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官能小説 恋のチカラ 1話 (彼の冷たい態度)
一人になれない
「かわいいお嫁さんになりたい!」
それが、東雲和葉(しののめ・かずは)の小さいころからの夢だった。
26歳・会社員になった今でも、ずっと変わらない。
「お嫁さんになりたい」理由は、常に誰かにそばにいてほしいから。
和葉は極度のさみしがり屋だ。
姉2人、兄1人の末っ子として育ったせいかもしれない。
誰かがまわりにいないと、心細くなる。
それが恋愛にも影響しているのか、高校時代に初めて彼氏ができてから、パートナーのいない時期は少なかった。
誰かが関心を持ち続けてくれる状態が好き。
だから、恋愛が大好き。
恋愛以外に興味があるものといえば、自分を輝かせてくれるコスメやファッション。
そんな和葉が、友人の合コンがきっかけで付き合い始めたのが、一之瀬賢作だった。
自堕落な生活
理数系の大学を卒業している2歳年上の賢作は口数が少なく、本来であれば好みとは反対だったが…一目惚れだった。
付き合ってみれば堅実で一途で、マメなところにも惹かれた。
和葉は毎日のように、会社が終わると賢作の家を訪ねた。
「会いたいから」…それが理由だったが、行ってやることといえば、疲れている賢作にもたれかかり、だらだらテレビを見ること。
他人の家とはいえ、掃除も料理もしたことはない。
彼の冷たい態度
3ヶ月もしないうちに、賢作は嫌気を感じ始めた。
今では何かと理由をつけて、和葉が毎日訪ねてこないようにしている。
和葉を見ていると、自分まで自堕落になっていきそうな気がする。
賢作の心情の変化を、和葉はうっすら感じとっていた。
だが、怠惰が原因とは思い至らない。
いつしか、ご機嫌をとるような言動が多くなった。
「本当にこのままでいいのかな…?」
二人とも、会うたびにそんな思いを抱くようになっていた。