「妊娠中にセックスをしたら赤ちゃんに負担がかかるのでは？」「流産の心配はない？」と妊娠中のセックスに不安を抱く妊婦さんは少なくありません。

結論から言うと、妊娠中のセックスは体調がよければ基本的に問題はありません。妊娠の初期でお腹が気にならなければ体位も特に注意しなくても大丈夫。

ただし、つわりなど体調が不安定だったり、医師から流産や早産の可能性などを指摘されていたりする場合は、控えましょう。不正出血などがあるときもやめておいた方がよいです。

妊娠中に性欲が増すのはおかしい？

妊娠中はホルモンの分泌量が通常と異なるため、性欲にも影響が出ます。性欲が増える人もいれば、減る人もいて、個人差があります。

特に妊娠中期に入り、体調が安定するころは性欲が増すことがあるようです。

そのため、妊娠中に性欲が増してもおかしなことは何もありません。

妊娠中にセックスしたくなくなるのはおかしい？

性欲が増せば、自然と「セックスしたい」という意欲がわくのは当然のこと。こちらもおかしなことはありません。

ただ、妊娠初期はつわりや慣れない状況でだるさを感じる、精神的ストレスなどでセックスをしたいと思わない女性もいます。
また出産間近の妊娠後期も、お腹が大きくなってくることで、性欲が減退する場合も。

まずは自分の体調と相談しながら、セックスへ臨むことが大切です。

基本的にはいつから始めても問題はありません。
ただ、妊娠初期の不安定な時期のセックスは体に負担がかかることもあるので、ハードな性行為は避けた方がよいでしょう。

もちろん、つわりなどで体調がすぐれなかったり、医師より流産や早産の可能性などを指摘されていたりするときも控えましょう。

妊娠の経過に問題がなければ、お腹が大きくなる妊娠後期にセックスをしても問題はないですが、子宮口が開き始める頃のセックスはリスクが伴います。
いつ生まれるかわからない臨月のセックスは控えた方がよいでしょう。

ソフトなセックスを心がければ、基本的には悪影響はないですが、出血やお腹の張り、腹痛を感じたときはセックスを控えましょう。
セックスの途中で感じた場合も、すぐに中止し、痛みや出血が激しくなるようであれば、病院を受診してください。

妊娠中のセックスで一番気になることは、やはりお腹の赤ちゃんへの影響。胎児へどんな影響があるのでしょうか。

セックスで胎児に影響は出る？

セックスでペニスを挿入することで、お腹の赤ちゃんをつついてしまうのでは、と不安になる方も多いかもしれませんが、子宮の入り口は出産直前まで固く閉ざされていますので、その心配はありません。

また、胎児は羊水の中で守られているため、ピストンをしたとしても直接接触したり衝撃を与えることもありません。

ただし、セックスは子宮を刺激する行為ではありますし、精液にはプロスタグランディンという子宮を収縮させる成分が含まれているため、出血や張りの要因になる可能性はあります。

また、ペニスや精液に含まれている雑菌などによる感染症のリスクもあります。セックスという行為自体よりも、それに付随する影響があることは理解しておきましょう。

妊娠中のセックスで流産や早産の可能性は？

妊娠初期の流産については、ほとんどが染色体異常や遺伝子の異常など、胎児が原因によるもの。
母体側が何かすることで流産するわけではないため、セックスが直接の原因で流産するということは考えにくいです。

ただし、不正出血や腹痛など、異常な妊娠症状などが見られている場合は、子宮の収縮による流産や早産の可能性が高まりますので、セックスは控えた方がいいでしょう。

では、妊娠中のセックスではどのようなことに気をつければいいのでしょうか。注意点についてご紹介します。

つわり等で体調がすぐれない時は無理にしない

妊娠中は体調に変化が出やすい時期。特に妊娠初期はつわりや胸の張り、便秘、気分のムラなどさまざまな体調不良が起こりやすいです。

「今日はそんな気分じゃないな」「体調がちょっと不安……」と感じる日は、無理にセックスをしないようにしましょう。

お腹の赤ちゃんに直接の影響がないとしても、胎児を守る母体に問題があっては元も子もありません。体調を第一に考えて、セックスをするかしないかを判断してください。

痛みを感じる、お腹が張る、出血等の症状があったら医者へ相談

妊娠中、セックスをしているときにお腹の痛みや張り、出血などの症状が出たら、すぐにセックスを中止しましょう。

少し気になる程度であれば一晩様子を見てもいいですが、朝まで治まらなかったり、ひどくなったりするようであれば、すぐに病院を受診してください。

医者に止められている場合は絶対にしない

流産や早産の可能性を医師より指摘されている場合は、セックスをしないようにしましょう。特に過去に流産や早産の経験がある場合は、あらかじめ医師に確認しておくと安心です。

リスクがあるとわかっていて行為に及ぶのは大変危険です。赤ちゃんのことを思うのであれば、絶対にしないようにしましょう。

体調が安定してきたら、医師にセックスしても大丈夫な時期を確認し、セックスをするようにしてください。

母体や胎児への影響を考えて無茶なことはしない

基本的に体位やプレイなどに制限はないですが、やはり母体や胎児への負荷のかからない方法を選ぶようにしましょう。

妊娠中のセックスでもコンドーム装着を

妊娠中は当然ながら妊娠することはありませんが、相手が感染症にかかっていた場合、罹患するリスクはあります。
赤ちゃんを感染症から守るため、妊娠中のセックスではコンドームを使用しましょう。

また上述しましたが、精液にはプロスタグランディンという子宮を収縮させる成分が含まれているため、早産を引き起こす可能性があります。
雑菌とともにこの成分が子宮内に入ることも妊娠中のセックスではリスクが伴いますので、コンドームで防ぐことが大切です。

体に負担がない体位で行いたい、妊娠中のセックス。そこで、妊娠中におすすめの体位を５つご紹介しましょう。

側位でのセックス

側位は、横向きに寝た状態で挿入する体位。
後側位なら、横になり、男性が女性の後ろから挿入する形になるので、お腹が大きくなっても圧迫せず、寝ていられるので負担が少ない状態で挿入できます。

挿入の深さも浅く、男性が激しいピストンをしにくいため、やさしくソフトな挿入感を楽しめます。

騎乗位でのセックス

横たわる男性の上に女性が上に乗るスタイルの体位の騎乗位も、上から押されることがないのでお腹に負担がかかりにくいです。

また騎乗位は女性が優位な状態で動けるので、負荷がかからない角度を選んで動くことができます。

ただ、角度によっては奥まで挿入できてしまうので、上下の動きよりも前後の動きで楽しむようにするといいでしょう。

バックでのセックス

お腹が大きくなってくる妊娠後期のセックスでおすすめの体位が、バック（後背位）。
女性が四つんばいになり、男性は後ろから挿入します。

四つんばいになることでお腹を圧迫せずにセックスをすることができるため、比較的楽に挿入が楽しめるでしょう。

ただし、バックは男性がピストンしやすく、つい激しくなりがち。しかも角度によって深く挿入されることもあるので、あくまでソフトな動きを心掛けるようにしてください。

バック座位でのセックス

女性が男性の上に座るように挿入するバック座位。
妊娠後期でお腹が大きくなってきても、椅子に座るように挿入するため、お腹や母体への負担がかかりにくいスタイルです。

男性に寄りかかるようにすると、より女性に負担がかからず、しかも男性は激しくピストンができないので、ソフトな快感を楽しむことができます。

正常位でのセックス

妊娠初期であれば、正常位でのセックスも可能です。
やはり密着度が高く、相手の顔が見える正常位は、セックスの満足度を高めてくれます。

ただし、妊娠中期以降はお腹への圧迫が強くなるので、あまりおすすめはしません。また、男性がピストンしやすく挿入も深くなりやすいため、女性側からソフトな動きをするよう促す必要があります。

時期と状況を見ながら、正常位での挿入をするか選択するようにしましょう。

妊娠中でも夫婦の営みは大切な時間。セックスも体調と相談しながら、スキンシップとして積極的に取り入れて大丈夫です。

ただ、気分が乗らない、体調がすぐれないのに男性の誘いを受けてしまうなど、マイナスなスキンシップはNG。
あくまで赤ちゃんの体調と自分の心と体を第一に、夫婦関係を築いていきましょう。

【記事監修】山下真理子（医師）

医療だけではなく、美容、タレント、モデルとして幅広く活躍している。著書に「あなたの魅力が10倍増すセックス」「夜のお悩み相談クリニック」の他、写真集「診て感じるクリニック」がある。

※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません

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