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官能小説 二度目の恋に落ちたから 6話
初めてのバイブ
バイブは蓉子にも初心者用とわかるような色と形をしていた。
優しいパステルブルーで、全体的にほっそりしている。胴体の部分が多少くびれているぐらいで、挿れても痛いことはないだろう。
お風呂に入ってから、ベッドに横たわった。汚れを気にせずローションをたくさん使えるよう、シーツの上にタオルを敷いておく。これまでの数少ない経験で学んだ、テクニックともいえないテクニックだ。
いきなり挿れるのは怖かったので、まずはピンクローターで体を徐々に慣らしていくことにした。
振動を弱めにし、内腿に当てる。大きく円を描くように動かし、その円をアソコに向けて少しずつ小さくしていった。
アソコが濡れて、花びらがわずかにめくれ上がっているのが何となくわかる。ローターがときどき花びらの先に触れると、自分でも意外なほど色っぽい声が出た。
「んあ……っ」
指でもアソコに触れてみると、「くちゅっ」とかわいらしい音がした。十分に濡れている。
(このローターが高畑さんの指や舌だとしたら、バイブはもちろん……)
もちろん、良自身だ。
ローターをバイブに持ち替えて、先端をそっとあてがった。
初体験の思い出がよみがえりそうになるが、首を横に振って掻き消す。代わりに良を思い浮かべた。
(高畑さんとつながるんだと思えば……怖くない)
痛みがないことを確認しながら、少しずつ、少しずつ挿れていく。細いバイブだが、それでも体が開かれていく感じがした。
「あ、ああっ……」
最初こそ違和感を覚えたが、それもすぐに慣れた。バイブはすぐに、吸い込まれるようにして蓉子の中に入っていった。
(ああ、高畑さんが、私の中に……)
「入っている」感覚は、すぐに「当たっている」感覚に変わった。奥ではなく、おへその下のあたりに亀頭の部分のふくらみがこすれている。
(んん、なんか変な感じ……でも、気持ちいい……のかな)
快感の芽のようなものはある気がする。初体験のときにはたぶん経験しなかった、と思う。
何度か当てていると、だんだんその芽が膨らんできたように思えた。もっと手をかけて育てていけば、きれいな花を咲かせてくれる、つまり気持ちよくなれる予感がある。
この花を、良と一緒に育てられたら……。
(そのための、最初の一歩を踏み出せたんだ、私)
手放しで「気持ちいい」とはまだ言えない。けれど、達成感があった。
(これから私は変わっていける)
核心を突かれて
良からもらったメールには、バイブでひとりエッチをした後に「ぜひお願いします」と返事しておいた。
『じゃあ、詳しくはお会いしたときに決めましょう』と良がさらに返してきて、やりとりは終わった。
次の週が明けてすぐ、来陽社の日下がカメラマンとともに学校にやってきて、書籍掲載用の料理の撮影が行われた。場所は、普段教室として使っている一室だ。撮影は夕方からだったので、蓉子の夜のクラスは休講にしていた。
(高畑さんに会いたかったなあ)
夜のクラスには良が通っていたので、会えないのは寂しかった。でも、これも仕事なのだから仕方がない。
次に良が通うクラスがあるのは週末。ほんの数日挟むだけなのに、ずいぶん先に感じる。
撮影は終始スムーズに進み、予定していた夜8時ほぼぴったりに終わった。
「すみません、私、幼稚園に子供を迎えに行かないといけないので」
蓉子より少し年上に見える女性のカメラマンは、手早く撮影機材を片付け、そそくさと教室を出ていった。手には傘を持っている。朝からずっと学校にいたから気づかなかったが、一時雨が降っていたのだという。
後には蓉子と日下だけが残った。撮影が終わったとはいっても、使った調理器具などはそのままになっているものが多い。蓉子と日下は分担して、調理器具を洗ったり、元あった場所に仕舞いこんだりしていった。
「よい、しょ……」
蓉子は手を伸ばして、頭上の戸棚に小鍋を入れようとした。背の高い蓉子でも出し入れのしづらい場所だ。普段あまり使わない器具なので、こんなところに入れている。
「危ないですよ。俺がやります」
声とともに背中に熱を感じた。
振り向くまでもなく、わかった。蓉子の背後に日下が立ち、同じように手を伸ばして代わりに小鍋を入れようとしている。
日下の腕が視界に入った。顔と同じように少し浅黒い。香水の爽やかな香りが鼻腔をくすぐった。
心臓の鼓動がありえないほど速まっていく。
(ま、待って。落ち着こう、心臓!)
なんとか自分に言い聞かせる。できれば胸に手を当てたかったが、そんなあからさまな真似はできない。ただ立っているしかなかった。
冷静でいようとする蓉子をさらに揺さぶるように、耳元に熱い声が掛かった。
「斉木さんって、なんでそんなに無防備なんですか」
低くて、気持ちのいい声。体を委ねてしまいたくなる。綿のように柔らかく包みこんでくる。それでいて逞しい。
「ときどき、何も知らない女の子みたいに見えることがあります」
何もかも忘れて、よりかかってしまいたい。一瞬だけ心が揺らいだように、そんなふうに思ってしまった。
それ以上考えるよりも先に、体が動いた。日下の前をするりと抜け出す。まるで、「こういうこと」なんて慣れっこだというように。
「そんなこと、ないですよ」
蓉子は何とか、笑ってみせた。
ふいに
結局、その後は何ごとも起こらず、蓉子と日下は学校を出ようとした。一階にある自動ドアは施錠されていて、内側からではないと出られなくなっている。照明もほとんど消えていた。
(ここを出れば、やっと解放される)
日下はタクシーで送ってくれると言い出すかもしれないが、そのときは断ろう。日下のことは嫌いではないし、感謝することも多いが、これ以上一緒にいるのは心臓に悪い。蓉子の恋愛経験値があまりに低いせいもあるだろうが、何をしてくるか読めないところがある。
「じゃあ、写真ができあがったらメールします。たぶん2、3日中にはアタリを……」
日下が話すのを聞きながら、蓉子は自動ドアを出た。
(よかった。無事に終わっ……)
そのとき、
「わっ!」
がくん、と視界が大きく下がった。
滑ったんだ、と頭の隅で理解したが、動作がそれに追いつけない。さっき降っていたという雨が、まだ乾いていなかったのだ。
――転ぶ。
だが間一髪、暖かいものが蓉子を抱き上げた。
(……え)
後ろから日下に抱きしめられていた。
さっきは熱だけ、けれど今度は男性としての力強さまではっきりと感じた。さっきよりも、ずっと強く。
「危ないところでしたね」
日下はいとも簡単そうに、蓉子の体勢をもとに戻してくれた。
「あ、ありがとうございます」

蓉子がしゃんと立ち直っても、日下は蓉子を抱きしめたままでいた。
「あ、あの……私、もう大丈夫です」
「もう少しだけこうしていても、いいですか」
蓉子は答えられなかった。体がすくんでしまって、声が出てこない。怖い気持ちが半分、ときめきに似ているといえなくもない、心がざわつくような気持ちが半分。
「好きなんです。斉木さん、いいえ、蓉子さんのことが」
日下の声は、どうしたって聞き間違えられないぐらいはっきりしていた。
(暖かい……)
今、蓉子に伝わってくる日下のぬくもりは、昔、確かに感じたもの、けれどもあっという間に失って、それから6年間、欲しくて欲しくて仕方がないと思っていたものだった。
気を抜いたら、「さあ、どうぞ」といわんばかりに差し出されたそれに、溺れてしまいそうだった。
溺れてしまったら楽になれるのかもしれない。けれど、
――僕はあきらめません。
頭の中に、蓉子をまっすぐに見つめてくる良の姿が浮かんだ。
(私には、待ってくれている人がいる。あの人のためにきれいになりたいと願った人が。だから私は一歩進むことができた)
やっぱり私が好きなのは、高畑さんだ。あの人を忘れて、一瞬の熱に溺れるなんて器用なこと、私にはできない。
もう迷わない。
「ごめんなさい」
絶対に聞き間違えられることがないよう、蓉子もはっきり答えた。
日下の腕にわずかに力がこもった。蓉子をその熱で蕩けさせようとするように。だが、蓉子はもう怖くなかった。どんなふうに誘惑されても、引き込まれはしない。
「私、好きな人がいるんです」
蓉子が言い切ったときだった。人気のなかった通りに、いちばん近い角を曲がって現れた人影があった。
その顔を見て、蓉子は絶句する。
(どうして高畑さんが……)
蓉子はまだ日下に抱かれたままだった。
→NEXT:日下に抱きしめられているところを高畑に目撃された蓉子は…(『二度目の恋に落ちたから 7話』)
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あらすじ
バイブで初めての経験をした蓉子。「変わっていける」そう感じて、良からの誘いのメールの返信を「お願いします」と返した。次の日、カメラマンの日下と一緒にいたとき…。