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官能小説 夏目かをる「彼女の、愛のゆくえ」 後編
セックスの癖
私、谷川ユカ。28歳。 ある会社役員宅のお抱え運転手をしている。 化粧っけなし。色気なし。男なし。
物心ついた頃から車が大好き。 車を整備しながら油の臭いをかいだり、 ネジを巻いたりと好きな事をしていると 心の中にたくさんの言葉が溢れてくる。
その言葉の一つ一つが歓喜だったり、感激だったり、感謝だったり… ほとばしってくる感情の渦で、 私のおしゃべりはそこで満たされていた。
だから他の女の子達と群れたりしなくても、 ちっとも寂しくなかった。
車と一緒の時間が楽しくて仕方がなかったから。
整備工を目指していた私は短大を卒業後、バス会社へ就職。 でも配属は運転手。
男ばかりの職場で、 女子トイレもない環境にはさすがにびっくりした。
一つ上の先輩と付き合ったが、 ある日職場でトラブルが起きて別れた。 その後もセクハラの渦が押し寄せて、 1年も経たないうちにさっさと辞めて 東京湾近くの下町で整備工として働いた。
それ以来、私はネットで購入したラブグッズを使い始めた。 一人しか男性を知らない私は、セックスの想像力に乏しかったけどローションはとても滑らかに私の体をつたった。
そんなある日――
父が肝硬変で入院したと母から連絡があり、 父の願いで父の仕事を引き継ぐことになった。 その仕事とは、田園調布にある上田家のおかかえ運転手だった。
上田家は田園調布の丘の上にあった。 この街は坂が多く、セレブにも格差があって、 登っていけば行くほど、大きな屋敷が増えてくる。
上田家は田園調布の丘の頂上にあり、豪邸を構えていた。
その日の上田家はいつにもなく騒々しかった。
長男の繁之さんの婚約者・弓子さんが引っ越してきたのだ。 午前中にトラックいっぱいの荷物と一緒にやってきた弓子さんは、 私と同じ年の28歳。
小柄で可愛らしくて、大柄でがっしりしている繁之さんの横に ぴったりと寄り添い、将来の夫に包みこまれるように佇んでいた。
まるで艶やかな花の香りが漂うように、弓子さんは華やぎをかもし出していた。 でも、私は直感で彼女が何かを隠していると思った。 女が女の本性をかぎつけるとでもいいのだろうか。
私にも潜んでいた“女”が、ふいに目覚めたのだ。
身内が集まっての弓子さんの歓迎パーティは盛り上がった。
夜も更けて親戚の人たちもボチボチと帰宅し始めた頃、 私は車庫に入っている上田家の車に、 自分の家の鍵を忘れたことに気づいた。
急いで取りに行くと、車庫の隅で、弓子さんが煙草を吸っていた。 その横顔はまるでやり手の女が一服しているようだった。
ふいに彼女の素顔を見てしまったような気がした。
「誰?」
弓子さんが気づいて振り向いた。一瞬バツの悪そうな表情をしたが、「あなたなのね」ほっとした表情で、彼女は煙草の吸殻を地面に捨てて、ヒールの先で潰した。
「明日買い物に付き合って。お昼少し前に出かけたいの」
「かしこまりました」
私はお辞儀した。
「ねえ、あなた、ドレッサーもってる?」
「ああ…ないです」
「もしよかったら使ってみて。私の鏡台を上田のお母様が気に入らなくて…」
「いいですよ」
断る理由がなかったので、私は頷いた。
「ありがとう。では明日ね」
ショッピングは銀座だった。 エルメス、ディオール、ブルガリなどブランドショップを いくつかハシゴをしてから、弓子さんは私に 「お茶しよう」と誘った。
和光のティールームでもなく、銀座コアビルのカフェでもなく 入ったのは松屋の裏のスタバだった。
2階の喫煙コーナーで、弓子さんは嬉しそうに煙草を取り出した。
「私が煙草を吸っているのは内緒にしてね。 その代わり一緒にお茶するときはいつでも私がお茶代を出すから、遠慮なく注文して」
私は頷いてカフェモカを注文した。
化粧気のない無口な私に、黙々と煙草を吸っているファッショナブルな弓子さん。
ちぐはぐな女同士のティータイムの口火を切ったのは、弓子さんだった。
「ねえ、あなたって、セックスのときの自分の癖を知っている?」
「え?」
「私ね、繁之さんに昨日の夜にいきなり言われたの」
ざわざわとした周囲の喧騒の中で、弓子さんは人目もはばからずに口走った。
「私のセックスの癖、すごいらしいの」
変わった性癖
私は弓子さんからもらったドレッサーの前でヘアをパフュームで整えた。 フローラルの甘い香りがして、気分転換にとても良い。
車の整備工をしていたときに、 お客さんの須藤由紀さんからもらったものだ。 由紀さんも弓子さんと同じ事を言っていた。
「あなたは磨いたらきっと男にモテるわよ」
私はドレッサーの前で着替えた。
ディオールのリップスティックにマニキュア、 ブルガリの時計にエルメスのスカーフ、 ティファニーのペンダントにシャネルのスカート…
これも全部弓子さんからもらったものだ。
弓子さんの運転手になってから一ヶ月―― 鏡の中の私はだんだん彼女に似てくる……
買い物のたびの弓子さんとのティータイムはとても刺激的だった。 喫煙をすると過激な言葉の連続。
最初のティータイムのときから、いきなりすごい告白。
「ねえ、性癖って知ってる?」
過激に不意打ちをされて、 私はあやうく飲んでいたカフェモカを吐き出しそうになった。
「私って絶頂期になると関西弁でわめくんだって。それがエッチで可愛いって」
弓子さんのお父さんは転勤族で、 小さい頃、大阪や神戸など関西を転々としていたという。
「繁之さんがあそこに入れると、彼、アレが大きいから初めは痛くって、 だんだん気持ちよくなって…あああ、と呻きたくなって、 でも繁之さんってSだから手で私の口を塞いでしまうのよ。 でもあそこは気持ちいいのね。 繁之さんの動きが早くなってくると、 呻きたいけど塞がられてしまっていて、 それがますます気持ちよくて。 で、どんどんエスカレーターしてきて頭が真っ白くなってきそうになってきて、 耐えられなくなって繁之さんが塞いでいる手にかみついて、 驚いた繁之さんが手を離した瞬間に、関西弁が出るの。 『いややいやや、何するの〜、ああん』って。」
私は自然に身体が熱くなるのを感じた。 聞いているほうが恥ずかしくなるくらい、彼女の告白はエロい。
「ねえ、ユカさんはどんな性癖があるの?男の人から言われたこと、ない?」
私は困ってしまった。
「男の人は一人しか知らないし、すぐ別れたから」
「あら」
弓子さんは意外な顔で、私を見た。
「そうは見えないわよ。ユカさんはとてもセクシーよ」
弓子さんは私の全身を舐めるように見つめた。 女が女を値踏みしている。芸者の置屋の女将のようなその目線もエロい。
「スレンダーで色黒だから、野性的な香りがする。
M男なんか、イチコロなんじゃない?」
「Mは嫌ですよ」
「じゃあ繁之さんと同じS?
彼、時々私の目をネクタイで塞いで、
見えなくさせて、襲ってくるのよ」
うふふ、と笑う弓子さん。
私はぞくッとなった。 彼女から漂ってくる色気は、男性遍歴の結果なのか、それとも先天的なものなのか。
どちらにしても、色気とは無縁な私と住んでいる世界が違う。 スタバを出たときに、弓子さんは私にいたずらっぽく笑って囁いた。
「このことは内緒よ」
秘密めいたことも大好きなのだろう。 それが彼女の色気を増殖させている。上田家に着いてから、私は弓子さんの部屋へ荷物を運んだ。
「ドレッサーに座って」
ドアの手前にあるドレッサーは鏡が3つあって、 正面のミラーを包み込んで左右のミラーは閉じるようなスタイル。
木製のドレッサーはアンティークな香りが漂っていた。
勧められるまま、ドレッサーの前に座ると、 弓子さんはドレッサーの引き出しの中からリップスティックを取り出した。
「これ、まだ使っていない新品だけど、気にいったら使ってみて」
そう言って、彼女は私の唇にルージュを塗った。
口紅の独特の香りがつーんときて、 弓子さんの香水の混じって私は息苦しくなった。 それからファンデーションを塗り始め、メイクも、そしてネイルも。
鏡の中の私はどんどん弓子さんに近づいていった。 ふと彼女が手を休めて「ちょっと待って」と耳元で囁いてから、 ドアを開け、周囲を見渡してから閉めて、戻ってきた。
「繁之さんのお母さんが外にいるかと思ったわ」
弓子さんは耳元で囁いた。
「私達がセックスしているところも覗きにくるのよ」
その告白も、衝撃的だった。
女の匂い
上田家の母親が、長男とその婚約者との夜の営みを覗いている… それは弓子さんがこれまで私に話してくれたどんなセクシャルな話よりも 刺激が強すぎた。
「この間の夜、繁之さんがあまりにも激しく私を責めてくるから、 ついいややいややと喘ぎ声をあげたの。 ふと何気なく目を薄く開けてしまったのね。 気配を感じたというのかな?
ドアが少し開いていて、そのすき間から繁之さんのお母さんが覗いていたの。 しかも目があってしまって…怖かったわ」
その後も気配を感じ、 夜の営みがやりつらくなってきたのだという。
「結婚式まであと1ヶ月。憂うつだわ。 私達だけで暮らしたいけど、繁之さんがそれは無理だって」
いつになく沈んでいた弓子さん。
でも彼女はあっという間に、元の妖しいまでの色気を発するようになった。
それはある日の午後だった。 いつものようにエステの帰りに銀座へ買い物に行く予定だったが、 弓子さんは銀座一丁目のブルガリ近くで車から降りた。
1時間半後に、松屋裏のスタバで待ち合わせ。 駐車場に車を入れてから、私は一人で銀座を歩いた。 すると年齢問わず、すれ違っていく男性達は私を“女”として見ていく。
今日の私の装いは、ブランドはエルメスのスカーフだけだったが メイクはほぼ弓子さんそっくり。
似てきたのは、ファッションやメイクだけでなく、彼女の官能性もかしら? 自分が女として変わっていったことを試してみたくなった。
1時間半後――
弓子さんは上気した顔で、少し遅れてスタバへやってきた。 彼女の体からは―― ゆらゆらとむせるような官能が漂っていた。
とっさに私は「セックスしてきたんですか?」 と聞いてしまった。
弓子さんは素直に「うん」と嬉しそうに頷いて、煙草を吸い始めた。
「ホテルもたまにはいいわね。刺激的だったわ」
うふふ、と笑う弓子さん。 肌がいっそう張り、目が妖しく輝いていた。
翌日は高校の同窓会だった。
仕事が終わってから、上田家のバスを使わせてもらって ミックスベリーの香りのするシャーベットみたいなソルトで 念入りにマッサージをしてから弓子さんにメイクをしてもらった。
鏡に映った私達は、どこか似ていた。 メイクのせいだけでない。 私の体からも弓子さんと同じ匂いが漂っているような気がした。
私達は鏡の前で微笑みあった。 まるで同士のように。
同窓会の二次会は渋谷のバーだった。
三人の男性に囲まれて、私は酔っていた。 終電近くなって、三人のうち家が同じ方角の男性に誘われて、 彼のマンションへ。
親から独立して一人住まいの男性の部屋へ入るのは、初めてだった。
ベッドに入る前にそのことを言ったら「可愛いね」と抱きしめられた。 ふわっとした心地になって、そのまま彼に委ねた……
同級生はすぐに私の中に入ってきた。
まだ濡れていないので 「痛い」と言ったら、 「初めてなの?」と聞いた。
わかりきった嘘をつくのは嫌だけど、気持ちと裏腹に 「そう」と頷くと、同級生は「燃えてきた」と激しく腰を動かした。
後ろからも攻められた。
乳首をつままれ、 敏感な部分を指で一緒に愛撫されて私は絶頂の声をあげた。
終わった後で 「君、すごい女の匂いがする」とまた抱きしめられた。 そしてまた私の中へ入ろうとした…
翌日、同級生から来週のデートの誘いが携帯メールに。
弓子さんに報告すると 「左のクローゼットから好きな服をもっていっていいわよ」
そこで弓子さんが繁之さんと外出したときに、 私は弓子さんの部屋で服を選んでいた。
ふと、二人の寝室を見たくなってしまった。 好奇心が私の体の奥から湧き出てきた。 上田家は全員外出していたので、チャンスは今しかない。
私はこっそりと寝室へ忍び込んだ。 そこは巨大なダブルベッドとベッドの脇のサイドテーブル、 鏡、クローゼットだけのシンプルな部屋だった。
シルクのシーツを施したベッドは触り心地が良く、スプリングも最高。
そっと横になって体を伸ばし、シルクの感触を肌で感じて、 左右に動いてスプリングの具合をチェックしていた。
その時だった。
誰かが部屋を覗いていた。目があってしまった。
彼の初めての女
私は新しい恋人・ワタルのアパートへ買い物袋を手にして入った。
プログラマーのワタルは仕事が忙しくて、 毎晩のように事務所に寝泊りをしている。
今日は久しぶりに自宅に帰れそうだと、ハートマーク入りのメール。
可愛い。
彼は私よりも3歳年下で、私が初めての女性! つまりワタルは童貞クンだったというわけ。 ワタルの部屋の前にある新聞受けに、 留守中に配達された日経新聞が束のようになって差し込まれていた。
それを取って整理していたら、人事欄にあの上田家の主人、 つまり弓子さんの義理のお父さんの上田氏が会社役員を退いた という記事が載っていた。
上田家の運転手を辞めてから、8ヶ月になる。
辞めるきっかけは、弓子さん達の寝室にこっそりと忍び込んだときに、 ドアから覗いていたのが、上田家のご主人だったから。
視線が合ったときに体が凍りついて、 まるで蛇に睨まれた蛙のようにしばらく動けなかった。
応接室にある電話が鳴ったため、ご主人が部屋の前を離れた隙に、 忍び足で大急ぎで上田家を出た。
翌日母に退職願を渡してもらった。
辞めた理由を一言も語らない私に、母は何も尋ねなかった。
弓子さんから電話がかかってきたが、私はでなかった。 何だか全てが嫌になって、全部忘れたくなった。
付き合い始めの同級生とも別れ、新しい仕事を探した。 偶然知り合いから紹介された車愛好家に、 車関係のネットビジネス立ち上げに誘われ、軌道に乗り始めた。
そのビジネスで知り合ったのが、プログラマーのワタルだ。 知り合った頃は、TシャツにGパン、薄化粧、 ネイルなしという弓子さんと出会う前のファッションに戻っていた。
でも男をかぎ分ける嗅覚と男をその気にさせるコツは、 彼女から見事に受け継いだようだ。
童貞のワタルは、みるみるうちにセックス上手になった。
最初の行為の時――
私の上に乗って、私の乳房を何となく愛撫してから 女性の一番敏感なところへと指を移動したけど、 ワタルはなかなかその場所を見つけられない。
そこで私が自分の手でそっと誘導して、敏感な部分へ彼の指を誘った。 彼は一瞬引いたけど、やがて私の敏感な部分から 少しずつ雫があふれてきたのがわかると 「濡れているよ」と嬉しそうに耳元で囁いた。
それが初々しくて彼の背中に両手を回したら、びっくりして体を密着してきた。 すでに彼のが大きくなっていて、私に挿入しようとした。 が、途中でふにゃ、となった。
「ごめんね」 と謝った彼に「いいわよ」と言ったものの、ちょっと心配。 やっぱり私が誘導してあげたほうがいいのだろう。
そこで「握っていい?」 と彼に聞くと、「うん」と素直に頷いたので、彼のモノを握った。
「いきそう」
「ちょっと我慢してね」
私の額にも少し汗が。 彼のを摩擦してあげて大きくなったのを私の滴る部分へと導いた。 彼はやっと私の中へ入ってきてくれた。 二度、三度大きく体を揺らして、そして終わった。 あっという間の出来事だった……
「どうだった?」 と聞いてきたので、私は彼の気が悪くならないように伝えた。
「友達がね」
「うん」
「彼氏とのセックスはまず彼氏が緩やかに愛撫して
彼女が気持ちいいかを聞きながら、体中を念入りに。
それから入れて激しく動かすんだって。超気持ちいいそうよ」
これは弓子さんから聞いたことだ。あの銀座のスタバでのティータイムで。
「わかった。本を買って研究するから」
ワタルは翌日から試行錯誤で“女の子を悦ばす方法”を始めた。 ラブタイムを盛り上げてくれるグッズ も二人で楽しみながら。
きれいになったね
季節が変わって、秋の気配が深まった。 銀座へショッピングで出かけて、車を駐車場に入れたときに、 友達のミホとバッタリ会った。 彼女は今、芸人になるために、頑張っているそうだ。
「きれいになったね」とミホは褒めてくれた。
「私は相変わらずだよ」
相変わらず、というのはダメンズ遍歴が続いているのだろう。 そうそう、とミホがミーハーな口調で教えてくれた。
「弓子さん、婚約破棄してあの家を出たんだって。 この間、ライブに来てくれたときに言ってたよ。 新しい彼氏が童貞ですごく優しいって」
私はびっくりした。弓子さんに似てきたと思ったが、 次の男性が同じ童貞クンだなんて…
「ここへ来る前に弓子さんが松屋の裏スタバへ入るのを見たよ、行ってみたら」
「ありがとう!」
私は急ぎ足でスタバへ向かった。 再会した彼女との楽しいお喋りを想像しながら。
END
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あらすじ
「セックスの癖、すごいらしいの私」
弓子さんは人目もはばからずに口走った…