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官能小説 本当にあった!ラブ物語 第二話 秘密の変身


第一章 眩しいガールズタイム

夕暮れ近い駅ビル。
親友の裕子と2カ月ぶりに会い、
朝からショッピングをおしゃべりの同時進行が続いている。

「あ、これ、可愛い!」
裕子の声に振り返ると、彼女の前にはランジェリーショップのイチオシ商品。
「ほんとだ、可愛いね〜。綺麗なレース!」
「じゃ、ユカリ、色違いで一緒に買おうよ。ユカリは、ピンクだね〜」

「うんうん!」とほとんど勢いで買ったレースの下着だけれど、
いざ自分の物になると、ウキウキが1秒ごとに増していく。
帰りの電車の中では、バッグを抱える手がくすぐったくなるほどだった。

その夜のバスタイムは、遊園地にいる幼い女の子のような気分になった。
たっぷりとフワフワに膨らませた泡で全身を洗い、
ヘアパックも丁寧に施し、のんびりとバスタブに浸かる。

さらに、お風呂上りには、ちょっと贅沢なボディミルクを全身に。
しっとりツヤツヤした、ぷるんとお皿に揺れるプリンのような肌が鏡に映って、満足する。

「やっぱり、ちょっとだけ…」
迷っていたけれど、やはり、買ったばかりのレースの下着をつけてみた。
試着室でつけたときよりも、お風呂上りの艶に包まれた肌に、それは何倍も輝いて見えた。

親友とのショッピングもおしゃべりも、自分の下着姿も、
すべてがアップテンポのメロディーの中に織り込まれていくような気分で、眠りにつく。

そのときには、想像もしていなかった。
あんなにハッピーに輝いていたピンク色のレースが、くすんで見えるときが来るなんて…。

第二章 かすむキラキラ くすむピンク色

「なんか今日、ユカリ、いい匂いする」
食事の後、ホテルの部屋に入るなり、恋人の涼太は私をベッドに押し倒した。
そのまま、カットソーをまくり上げ、胸に顔をうずめる。

「あれ?新しい?」
涼太が、買ったばかりのブラに気づく。

「うん、こないだ裕子と会ったときに買ったの」
「いいね。色っぽいレース」
そう言ってブラ上からキスをして、レースから溢れる柔らかな丘に吸い付いた。

「あぁ…」
思わず息を漏らす私に、
「ちゃんと見せて」
と涼太はカットソーを脱がせ、ピンクのレースをまとっただけの上半身に視線を這わせる。

「うん、すごくよく似合ってる。可愛いよ、ユカリ」
もう一度、唇とブラにキスをすると、背中に回した手で器用にホックを外して、
レースに隠れていた部分をあらわにし、そこを改めて隠すように胸に顔を寄せ、
その先端をコロコロと舌で転がした。

「あぁぁ…ん…」
息が熱くなる私の目を、涼太は意地悪な視線で見つめる。
「ここ、ユカリ、好きだよね」
と言いながら胸の先端をそっと甘噛みする彼の頭を、同じ甘さで撫でた。

涼太は、私の胸を唾液で濡らしながら、スカートに手をかけ、スルリと脱がせる。
「こっちも、見せて」
脱がせたスカートに隠れていた下着に触れてから、
彼は上体を起こし、ベッドに横たわる私を見下ろした。

「下も、可愛いね」
と言うと、彼は私を四つん這いにさせて、
「後ろからも、いい」
とウエストからヒップ、太ももの裏をそっと撫でる。

下着の上からそっとヒップにキスをすると、
そのまま背骨に沿って首まで舌を這いあがらせた。

「シャワー…」
私が小さく言うと、涼太も
「そうだね。まずはお風呂に入ろうか」
とバスルームへと向かった。

(何もおかしくない。何もおかしくないけど…)
バスタブにお湯が落ち始める音を聞きながら、私は、ほんの少しの違和感を覚えていた。
ブラを外して、スカートを脱がせるところまでは、涼太、あんなに興奮していたのに…。

急にテンションが変わったような…。
(もしかして、私、におってるの…?)
ベッドの上にひとりで座って、レースの下着に手を当てる。
輝きもときめきも消え去った、沈んだピンク色の下着に。

第三章 決意のガールズタイム

「これ、どうかな?」
裕子が、スマホをこちらに向ける。

もしかして自分のデリケートゾーンがにおっているのではないかなんて、
できれば誰にも話したくなかった。
けれど、その疑惑をひとりで抱え続けると、不安の波だけが大きくなっていく。

私は、思い切って裕子に打ち明けた。
すると彼女は、早速自分のスマホを取り出し、あるサイトを見せてくれた。
「実はね、私もちょっと気になってたんだ、同じこと。
それで、ちょうどいろいろリサーチしてたんだよね」

裕子の言葉に、私は、沼の底から救い出されたような気分になる。
「そうだったの?」
驚きと同時に、私は、思わず裕子の手を握っていた。
その手に握られたスマホの画面にあるのは、デリケートゾーンのパックらしい。

「パック?」
「うん。植物由来の成分を使ってるから、デリケートなところに使っても優しそうだよ」
「へぇ…そうなの?」

「ふたりともが、半信半疑で。
それでも、ふたりともが不安とモヤモヤを消し去りたくて。
私たちは、下着を買ったときとはまた違う勢いで、そのパックを購入した。

数日後。
注文したパックが届いてから、私は、毎日欠かさずにお風呂でケアをした。
最初は、においが気になるという理由だったけれど、
使ってみるとスッキリとした感覚が心地いい。
それに、キュッと引き締まるような気がする。

まるで、毎日少しずつ変身しているような…。

それを感じてから、私は、デリケートゾーンだけでなく、
ほかの部分にもそれまで以上に細やかに気を遣うようになった。
肌や髪のケア、爪の手入れ、食事の内容や食べ方も。

涼太とのベッドタイムのために始めたデリケートゾーンのケアだったけれど、
それだけじゃない。
私、自分の体と、女性としての自分すべてと、こんなにちゃんと向き合っている。

それって、実は、すごく大切なことだったのではないか。
そう気づくと、自分の体がとても愛おしくなった。

第四章 おいしい誕生日プレゼント

デリケートゾーンのパック「ジャムウ・デリケートパック」を使い始めてから、
そろそろ1ヵ月が経つ。
今日は、涼太の誕生日だ。

この1ヵ月の間、何度かデートをした。
けれど、オーラルセックスは、さり気なく避けていた。
パックをしていて「多分大丈夫だろうな」と思っていたけれど、
におっているのかもしれないという不安が消えなくて…。

「ねぇ、ユカリ」
誕生日ということで、普段よりもちょっと贅沢なレストランで食事をしていると、
涼太が私の耳元で名前を呼ぶ。
反射的に顔を上げると、彼は「お願いがある」と意味深な笑みを浮かべた。

「俺が、本当は舐めるの大好きなの、知ってるでしょ?
今夜は、誕生日プレゼントに、いっぱい舐めさせて」

さらに私の耳に口を近づけると、彼はそう囁いた。
驚いた顔を、私は、彼に向けたと思う。

そして、ホテルに入る頃には、その驚きの上に、
'におっているのかも'という不安の膜が広がっていただろう。

シャワーを浴びてベッドに並ぶと、涼太は
「舐めていい?」
ともう一度視線を合わせた。

私は、何も答えられない。イエスともノーとも言えないままに、彼に抱きついて、口づけた。
涼太は、優しく舌を絡ませて、
「大好きだよ、ユカリ」
と熱い声を吐くと、少しずつ、舌を移動させる。

絡み合う男女

唇から、首へ。首から、肩へ。肩から、胸へ…。
ウエストをすぎてしばらくすると、私は、無意識に脚に力が入る。
その2本の緊張をそっと広げて、涼太は脚の間に顔をうずめた。

「大丈夫。心配しているようなことは、何もないよ」
私の体のあちこちを撫でる彼の指からも、優しい声が馴染んでくる。

「舐めたい」
興奮の混じった息を吐くと、彼は、その口の中に私のクリトリスを含んだ。
口の熱さに私の体がなじみ、彼の舌のざらつきが私の突起を少しずつ硬くするのが分かった。

「あぁぁ…」
においのことが、少しも気にならなかったと言ったら、嘘になる。
けれど、自分の唾液と私の愛液をじゅるじゅると吸いながら
「おいしい」
と息を荒くする彼に、私は次第に飲み込まれていった。

「あぁぁ…いい…きもちいい…涼太…」
いっそう熱を増す彼の舌に、私のカラダは溶かされていった。
「よかった。俺も…こんなにおいしいの、はじめて」
泉の中に硬くとがらせた舌を沈み込ませながら、彼はさらに息を熱くする。

「ねぇ…涼太…ほしい」
全身から力が抜けるほどに舐められて、私は、初めて、彼にそうお願いした。
「ジャムウ・デリケートパック」で秘密の変身をしたつもりだったけれど、
もっともっと大きな変身が、幸福な快感の向こう側に待っていた。

本当に溶けてしまうのではないかというほどに泉に舌を這わされ、
体のすべてがしびれるような感覚の中で迎え入れる彼自身は、格別に愛おしい。

彼をしっかりとつかまえようとする泉の躍動と、全身の細胞から湧き上がってくる
愛おしさを噛みしめながら、私は、それまでで一番強い力で、愛する恋人を抱きしめた。


〜第二話・完〜

あらすじ

スカートを脱がせるところまでは、あんなに興奮していたのに…。急にテンションが変わったような。違和感を覚える主人公にアドバイスしたのは…。

あんなに興奮していたのに…。もしかして、私、におってるの…?
自分の体と女性として…向き合ってケアをすること。

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