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小説サイト投稿作品61 「ぎゅっと、ずっと、離さないで」【LCスタイル】


「ぎゅっと、ずっと、離さないで」

〜LC編集部のおすすめポイント〜

結婚したばかりの円花。
いつまでも恋人同士のようだと友人に揶揄されながら会社を後にする中、最愛の夫・圭司の姿を見つけて…。
初恋の人と恋に落ち結婚まで至った円花が今想う事とは?

恋人の感覚が抜け切らない新婚の初々しい雰囲気が楽しめる小説。
やさしくてかっこいい圭司君に惚れ惚れしちゃいます。
弟カップルも健在で、ハッピーオーラ全開の物語です♪
読むと元気になる作品です!

大好きなの

「円花達って、いつまで経っても恋人同士みたいだよね」
「え……」

休憩時間、同僚で同い年の菊池七海と近くのコンビニへお昼ご飯を買いに来た。
そして呑気に『今日のお昼はパンかな』なんて考えていたとき、なんの前触れもなく七海はそんなことを言い出した。

「だってさ、ほら……」

そう言って七海が指さすのは、最近付き合い始めたと専ら噂になっている、事務長と三つ上の先輩。
店内だというのに、一目も気にせずイチャイチャしている。

「……悪いけど、私と圭司はあんなんじゃないよ?」

さすがにTPOはわきまえているつもりだ。

「えぇ〜、悪いけどあっちよりも全然円花達の方がたち悪いから」

パスタを手に取り、さっさとレジへと向かう七海。

「どうしてよ」

納得いかなくて、パンと珈琲片手に七海の後を追う。

「だってさ、二人の空気が甘すぎて一緒にいたくなくなるんだもの」
「なによ、それ」

会計をして、袋に入れてもらい七海と二人コンビニを後にする。

「お互い目を合わせちゃって、二人で目で合図送っちゃってさ。見てるこっちが照れちゃうのよ」
「べっ、別にそんなことはしていないつもりなんだけど……」
「嘘だぁ。圭司君大好き!!オーラ、出しまくりだからね!?」
「うっ……!」

圭司君大好き!!オーラ……。確かに七海の言う通り、私からはそんなオーラが出ているのかもしれない。
圭司との出会いは、12歳の時だった。親の仕事の都合で引っ越してきて、当時小学校6年という中途半端な時期の転入に、新しい学校に私は馴染めずにいた。
そんな私を救ってくれたのが、隣に住む圭司だった。

優しくて、人気者だった圭司。圭司のおかげで私はクラスに溶け込めたんだよね。
それからずっと圭司が好きだった。
だけど中学に上がると、自然と圭司は私から離れていって『近づくな』って言われる始末。
今になって圭司は『思春期だったんだよ』なんて言っているけど、あのときは本当に悲しかったんだから。
高校生になって、周りの友達がみんな彼氏ができていって、急に身長が伸びた圭司がモテるようになっていくのを見た私は、焦るようになっていって。

そして私から告白した。
緊張でいっぱいだったけど、圭司からはOKをもらえて、あのときは本当に嬉しかったな。
初恋だった。ずっと圭司が好きで、今も好き。圭司に対する恋心しか知らない。

「もう結婚しちゃった後だし、今更だけどさ。……ぶっちゃけ圭司君しか男知らなくて、後悔したりしないの?」

職場の休憩室でご飯を食べながら、こそっと七海は耳打ちしてきた。
七海の話に、パンが詰まりそうになり、慌てて珈琲を飲む。

「っもう!!変なこと聞くからパンがのどに詰まっちゃったじゃない!」
「えーだってさ、初恋の人なんでしょ? 今になって他の人とも恋愛しておけばよかったなって、思ったりしないの?」
「しません!!」

すぐさま答えた。だってそんな後悔するなんて、私にはありえないことだし。

「圭司よりいい人なんて、きっとこの世にはいないよ」
「うっわ!!出た!円花の圭司君大好き攻撃!」
「なっ、なによ、それ……」

まるで私が七海に攻撃ビームをしかけたみたいに、七海ってば『やられた』ポーズなんてしちゃっているものだから、呆れてしまった。

「しかしまぁ……ここまでくると、清々しいくらい羨ましいわ」

パスタを頬張りながら、私を見つめる七海。

「…それは、どうもありがとう」
「あ〜あ!私にも早く現れてくれないかな、運命の人」

“運命の人”か……。

残りのパンを食べながらも考えてしまうのは、やっぱり圭司君のこと。
今、圭司君もご飯食べているのかな?今日は早く帰ってくるのかな?
ご飯はなにが食べたいかな?……会いたいな。
きっと私にとって運命の人は圭司君なの。大好きで、大好きで堪らない人。きっと24時間、365日ずっと一緒にいたって飽きないよ?
それくらい大好きで、大切な人なの……。

変わらない気持ち

「お疲れ様でした」
「お先に失礼します」

仕事が終わり、七海と二人職場を後にする。

「あー、疲れた!ねぇ、円花。たまにはご飯食べていかない?」
「え…」
「だって円花が結婚してから、あまりふたりで外食とかしていないじゃない? たまには行こうよ」

確かにそうかも。
結婚してから、七海と前に帰りがけに食事に行ったのは、いつだっただろうか。
うん……たまにはいいかも。圭司だって突然飲みに行くこともあったし。

「分かったよ。ちょっと圭司に電話しちゃうから、待ってて」

一言伝えておかないと。
そう思い、鞄の中からスマホを取り出そうとしたとき。

「……円花、やっぱり今日はパス」
「え?何を急にー……」

スマホを探すのをやめ、七海を見ると、なぜか七海は前方を指差していた。しかもニヤニヤしながら。
不思議に思いながらも、七海の指差す方向を見ると、そこには気まずそうに手を振る圭司の姿があった。

「え……圭司!?」
「また今度ね。お疲れ〜」
「あ…うん、ごめんね」

気を遣ってか、すぐさま帰っていく七海。
悪いことしちゃったな。せっかく誘ってくれたのに。でもー……。

「……悪い。もしかして七海ちゃんと約束していたりした?」

七海が帰った後、申し訳なさそうに近づいてきた圭司。
そんな圭司を見ると、つい笑いそうになってしまう。

「ううん、ちょっとたまにはご飯でも……って話になっていてちょうど圭司に電話しようかなって思っていたところだったけど、全然大丈夫だよ?」
「……本当、ごめん」

深々と頭を下げる圭司。つい意地悪してしまった。
きっと七海も全然気にしていないだろうし、私もなんとも思っていないのに、本当に申し訳なさそうに謝る圭司を見ていると、自然と笑えてくる。

「……円花、なに笑ってんだよ」

笑う私を見て気付いたのか、圭司はちょっと怒った様子。

「ごめん、ごめん!……迎えに来てくれたんでしょ?」

笑うのをやめて、そのまま怒っている圭司の腕に掴まる。

「まぁ……」

付き合っているときも、結婚してからも、いつもそうだった。
圭司は仕事が速く終わった日には、こうやって迎えに来てくれる。

「たまには食べて行こうか」
「…うん!」

付き合い始めた時から変わらない圭司。いつも優しくて、気遣ってくれて。
そんな圭司が大好きだし、圭司が私にしてくれているように、私も圭司に優しくしたいし、大切にしたいって思う。
この気持ちはきっと何年経っても変わらない。

「……あれ、蒼佑達だ」
「え…?」

街中を歩いていると、急に圭司が立ち止まった。
そして圭司が指さす方を見ると、そこは私達が目指していたお店だった。 有名なお店でいつも行列ができてしまうほど。
私達も並ぶの覚悟で来たものの、その行列の中に久美子ちゃん達の姿を発見してしまい、 つい立ち止まってしまった。よく耳を澄ますと、なにやら並びながらもいつものように、 口喧嘩している二人。

「ちょっと蒼佑!こんなに並ぶなんて聞いていなかったんだけど!」
「仕方ねぇだろ!?混んでんだから。第一たまには本当に美味しいものが食べたいって言ったのは、久美子だろ?」
「そうだけどさ!!」

あぁ……。二人ってば、付き合って一年も経つのに全然変わっていない。

「あ〜あ、あの二人は変わらないなぁ」

圭司も同じことを想っていたようで、二人で顔を見合わせては、つい笑ってしまった。

「ったく、うっせぇつーの」
「ちょっ、蒼佑!?」

またより一層久美子ちゃんの大きな声が聞こえてきて、視線を二人に向けると、なんと店先だというのに手を繋いでいた。

「離しなさいよ、バカ!みんなに見られてるじゃない!」
「バーカ!誰も見てなんかいねぇよ」

ずっと妹と弟として見ていた二人。そんな二人の甘いやりとりに、なんだか見ているこっちが照れてきてしまった。

「……他のお店にしようか?」
「そうだね」

それは圭司も同じだったようで、圭司の提案にすぐさま同意した。
圭司と腕を組んだまま、去り際にもう一度二人を見る。
するとさっきまでの二人とは違い、蒼佑君は久美子ちゃんのことを、とても愛しそうにみつめていて。 そんな蒼佑君を見て、久美子ちゃんは幸せそうに笑っていた。
しかも今、ちゃっかり両手とも繋いじゃっているし。 誰がどう見てもお似合いな二人。

昔はあんなに口喧嘩ばかりしていた二人には、とても見えなかった。
可愛いな、二人。すっかりとお姉さん的感情だ。
兄弟のいなかった私にとって、二人は本当の妹と弟的存在。
それは今も変わらない。そんな二人が幸せになってくれると、やっぱり嬉しい。

ぎゅっと、ずっと、離さないで

だけど、まぁ……それにしても、ずいぶんと見せつけられた気分だ。
幸せ選手権があったとしたら、あの二人は手を繋いでいただけだったのに、なんか負けた気分……。
そう思うと悔しく思ってしまう。

「……円花?」

悔しい。だからつい対抗して、圭司の手をキュッと握ってしまった。
そんな私を不思議そうに見てくる圭司。

「……対抗しているの」

突如そんなことを言い出したと言うのに、さすがは圭司。私の言葉の意味が分かったようで、クスクスと笑い出した。

「なんで円花が蒼佑達に対抗しているの?」

余程面白かったのか、いまだに笑いながらもそんなことを聞いてくる圭司。
だけどしっかりと、私の手を握り返してくれた。

「……だってなんか二人とも、初々しくて可愛かったから」

可愛かったし、少し昔を思い出させられた。私も圭司と付き合い始めたときは、 久美子ちゃんみたいに手を繋ぐだけでも、いっぱいいっぱいだったなって。
今じゃさっきみたいに、平気で腕を組んじゃうけど。

「まぁ、確かにさっきの蒼佑達はなんか可愛かったな……付き合い始めたばかりの俺達みたいでさ?」
「圭司……」

嬉しいな。 まさか圭司も私と同じことを考えていたことが。
そう思うと、自然と笑顔になってしまう。

「凄いよ、圭司。私も今、圭司と同じことを考えていたの」
「そうなのか?すげぇな、俺達」

……ほら、同じことを考えて、こうやって顔を見合わせては同じことで笑い合える。

お互いの手はこうやって今、繋がっている。
だけどね、それよりももっと強い力で、心が繋がっているの。

「円花……、たとえさ、どんなに喧嘩しても、どんなに歳を重ねても、こうやって手を繋ぐことだけは絶対続けていこうな?」
「圭司……」

何年経っても、か……。

「喧嘩していたら、イラッときて抓っちゃうかもよ?」
「大丈夫、俺って意外に感覚が鈍いから」
「四十代とかになったら、手荒れが治らなくてガサガサかもしれないし」
「じゃあ掌がかゆい時は、もってこいだな」
「私の手、皺皺になっちゃうよ」
「それを言ったら俺の手もそうだろ?」
「……あははは!!」

言葉の投げ合いをして、そしてまた二人で笑ってしまった。
うん……。圭司とはいつまでもずっと、こうやって手を繋いで生きていきたいな。
そう思ったのは圭司も同じだったのか、私の手をぎゅっと握ってきた。
そして私も握り返す。ずっと、ずっとこうやって生きていこうね。
お互い何度も手を、ぎゅっと握りしめて――。そしてずっと、離さないでね。

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あらすじ

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