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官能小説 【小説版】タワーマンションの女たち 1話
同棲が始まって
なんだか変な感じ。
ほんの少し前までは、私はワンルームのマンションに住んでいた。 完全オートロックでセキュリティは安心だったけれど、部屋の狭さには不満があった。 だけど、今はどうだろう。
「広すぎるよねー……」
ぐるりと部屋の中を見回すと、今まで住んだことのない広さのリビングが目に入る。 海外製のソファ(匠がブランド名を言っていたけど忘れた)、大きな50インチもあるテレビ、ガラス製の扉がついた棚には、キラキラと輝くグラスがいくつも並べられている。
付き合って二年になる匠と同棲を始めたのは、ごく最近のことだ。 私も匠も部屋の更新時期が重なり、どうせならと同棲を始めたのだ。 そして、彼が選んだ物件がこのタワーマンションの一室だった。
それほど上階ではないものの、部屋の広さは十分で家賃だってそれなりにする。その一切を匠が支払ってくれていた。 せめて、家事は私がしようと思い、今日もせっせっと朝から掃除をしている。
「掃除も終わったし、そろそろ、洗濯も終わる頃かな……」
ワンルームに住んでいた頃と違い、洗濯機が洗濯を終えたことを知らせる電子音もリビングまでは聞こえてこない。 私は洗濯機のある洗面所まで行くと、すでに洗濯は終わっていた。
「よーし! さっさと干しちゃおう!」
私は洗濯機から洗濯物を取り出すと、カゴに入れてバルコニーに向かった。
二人暮らしの休日
家事をして、テレビを観て、夕方になったら夕飯の支度をする。 仕事が休みの日の私はいつもこんな感じだ。 銀行の営業事務をしている私は土日の完全週休二日制だけれど、弁護士の匠は土日も休みとは限らない。 そんなわけで、土曜日の今日も彼は仕事に行っていた。
匠は良く出来た彼氏だと思う。
仕事がどんなに忙しくても愚痴は言わないし、家事だって時間がある時はすすんで手伝ってくれる。私が頼まなくてもだ。 今日は匠の好きなチンジャオロースでも作ろうかな。私はそう思いながら、テレビを消して立ち上がった。
彼を待つ時間
夕飯の下ごしらえをして、匠が帰ってくるのを待つ時間は結構好きだ。 今日は一緒にお風呂に入るのかなとか、エッチするのかなとか、そういったこれからすぐ起こるであろう出来事に思いを馳せながら彼を待つ。
別々に暮らしていた時に出来なかったことは、意外にもたくさんあった。 私は比較的時間があったけれど、匠は仕事が忙しくて、なかなか一緒に過ごす時間を持てなかった。 彼が同棲を言い出したのは、結婚を前提にというよりも一緒に過ごす時間を増やす為なのだろう。 それでも、私には十分だった。
そりゃあ、本音を言えば、三十二歳だし、プロポーズじゃないのか、とがっかりもしたけれど、別れを切り出されるよりよっぽどマシだ。 付き合い始めた頃よりも、明らかにに私たちは擦れ違っていたし、エッチの回数だって減っていた。 だからと言って、お互いに飽き始めていることもなく、ただ純粋に時間を合わせることが難しくなったのだ。実際、同棲を始めて、一緒にいる時間は増えた。 なんせ、一日一回は顔を合わせるのだから、会えない日はない。 だけど、結局、匠は忙しくて、帰って来てから一緒に過ごす時間は短かった。
人間というのは、どんどん贅沢になっていくらしい。 今までより匠と一緒にいられる時間が増えて、それだけで幸せを感じていたはずなのに、今ではもっと匠とコミュニケーションを取りたいと思っている自分がいる。 それはきっと匠とのエッチに不満があるからだろう。 一緒にいる時間が増えれば、自然とエッチの回数も増えると思っていた。けれど、実際は一向に増える気配がない。
「そうだ……!」
私は匠が帰ってくるまで時間があるのをいいことに、シャワーを浴びることにした。そして、シャワー後に私が身に付けたのは、先週買った勝負下着だった。
「折角、買ったのに一度も着てなかったんだよね」
溜め息と独り言が口から零れる。 私が勝負下着に選んだのはいわゆるセクシーランジェリーだ。 胸を支えるワイヤーが入っていないブラジャーは透け素材でつくられていて、胸の先端部分が開くようにデザインされている。アンダーウェアはTバックで、自慢のお尻がしっかりと見える。 勝負下着で迫ったら、いくら仕事で疲れていても匠だって、きっとその気になるだろう。 私は勝負下着の上から、パジャマ替わりのTシャツとショートパンツを身に付けると、匠の帰りを待った。
匠が帰って来たのは、それから一時間後のことだった。
悪いのはどっち?
ついつい、何度もバスルームの方を見てしまう。 匠は今日も「美味しい」と嬉しそうに言いながら、夕飯を残さず食べてくれた。 この人と一緒にいて良かったな、と思う瞬間の一つが彼と食事を摂っている時だ。 だけど、楽しい食事だけで恋愛は成り立たない。 満足出来るエッチがあってこそ、恋愛は楽しさを増す。
「麻子(まこ)はもうお風呂入ったんだよね?」
「うん。今日は先に入っちゃった。一緒に入りたかった?」
「俺はどっちでもいいかな」
つれない答えに私は思わずムッとする。そんな私に気が付くこともなく、匠は「風呂に入ってくる」とバスルームに消えていった。 仕事で疲れているのだから仕方がないとは思う。それでも、もっとときめく答えが欲しい。
贅沢になってしまっている私が悪いのかな。それとも、ときめかせてくれない匠が……。
もしかして……
匠は濡れた髪を拭きながら、ソファに座る。私が「何か飲む?」と聞くと、彼は「ビールにしようかな」と答えた。
私はビールと2個のグラスをローテーブルに置く。
「今日もお疲れ様」
ビールの注がれたグラスを持って私が言うと、匠も「麻子もお疲れ様」と言ってくれた。グラスを合わせて、
私たちは冷たいビールを喉に流し込む。
「明日はお休み?」
「いや、午後から仕事」
「それじゃあ、お昼ご飯を食べてから出社する感じ?」
「そうだね。明日はパスタが食べたいなぁ」
「もしかして、またレモンクリームパスタ?」
「うん! 麻子の作るレモンクリームパスタが最高に美味しくて」
こういう時に幸せを感じる。一緒の時間を共有しているのが嬉しい。だけど、私はもっと匠と一緒の時間を共有していると感じたい――。
「ねぇ、匠」
私は彼にしなだれかかる。 匠は何も言わず、私の唇に自分の唇を重ねた。
あれ……?なぜだか、匠はキス以上のことをしてこない。仕方ない。私は匠をそのままソファに押し倒した。
「麻子……?」
少し驚いたように私を見上げる匠の唇を塞ぐように私はキスをする。
「しよ?」
私の誘いに匠は少し困ったように微笑むと、私を抱きあげた。
「お姫様抱っこなんて、久々だね」
「たまには、重さをチェックしておかないと」
「ちょっと、どういう意味よ?」
「あはは、冗談だよ」
匠は私をベッドに下ろすと、Tシャツとショートパンツを手早く脱がせた。
「あれ? これ、新しい下着?」
「うん……」
私はさっきとは打って変わって、恥じらいながら匠を見上げた。
「エロくていいね」
「本当?」
「うん。俺、こういうの好きだよ」
匠の言葉に私は思わず笑みを零した。

その後はいつも通り、匠は優しく胸を愛撫し、秘部に触れた。私の口から吐息混じりの甘い声が漏れる。 お互いがお互いの気持ちいい部分を熟知している。何度も愛撫を繰り返しながら、私たちは頬を蒸気させた。
「挿れていい?」
匠の言葉に私は潤んだ瞳で頷く。でも……。
匠は腰を動かしながらも、気持良さそうには見えなかった。普段なら、「気持ちいい?」と訊くけれど、今日は匠の様子が気になって訊くことが出来なかった。もしかしたら、匠は本当はずっと気持ち良くなかったのかな……。
勿論、気持ち良くないと決まったわけじゃない。それでも、匠の表情を見ていると、エッチに満足しているようには見えなかった。 私、今まで、匠とのエッチで何を見ていたんだろう? 匠がエッチに積極的じゃないのって、気持ち良くないからなんじゃ……。
まさか、とは思う。
だけど、イッてるからと言って、気持ちいいエッチっていうわけじゃないよね……?
匠は私とのエッチに満足してないのかも――。
分岐点
なんだか、昨日はよく眠れなかったなぁ……。私は眠い目をこすりながら、隣で寝息を立てている匠を一瞥し、ベッドから抜け出した。 顔を洗い、洋服に着替えると、メイクをして一階にある郵便ポストへと向かう。一階に着くと、煉瓦調に統一されたマンションのロータリーで数人の女性が世間話をしているのが視界の端に映った。
「おはようございます」
声を掛けて横を通り過ぎようとしたら、「ねぇ、知ってます? バーの噂」とふいに質問された。
「バーですか?」
「そう。最上階にあるんですって」
「ああ、そう言えば、そんな話を入居する時に聞いたような気がします。そこがどうかしたんですか?」
「なんでも、そこのバーのマスターがセクシャルな悩みを解決してくれるらしいの」
「セクシャルな悩みですか?」
「そうなのよ。女性のマスターらしいんだけど、詳しく知っている人がいたら詳細を聞きたいねって話をしていたところで」
セクシャルな悩みを解決してくれるバー か……。この時の私は、まさか今夜、噂のバー に足を運ぶことになるなんて思いもしていなかった――。
あらすじ
同棲を初めて少し、付き合ってからはもうすでに二年がたっていた。
匠と麻子は順調な恋人関係を続けていたが、麻子には心に引っかかるものがあって…?