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官能小説 「妄カラ女子」…spotA〜未由編〜・シーズン11
泣きそうな顔 ●小森未由
最近すっかり気持ちが噛み合わなくなってしまったわたしと悠人さん。お互いがお互いを思いやるばかりに、どんどん悪循環にはまっていく。やりきれなかった。
(できることからやる……か)
帰宅して、雨宮さんに言われたことを心の中でもう一度繰り返す。
(いつまでも受け身なだけじゃだめだよね)
経験がないからそれでもしょうがないんだと、自分を甘やかしていた気がする。
悠人さんに大好きなんだとわかってもらいたいし、喜んでもらうためには、いつまでもそんなことじゃいけない。勇気を出さなければいけないんだ。
私は考えた末、机の引き出しから一冊のノートを出した。
真っ白な1ページ目を開き、ふぅ、と大きく息を吐く。
結局果たされなかったままだった「宿題」。それを今、改めて提出しようと思った。
口で伝えるのだと恥ずかしくてうまくいえないかもしれないけど、文章にするのであれば、たぶん、何とかなる。だってわたしは長年こうやって妄想を綴ってきた、妄想女子なんだから。
数日後、悠人さんに会うと、わたしは正座して妄想ノートをずいっと差し出した。
「遅くなったけど、宿題を持ってきました」
わたしの改まった態度に、悠人さんは「な、なに……?」とたじろぐ。
「宿題です。結局出していなかったから」
ずずずいっと、悠人さんのほうにさらにノートを突き出す。
あぁ、こういうとき、もっとかわいらしい、女子力高い、色っぽい誘い方ができたらいいのに。恥じらいを帯びた流し目とか、うつむいて上目づかいとか、そういう恋愛スキル高そうなことができたらいいのに。そうしたらきっと、こんなに悩むこともなかったんだろう。
でも、わたしはわたしが持っているスキルで道を切り開いていくしかない。
悠人さんがおずおずとページを開く。あ〜〜〜っ! 覚悟はしていたけどやっぱり恥ずかしいっ!!
『スーツを着た悠人さんとホテルでエッチ。1回目はまったりゆったりした穏やかなセックスだったけど、それでは物足りない悠人さんは今度は少し強引にわたしをバックの体勢にして、後ろから乳首とクリを同時に責めながら……』
それは、ほぼこの間のホテルでのエッチの内容だった。
「これって……」
悠人さんはもちろんすぐに気づく。
わたしは補足した。
「わたし……本当にああいうの、好きで……あのっ、あのときはびっくりして泣いちゃったけど、もう大丈夫だと思う。悠人さんがずっと優しくしていてくれたから、もう大丈夫……です」
一瞬の間。
直後、悠人さんがごくりと唾を飲んだ音がやけに大きく響いた。
「だから、その……悠人さんがいやでなれば、ですけど……もう一度……あんなふうに、したい……」
次に悠人さんの口から出てきたのは、思いも寄らない言葉だった。
「無理しなくていいよ」
「え?」
「本当は俺としたいわけじゃないんだろ?」
背筋がさぁっと冷たくなる。背骨を抜かれて、代わりにつららでも入れられた気分だった。
……どういうこと? 意味は不明ながらも、最悪な状況に陥りつつあることだけはわかる。
悠人さんは自嘲するように笑って、それから苦しそうに吐き出した。
「俺、聞いたんだ、未由のイトコの子から。あれは……未由が昔好きだった人のことを考えながら書いたんだろ?」
「え……?」
「ごめんな。俺なんかがそんなことしようとして。そうされたい人が別にいたんだから、泣きたくなったのも当然だよな」
泣きそうな顔だった。
わたしは……
真実 ●小森未由
わたしは……思いっきりすっとんきょうな声をあげてしまった。
「ひぇっ?……むぅえええええええっ?」
え? なに? それ? どれ? わたしが? 昔? 好きな人の? ことを? ていうか誰それ? え? ちょ? どういうこと? は?
「……違うの?」
ぽかんと口を開けたまま閉じられなくなってしまったわたしの様子を見て、どうも何かが違うと悠人さんも気づいたらしい。
「えっと、全然」
わたしはぶんぶんと首を横に振った。
旭くんはきっと、お姉ちゃんから断片的に情報を聞いて、勝手にそう思い込んだのだろう。そしてそれを、悠人さんに伝えたんだ。
「じゃああれは何なんだ?」
「だから言ったじゃない、ただのネタちょ……」
「じゃないだろ?」
悠人さんがわたしの顔を覗き込む。ぎく。
「ただのネタ帳にしては情感がこもりすぎているし……だから、好きな人のことを書いたものだって聞いたときに、納得したんだ。なぁ未由、教えてくれ。あれは……何なんだ?」
悠人さんの視線はわたしから離れない。離れてくれない。
−−しらばっくれることもできるだろう。でもそれじゃ、悠人さんは不安なままだ。
(あぁっ、もうっ……なるようになってしまえ!)
勇気なんて、一度出しても二度出しても同じだ。わたしは腹をくくった。
「あれは妄想ノートです」
結局わたしはすべてを話した。小学校の頃の北村くんとの事件がきっかけで妄想女子になったこと、そこから長年にわたって妄想を続け、内容をノートに書き連ねてきたこと。妄想の中ではどんな過激なこともできたけど、現実の自分とのギャップが激しすぎて、いざ実現したらすっかり混乱してしまったこと。
そして――スーツをきちんと着こなしたときの悠人さんは、最初に妄想した理想の男性である「妄想の君」にあまりにもよく似ていること。
「まっ……」
今度は悠人さんが固まる番だった。
「まじか」
わたしはこくこくとうなずく。
悠人さんはしばらく彫刻のようになっていたが、しばらくすると動き出した。
ぷっと吹き出したかと思うと、笑い声がどんどん大きくなっていく。
「な、何よ、笑わないでよ……笑われると思ったから、言えなかったんだよ」
「ごめんごめん」
悠人さんは涙を拭くと、わたしをぎゅうっと抱きしめた。
「よかった……」
耳元で悠人さんが呟く。心の底からの安堵が感じられる声だった。わたし、この人に本当に愛されているんだな、そう実感する。
唇が近づいてきて、わたしの唇をとらえた。
「じゃあもう、遠慮しないから」
わたしの膝に当たっていた悠人さんのモノが硬くなっている。そのまま押し倒された。
キスをされながら少し乱暴にカットソーをたくし上げられ、ブラの上からじっくり胸を揉まれる。
「は……んっ」
「乳首が硬くなってきた。ブラの上からでもわかる」
嘘じゃないことを証明するように、悠人さんはその部分に指をぐりぐりと押しつける。
「あ……やっ」
「これじゃ物足りない?」
ブラを持ち上げられて、乳房があらわになった。悠人さんの舌が、その丸みをなぞる。
「んん……」
急に舌の動きが止まったので、わたしは閉じていた目を開く。悪戯っ子のような顔をした悠人さんが、そこにはいた。
いちばん感じるところに触れてほしいのに……。
「おねだり、して」
悠人さんはにやりと笑う。
「未由の口から、いやらしい言葉を聞きたい」
かぁっと顔が赤くなった。でも、悠人さんはもうその程度ではたじろがない。
「早く……」
耳を甘噛みしながら催促する。その間も指は胸の周辺に触れている。
「な、舐めたり……触ったりして……ほしい……」
「どこを?」
「…………」
「聞こえない。止めちゃうよ?」
「……乳首……とか」
未由はここが気持ちいいんだね、この間もいっぱい声をあげてたもんね。そう言いながら悠人さんは硬くなって感じやすくなった乳首をペロペロと舌で転がす。もう片方は指でくりくり摘む。
「や……あぁんっ……は……」
スカートをめくられ、パンティを下ろされると、そこはもうぐっしょり濡れていた。
妄想超え ●朝野悠人
俺はベッドの横の棚からコンドームを取ってくると、急いでジーンズを下ろして装着した。
未由のアソコをそっと指先でなぞってみる。もうトロトロで、入り口がひくひくしていた。俺をほしがっているんだと思うと興奮するけど、まだだめだ。もっと――意地悪したい。
指先を少し上にずらして、クリトリスを探す。あった、かわいらしい突起。最初は優しく、少しずつ力を入れながら指の腹でなで回すようにして愛撫すると、愛液がさらに溢れ出してきた。すぐにお尻のほうまで垂れていく。
「だめっ……汚いから、だからもう……」
「だからもう?」
俺は指の動きを止めずに尋ね返す。
「もう……入れて……」
未由の顔がまた一段と赤くなった。……かわいい。
「じゃあ……入れるよ」
俺は未由の中に少しずつ沈み込んでいった。
未由が秘密を打ち明けてくれたことが嬉しくて、俺は自分の好みやしたいことも話した。まぁ、俺の好みなんてもうおおかた漫画で伝わってはいたが……
数日後、俺と未由は買い物に出かけた。俺が好きそうなセクシーな下着を買うためだ。未由が提案してくれた。この際だからいうが、俺は見るからにキワドい下着や水着が好きだ。それをじわじわ脱がせていったり、脱がしきらないままエッチしたりするのがたまらない。
といっても、さすがに店の中までは同行できない。俺はデパートの同じフロアの、エレベーター脇あたりで待つことにし、未由は一人で店に入っていった。
正直、この時点ですでに前かがみモンだ。未由がどんな下着を選ぶのか、早く見たくてしょうがない。実際には数十分もなかっただろうけど、待っている時間が果てしなく長く感じられた。
家に戻ると、未由はすぐにバスルームに入った。軽くシャワーを浴びて、買った下着をつけてくるという。
出てきた未由がつけていたのは、俺が漫画で描いていたような布面積の小さい下着だった。未由は意外とグラマーだから、少し動くと肝心の部分がポロリしてしまいそうでハラハラする。
「あの……似合って……ないよね……」
「そ、そんなことないっ! きききれいで……エッチで……俺の妄想よりず、ずっといい……!」
興奮のあまり噛み噛みになってしまう。
辛抱たまらんというのはこういう状態をいう。俺は急いでシャワーを浴びてくると、部屋で待っていた未由を押し倒した。上からまじまじと、やらしい下着姿の未由を見つめる。見つめまくる。
「そんなに……見ないで……」
「どうして? すごくきれいだよ。未由がそんな格好したから、俺、我慢できない」
パンティの紐をほどこうとして、ふと、もう少しこの格好を観察させてもらおうと思い直す。
「ねぇ未由、よつんばいになって、おしりをこっちに上げてみせてよ」
未由は困った顔をしながらも、その通りにした。
「脚を開いて……」
やっぱりだ。アソコが濡れて、生地の薄いパンティが透けている。
「びしょびしょだから透けて、上からでも形がくっきりわかるよ」
「やだ……っ」
未由はお尻をもじもじさせている。そんなことをしている間にも、どんどん濡れてくる。
ブラに手を掛けると、小さな布は弾けとぶように上にずり上がって、乳房がぷるんと揺れながら全部あらわになった。
「あっ……!」
もう……だめだ。俺はパンティをずらして、硬くなったものをあてがった。
次の危機 ●小森未由
悠人さんを受け入れながら、わたしは幸せを噛みしめた。
悠人さんの硬いモノでこすりあげられると、声が勝手に漏れ出してくる。悠人さんが大好きで大好きで、突かれるたびにアソコがきゅんきゅんする。
「あ……あぁん……あ、はぁっ……」
「未由……ちょっと締めつけすぎ……」
そんなふうに言いながらも、悠人さんは勢いを弱めない。
「だって……あ、あぁん……」
「まぁいいや。未由がこんな恰好してたら、俺、何度でもイケるから」
悠人さんの動きがどんどん早くなってくる。わたしの快感も、どんどん高まる。アソコがぴくぴく震えて、喜んでいるような気がする。
「あ……あぁ、未由、イクよ……」
「わたしも……わたしも悠人さんの気持ちよくてっ……変になっちゃう……っ!」
もう何を言っているのか、自分でもよくわからない。視界が白くぼやけてくる。
わたしたちは二人で達した。
わたしは新たに妄想ノートをつくることにした。もちろん妄想相手は悠人さんだ。エッチしたいときには、そう書いて置いておく。どんなふうにしたいのか、詳しく書きこむこともあった。
ノートは悠人さんも使うことになったから、妄想ノートというよりは妄想交換日記といったほうがいいかもしれない。どういうわけかわたし、というかわたしたちには、直接口で言い合うよりも、このやりかたのほうがしっくりきた。きっとお互い妄想女子・妄想男子だったからだろう。
最近はわたしの希望で、お湯がぬるぬるになる入浴剤を使ってお風呂でエッチしたり、悠人さんの希望で食べられるローションを塗って、舐め合いっこしたりした。うじうじ悩んでいた頃が嘘だったみたいに、わたしたちは硬く、激しく、みだらに結びついた。思いきって勇気を出して、よかった。心からそう思った。
だけど、次の危機は思わぬところから忍び寄ってきた。それが訪れたのは、わたしにではなくて、悠人さんにだった。
マンガのネタを思いつかなくなってしまったのだ。
「たぶん、現実の生活ですごく満たされてしまったからだ。俺のマンガは自分の欲望や妄想を形にしていた……だから……」
悠人さんが、真っ白なネタ帳を前に頭を抱える。わたしが出すネタにも、ピンと来なくなってしまったらしい。それでも、納得しないまでも何とかわたしのネタで毎回持たせた。
やがて、悠人さんのマンガは「薄っぺらくなった」と酷評されるようになった。人気もどんどん下がっていった。
「このままでは、打ち切りもありえます」
担当の編集さんは、悠人さんにそう宣告した。
提案 ●小森未由
わたしには、考えがあった。
でも、悠人さんがどんなふうに思うか考えると、なかなか言い出せなかった。
それでも何とかしなければ、最悪の状況に陥ってしまう。わたしたちはとにかく、この危機を乗り越えなければいけなかった。この際、それが最重要課題だろう。
「悠人さん、わたしにアイディアがあるんだけど」
わたしは切り出した。
「わたしが原作担当になる。悠人さんはわたしの考えたストーリーをマンガにするというのはどう?」
どちらにしても、今やネタの大半はわたしが出していた。今は悠人さんの考えた基本的なストーリーラインにそのネタを乗せている感じだったが、わたしは根本のストーリーから自分に考えさせてほしいと伝えた。
長年マンガ家でやってきた意地も当然あっただろう。悠人さんは迷った。何だか申し訳なかった。でも、わたしはもうわたしたちが幸せになるために遠慮したくなかった。言いたいことは言って、その上でうまく噛み合わなかったら徹底的に話し合えばいい。ぶつかるのを怖れて小さくまとまって、ストレスを溜めていくのはやめようと思った。
悩んだ末に、悠人さんはわたしの提案を受け入れた。
わたしは編集さんに紹介され、まずはテストプロットとして、企画案を何本か提出することになった。わたしの企画は荒削りではあったけど、編集さんの手直しもあって何本目かでゴーサインが出た。それまでのわたしだったら、2本もダメ出しされれば、もう落ち込んで立ち直れなくなっていただろう。でも、悠人さんのためにも落ち込んでいる場合ではなかったから、食らいついた。
同時に悠人さんの現在の連載は、徐々に収束に向かっていった。

「未由はすごいな。昔から思っていたけど、ネタがどんどん出てくるんだな」
悠人さんがわたしの書いたシナリオをネームに起こしながら、こちらを見て笑う。
「だって、わたしは妄想女子だもん。妄想してきた年季が違う!」
悠人さんの部屋に新しく設置した、わたし用の作業机。わたしはそこでノートPCに向かってシナリオ執筆を進めながら、悠人さんのほうを見て笑い返した。
わたしは本屋のバイトを辞め、マンガ原作者・MI-YUとしてデビューした。ほぼ初心者のわたしは、何度も何度もリテイクを食らうこともあった。それでも何とか〆切を守って連載に間に合わせた。編集さんもこんなわたしに親身になって付き合ってくれた。編集長もわたしに期待していると言ってくれた。人にも恵まれていた。
悠人さんと結婚の話が出たこともあったけれど、まずはこの二人一組体勢での仕事スタイルを確立させてからだね、という結論に達した。
そんなときだった。彩子の外向けの結婚式が終わり、プライベートパーティに誘われたのは。
あらすじ
悠人との関係に曇りが生じた未由は勇気を出し、彼からの宿題を進めようと…。