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官能小説 甘恋レッスン 1話
振った男のアドバイス
★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の大賞作品です。
ドキドキの小説をお楽しみください。
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「佐々木さんはかわいいと思うけど、男性経験がないのはちょっと重いかな」
「え――」
会社の屋上で、奈央は呆然とする。決死の想いで告白したというのに、憧れの先輩の口からまさかそんな台詞が出てくるとは思いもしなかったからだ。
「男女関係のこと、一から教えなきゃいけないってことでしょ?それってかなりダルいし」
「…………」
さらに続く衝撃的な言葉に、もはや空いた口がふさがらない。長い間、密かに恋い焦がれてきた先輩に振られたことよりも、この年まで男性と付き合ったことがない事実をうとまれたことの方がずっとこたえた。
「あ、あの――そしたら私はいったい、どうしたらいいのでしょうか……?」
踵を返しかけた先輩の背中に、気づけばそう問いかけていた。
面倒臭い女だとさらにうざがられるかと思いきや、彼は一転、真摯な顔で奈央に向き直った。
「そうだね。女慣れしてる男に、色々教えてもらった方がいいと思うよ」
「女慣れ……」
このとき奈央の脳裏にはひとりの男の顔がよぎっていたが、すぐにそれを振り払う。オウム返しのようにつぶやく奈央に、先輩が続けた。
「そう。このぐらいの年で処女を相手にするのは、さすがにキツイからね」
はっきりと“処女”と言われ、奈央の顔は真っ赤になる。そんな奈央を、彼がびしりと指さしてきた。
「それ」
「はい?」
「学生じゃあるまいし、未経験を指摘されたぐらいで赤面するようじゃあ働き盛りの男は疲れちゃうよ」
「――っ!!」
奈央は押し黙った。
先輩は満足そうに微笑む。
「昼休み終わっちゃうから、俺はそろそろ行くよ」
軽く手を挙げると、くるりと背中を向けてしまう。
「告白に応えてあげられなくてごめんね。じゃあ、頑張って!」
「…………」
去っていく後ろ姿に声をかけられなかったのは、彼の言う通りだと思っていたからだ。苦渋に顔を染めた奈央は、涙をこらえて制服の胸ポケットから携帯を取り出した。電話帳を開き、手早く操作して耳に押し当てる。
プルルルっという乾いた電子音が幾度めかに途切れ、相手が応答した。
「もしもし、亮平? 私、奈央だけど――」
奈央は覚悟を決めて、先ほど頭に思い描いた男――森田亮平を呼び出したのだった。
モテ男のボランティア
森田亮平は奈央の幼馴染みで、同じ二十六歳にもかかわらず付き合った人数が三桁にのぼるという超人だ。長身痩躯。クセのないさらさらの茶髪に、彫りの深い目鼻立ち。ハーフと見紛うばかりの美形なのだが、いかんせん性格に難がある(と、奈央は思っている)。
「ダサイな、それで男に振られたってわけ?」
居酒屋の個室で向かい合わせに座っている亮平は、奈央の相談に対して開口一番そうのたまった。
「――っ」
ぐっと言葉に詰まり、奈央は思わずうつむいてしまう。この明け透けない物言いが亮平の欠点なのだが、世の女性たちはどうしてこんな男に惹かれてしまうのか。亮平は至って普通の会社員で、特に家柄や年収がよいというわけでもない。
きっと皆、あの甘いマスクにだまされているのだろう。見慣れた奈央にとっては、なんてことのない顔なのだが――心の中でそう独りごちて、ちらりと上目遣いに亮平をうかがえば、なぜか彼は眉間にしわを刻んだ難しい表情で奈央を見つめていた。
「な、何……?」
不思議に思って顔を上げると、亮平は慌てたように目線をそらして胸ポケットから煙草を取り出した。ライターでしゅぼっと火を点けると、何事もなかったかのように紫煙をくゆらせる。
「なら、俺が指導してやろうか? ボランティアで」
「え?」
急な話の流れにぽかんとしている奈央に、亮平が向き直る。今度はいつもの自信に満ちた笑みを浮かべていたから、奈央は胸中でほっとしていた。先ほどの亮平らしくない顔は、気のせいだったに違いない。
「レッスンだよ、レッスン。恋愛の」
「し、してくれるの……?」
それは望むべく展開だったから、奈央はおそるおそる確認した。ここで冗談だったとか、口約束だけだったら、そもそも亮平に連絡した意味がない。
すると亮平は灰皿に煙草を押しつけると、一転して真剣な眼差しで奈央を見つめてきた。
「その代わり、途中で投げ出したりしないと約束しろ」
「投げ出したりなんかしないわ!」
自分の悩みが中途半端なものかと問われているような気がして、かっとなった奈央は矢継ぎ早に言った。
「私がどれだけ悩んでるか、切々と訴えたばかりでしょう!?」
でなければこんな恥ずかしいこと、誰かに話したりなんかしない。
途端に亮平はにやりと口の端を上げると、奈央にビールのジョッキを勧めてきた。
「了解。じゃあ奈央、まずは飲め」
「……?」
ジョッキを手に持ちながらも、わけがわからず奈央は眉根を寄せる。
「お前は真面目すぎるから、少し酔っ払ったぐらいがちょうどいいよ」
「う、うん」
そう言われてしまえば、飲むよりほかない。奈央はジョッキに口をつけると、ビールを一気にあおった。先輩に振られたヤケ酒でもある。
亮平は新しい煙草を吸いながら頬杖をつき、面白そうにそんな奈央を眺めていた。
「レッスンはしてやるよ。――甘い恋のレッスンをな」
そのつぶやきはしかし、酔いの回った奈央の耳に届くことはなかった。
⇒【NEXT】亮平が教える恋のレッスンとは…?!(甘恋レッスン 2話)
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あらすじ
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」の大賞作品です。
「佐々木さんはかわいいと思うけど、男性経験がないのはちょっと重いかな」
決死の想いで告白したというのに、憧れの先輩から振られてしまった奈央。苦渋に顔を染めた奈央は、涙をこらえて制服の胸ポケットから携帯を取り出す。電話帳を開き、手早く操作して耳に押し当てる。
「もしもし、亮平? 私、奈央だけど」奈央は覚悟を決めて、森田亮平を呼び出すと…。