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官能小説 本当にあった!ラブ物語 第九話 快感の水平線


第一章 甘いセキララ

6つのケーキと6人の顏がテーブルを囲んでいる。
「やっぱケーキは、女友達と食べるに限る!」
雪乃は、お気に入りのシフォンケーキにフォークを伸ばすと、恋人のグチをこぼし始めた。

それを皮切りに恋愛の話になり、話は徐々にきわどくなっていく。
私にも彼氏がいるのだけれど、つい、聞き役に回ってしまう。

(みんなが言っているセキララな事情…、正直、よく分からない…)
そんな劣等感が心の中に芽生えかけた時、
「実は私、これ使ってるんだ」
早苗が、周りのテーブルを気にしつつ、スマホの画面を見せる。

「えっ!?」
私も含めた5人がほぼ同時に息をのむような声を出したその瞬間には、まさか、
自分が同じ物を手にするなんて想像もしなかった。
ましてや、自分のカラダがあんなことになるなんて…。

第二章 新しい世界のドア

みんなと駅で別れて、自宅へと歩きながら、早苗を思い出す。
「ひとりHって、男の人がするものだと思ってたんだけどね。実は中世から、
メンタルケアとか安眠のために女性もしてたらしいよ、欧米とかでは」

そんな話をしながらバイブの画像を見せる早苗は、照れくさそうでもあったけれど、
満足気で艶やかだった。
そんな彼女を見ながら、私の脳裏には、数カ月前に彼氏から言われた
「智香もオナニーしたらいいのに」
という言葉が蘇った。

(正直、彼とのセックスに満足しているかと言われると、即答できない。
それに私はイクという感覚自体、分からない…。
だから、こんなに早苗の話が気になるのかな…)

帰宅後、私はいつの間にか、早苗が見せてくれたバイブを検索していた。

「不満だって言ってるだけじゃ、何も変わらないし…」
自分の声で背中を押して、購入ボタンをタップする。

―数日後。
早めに寝室に向かうと、届いたばかりの箱から取り出したバイブを手にして、ベッドに座る。

少し震える手で、ワンピースパジャマの裾を上げ、脚の付け根に、
晴れた夏の水平線のようなマリンブルーの先端を当てる。

ヴィーン…スイッチを入れた瞬間、振動に驚くけれど、
すぐにそれは心地よさへと姿を変えた。

「ん…」
無意識に吐かれる自分の息に戸惑い、しかしそれが同時に緊張をほぐし、
私は、快感に身を委ねる。

そして、カラダが求めるままに、水色の振動を泉の入り口に当てた。
「ぁぁあ…」
吸い込まれるように、絶妙な感触が侵入してく。
すっかり泉の中に納まった振動に、少しの間カラダを馴染ませると、
自然と右手が動いてしまう。

「はぁぁ…」
荒い吐息にくちゅくちゅと湿った音も重なると、右手の動きはスピードを増した。

(やだ…止まらない…)
右手が脳の指令とは無関係に動き、意識が一瞬飛んだような感覚に陥る。

(これが…、イクってこと…?)
全身が脈打つ中で、確信ともいえる疑問を投げかけた。

第三章 その先のドア

「ねぇ、カズ君、前に、私もひとりHした方がいいよって言ってたでしょ?
でね…、一緒にイキたくて、私…練習したんだ」

恋人の和彦とホテルに入ると、恥ずかしさがこみ上げる前に、一気に言葉にした。
その言葉に興味を示した和彦に、シャワーを浴びた後、ベッドの上で、
こっそりと持ってきたバイブを見せる。

「色とかデザインとか、さわやかだね」
と、彼は意味深な笑顔を向ける。
「うん。マリンビーンズっていって、こないだ早苗が教えてくれて…」

「それで、ひとりで練習してくれたんだ?嬉しいなぁ。可愛いなぁ、智香は」
私を抱き寄せ、彼はマリンビーンズを手に取り、
「今度はふたりで使おうよ」
と耳元で囁いてスイッチを入れる。

その振動を、まずは私の左の胸に当て、右の乳首を口の中で転がした。
「ぁぁぁ」
声を漏らす私の全身に、彼は、振動と舌を並べて這わせていく。

そして、膝から太ももへと向かうと、
「智香、濡れてるよ」
という声と同時に、泉の入り口をバイブの先端で刺激した。

「んんっっ」
思わず身をよじると、
「きもちいいんだね」
とキスをしながら、彼は、少しずつ、震える泉に沈ませていく。

「すごい…」
思わずこぼれた自分の言葉が耳に入ると、さらに快感が増し、
「もっと…お願い、もっと…」
と腰が動いてしまう。

女性の背中

「あぁ、こっちが我慢できないよ…」
和彦は、ジュポッと音を立てながらバイブを抜くと、代わりに彼自身を一気に挿入した。

「あぁぁ…」
私は、泉の中で、さらに深く快感が広がるのを感じる。

「すごい…智香の中、熱い…きつい…」
その言葉に疑いの余地がない表情を見せる彼に、泉の中はさらに熱を増す。

「ねぇ…カズ君…ダメ…ダメになっちゃう…」
何度か体位を変えた後、私を下から突き上げる彼の胸を、しがみつくように掴む。
「いいよ…智香、そのまま…、俺も…俺も…」

息も腰の動きも激しさを増す彼の上で、私たちは、同時に
「…イクッ」
と絞り出して、そのまま彼の胸に脱力した。

第四章 ドアの、向こう側

―1ヵ月後。
「帰ったらまず、しようよ」
買い物から私の自宅に向かう途中の信号待ち、和彦が私の腰に手を回しながら、囁く。

マリンビーンズは、その後、彼と一緒によく使うようになった。
イク感覚を覚えて、私も、以前よりもずっと積極的で大胆になっているような気がする。

それで盛り上がるからなのか、セックスの回数は増え、ベッドの中でも外でも、
お互いに以前にも増して優しくなっている。

「気が早いでしょ!」
笑って彼に視線を向けると、私は、回された手をギュッと握った。


〜第九話・完〜

あらすじ

数ヵ月前に彼氏から言われた「智香もオナニーしたらいいのに」という言葉が蘇った。
私はイクという感覚自体、分からない…

智香がとった行動は…さらに快楽が増し「もっと…お願い、もっと…」と腰が動いてしまう
イク感覚がわからない…ひとりHで感度を磨く…

はづき
はづき
肌の細胞すべてに、体の動きすべてに、心が宿る。 心が…
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