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投稿官能小説「一目ぼれ、そして告白」(petitさん)


唇に温かいものを感じた

もう抑えておくのは限界だった。

上司である川口和哉さんの出向が決まって1ヶ月、いよいよ来週からはお互い違う職場で頑張っていくことになる。
彼は引き継ぎのために、今週は毎日残業。
来週の水曜日にはもういなくなってしまう。

狙ったわけではないが、今週は私も残業続きで、いよいよ別れると言うのに、この数日間が1番彼と会話をしている。
私、吉井理沙は4月部署の移動で彼と同じ部署で働くようになり、川口さんに一目ぼれしてしまった。
年齢を知って驚いたが26歳の私より10歳以上年上の37歳だった。
とても30代後半には見えない見た目の爽やかさと、会話のスマートさに毎日惚れ惚れとしていた。

「いよいよなんですね、広告代理店ってなんか楽しみですね」

「引継ぎだけで、行ってからのことなんか全然考えられないんだけどね」

「でも、栄転ですね。川口さんには今の仕事よりずっと向いてると思いますよ」

「そうだと良いんだけどね、追い返されないように頑張るよ」

くしゃっとした笑顔を作りながらそう話す彼に、私の心はキュっと掴まれてしまった。
やっぱりたまらなく好き。このまま何も言えないなんて寂しすぎる。きっと後悔してしまう。
今しか…ない。
そう思うと自然と言葉が口をついて出てしまった。

無防備な川口さんの顔が…(一目ぼれ、そして告白)

「来週から、川口さんに会えなくなると思うと…とても寂しいです。」

「え…。」

「川口さんに会った時に、一目ぼれしちゃってました。ずっとこんな風に話しが出来たら良いなって…思ってたんです。」

恥ずかしくなってしまい、もう最後の方は消え入りそうな声だった。
ここまで言ってわからないなんて、よっぽどの鈍感じゃない限りわかるだろう…。
なんて返してくれるんだろう…。

そう思うか思わないかの間に、唇に温かいものを感じた。
キュっと瞑ったまぶたを開くと無防備な川口さんの顔が。

あ、まつげ長い…。

そんなことを思ったところで抱きしめられた。

「ありがとう、やっぱり吉井さんはかわいいね」

そういうとまたキスをくれた。

チュ。

かわいらしい音。
しかし…どんどん激しくなるキスの音はクチュ、クチュっと変わっていき、息遣いも荒くなる。

激しく口づけて…

キスってこんなに感じるものだった?頭の中が溶け出しそうだった。

いつの間にか、川口さんの唇は首筋…耳…胸元へと下っていった。
正直ここまでの展開を想像していなかった私は、想いが通じたうれしさと、キスの気持ちよさ、それに少しの驚きで何も考えられていなかった。
甘噛みしていた耳元にキスをしながら

「いいね?」

とささやく彼の言葉にコクンコクンとうなづくと、柔らかな手つきでブラウスを取り去っていった。
そして、小鳥のついばみのようにキスしたり、口を開き唇を苦しいくらいに沿わせてくる。

チュ…チュパ…
っとキスの音に交じり、軋む音…私の声が交じる。

「あ…ぁん…かわぐちさん…苦しい、ぅぁ…だめぇ…」

体中が満たされた時、気持ちよさと同じくらいな苦しさが私を包んだ。

「だめ?痛い?」

そう伏せた目で言う彼を見ていると、たまらなくなってしまった。

「だめ…あたし…あたし…ぁ…だめですよぉ…」

「だめ…じゃない…ほら、俺も…もう…」

早くなる腰の動きと、どんどん激しくなるキスの雨。どうにもならない気持ちよさ。
快感の波が押し寄せ頭の中はもう真っ白だった。

「だめ…だぁ…め…イっちゃ…ぅ…」

「いぃよ…好きだよ、吉井さ…ん」

その言葉とともに私達は果てた。
川口さんに包まれる温かさ、乱れる息遣い…いまさら恥ずかしさが押し寄せてきて顔をうずめた。

「順番がおかしくなっちゃったね…あらためて…俺も好き。」

またあの、くしゃっとした笑顔をしながらキスをくれた。
全身に彼の重さとぬくもりを感じ、今度は私から精一杯の幸せの気持ちを込めてキスを返した。

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