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官能小説【7話】夢も欲も愛も飼い慣らして
初めての自慰
あんなに火照って余韻を残していた体だったけれど、貴之と別れてから数時間経った頃にはいつも通りに戻っていた。
翌日の仕事もふつうに行けたし、ふつうにこなした。
けれど。
ことあるごとに思い出す。あの感覚。
震えるようで、熱くて、痺れて、切なくて、もどかしくて、苦しくて。でも欲しい。 あの感覚。
――あれが、セックスなんだ。
もう数えきれないほどしてきたはずの行為なのに、桃花は昨日初めて本当にセックスを知った気がした。
面倒じゃない、痛くない、気持ちいいい。そんな感覚。
翌日、仕事終わりの疲れた体をお風呂で温めてから、桃花はすぐにベッドにもぐり込んだ。
――別に、絶対に貴之サンの言うこと聞かなきゃならない義理なんかない。
でも。
貴之の言う通り、桃花の体はもう覚えてしまった。
「ん……」
そっと下着の中へ手を忍ばせて、昨日貴之が散々弄ったクリトリスを撫でる。びくん、と小さく体が反応したけれど、それだけだった。
恐々とこねてみても、昨日のような心地よさはない。
桃花はショーツを脱ぎ捨てると、大きく足を開いた。まだ少しも濡れていない。
貴之がしたように愛液を擦りつけようとしたけど、それは無理みたいだった。
「全然良くない……」
けれど弄っているうちに、どんどん……、どんどん、昨日の感覚が恋しくなっていく。
欲しくなっていく。
あの感覚を求めて指の動きは次第に早くなっていった。
「ああっ、なんで……!」
ベッドの上で手足を投げ出し、丸裸の下半身のまま大の字になる。
少し息が上がっていた。 でも少しも良くならない。
と、その時。 ベッド脇に置いていたスマホが震えた。
「貴之サン?」
ざわりと胸がざわめく。少し迷ってからタップした。
「もしもし?」
『何してた』
「何って……」
なんだか見透かされたような気持ちになって、さっと布団でむき出しの下半身を隠す。
『俺の言いつけは守ったか』
「何それ。確認の電話?ならもう切る」
『桃花』
ドクン、と胸が鳴った。
あの日感じた淫靡な響き。ふっとそれが思い起こされて体に不思議な感覚が走り抜ける。
「……何」
『家に帰ってるなら、ベッドに入って下着を脱ぐんだ』
「…………」
『桃花』
「……もうそうしてる」
『――そうか。いい子だ』
「それやめて。子ども扱いしないで」
『じきに良くなる』
「何が」
『こうして扱われるのが』
「なるわけないじゃん」
『なるよ。君は』
また。 見透かしたようなことを言われる。
胸が苦しくなって、桃花は大きく息を吐き出した。
「ならないよ……」
『触って。濡れてるか?』
「……濡れてない」
『触って』
触っていないことすら見透かしたふうなのが癪に障る。けれど桃花は黙ってそこに触れた。
やっぱりまだ濡れていない。
『昨日、俺がどんなふうに触ったか思い出すんだ』
無言のまま、桃花は目を閉じた。
二本の指を使ってゆっくりと隠れたままのクリトリスを弄る。
『乾いてたら、昨日持ってたバッグを見てみろ』
「……なんで」
『見てみろ』
ローションに魅せられて
桃花は昨日のバッグを引き寄せた。体が重かったせいで、そのまま今日も持って出かけていた。中身の確認もしないまま。
すると、中から見覚えのない袋が出てきた。
「何これ」
『袋を開けて。ローションだ』
「えっ、貴之サンが入れたの?」
『ああ』
「勝手に触ったの!?」
『入れただけだ。触ってない。君のプライバシーだから』
「そう。そんなこと考えるんだ。図々しいおじさんかと思ってた」
『憎まれ口はその辺にしてローションを使え』
「使ったことない」
『ただのローションだ』
桃花は仕方なく袋を開けてローションを取り出した。
容器を開けて手に垂らすと、とろりとしたとろみがつらつらと流れ出る。
『それを垂らしてもう一回触ってみろ』
「……うん」
素直になったのは、それを見た瞬間また昨日の感覚を思い出したからだ。
とろけるような感覚。
貴之に舐められた時の、熱と唾液の感覚。
桃花は言われた通り、ローションを手に取るともう一度そこに触れた。おずおずと指で広げる。
「ん……」
『横になって。昨日と同じ格好で』
「……うん」
『目を閉じて集中してみろ』
「電話切っていい?」
『このまま』
「……恥ずかしいよ」
『いいからこのまま。ローションでたっぷり濡らした場所を弄るんだ。指は入れるなよ』
「……うん」
『――いい子だ。聞こえる』
「っ……」
『桃花のいやらしい音が聞こえるよ』
「ローションだからっ」
『いや、桃花の音だよ』
じん、と痺れ始めたのが分かった。
電話越しに聞く貴之の声がいやらしい。いやらしくて高ぶる。昨日の感覚が蘇ってくる。
『膨らんできただろう、クリトリス』
「んっ……」
『少しだけ皮を剥いて優しくこねたら感じてた。強くするのはもっと良くなってからだ』
「ん、……やめてよ、恥ずかしい」
『でも膨らんできたのは事実だろ』
「そんなの……っ」
『強くするな。もう少し焦らして』
「いや」
『もっと焦らして。優しく』
「い、や……」
『いいから優しく。そのほうが気持ちいい』
「……男のくせに」
『男でも分かるよ。桃花がどうやったら感じてたか』
「いや……」
『桃花は良くなってくると嫌だって言う』
「嘘。そんなの」
『本当だ。じゃあもう止めるか?』
「……いや」
『さっきよりもっと、聞こえるよ。桃花の音。息も上がってきた』
「ほん、と……、エロおやじみたいだよ」
『わざとだよ。君を煽ってる。気持ちよくなるように』
「変態」
『もう黙って。それとも喋ってるほうが感じる?』
「わかんない……」
呼吸が熱くなって、おなかに力が入った。昨日ほどじゃないけれど、痺れるような心地よさが広がり始めている。
『分かった。じゃあもう強くしよう。桃花が欲しいだけ、強く弄っていい』
「ん……っ」
言われるままに桃花の指に力が入る。
強く擦ると、体が勝手にその先を求めて強張る。ジンジンと強くなる痺れが甘さと熱を伴って、体を支配していく。
『好きなように弄って……、イってごらん』
「ん……、や……っ、あっ」

ぐん、と引き上げられた。
高い場所で快楽に投げ出されて……。高波に飲まれた先に、じんわりとした心地よさが性器いっぱいに広がった。
じわりと愛液が染み出したのも感じる。
どくん、と膣が打ち鳴って、桃花の体が震えた。
『桃花』
「ん……」
『イった?』
「うん」
『そう』
「うん」
『よく頑張ったな。そのまま休むといい』
「……うん」
『おやすみ』
「うん、おやすみ」
通話が切れる。
桃花は何故だかもう少し話していたかったことに、切れたあとで気がついた。
貴之と話したいと思ったのは、多分、初めてだ。
一度目を開いてスマホを投げ出し、また目を閉じる。
ちゃんとアラームかけてたかな、と気になったけれど、心地よい睡魔には勝てなかった。
自慰の証拠
それから一週間。 桃花は貴之に呼び出されてホテルへ向かった。
この一週間約束を守って毎夜自慰をした桃花の体は、最初よりずっと上手くイけるようになっていた。
「服を脱いで。桃花」
「ムードも何もないじゃん」
「ないほうがいい場合もある。まずは一週間言いつけを守った証拠を見せるべきだろう?」
「証拠って……、どうやって」
「俺の前でするんだ」
「……何を」
「オナニー」
いやだ。
桃花は即座にそう言えなかった。
だって分かっていた。次会ったらきっと、そう強要されるだろうってことは。
黙ったまま服を脱いで裸になる。 ベッドに上がると、足の間に手を忍ばせた。
「足を開いて」
「でも、閉じてたほうがすぐイける」
「時間がかかってもいい。ちゃんと俺に見せながらするんだ」
「…………」
貴之はベッドの近くにある椅子に深く腰掛けると足を組んで桃花を見つめた。
「そこで見てるの?」
「ああ」
「やりづらい」
「やってみないと分からないだろ。俺に向けて足を開いて」
⇒【NEXT】桃花は諦めと、心の深くから湧き上がる渇きに背中を押されて、彼の前でゆっくりと足を開いた。(夢も欲も愛も飼い慣らして 8話)
あらすじ
貴之に言われた通り、あの日のセックスを思い浮かべながらひとりHをしていた桃花。しかし、なぜかうまく濡れない。
その時、ベッド脇に置いていたスマホが震え、貴之から電話が来る。鞄を見るように言われ、中をのぞくとローションが出てきて…。