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官能小説 私の知らない私 3話
2週間ぶりのデート
「綾乃さん、企画の成功、おめでとうございます!」
亮が、ワインのグラスを持ち上げる。私は「ありがとう」と答えてグラスを手にした。
車の中で、好きか嫌いかの二択だと言われ、好きだと答えた私を交際OKだと判断して抱きついてきた亮。
それから数か月。仕事が忙しくてなかなか会えないが、付き合いは順調に続いている。
今夜も2週間ぶりのデートだ。
私が企画したイベントが成功したことを祝って、ちょっと高級なホテルのレストランでの食事を、亮が用意してくれた。
グラスを持つ彼の指、フォークが運ばれる口元、チラリと見え隠れする喉……それらが目に入って来るたびに、ベッドの上での不思議な感覚を思い出してしまう。
ゴクリ、と唾液を飲み込む音が自分の耳に響いてきた。
私の知らない部屋
この数か月間で、彼とは何度も体を重ねている。年下の恋人は初めてで、最初は体を見られるのも恥ずかしかったけれど、不思議なほどすぐに安心して解放できた。
でも、それだけじゃない。彼とのセックスは、それまでの恋人と、何かが違う。
「…っんん、綾乃さん」
体を合わせている時、彼はよく、私の名前を呼んで目を合わせる。
何かを懸命に我慢していて、必死で、でも全身で快楽を味わっていて…。そんな彼の精気が、眉間のしわとなって表れている。
私が彼の上に乗って、クネリクネリと腰を躍らせている時は特に…。
何度も私の名前を呼んで「はぅ…っ」と息を漏らす彼の眉間のしわを見ると「もっと…もっとそのしわを深く…」と望んでしまう。
オーラルの時には、半分震えているような指先で私の髪を撫でてくれる。
半開きになった口からは、甘くて温かい息が流れ出て、止まらない。
その指先が、その口元が、愛らしくて可愛げがあって、噛みつきたくなってしまう。
ギュッと歯型がつくほどに噛んだら、彼はどんな顔を見せるかしら?
果てる寸前、亮は全身に力をこめているのがよく分かる。全身の辛抱が凝縮されたように目を固く閉じ、それ以上の力を四肢にこめている。
「ぅっうっっ」と声が漏れると、私の中には、「一緒に果てたい」という気持ちも生まれるが、
それとは別に、もっとこらえた顔を見ていたい、もっと力のこもった全身を感じたいと願っている。
そして最後には、うぶ毛の毛並を揃えるように、背中や腕を撫でるのをやめられない。
こんな感覚は、過去の恋人たちとの間では生まれなかった。私は、ベッドの上ではもっと従順で、愛する人の望む女でいたいと願っていた。
なのに、亮の肌を感じていると、亮の吐息を吸い込んでいると、何か違う自分が瞬間的にパッと顔を出す。
暗い部屋にパチンとスイッチを入れてライトをつけたように。それまで見えなかった何かが見えるような感覚になる。私の脳裏に突如現れるその空間は、私も知らない部屋…。
強引なキス
「うそ?部屋まで取ってくれてあるの?」
食事が終わる頃、亮から、今夜はここに泊まろうと言われて驚いた。
私たち2人には、ちょっと贅沢な場所だと思ってたから、彼なりのお祝いの気持ちに、素直に胸がときめいて、感謝した。
パタンとドアを閉じるやいなや、彼は思い切り私を抱きしめた。
「あー、早くこうしたかった」
両腕に私を閉じ込めて、半ば抱き上げるようにして私の体を左右にゆらしながら、彼は心底嬉しそうな声を出している。
「私も…」と胸に顔をうずめようとすると、ガッと唇が押し寄せてくる。そして、いつになく強引に舌を絡ませてきた。
一気に私の口の中を支配する彼の体温と柔らかな舌は、甘い。ほんのりと、でも果てしなく甘美な香りと感触が、私の腰から力を抜いてゆく。
私は、頼りなくなる自分の腰を預けるように、彼に寄りかかった。
すでに骨がないとは思えないような硬さが、服の上からでも生々しく感じられる。
彼も私の腰がとろけ始めているのを感じたのか、さらに深く、さらにねっとりと舌を引きつけてくる。
「どうしたの?」と瞬間離れた唇の隙間から尋ねると、「だから、早くこうしたかったんだ…」と、キスの味わいを惜しむような声が返って来る。
そんな彼の姿にも、このまま唇を離してしまったら、どんな顔をするかしら…、と少し意地悪な想像が浮かび、暗い部屋に瞬間ライトがつく…。