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官能小説 パラレル・ラブ ストーリーB 〜洋輔編〜 ラストシーズン
「魅力を改めて 発見できた」●西原なみ
ななや直紀さんともいろいろ話し合った結果、今回はゆっくり国内旅行をしようということになった。
洋輔さんが意外と国内を知らないというのもあったし、海外だと何かと洋輔さんに負担がかかってしまいそうだからだ。4人の休みが重なる限られた数日と考えると、移動時間ももったいなかった。

みんなの意見をまとめて、京都と大阪をまわることにした。「二人だけでゆっくりする時間もほしい」ということで、途中までは4人で行動するけれど、後半は2人ずつべつべつになることも決めた。
いちばん張りきっていたのは直紀さんだ。会社の京都支社にも大阪支社にも友人がいるらしく、おすすめの店や場所を聞き出してくれた。
「京都の裏通りには、おいしいパン屋さんがあったり、有名なチョコレート菓子や老舗のコーヒーショップもあるらしい」
打ち合わせで、直紀さんはPCからプリントしたお店のサイトを見せてくれた。
「ありがちではない京都をゆっくり観光するのもいいね」
洋輔さんがうなずく。
「有名なところもいいけれど、せっかくだからあまり写真では見たことがないところに行ってみたいな」
「まかせといてよ。で、大阪はこっち」
直紀さんは新たな資料を取り出す。洋輔さんは受け取って、にこにこしながら眺めた。
二人の間の距離が確実に縮まっていることを感じて、私とななは笑いあった。
当日は午前10時頃に京都に着いた。まず向かったのは、着物のレンタルと着付けをしてくれるお店だ。
着物姿になった私たちは、少し歩きにくさを感じる草履にかえって愛着を感じながら京都を散策した。
焼きたてのパンはおいしかったし、路地裏の喫茶店や古本屋巡りは古都ならではのしっとりとした時間の流れを感じられた。
着物を着ることで、お互いの魅力を改めて発見できた気もした。スマートと筋肉質で、洋輔さんと直紀さんの体格は対照的だ。直線的な着物を纏うとそれぞれの特長がより魅力的に引き出された。
京都に来たからにはと、有名なところも一応は押さえておいた。中には入れなかったけれど祇園のお茶屋街を歩き、八坂神社にお参りをした。芸妓さんとすれ違うと、ミーハーに一緒に写真を撮ってもらったりもした。
「僕はすぐに わかるけど」●西原なみ
その日の夜は京都市内の和風旅館に宿泊した。部屋はべつべつだったけれど、夕食が終わると結局ひとつの部屋に集まって、お酒をちびちび飲みながらいろんな話をした。
盛り上がったのは、私となながなかなかみんなに見分けてもらえなくて困るという話だ。
「そうかな。僕はすぐにわかるけど」
「うん、俺もみんなどうしてわからないのかなって思う」
洋輔さんと直紀さんは不思議そうだ。
「じゃあさ……」
ふいにむくむくと、悪戯心が湧き上がった。
「本当にあてられるか、試してみて!」
私とななはいったん部屋を出て、髪を留めていたピンやマニュキアといったどちらがどちらかすぐにわかりそうなものを隠して、再び部屋に入った。
並ぶときには、わざとさっきとは反対側にした。
それでも洋輔さんと直紀さんはあっさり当てた。
「どうしてわかるの?」
自分のことながら不思議だった。私たちだって、じーっと見ていると見分けがつかないような気分になってくるのに。
「もし間違えられたら、それはそれでショックでしょ」
洋輔さんが苦笑する。
「なんだろうな、なんとなくとしか言えないけど絶対わかるよ」
自信があるのかないのかわからない直紀さんだった。
その後、洋輔さんと直紀さんは、どんどん打ち解けていった。
「俺は洋輔さんと兄弟になれて、本当によかったと思ってるよ。いつも冷静だし、判断も早いし、俺にないものを持ってる」
「そうかな。のほうこそ、直紀さんがうらやましく思うことがあるよ。感情がすごく豊かで、その伝え方も的確だ。感性が豊かなんだろう。憧れるな」
二人はお互いのお猪口にお酒を注ぎあう。
お酒がまわってリラックスしてきたせいもあったのか、話はさらにプライベートな内容に発展していった。のろけ話だ。
私たちの見分け方から始まり、出会いの経緯、好きになった瞬間などを話す。
「僕はなかなか自分では気づけないんだけど、口が悪いんだ。自分でもすごく気にしていたんだけど、なみが……」
「俺は引っ越し屋の仕事にななが興味を持ってくれたってわかったときに……」
二人は、料理の腕がいいだとか聞き上手だという意見も出してくれつつ、最終的には「いざとなったら強いところがイイ」というところに落ち着いていた。これは将来、もしかしたら尻に敷けるのかもしれない。
話が落ち着いたところで、直紀さんがジト目でこちらを見た。
「なぁに黙って聞いてるんだよ」
「そうそう、僕たちのヒミツを聞いたからには、なみたちのことも話してもらわないと」
洋輔さんも悪ノリした。
「まずは二人にも、僕たちのどんなところをいつ好きになったのか、教えてもらわないとな」
「えーっ、ちょっと待って!」
「そうだよ、いきなり言われたって!」
私たちは二人揃って真っ赤になる。
「仕方がない。じゃあ気持ちを落ち着けるための時間をあげよう。十秒ね」
「洋輔さん、なにその小学生みたいなの!」
「洋輔さんって、たまにお茶目だよな」
直紀さんが笑う。
私たちは結局、照れながらも言わされてしまった。
「二人で来られて よかった」●高木洋輔
翌日、旅館で朝食を食べてチェックアウトした。
「大阪は食べ歩きの旅になるから、今はあまり食べすぎないないようにしてよ」
朝食をとりながら直紀くんはみんなに注意していたが、自分はごはんをおかわりしていた。
「これでもいつもより食べていないほうだから」
ななちゃんが苦笑する。
在来線の特急で大阪に着くと、さっそくたこ焼きや串カツなどを食べてまわった。
直紀くんの大阪の友人がそれぞれのメニューごとに教えてくれたおすすめの店らしい。たしかにどこもおいしかった。
僕にとっては、雰囲気も新鮮だった。入った店は立ち食い形式のところが多く、客同士の距離がすごく近い。
「兄ちゃんたち、どこから来たんや」
たこ焼き屋で食べていると、隣のおじさんが話しかけてきた。僕たちの東京弁での会話が気になったようだ。
東京から新婚旅行で来たと返すと、それはめでたいとたこ焼きを一皿ずつおごってくれた。
僕たちもお礼にとおじさんに瓶ビールを1本お返しして、みんなで乾杯した。
あまり冷えていないビールを口にしながら、僕はしみじみと言った。
「本当に、なみやななちゃんや、直紀くんと会えてよかった」
「なんだよ、改まって」
直紀くんが僕を覗きこむ。以前のような遠慮は消えていた。
「僕は小さいころから自分の世界に閉じこもりがちだったから。この旅行でみんなと近づけたのもうれしいし、今まで知らなかった新しい世界に出会えたようで、それも楽しいんだ」
「じゃあ、これからもっとひっぱりまわすからな」
直紀くんがニッと笑う。
「洋輔さんもみんなを海外に招待したらどう?」
なみの提案に、いいアイディアだねと返した。いつか本当に実現させよう。
その日は普通のホテルに泊まったが、さすがにみんな疲れてきたこともあって前の晩のように話したりせず、お互いの部屋でぐっすり眠った。
翌朝のチェックアウト後、僕たちはホテルのロビーでしばしの別れの挨拶をした。
ここからは二人ずつに分かれての行動になる。直紀くんとななちゃんは関西空港から台湾に行くらしい。僕たちは電車で城崎温泉に行く予定だ。
途中下車して食事をしたり、のんびり、ゆっくり向かって、城崎温泉には夕方少し前に着いた。事前に調べたところによると、ここは浴衣で町を散策するのが名物とのことだった。外湯と呼ばれる日帰りの入浴施設があって、順番に回るのだ。僕たちはさっそく旅館で浴衣を借りて、着替えさせてもらった。
着物と浴衣は、着心地がけっこう違う。今まで僕は着物と浴衣が違うものということ自体知らなかった。浴衣は布地が柔らかくて、着ているとほっとした気分になる。
なみと手をつなぎ、カランコロンと下駄の音を響かせて町を歩く。射的屋に寄って、二人で競い合ったりもした。なみは意外と上手だった。
旅館への帰り道、僕はそれまでよりも強くなみの手を握った。
「四人での旅行も楽しかったけれど、ここにこうして二人で来られてよかった」
僕が言うと、なみも手を握り返してきてくれた。
「もう我慢 できない……」●西原なみ
旅館に戻ると、ちょうど夕食の時間だった。部屋に戻って一息ついたところで、部屋にいくつものお皿が運びこまれてきた。
部屋にいいにおいが広がる。入浴というのはけっこう体力を使うもののようで、箸がどんどん進んだ。
「さすが、老舗といわれる旅館の料理だね」
「うん、どの料理も繊細な味つけでおいしい。参考にしたいわ」
「それは楽しみだな」
「期待しすぎないでね」
食べながら交わす他愛のない会話でも、しみじみと幸せを感じた。
デザートを食べていると、スマホのメール受信音が鳴った。見てみるとななからだった。台湾の屋台で直紀さんと自撮りした写真が添付されている。
「あっちも楽しんでいるみたい」
洋輔さんに見せると、こっちも負けていられないねとのことだったので、帰ってから送ろうと思っていた温泉街での記念写真を送った。
食事を終えて布団を敷いてもらった後、部屋についているお風呂に入ることにした。ちょっと奮発して、個室露店風呂つきのところにしたのだ。
後ろから洋輔さんに抱きしめられる形で湯船に浸かった。
少し熱めのお湯で、すぐに体があたたまってくる。
首筋を、やわらかくて甘い感触が走る。もう、振り向かなくてもわかる。洋輔さんが私の首筋にキスをしたんだ。
「ななみが消えなくて、よかった」
耳元に熱い息とともに声がかかる。洋輔さんの声は囁くと少し低くなって、ぞくっとする。
手が後ろからするすると伸びてきて、両胸に触れた。長い指が乳房を揉みしだく。
ときどき乳首に触れられると、声が出てしまう。
「あんっ……」
ほかの部屋と離れてはいるけれど一応は露店風呂だから、洋輔さんも気を使っているみたいだ。指がいつもより少し遠慮がちな気がする。
「もう我慢できない……ななみがほしくてしょうがない」
「私も……洋輔さんがほしい」
私たちはお風呂から出て、布団に移動した。
羽織っただけの浴衣を、布団の上で洋輔さんがじわじわと脱がせていく。私は自分の体が熟れた果物のみずみずしい果肉になったみたいに感じた。
窓をしっかり閉めた部屋の中では、洋輔さんは激しかった。乳首をたっぷり舐めて、濡れてきたのがわかると、今度はクリトリスを舐めながら指でGスポットを刺激する。
「あんっ……あ、……洋輔さんの……早く……お願い」
恥ずかしいけれど、おねだりしてしまう。
「まだだめだよ。なみも僕を気持ちよくしてくれないと……」
私は体勢を変えて、洋輔さんのものを舐めた。舌を伸ばして根元から舐め上げたり、口に含んで吸ったり。気持ちよく感じてくれるところは、もうすっかりわかっている。
「なみ、それ以上しちゃ……我慢できなくなる」
そのうちに洋輔さんは苦笑しながら私の頭を離した。
「口もいいけど……やっぱりなみの中でイキたいな」
私を優しく押し倒して、のしかかる。
「んんっ……ああんっ!」
洋輔さんのものが、襞をかき分けて私の中に入ってきた。その質感がたまらなく気持ちいい。
「あ……く、なみの中、とろとろなのにきつくて……っ、気持ちよすぎるよ」
「私も……洋輔さんの気持ちよくて、変になりそう」
洋輔さんの腰が動く。奥にまで届くたびに、頭が白くぼんやりとしてくる。
「あ……私、イク……イッちゃう……よぉっ……」
「僕も、僕も……イクよ……っ」
私たちはしっかりと抱き合って、一緒に果てた。
「生まれたての 夢だけれど」●西原なみ
翌朝ゆっくりめにチェックアウトして、帰りの電車に乗った。一度大阪に出て、そこからさらに新幹線に乗る。
もう一泊、関西圏で泊まっていこうかという話も出たけど、もう十分いろんなところをまわったし、次は我が家でゆっくり休もうということになった。
新幹線に乗りこむと、早くも懐かしいような気になる風景がどんどん車窓を流れていった。
洋輔さんが呟いた。
「また二人で来るのもいいし、僕たちの子供と来てもいいかもね」
何気なくいったのかもしれない。でもその言葉に、ふわっと未来が膨らんだように思えた。
子供ができるのかできないのか、今の私にはわからない。ほしいとは思うけれど、できてもできなくても、私はちゃんと幸せになれると思う。いろんな可能性が、私たちの前には開けている。可能性の数だけある世界で、それぞれ幸せになってみせる。ななとそうしたように、これからも。
スマホのメール着信音が鳴った。またななからだ。今日は京劇を観に行くという。二人は明日帰国の予定だ。
私とななの新居は、電車で10分ほどしか離れていない。ななは、洋輔さんがフライトで不在のときは一緒に料理をしたり、買い物に出かけたりして、友達のように過ごそうと言ってくれた。
もちろんうれしいけれど、ななは来月から直紀さんの会社で働く予定だという。あまり私のために時間を使わせるのも悪い。だから私は、ななの好意はちゃんとありたがたく受ける一方で、一人でも過ごせるようになろうと考えていた。誰に頼らなくても笑っていられるように。
じつは今、料理をもっと勉強して、家のそばに小さな料理教室兼カフェを出してみたいな、なんて夢がある。まだ誰にもいっていない、生まれたての夢だけれど。
家に着いたのは夕方すぎだった。
「疲れたね」
「うん、温泉でたっぷり癒されてきたはずなのに」
洋輔さんは疲れたといいながら、また抱きしめてきた。
「新幹線の中からずーっとこうしたかった」
なんて囁きながら、頬を包みこんでキスをしてくる。
明日からまた日常が始まる。
何でもない明日に向けて、期待に胸が膨らむ。その積み重ねの中に輝くたくさんの可能性のうちのどれを、私は掴みとるのだろう。
私も洋輔さんの頬に触れて、キスを返した。
END
あらすじ
『ダブル新婚旅行』として国内旅行に出発した4人。
本当に色々あったけれど…ついに最終話!