新h漫画を一足先に読もう