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髪の姫【vol.3】川奈まり子 書き下ろしコラム〜ラプンツェルの手ざわり〜


髪の姫【vol.3】川奈まり子 書き下ろしコラム〜ラプンツェルの手ざわり〜

高い塔のてっぺんに閉じ込められた美女。
地上をゆく者の目に、彼女の存在をあきらかにする目印はただひとつ、遥かな高みにある窓から垂らされた、長い長い金色の髪のみ。

塔は男性自身の、そして父性の象徴だろうか。
髪は、性の誘惑から厳重に隔離された娘の旺盛な生命力と、エロスの証のようだ。

ある日、王子はついに、その髪に手で触れる。

――私が想像するところによれば、たぶん彼は愛しい女の髪を、いきなり掴んだりはせず、まずは、そっと遠慮がちに撫でてみるのではないかと思う。

なぜそう思うかというと、心優しい男たちは皆、女の髪を愛撫することを好むから。

彼らは、女の官能のみずみずしさを味わいたいのだ。
よく手入れされた女性の髪の手ざわりは素晴らしい。
軽く握ればしっとりとまとまり、それでいて、ひとたび掌を開けば、さらさらと水のように指の間を流れ落ちてゆく。
あとには、ひんやりと涼しい余韻が手に残る。

こうした気持ちのよい触り心地に、爽やかで清潔な香りがつけ加われば、言うことなし。

……と、理想を書き連ねながら、半ば無意識に自分の髪に触れてみて、ひそかにニンマリした私。

ニンマリの理由?
それは、最近、「彼に撫でてもらうための」特製ヘアパフュームを、愛用しているから。
おかげで、香りも手ざわりも恋にベストな状態。
トリートメントケアのできるヘアパフュームは、恋愛の必須アイテムだと思う。

貴女の王子さまはどこ?
今夜も貴女の待つ塔の下でうろうろ?
では、さっそくこれを髪になじませて、恋の寓話の幕を上げてみてはいかが?
誘うのは、いつの時代も、ラプンツェルたちの役目なのだから……。

※ラプンツェル:童話集に収録されている作品で、別名:髪長姫。

あらすじ

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