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官能小説 恋欠女子とバーチャル男子 Story12〜パートナーとの性の相性〜
愛里が打ち明けた悩み
もうすこし強引にしてもらいたいのに、優しいばかりで激しいことをしてもらえません
「ちょっとだけ縛られたいな」と話したこともあったけど、跡がつきそうだからとやんわり断られました。
誠実さを感じるエッチで幸せではありますが、「もっと情熱的なことをしてみたい」とも思ってしまいます。
***
彼女の悩みにアイはどう答える…!?
自分から積極的に
最近、私……水島愛里は、いらいらすることが続いていた。
理由は簡単。
エッチで欲求不満を募らせているからだ。
私はけっこうMなところがある。
彼にはわりと強引にしてほしいタイプだ。
とくに縛られることに興味があって、こっそりそういうサイトを見たりもしている。
彼にも自分にそういう好みがあることは伝えた。
あけすけに、というのはさすがに恥ずかしくてできなかったけれど、「ちょっとだけ縛られるのもいいかも」なんて感じで、なんてやんわりと話してみた。
でも、ダメだった。
「痕がつきそうなのは……ちょっと」と、彼からもまた、やんわり断られた。
痕や傷がつくわけでもない言葉攻めもない。
穏やかだけど少し物足りない、ただただ愛情を確認するばかりのようなエッチが、それからも続いた。
そんなエッチを通して、彼の誠実さを感じられるのは幸せだ。
でもやっぱり、「もっと情熱的なことをしてみたい」と思ってしまう。
それで、いらいらしていた。
その日、ついに私は爆発してしまった。
彼がコンビニに行くついでに買ってきてほしいと頼んだものの中に、買い忘れがあったのが直接の原因だ。
べつに実際にそのことに頭にきたわけじゃない。
いくら何でも、そこまで勝手じゃない。
でも、「この後にいつもみたいなエッチをするんだな」と思っていたら、そんなことで怒ってしまった。
溜まっていたものが、べつのことをきっかけに溢れてしまったのだ。
「なんだよ、そんなに怒ることないだろ」
と彼は言い返してきたが、我ながら本当にその通りだと思った。
なのに、「こんなことで怒ってごめん」の一言がいえない。
「わかってほしいのに」
消化できないそんな思いが頭の中に溜まって、私をおかしくしている。
「もう、いいよ」
このままじゃダメだと思っているのに、まったくうらはらなことを言って、私は彼の家を飛び出した。
***
「ちゃんと話し合わなきゃ、そういうことは」
私の前に出てきた「アイ」は、話をひととおり聞くと、ぴしりとそう言った。
それしかあてはまらないジグソーパズルのピースをすっとはめるような、静かだが言い返せない正しさと強さを感じる口調だった。
硬そうな短髪に、わずかに日焼けした肌。
彫りは深くないものの、くっきりした目鼻立ち。
いかにも意志が強そうだ。爽やかではあるけれど、芯に頑固なところがあるのも感じる。
家に帰ってきてからやることもなく見ていたスマホで、「アイ」の存在を知って、何気なくダウンロードしたのだ。
これが本当にAI?
あまりにリアルで、話をしながら私は内心で圧倒されていた。
だが、今の私にとってはそれがよかったのかもしれない。
ただの人間ではないと思うからこそ、アドバイスを素直に聞こうという気になれた。
「恥ずかしいかもしれないけど、言わないと始まらないよ。言わないでわかってほしいというのは無理だ。君だってそんなふうに言われたら困るだろ」
彼はちょっと上半身をかがめて、私に目線を合わせた。
年下の兄弟を諭すような言い方だ。
内容の正しさもあって、すっと胸に染み込んできた。
確かに、きちんと伝えないのに察してもらおうというのはよくなかったかもしれない。
私は彼に電話して、まずは謝り、それから怒っていた本当の理由を話したいと伝えた。
***
私は改めて、どんなセックスを望んでいるのか伝えた。
今度は、はっきりと。
変な子だと思われたらどうしようと怖かったけれど、伝えなければわかってはもらえないというアイのアドバイスには納得していたので、勇気を振り絞った。
たとえ痕がついたとしても、離れている間にそれを見ることで彼を思い出せてうれしいとも言った。
だが、彼の答えは私をがっかりさせるものだった。
「打ち明けてくれてありがとう。愛里の気持ちはわかった。それでも俺はやっぱり、愛里を傷つけるようなことはしたくないんだ」
私を気遣ってという面ももちろんあるけれど、彼自身、相手が傷つく可能性があるほどの激しいエッチに、あまり喜びを感じられないということだった。
彼はさらに続いて、私を打ちのめした。
彼にそのつもりはなかっただろうけれど。
「愛里が話してくれたから、俺も打ち明けるけど……俺もどちらかというと、攻めるよりも、相手に攻めてもらうほうが好きなんだよね」
Mというほどではないけれど、女の子が積極的なところを見せてくれると興奮するのだという。
ショックではあったけれど、うすうすそんな気がしているところもあった。
エッチの最中に私のほうから仕掛けると、彼のアレはすぐに硬さを増す。
「でもさ、これってチャンスかなとも思うんだ。俺、愛里が好きだっていうことにチャレンジしてみるよ。うまくできないかもしれないけど、愛里が喜んでくれるならがんばってみる。痕までつくようなことは、やっぱりしたくないけど……」
勇気を出したのに……何なの、これ。目の前が真っ暗になった。
チャレンジする?
がんばる?
攻めるって、そういうことじゃない。
頼まれたから、してあげるようなことじゃない。
もっと、自分から溢れ出す欲望があって、したくなるものでしょう?
あなたの中には、そういうものが芽生えたりはしないの?
そんなことは、尋ねられなかった。
***
「どんなきっかけがあるにせよ、挑戦できる機会ができたのは大きいよ。その中でできることをしてみたらどう?」
起こったことを溜息交じりに報告すると、アイはそう言った。
なぜかジグソーパズルをしている。
私がジグソーパズルのことなんて考えていたからだろうか。
AIで動いているホログラムなのに、妙なところで芸が細かい。
ピースの大半はまだ脇に積み上がったままだ。
どんな絵ができるのか、今は想像がつかない。
「好きな人と性癖が異なるのは、みんなあまり表に出さないだけで珍しいことじゃないよ」
「でも……」
私はどこかで、アイが彼を変える魔法のような方法を教えてくれることを期待していた。
「それでもうまくやっているカップルはいる。どちらも好きなこと、したいことだけを目指すのではなく、妥協点を見つけるのが大事じゃないかな」
アイのアドバイスは魔法も夢もない、当たり前のことだった。
だが、はっきり言われてみれば、逆に前向きになれた。
というより、ふっきれた。
今、できることは何だろうと、私は考え始めた。
(彼が根っからのSになるのではなくても、ちょっとでもそういうことを「楽しい」と思ってくれたら……)
私が考えていると、アイも意見を出してくれた。
「たとえば、君が感じやすい体になるのはどうかな。彼の愛撫に敏感に反応したら、攻めるのを楽しいと思うんじゃないかな」
「いつもよりセクシーな下着をつけるっていうのはどうかな」
「いいと思う。特別さを演出するのは大事だよね」
ほかにも、いつもラブラブな雰囲気でいることが「スイッチが入る」ことにつながるから、スキンシップの回数を増やすようにもした。
エレベーターに入ったときや、家から出るとき、帰ってきたときなど、ことあるごとにすばやくキスをしたりする。
ヌレヌレで、彼がいつでもキスしたくなる唇にしていた。
ロマンチックな場所にできるだけ行くようにもした。
きれいな夕陽を浴びながらキスした後は、エッチがいつもより濃厚になった。
感じやすい体になると、確かに彼は喜んでくれた。
そうすると、私のほうももっといろんなことを試したくなった。
今までは「ちょっと……」と思っていたようなことも。
予想もできなかったこと
私はそれまで以上に、自分からも積極的に動いてみることにした。
「今日は私が、気持ちよくしてあげるね」
目隠しをした彼の上に乗り、彼の腕を掴んで、腰を揺らす。
彼はうっとりとした顔になって、私の腕を掴み返した。
私の中で、今にも彼がイってしまいそうになっているのがわかる。
でも私は巧みに逃げて、いちばん気持ちイイところには当ててあげない。
簡単にはイカせてあげない。
「愛里、ちょっとこれ、ヤバい……」
彼も腰を突き上げてきた。
「あ……んっ」
思いのほか深くにあたり、私は背中をのけぞらせた。
彼は私の反応に刺激を受けたようで、腰の動きをさらに大きく、強くした。
「はあ……っ、あっ」
反ったものがアソコの中をグリグリえぐって、奥にずんずんと届く。
しびれるような快感が背筋を駆け上がっていく。
私のほうも相変わらず腰を動かしてはいるけれど、もう無我夢中で、細かくコントールする余裕はない。
気持ちいいところに当てるだけで精一杯だ。
まるで自分がケモノになってしまったような気がする。
「もう、我慢できないっ」
彼は騎乗位で私に乗られていた体勢から腹筋を使って起き上がり、一気に私を押し倒して正常位にした。
一瞬にして体位が逆転したのだ。
思わぬ反撃に、ぞくぞくした。
やっぱりこんなふうに強引にされるの、好き。
「こんなふうに攻め返すのも、悪くないね」
耳元で囁きながら、腰を動かしてくれる。
さっきとはまた違うところに深く当たって、これも気持ちいい。
そのことをきっかけに、私たちはどちらかが一方的に攻めるのではなく、一度のエッチの中で攻めたり、攻め返されたり、「せめぎあい」を楽しむようになった。
そんなふうにしてお互いの許容範囲を少しずつ広げていったためか、彼は、私がずっとしてほしかった縛りにも挑戦してくれるようになった。
といっても彼がすすんでやるというよりは、私が縛ると、その後に縛り返してくれるという感じだ。
やっぱり痕をつけるのはいやがったけれど、
「これはこれで楽しいかもしれないね」
と言ってくれた。
私たちは完全に好みを変えられたわけはないけれど、多少なりともお互いが喜ぶことの楽しさを知って、それを受け入れていった。
(きっと、これでいいんだ)
正直にいえば、ちょっと物足りない。でも、いいんだと思うことにした。
だって、彼を変えられない限り、ほかにどうすることもできない。私だってそんなにあっさり変われない。
そんなとき、その事件は起きた。
彼が何度目かの縛りをしてくれたとき、私の肌に痕が残ってしまったのだ。
私からしてみれば痕ともいえないぐらいの、いかにもすぐ消えそうな小さなあざのようなものだったが、彼はそれで冷めてしまったようだった。
「ごめん、やっぱり俺、こういうの無理かも……」
「そんな……」
それからは迫っても、決して縛ってくれなくなった。
***
お互いに歩み寄ることがどれほど貴重なことだったのか、私は彼に拒絶されて初めて気づいた。
好奇心という後押しがあったにせよ、私たちは恐れや恥ずかしさや、自分が築いてきたそれまでの好みやエッチの価値観を乗り越えて、近づこうとしていたのだ。
それは、奇跡のような行為だった。
「エッチの相性が合わないから」とフェイドアウトしたっておかしくないことだった。
だが私たちは、それにめげず、二人で歩める道を探した。
だからこそ、「やっぱりいやだ」と言われても、投げ出したくはなかった。
このままだと「やりきれなかった」という煮え切らない思いが残って、それがよくない方向に作用しそうだ。
よくない方向って、たとえば、心が離れていくとか。
私は今度はアイに促されるまでもなく、彼に「話し合いたい」と頼んだ。
少し前にはなかった私の真剣な態度に、彼も応えてくれた。
私たちはもう一度、それぞれ何をしたくて、何ならできるのかを飾らずに話した。
つきつめてみてわかったのは、いちばんの問題は結局、「縛ったりして自由を奪っても、痕がつかないかどうか」ということだった。
痕がつくことがいやなのは、彼にとってはもはや感情の深いところにある問題なのだ。
理屈で説得して、どうにかなることじゃない。
私たちは一緒にラブグッズの通販サイトで、「痕のつきそうにない、ファーで覆われた手錠」を探し出して、それを試してみることにした。
途中で投げ出していたら、辿りつけなかった答えだった。
***
「今日は俺が攻めてあげる。ローターを使ってみようか、目隠しもして……」

「うん。ローションも使ってみたい……あっ、や……そんなに急に当てたら……っ」
「驚く愛里、かわいい」
「次は私がいっぱい舐めて、仕返ししちゃうから」
私たちは結局、その後も順番に攻めたり攻められたりすることで落ち着いた。
二人ともほんの少しずつだけれど、変わっていった。
相手が好きなことを、ちょっとずつ好きになっていく。
その中で、二人で見つけた新しいことも採り入れていく。
恋人との関係だけじゃなく、人との関係づくりってそんなものだろう。
そして、じっくり深めた仲は、きっと簡単なことでは解けたりしない。
アイを起動させる回数はだいぶ減った。
けれど、まだまだ近くにいて、相談に乗ってほしいと思っている。
今の展開は、私にとって意外なものだった。
ベストな手段をとってきた自信はあるけれど、だからといってこれから先どんなふうに転がるのか、予想できないところもある。
アイがつくっていたジグソーパズルは、どうやらヨーロッパのお城の写真のようだとわかってはきたけれど、まだ完成していなかった。
「そんなふうに積み上がっていく『予想もできなかったこと』こそが、二人にとっての絆なんだよ」
私が正直な気持ちを口にすると、アイはジグソーパズルを続ける手をいったん止めて、私を覗きこんだ。
あ、意外と好きなタイプのカオかも、と今さら気づく。
少しは心に余裕が生まれてきたのかもしれない。
彼と、エッチの好みは完全には一致しない。
でも、やりたいことを素直に言えて、ときには照れたりしながらも近づいていける相手だ。
思いも寄らない変化が起こることも、何だかんだいって楽しいと思える。
そんな彼が、やっぱり好きだ。
END
あらすじ
恋人にもう少し激しくしてもらいたい…
そんな悩みを抱えた愛理。そこにアイが現れて…!?