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月下美人【vol.4】川奈まり子 書き下ろしコラム
月下美人【vol.4】川奈まり子 書き下ろしコラム
白い花といえば、まず想うのは、キリスト教のイコンなどで見かける白ユリ。
西洋では白い花は純潔と貞節のシンボルだというけれど、キリスト教的なイメージから由来したのだろうか。
清らかな白花には聖母と天使がつきもののようだ。
ところがだ。
花弁を放射状にひらく白い花には、どれも、リナロールとインドールという2つの香り成分を、含んでいるのだという。
リナロールは麻酔性の、インドールはエロジェニック(性の官能を刺激する)の香り成分である。
そう、その清楚なイメージにもかかわらず、白い花は、肉感的な香気を発していることになる。
見るからに高貴な白い花々が、もしも官能的な香りを、持ちあわせていなければ、人々にこれほど愛されはしなかったろう。
冷たくて近よりがたいだけの存在だっただろう。
ユリ、ジャスミン、ライラック、そして月下美人。
ほかにもあるけれど、これらはすべて古今東西の人々に好まれてきた、そういう白い花の代表選手だ。
個人的な好みを言うと、このうちで最も心惹かれるのは、最後にあげた月下美人。
いちどだけ、家で月下美人を育てていたことがある。
その頃、つらい恋をしていた。
愛されなくてつらいのではない。愛しすぎてしまってつらいのだった。
月下美人は、そんな折に恋人から贈られた。
うちへ来たその日から、昼は寝室の隅でひっそりとたたずみ、夜になると日中の静かな姿からは、想像のつかないような大胆さで、花弁をひらくようになった。
――あれから月日は過ぎ、あのときの恋はとうに終わってしまったけれど、今も時折、私の月下美人は花を開く。
宵闇を満たしたあの甘く切ない香りもそのままに。
花びらから中心にかけて、大粒の真珠のような潤いのもとを。
それを指先で伸ばしながら、愛するあの人と2人で味わう悦びを想おう。
やがて、奥からじんわりと潤い、官能の花がひらく。
そこへ、ついに彼が……嗚呼、もうこれ以上書けない!
こんな贅沢なラブコスメを独り占めしてもはじまらない。
女の純潔と官能は矛盾しない。まるで白い花々のように。
今宵は、貴女も芳純なエロスを咲かせてみては?