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官能小説 初めてのひみつ 5話


初めての大人のおもちゃ

「んっ!」

反射的に体がびくりとした。微弱な衝撃が走り、身をよじる。

静かな部屋にバイブの機械音が小さく響く。聞こえる低い音にあわせて、美咲は、かぁっと顔が赤くなる。クリバイブの先端は、秘芽をしっかりと掴んで離さない。可愛い見た目とは裏腹の刺激だ。

――だめっ、とまらない!

思考が白に染まっていく。身をよじりつつも、美咲は喜ぶところにクリバイブを当てる。それは快楽を求める生き物の性なのだろうか。美咲は細かな振動に抗えず、息が乱れていく。顔だけでなく全体が、熱を帯びていくのが分かる。もはや先ほどあったような羞恥心はなかった。

――き、きちゃうっ!

優しく触り続け、そして衝撃が体をかけめぐる。

「あぁ……っ!」

びくんと腰が跳ね、美咲は詰まったような声をあげた。白い閃光が花火のように頭の中で弾けた。しばらくまともな思考ができなかった。はぁはぁと荒い息を出して、美咲は余韻に打ちひしがれる。
ショーツは愛液で、ぐっちょりと湿ってしまった。
生地越しに空気に触れた肉芽はぴくぴくとしており、まだ刺激を求めていた。

(どうしよう、私……イっちゃった……)

――でも……。

――まだ欲しい。

美咲は機械音を未だに立てるバイブを見つめた。バイブは誘うかのように唸る。

美咲はショーツを脱ぐと、スイッチを切ったバイブにコンドームをつけた。アイスキャンディのように思えていた可愛らしいものに、いつも使っているコンドームをつけるというのは不思議な気がした。
コンドームをつけていると、和樹とのセックスを彷彿とさせた。それは、バイブの柔らかさが人間のモノを思わすからだろう。それとも、いまの自分がとても和樹を思っているからだろうか。きっと両方だろうと美咲は思った。
ベッドに横になると、ローションで濡れを足したバイブの先端を秘口に当てた。深呼吸をしながら、そのまま少しずつゆっくりと挿入していく。

「あぁっ――……」

中に入るにつれて、体の芯をふるふると震わせるような気持ちよさが背筋を走った。和樹としていたときには、緊張ではっきりと感じなかったもの。肉壁を擦るということは、いまは気持ちのよいことに思えた。

初めての体験

美咲は挿入した直後はあまり激しく動かさず、自分の中を探るように小さく動かした。入れたモノを、自分で思うように動かす。それは初めての体験でドキドキしたが、自分の体を知る貴重な体験であった。
バイブを肉壁に擦らしたり、ゆっくりと前後に動かしたりした。ちゅぷちゅぷとした音が小さく聞こえる。動かしている内に、背筋にじわじわと快感がやってきた。

快楽を求め一人エッチを楽しむ女性

動かす手が止まらない。

(これが、もしかして……)

気持ちよさでぼんやりとしてきた頭で思った。
昔、マンガで見た「感じる」ということは、とても激しく目に見えて分かるものであった。挿入してすぐに体をびくびくと震わせ、ほんの少しの刺激で何かが弾け飛ぶかのような衝撃が頭の中を駆けめぐる。美咲は「中で感じる」ということは、そういうものであるとずっと思っていた。

「はぁ、……は、ぁ……」

動かし続けていると、肉壁が次第にぎゅうぎゅうと収縮し始めた。体がバイブを掴んで離さないのが分かった。美咲は思い切って、先ほどとは違うスイッチを入れた。先端が回転し始めたバイブは、肉壁を擦るように大きく動いた。かき混ぜられた愛液が音を立て、ぬちゃぬちゃと機械音に混じって聞こえる。

(このままじゃ、おかしくなっちゃう!)

頭ではバイブを止めたいが、美咲の心と手はそれを許さなかった。
美咲はバイブを自分が求めて思うままに動かした。ローションと愛液が激しく混じり合う。ぬめりがよくなり、腰が無意識に浮いた。
何も考えられない。ただひたすら激しく乱れたい。
美咲はクリバイブを当てながら、あいた手で疼く乳首をいじった。押し寄せる快感に飲み込まれた意識は、高みに昇っていこうとする。

――あ……っ、ああっ! だめっ……! また……きちゃう……!

途端、階段から脚を踏み外したかのように意識が落ちた。硬く瞑った瞼の裏で、白く眩しいものが弾け、そして乱れた。手から握り締めていたバイブから離れ、止まっていた息は取り戻されるかのように大きく吸い込まれた。
天井を見つめ、美咲は胸で呼吸をする。身も心も熱く、しばらく放心していた。

(これが……)

――中でイくってことなんだ……。

初めての経験は、とても甘美で刺激的なものだった。

⇒NEXT『初めてのひみつ』6話

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あらすじ

初めて使用するバイブだったが、その快感に美咲は驚いていた。快感にどんどん感じてしまい…。

凛野あかり
凛野あかり
マルチな活躍を目指す小説書きです。女性向け・男性向け、…
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