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小説サイト投稿作品35 「Present」


「Present」

〜LC編集部のおすすめポイント〜

6歳差の背の高い年上の彼に惹かれ…
高校生になった主人公と大学生の彼はお付き合いをすることに。
ギャップにキュンとする気持ちは、男女問わず感じたことがあるのでは?

キスを避けられてるような…?
不安になる主人公に感情移入してしまいます!
初めて彼氏ができたときのあのドキドキを甘酸っぱく思い出させてくれるような作品です♪

私の彼氏

私達が初めて出会ったのは5年前。お兄ちゃんの友達として彼が家に遊びに来たときだった。
その時の彼を一言で言うと…“怖い”。

だって…デカイんだもん!!

当時私は小学5年の10歳で、身長は137cm。 彼は高校1年の16歳で、身長は180cm。
身長差43cm。

今までお兄ちゃん(身長170cm)より大きい人を見たことがなかった私にはかなり衝撃的だったし、それに…。
イケメンなのに…無表情なんだもの。 お兄ちゃんに紹介されたとき、私は笑顔で『こんにちは!!』って愛想よく挨拶したのに。
彼は笑顔を見せるどころか、伏し目がちに『こんにちは…』って表情を全く変えずに言うんだもん!!

お兄ちゃんと二人で話しているときも一回も笑わなかったし…。
(盗み聞きしたけど、私は面白かった)
ほら、怖いでしょ?
だから私、彼にあだ名をつけたの。
『笑わない巨人』って。

でも、次に会ったときにそのあだ名は消滅した。 笑ってたの…。それもたくさん。
前の彼とは別人じゃないかって、思うくらい。 単純だけど、そのギャップに10歳の私は、やられてしまった。

それから色んな表情の彼を見た。

ゲームで負けて、悔しがる表情。
イタズラをされて、困ってる表情。
ケンカして、落ち込んでる表情。
難問に苦しんでる表情。
怒ってる表情…喜んでる表情…悲しんでる表情…。

一つ、一つ見るたびに思ってた。 ずっと見ていたいって。
彼の特別になって。

でも、気持ちは言わなかった。
小学生の私が言っても、“子供だから”っていう理由で断られると思ったから。

もう少し…高校生ぐらいになってから、気持ちを伝えようって決めたのに。
それから4年後の1月27日。
15歳の誕生日に私は彼と一緒にいた。

私はその時、中学3年の受験生で、大学2年の彼に勉強を教えて貰っていたのだ。

彼は中学から高校まで、学年席次は常に10番以内に入るほど頭が良かったから。
私もそれなりに頭は良かったけど(学年席次は常に20番以内)、彼と一緒にいたかったし…。
そのおかげで一番苦手だった数学の点数も10点ぐらい上がって、お父さんもお母さんも喜んでたな。

その日もいつもと変わらず、17時から勉強をして22時に終わると、彼に突然謝られたの。
『誕生日プレゼント、用意してなくてごめん』って。

そりゃ、貰えたら嬉しくて、それを胸に抱いたまま寝ちゃうと思うけど、私には十分だった。
この日に彼といられることだけで。

『いいよ。いてくれるだけで…いい』
そう言ったら、彼が
『俺が…欲しいか?』なんて聞いてきて。
冗談だと思ったけど、欲しいのは本当だから。
『うん』って素直に頷いた私。
期待なんてしてなかった。

『じゃあ…やる』

その言葉を彼が口にするまで。
あれから明日でちょうど3ヶ月。 私は志望していた高校に見事合格。 友達もすぐできて、学校生活にも慣れてきた。
でも、彼の“彼女”には、まだ慣れない。

確かにあの日、私達は彼氏、彼女の関係に発展したけど。

初めてのデートも、初めて手を繋いだのも高校受験が終わった後だったから。
まだぎこちないし。 彼の彼女っていうのも夢みたいで。 明日になったらまた前の関係に戻ってるんじゃないかって。
まだ不安…。

私の事を“好きだ”っていう確信がもてていないから。
彼は誰よりも私にすごく優しくしてくれて、大事にしてくれてる。
だけど…キスしてくれないんだ。

たまたま顔が近かったときも、すぐに私から離れたし。 キスする雰囲気になっても、すぐに壊すし。
私とキスするのを避けるの。
私のためにプラトニックな関係でいようとしてくれているのかもしれないけど。

避けられると、傷つくよ。
だからキスしても…いいんだよ。
したいなら、して。
それ以上を求めても…いいんだよ。
それ以上も受け止めるから。
避けるのは…やめて。

お兄ちゃんからのプレゼント

最後のいちごを乗せて、「出来た…」
いちごのチョコレートケーキ。13回目の挑戦でようやく完成した。
生地もふっくらと焼けたし、チョコレートのコーティングも綺麗だ。
味は…美味しいはず。

私が何故チョコレートケーキを作ったかというと…。
明日が付き合って3ヶ月目になるから、そのお祝いをするため!!じゃなくて。
明日が彼の21歳の誕生日だから、プレゼントにね。
彼の家で二人で食べるんだ。 “美味しい”って言ってくれるかな?

「おおっ!!美味しそうじゃん」

キッチンに入ってくるなり、チョコレートケーキを見つけて喜ぶお兄ちゃん。

「食べないでよ!!これは私の大事な誕生日プレゼントなんだからね!!」

そう忠告すると、お兄ちゃんはムッとした顔をして

「食べねぇよ!!」

と、私を怒鳴った。耳が痛い…。
もう!!近くで怒鳴らないでよね。
チョコレートケーキが好きなのは分かるけどさぁ。 食べられないくらいで怒るなんて、ほんっと、短気!!

「お兄ちゃんは…誕生日プレゼント何にしたの?」

去年は確か…エロ本あげたって言ってたっけ。 すぐに捨てられたみたいだけど。 今年は一体何をあげるつもり?
「ああ…」
そう言うと、お兄ちゃんはズボンのポケットから何かを取り出して私に渡す。

グロス?

「いや…私の誕生日プレゼントじゃなくて」

っていうか、もう終わったし!!
前に貰ったし!!
セクシーな下着(上下)をね!!
一度も着たことないけど。

「お前のじゃない。あいつの誕生日プレゼントだ」
「これが!?」
男なのに!?

「そうだ…。このグロスをつけたお前があいつの誕生日プレゼントだ」
……えっ?

「……私?」

私が…プレゼント!?

俺の彼女

俺達が初めて出会ったのは5年前。高校で出来た友達の大吾の家に遊びに行ったときだった。その時の彼女を一言で言うと…“可愛い”。
今まで色んな小学生(イトコや街中で歩いてる子)を見てきたけど、ダントツで可愛いかった。

肌は日にあたっていないみたいに白く、黒髪のツインテール。顔は小さく、目は大きい。身長は低く、鼻は高い。
笑ったときのえくぼは…たまらなく可愛かった。
そのせいで、俺は抱き締めたい衝動に駆られたが、抑えるためにすぐに目を伏せた。
初対面でいきなり抱き締めて、“変態だ!!”って思われたくなかったから。

それから、帰るまで彼女が気になってしょうがなかった。
本人はバレてるって気づいてなかったけど、何回も部屋に来たり、覗いたりして、俺を探ってみたいだから。
大吾が面白い話をしたらしいが、集中出来なくて内容を知らなかった俺は笑えなかった。その様子を見て、大吾は分かったらしい。
俺が彼女に惚れたって。

俺も惚れたって分かってたけど、信じられなかった。
友達の妹で、しかも小学5年生の子が…
俺の初恋の人になるなんて…。

何度か告白されたことはあったけど、断ってた。 どの子も恋愛の“好き”っていう感じじゃなかったからだ。
本当に心から“好き”って思える子… そんな子と俺は真剣に付き合いたかった。
そして…初めてその子に出会えたんだ。

だけど、すぐに告白をしようとは思わなかった。
小学生だったし、彼女にとって俺は“優しいお兄ちゃん”みたいな感じだったから。
(大吾は優しくないらしい)

もう少し…成長して、俺を男として意識したときに告白しよう。
そして彼女はどんどん成長していった。

顔は大人びて、身長は155cmに伸び、胸もお尻も大きくなった。 だけど…彼女は俺を男として意識してなかった。 小学生のときの接し方と一緒なんだ。
普通に顔を近づけてきたり、体に触れたり…。
俺は出来ないのに…。

そして、その状態のまま彼女の15歳の誕生日を迎えた。
その日、俺は彼女の隣にいた。
受験生の彼女に勉強を教えるためだ。
彼女の頭なら志望校に余裕で受かるはずだが、毎日会えるから、すぐに引き受けた。
そのおかげで、夕食を食べさせて貰えたり、彼女のテストの点数が上がったから、彼女の両親に気に入られた。

あとは…彼女を振り向かせるだけ。
それなのに…彼女の誕生日プレゼントを用意してないんだ。
用意しようとは思ったんだ。
でも…何を贈ればいいのか、分からなくて…。
大吾に相談したけど、メイド服だの、ナース服だの参考にならないプレゼントばかり勧めてきて。
それを拒否すると、

『要らねぇんじゃねぇの?変なもの贈って、嫌われるよりは』

とか言われて。

『変なものなんか贈るかよ!!』

なんて言い返したけど、もし選んだものが変なものと判断されたら?と思うと、何も買えなかった…。
だから、彼女に正直に言って謝った。

『誕生日プレゼント、用意してなくてごめん』
“そうなんだ…”って、がっかりされる。
もしかしたら俺のこと嫌いになるかな?

『いいよ。居てくれるだけで…いい』
彼女は笑顔でそう言った。
あいつが言ってたこと…当たってた。

『要らねぇんじゃねぇの?』

彼女は俺と一緒にいたかったんだ…。
なら、聞いてもいいか?

『俺が…欲しいか?』
欲しいなら…

『うん』
欲しいなら…

『じゃあ…やる』
俺をやる。受け取ってくれ。

二人きりの誕生日

あれから明日で3ヶ月…。 4月27日は俺の21歳の誕生日だ。
その前日の今日。 俺の家には大吾が来ていた。

「良いなぁ。一人暮らし」
「何でだ?」

料理、掃除、洗濯を全部一人でやらないといけないんだ。 俺は出来るからいいけど、お前は出来ないだろ。
面倒なこと嫌いなんだから。

「女連れ込めるだろ?」
ああ。女…。

「一人暮らししてなくても、連れ込んでるだろ?」

両親が家にいないときに、無理やり家を出されたって、お前の妹が言ってたぞ。

「いつでもは出来ない」
「あっ、そう…」

いつでもなら、同棲した方がいいんじゃないか?
それは無理か。相手は複数いるしな。

「明日のことは心配するな。あいつは友達の家に泊まってるってことになってるから」
「どういう…意味だ?」

心配?あいつ?泊まってる?

「どういう意味って、明日家に連れ込むんだろ?俺の妹を」
はぁ?

「お前、何言って…」
「明日、お前の家に行くって言ってたからな。泊まるだろ?」
「バカ!!帰すよ!!!」

ただ二人でケーキを食べるだけだ!!!

「帰せるのか? 二人きりだぞ」
「帰せるよ。いや…帰さないといけないんだ」

本当は不安だ。
彼女も何度かここに来たことはあるけど、そのときは大吾や他の友達も一緒だったから。
でも…二人きりになったら?
俺は自分を抑えられるのか?

「お前…まだキスしてないのか?」
「…」
「あいつは高校生だぞ!!もう小学生じゃない!!」
「分かってるよ!!俺はただ大事にしたいだけだ!!!」

初めてのデートも初めて手を繋いだのも1ヶ月前だ。
キスするのはまだ早いだろ。

「キスしないことが…大事にしてるってことになるのか?」
「それは…」

違うって分かってるさ。
だけど…

「お前は良いのか?俺と寝ても」
お兄ちゃんだろ?嫌じゃないのか?

「良いよ、別に。相手はお前だし」
大吾、お前…。

「優しくするだろ?」
ああ、まぁ…。

「当たり前だろ」
まだやらないけどな。

「じゃあ、俺はもう帰るわ」
「帰るって…何か用があるから来たんじゃないのか?」
「いいや、用が終わって、ついでに寄っただけだ」

そうかよ…。
俺はてっきり…

「ああ、プレゼントなら心配するな。明日届くから」
「届くって、手渡しでいいだろ」

何でわざわざ配達に…。

「楽しみにしてろ。きっと…気に入るはずだ」
「分かったよ。期待せずに待ってる」

去年はエロ本だったからな。
どうせまた変なものだろ。

「あと…お前は帰さないと思うぞ」
「はっ?」
「じゃあな〜。妹を頼むぞ〜」
「おい!!大吾!!!」

大吾は振り返らずに家を出て行った。
帰さないって何だよ…。
頼むぞって何だよ…。

『お前…まだキスしてないのか?』
『あいつは高校生だぞ!!もう小学生じゃない!!』

俺だってキスぐらいならって…。
でも…
キスしたら…いけない。
きっとしたら俺…
それ以上を求めてしまうから。
だから、自分を抑えてみせる。
二人きりでいたとしても。
なのに…

ピンポーン。
ガチャッ。
「ケーキ、持ってきたよ!!」

目の前の彼女を見た瞬間抑えられない予感がした。

プレゼント

「じゃ〜ん。どう?」

箱の中からケーキを取り出して見せる。
「おいしそうだ…」
「でしょ?」
良かったぁ…。

それにしても…お兄ちゃんの思惑は完璧に外れたな。

『このグロスを塗れば、ツヤツヤでふっくらした唇になって、男がキスしたくなるらしい』

『まさか』
グロスを塗ったくらいでそんな…

『俺は目に入った瞬間したぞ』
『グロスは関係ないでしょ?』
美人の唇だからしてるくせに。

『でも、やってみないと分からないだろ?あいつも男だ』
それでグロスを塗ってきたけど、キスされず…。

『襲われるかもしれないから、これ着て行けば?』
なんて言われて、去年プレゼントされたセクシーな下着も着てきたのに…。
襲われる気配もない。
と言うことは…

『されなかったら、お前からしろ』
無理、無理、無理、無理、無理〜!!!!

「食べたい…」
「あっ、そうだね。切り分けなきゃ」

包丁や皿を取りに立ち上がると、彼に腕を掴まれて、座らされる。
そして、両手で顔を包まれた。

「食べて…いいか?」
一点だけをじっと見つめて聞く彼。

『おいしそうだ…』
『食べたい…』

あれはケーキを見て言ったんじゃなくて私の唇を見て言ったのね。

『食べて…いいか?』
そんなの決まってる。

「いいよ…」

それが合図のように彼は私の唇を食べ始めた。
ゆっくり…ゆっくり…味わうように食べていく。
口から湧き出る唾液を全て吸いつくすように…
唇を何回も撫でるように…
激しくなく、苦しくない優しいキス。

ずっとしていて…。
もっと食べて…。

窓の外が暗くなった頃に彼は食べるのを止めた。

「食べて…いいか?全部…」
「いいよ…」

私の全部を食べて。
でも、ケーキも食べましょう?

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