注目のワード

女の自分磨き【vol.2】川奈まり子 書き下ろしコラム〜幸福な人魚姫〜


女の自分磨き【vol.2】川奈まり子 書き下ろしコラム〜幸福な人魚姫〜

人魚姫の物語は、はがゆい悲劇だと思う。
はがゆい理由は、人魚姫があまりにも引っ込み思案だから。

私ならば、もっと意思的に王子様を口説いたと思う。
なんとしてでも彼を手に入れたい。
そう願うなら、私だったら、せめて泣き落とすぐらいのことは…。

人魚の涙は空気に触れるそばから、真珠に変わるという説もある。
泣き落としの効果は絶大だったはず。

――月あかりの浜辺で、悲しい微笑みに美しい涙をひとしずくそえて、王子様にそっと差し出す。きらめく瞳に真心をこめて。
しっとりと艶やかな肌は、彼の愛撫を待つばかり。
そんなロマンスをイメージしながらメイクをしてみるのも楽しい。

まずは体磨き。

いつにもましてなめらかな極上の肌で迎えたい、そんな特別なときの前には、特別のソープでバスタイムを、ぜひ。
香りも洗いあがりもいつもの石鹸とはひと味もふた味も違うスペシャルソープは、女の恋の必需品。
人魚の恋は泡になって海に消えてしまったけれど、私たちのロマンスは泡の中から始まるの!

さらに、女らしい曲線美を目指すなら、ジェルなどでマッサージも。
そのとき、彼の手の感触を想像しながら、肌に指先をすべらせてみて。
恋のホルモンが貴女の魅力を、最大限に引き出してくれるから。

ボディメイクを済ませたら、仕上げはフェイス。
とくに演出したいのは、涙にうるんだ瞳。下まぶた。目じり。
本当に感極まって、涙ぐんだときに濡れるそのあたりに、真珠色の艶を軽くのせれば…。

ね?人魚姫の出来上がり!

ただし、この人魚姫は恋の勝者。そして努力家。
というわけで、王子様に逃げられたりはしない幸福な人魚姫は、今日も自分磨きに精を出すのでした――。

あらすじ

公開中のエピソード 全26話公開中
カテゴリ一覧

官能小説