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投稿官能小説「宝箱の秘密」(山本クラゲさん)
私は冬夜だとは気づかなかった
冬夜と再会したのは、あの日から4年経ってのことだった。
街で偶然会った男は「マリ子じゃない?」と驚きを隠しきれない様子で私に話しかけた。
最初、その男が誰であるのか分からず、少し動揺して頭の中の名簿を探ってみたけれど、その様子を見透かしたかの様に彼は
「冬夜だけど。」
と少し傷ついた様子だった。
彼とは、高校生の頃付き合っていた。彼と歩いた街や、話をするときの話し方の癖や、セックスの事を今でも鮮明に覚えている。
いい具合に焼けている身体や、上半身から腰にかけての緩やかで強靱なラインにしがみついた自分を知っている。
本当にお互い同士を知っていたし、私は冬夜の、私に向けてくれる太陽のような微笑みを愛おしいと思っていた。
けれども、彼が東京の大学に行くことを機に、私達は離れることになってしまった。
私は、高校の頃の彼との優しい素敵な想い出を、小さな宝箱の中にそっと入れて、時折思い返す度に、そのフタを開けていたのだ。
あれから4年後の彼は、高校生の頃の少しあどけない顔つきとは全くと言っていいほど違っていた。
本当の、男になっていた。
だから、私は冬夜だとは気づかなかった。
「綺麗になったね。」
「久しぶり。」
「うん。元気にしてた?」
少しの驚きと何とも言えない気まずさで、声がいつもよりも強く出てしまった。
「うん。マリ子は綺麗になったね。でも、雰囲気は昔のまんまだ。」
冬夜は微笑みながら、そう言った。
そう、あの太陽のような笑顔で。
「俺さ、実はさ。」
少し躊躇いながら 冬夜は言う。
「マリ子と離れた後、2年くらい前かな。君と連絡を取ろうとしていたんだけど、噂で結婚したって話聞いたから、結局諦めたんだ。」
そう。私は20歳の時に結婚して、それから一年後、離婚する事になった。
夫の浮気が原因だった。
その時はひどく悲しんで、体重なんか8キロも落ちちゃったけれど、それでも、何とかこう立ち直ることができたのだ。
辛いとき、私はあの小さい宝箱を開けて冬夜のことを思い出していた。
その度に、彼は優しいあの微笑みで、
「大丈夫だよ。」
と耳元で囁き続けるのだった。
「うん。でも今は、離婚して独身なんだ。」
私はその場が少し虚しくならないように、明るく言う。
「俺さ、実は二年前、君にプロポーズしようと思っていたんだ。」
私はあまりにびっくりして黙ってしまった。
止めどなく流れる涙と、彼との優しい甘いキス
「東京に行くとき、マリ子を一生幸せにできるような男になりたいって思ってて、そのためにあえて君と離れたんだ。
だけど、そんなの俺の勝手な考えであって、
マリ子に対して傷つけることしたんだと思う。ごめんね。」
そう言うと、私の身体を引き寄せてしっかりと抱きしめた。彼の腕は微かに震えていた。
いつの間にか頬の上に涙が伝っていた。
私達は、冬夜の部屋に居る。
止めどなく流れる涙と、彼との優しい甘いキスで、私は自分が濡れていくのを感じた。
冬夜はゆっくりと私の服を脱がせ、裸になった私の肌をこわれものを扱うように丁寧に触れた。
彼の指は、私の胸のあたりで彷徨い、その指は徐々に下の方へと下がっていった。
私は、固くなった彼のものが膝に当たるのをくすぐったいような想いで感じていた。
私の身体が彼を求めて…
「マリ子の中に入っていい?」
「うん。私も、冬夜が欲しい。」
ローションを優しく塗られて、私は思わず身体をビクッと震わせた。
「あぁ…。」
彼は私の敏感になった部分を今度は彼の舌がなぞった。
その動きがある部分の上になぞるたび、膣が痙攣したかのようにビクビクと動く。
その度におなかの下のあたりがくすぐったいような気持ちいいような快感が走って、私は我を忘れて声を出してしまう。
「早く入って。」
彼を急かすと、
「変わってないね。」
と息を吐きながら途切れ途切れに彼は言う。
ああ、何て愛しい人なんだろう。
彼の、息遣いが聞こえるたび、私は幸せを感じる。
彼が腰を動かすたびに、私の身体はいつの間にか浮き、彼を求めている。
「はぁ…はぁ…」
全身が震え、互いの声が部屋に響き渡り同時に達すると、冬夜は私の唇に自分の唇を優しくつけた。
4年前の別れの時、私と彼はお互いの大切な部分を交換したのだ。その大切なものが私と冬夜を再び惹きつけたんだ、と今は思う。
それは、小さな宝箱の魔法なのかもしれない。私がいつも励まされていた、あの小さな宝箱の中の、彼の囁きが今も聞こえる。
それは、「大丈夫だよ」という言葉から「愛している」に変わった今でも。