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官能小説 二度目の恋に落ちたから 2話
可愛い彼
蓉子に告白してきた料理教室の生徒、高畑良は予備校の古文講師だ。
料理学校の生徒たちから聞いた話だが、受験業界ではなかなかの有名人なのだという。
生徒の偏差値を半年で三十以上上げたこともあり、「合格請負人」とも呼ばれてカリスマ的な人気を誇っているとか。
さらに、良のいる予備校に子供を通わせるママによると、良はなかなかイケメンなこともあって、生徒から思いを寄せられることも少なくないらしい。
(「カリスマ」なんて呼ばれていそうには見えないけど……)
蓉子から見た良は、確かにイケメンではあったけれど、そんな呼び名に似合う鋭さのようなものは感じない。
至って真面目で、カリスマよりは「癒し系」という言葉のほうが似合う。
遅刻もなく、いつも熱心に授業を受けてくれるばかりか、終わった後に質問に来ることも多い。
些細な疑問でも放っておけない性格のようだ。
といってそこに必死さはなく、子どもが道で見かけた動物や植物の名前を無邪気に尋ねてくるような、どこかのんびりとした感じがある。
告白
良が蓉子のいる料理教室に通い始めたのは、蓉子のインタビュー記事が掲載された雑誌を読んだのがきっかけだったそうだ。
蓉子はもともと両親が共働きの鍵っ子で、いつの間にか自分で料理するのが趣味になった――という経緯で料理研究家になっている。
子供時代の経験を強みとして活かそうとする蓉子は、「ひとり飲みが楽しくなる料理」をつくる上でのコンセプトにしていた。
そんなふうに考えて料理をつくるのは実際に楽しくもあった。
このコンセプトが今の時代に受け入れられて、蓉子は頭角を現すようになった。
「料理は家族やパートナーといった、大事な人とともに楽しむためだけのものじゃない。一人でおいしく味わってもいい。一人の時間をもっと大切にしよう」
とくに意識したわけでもないのに、そんなメッセージ性を帯びてしまったのだ。
良はもともと料理に興味があったものの、それ以上にこの価値観に惹きつけられて、「せっかくならこの人に料理を習いたい」と入学を決意したそうだった。
「誰かと一緒にいるときだけじゃなくて、一人でいるときにも自分は唯一の大切な存在なんだと伝えたい。生徒たちを見ていて、そう思うことが多いんです」
と以前何かの折に語ってくれたこともある良だから、教育の現場に対して思うこともあったのかもしれない。
教室が終わって器具の片づけをしていたとき、生徒の一人としてしか見ていなかった良が教室に入ってきて、告白してきたときは本当に驚いた。
「つ、付き合って……ください」
「……えっ?」

一瞬、良が何を言ったのか、意味がよくわからなかった。
首を傾げる蓉子を前に、良は続けた。
「僕なんかが先生に釣り合わないってのはわかってます。でも僕は僕なりに先生を幸せにしたい……いや、します。絶対に幸せにします」
こういうことに慣れていないらしく、スマートさはまるでなかった。
うつむけた顔が真っ赤で、声が震えている。
(待って、待って……待って待って待って)
頭の中で警報が鳴り響く。
蓉子も良のことは憎からず思っていた。
こんな真面目な人が彼氏だったらいいのにと思ったことも、じつは一度や二度ではない。
それでも、だからといってすぐに自分の性格をひるがえせるほど器用ではない。
「大事なことだから、すぐには答えられません。少し待ってもらえませんか」
結局、蓉子は精一杯冷静を装ってそう答えたのだった。
受け入れたいけど…
その後良に会ったとき、それとなく「自分のどこがいいのか」と尋ねると、良はこんなふうに答えた。
「職業柄でしょうか、難しいことを簡単に伝えているのがすごいなと思ったんです。あとは仕事に対するひたむきさが、何というか、眩しいなと……」
容姿に惹かれたのではなく、内面を見て好きになってくれたのなら、なおさら良を受け入れたい。
蓉子はバスタブから出て体を洗いながら、その体に良が触れることを考えた。
いつしか頭の中では、初体験の相手と良が入れ替わっている。
良に後ろから抱きしめられ、胸を揉まれているうちに、体が甘く火照っていく。
硬くなったアレがトロリと熱く濡れたアソコに押し当てられて――。
(でも、やっぱり怖いな……)
蓉子は想像を途中で振り払うように、首を横に振った。
何しろ六年もかけて染みついた恐怖だ。
(そうだ、可奈に相談してみよう)
蓉子はふと、幼なじみで大学まで同級生だった野咲可奈のことを思い出した。
贈り物
「まずは慣れよ、慣れ。その良くんって人とエッチなことをしているところを、いーっぱい考えるの。大丈夫、イメトレだけでけっこう変わるから。たくさん妄想しなさい」
数日後の夜、蓉子は可奈とビデオ通話でPCの画面を通して向かい合っていた。可奈は商社勤務。
食品の買いつけ担当で、秘境のようなところに行くことも多い。
今回、メールを送ってあっさり連絡が取れたのは奇跡といえば奇跡だった。
今はあたりにサボテンしかないアメリカのド田舎にいるという。時差は17時間。
向こうは真夜中のはずだが、眠そうな様子はなく、付き合ってくれるのがありがたい。
蓉子と違って性的な経験が豊富で、かつ姉御肌でもある可奈に、蓉子は昔から頼りきりだった。
可奈は蓉子がエッチ経験ほぼゼロであることももちろん知っている。
初めてのセックスの後、何とか立ち直れたのは、可奈が励ましてくれたからというのも大きい。
良についての悩みを素直に全部話すと、可奈は帰国したときにおいしい和食を食べさせてくれることを条件に、指南してくれることになった。
「でも、イメトレっていっても何を考えればいいのかわからないんだけど……」
「まかせて。いいモノを送っておいてあげる」
「いいものって?」
「届いてからのお楽しみ」
数日後、大手通販会社の封筒に入った荷物が届いた。
送り人は可奈だ。
(何だろう……って、これはっ!)
開けてみると、官能小説が数冊入っていた。
封を開けたとほぼ同時に、可奈からメールが届いた。
スマホで開くと、
『そろそろ届いたかな。妄想のおともにどうぞ』
とあった。
(う。は、恥ずかしい……)
妙に扇情的な女性のイラストは、普段の蓉子にはまったくなじみがないものだ。
ページをぱらぱらめくるだけでも、「濡れそぼった」とか「鮮やかなピンク色の秘貝が」などという表現に照れてしまう。
ある作品では、主人公の女性が出張先で、手配の手違いにより憧れの同僚と同じホテルの部屋に泊まることになった設定で物語が進んでいた。
(なーんてご都合主義)
だが、読み進めていくうちに、
(本当にこんなことが起こったらいいな)
と思えてくる。
(こんな夜景のきれいなホテルのダブルベッドで、高畑さん……ううん、良さんに押し倒されて……)
そのうち、登場人物を自分と良に置き換えて考えられるようになった。
主人公と相手の名前が、頭の中で勝手に変換される。
『パンティを脱がされて、唇にキスしたときと同じぐらい丁寧に、アソコにも「良」のキスが降り注ぐ。
「や……っ、そこ、そんなにキスしたら……っ、恥ずかしいから」
「キレイだから、よく見たいんだ……それに俺を誘うみたいに花びらが開いてるよ」
「いやあ、言わないで……」
キスされたり、花びらを舌で舐め上げられたりするたびに、「蓉子」のそこが熱く開いていくのは、言われずとも感覚でわかっていた――』
そこまで読んで、蓉子はふと我に返った。
アソコがじんじんと熱を帯びている。
(わ、私……次にどんな顔で高畑さんに会えばいいんだろう)
今さら気づいたように、蓉子は照れた。
「あきらめません。」
翌日の授業が終わって廊下に出ると、良が追いかけてきた。
さっきの授業についての質問かと思ったが、違った。
「やっぱり、僕は斉木さんにとっては物足りない存在でしょうか」
周囲には聞こえないように声をひそめている。
蓉子がなかなか答えを出さないでいるので、やきもきしているようだ。
「そんなこと、ないですよ」
表情だけは平然と取り繕いながらも、蓉子は内心で焦った。
昨日、あんな妄想をしてしまった相手だと思うと、申し訳なさまで湧き上がってくる。
「私、こういうことにはすぐに答えを出せないタイプで……ごめんなさい」
「あ、いえ、こちらこそしつこくてすみません。でも……これだけは約束してくれませんか。ダメなときにはちゃんとダメだって言ってください。それまでは……僕はあきらめません」
蓉子は良を置いて悠然と歩き出した。
伸ばした背中に、良の視線を感じる。
(走って逃げたい!)
モデルのように凛と胸を張る蓉子の頭の中に響いていたのは、そんな叫びだった。
三角関係?
そんな二人を、廊下の向こうでじっと見つめている人影があった。
「高畑先生」
蓉子が去ったのを見届けると、その人物は良に近づいた。
「池田先生。どうしてここに?」
良が目を丸くする。
その人物――池田芽衣は、高畑と同じ予備校の英語教師だった。
「私も料理に興味があるって、以前お話ししたじゃないですか。高畑先生が有名な料理教室に通い始めたって聞いて、せっかくなら同じところがいいなと思って、さっき入校手続きをしたんです。これからは予備校の同僚としてだけじゃなくて、料理教室の生徒同士としてもよろしくお願いしますね」
芽衣はにっこり笑ってみせながら、
(ぜーったい、あなたを私のものにしてみせるんだから)
心の中ではそう誓っていた。
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あらすじ
恋愛にトラウマのある蓉子。
しかしそんな彼女は現在、料理教室の生徒から付き合ってほしいと告白を受けていた。
その告白相手「良」とはどんな人物なのか…