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官能小説 本当にあった!ラブ物語 第六話 愛と誘惑の香り


第一章 香りに包まれる不安

宅配便を受け取ると、私はリビングのソファに急いだ。
梱包をほどく手元には、心のソワソワがそのまま表れている。
一方で、心の半分では、夫のうつむいた顔が浮かんでいた。

仕事の疲れからか、ため息をつくことが増えている夫。
ベッドでも、喉の奥から声と勇気を絞り出したような私の誘いに、
「ごめん」
とひと言、申し訳なさそうに答える夫。
それ以来、季節がふたつ行き過ぎる間、私からは新たな勇気の粒は出てこない。

細い針が胸をつつくような痛みをやり過ごして、
私は箱から香水を取り出し、シュッとひと吹きする。
窓から差し込む日光に、香水の霧が七色の光を見せた。
「あ、いい香り…」

(これを使って、もう一度、夫を誘う勇気が出ますように…。
でも…たとえ何も変わらなくても、普段使いの香水にすればいい…)

甘さと清潔感の漂う香りを背中で感じながらリビングを出ると、
香水のボトルをバスルームの棚に片づけた。

―週末の夜。
入浴を終えると、首筋と太ももに香水を吹きかけた。
この時は、香水の霧だけが、知っていたかもしれない。
私たち夫婦に、この後、どんな夜が訪れるのか…。

第二章 勇気の粒

ベッドルームに入ると、暗い部屋の中、スマホの明かりが夫の顏を照らし出していた。
「どう?」
ベッドにもぐり、ゲームの調子を覗き込む。

しばらく夫と一緒にスマホの画面を眺めながら話し、ゲームが一段落したところで、私は、
「ねぇ」
と少しだけ夫の耳元に口を近づけた。

そして、その勢いで
「ちょっとだけ、ギューッてして、ヒロくん」
と続ける。
言い終えて、カーッと全身が熱くなる。

直後、夫はどう思ったのかと考えると、
今度は、一気に体から血の気が引くような冷たさを感じる。

「しょうがないなぁ、ナツは」
混乱する思考の中で、思いがけない言葉が飛び込むと同時に、夫の腕が私を包み込んだ。

「え?」
驚く私の体を、夫は
「こうしてほしいんでしょ?」
とギュッと抱きしめた。

彼の胸の中で黙って頷くと、
「なんかナツ、すっごくいい匂いするよ」
と、私の髪にたくさんキスをする。

「何か、つけてる?」
私の背中を柔らかく撫でながら、夫は、髪や首筋に何度も唇を寄せる。
「うん…香水…」
「そうなんだ。どこに?ここ?こっち?」
胸やウエスト、お尻を指先でつつきながら、夫はいたずらっぽく視線を合わせる。

笑ってごまかしながら目を逸らし、夫の脚の間に手を伸ばすと、
想像よりもずっと硬い塊が手に触れた。

第三章 快楽の香り

「握って」
…彼自身に触れた瞬間に、夫は、湿度の高い声で求めた。
その声に導かれ、私は、彼自身を手のひらで包み、そっと上下させる。

「うぅぅ…」
快楽のこぼれが彼の口から流れると、私の手は、
触れ合いのなかったこの何ヶ月かを忘れたように、なめらかに動き始めた。

ブラを脱がされる女性

「ナツ、だめ…。我慢できない」
半分苦しそうに言うと、夫は、私の泉に顏をうずめると同時に、
彼自身を私の口元へと運んだ。

「あぁぁ…ナツ…いい香り…どうしよう、俺、止まんない」
香水を吹きつけた太ももに何度も口づけ、優しく甘噛み、
ときに激しいほどに吸い付く夫の舌が、私を快感の渦に引き込んでいく。

「ヒロくん…だめ…私も、我慢できない…」
太ももから泉をかき回すように這う夫の舌に、私は、衝動を抑えきれない。
仰向けになった彼にまたがり、熱く溢れる泉に、彼自身を沈み込める。

「あぁぁぁ…」
二人の声が同時にベッドに染みこむと、夫は下から私を突き上げ、
私はその動きに合わせて腰を前後させる。

「あぁぁ…ナツ…だめ…俺、イキそう…」
何度か体位を変えたあと、後ろから激しく私の奥を突きながら、夫が声を絞り出した。

腰を掴む夫の手に、さらに力が入るのを感じながら、私も弾けそうな快楽を訴えると、
夫の塊はグンと大きさと硬さを増し、直後、私の中で熱く弾けた。
その熱に、私のカラダも激しい快楽の谷底へと突き落とされる。

第四章 愛の宣言

それから毎日私は、あの香水を使っている。今日は、久々に二人で食事。

待ち合わせ場所で会うと、夫のほうから手を繋いできた。
「今日も、リビドー ベリーロゼ、つけてるね」
笑ってこちらを向く夫に、私は、驚いて目を合わせる。

どうして夫は、この香水の名前を知っているの…?

「実は俺も、広告で見たことあるんだ」
耳元で囁いてそっと口づけると、夫は続けた。

「前にナツが誘ってくれた時、部署異動の直後で疲れてて…。
ナツのこと大好きなのに、うまく愛せなくて…。でも、家であの瓶を見た時、
ナツは俺が大変な時でも優しく労ってくれるなって気づいて。
もちろん、仕事だって大事だけど、一番大事なのは可愛い妻なんだって思い出せたんだ。
ナツのおかげだよ。本当にありがとう」

「そうだったんだね…嬉しい。一度断られちゃったから、その後は自信を持てなくて。
でも、もう一度だけでも誘いたくて、香水をお守りにしようって思ったの。
でも、ヒロくん、ずっと、好きでいてくれたんだね」

照れながら視線を彼に向けると、
「これからもずっと愛してるよ」
と温かい夫の唇が近づいてきた。


〜第六話・完〜

あらすじ

週末の夜、入浴を終えると香水を吹きかけた。
香水の霧だけが知っていたかもしれない。私たち夫婦に、この後、どんな夜が訪れるのか…

これを使ってもう一度、夫を誘う勇気が出ますように…

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