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小説サイト投稿作品10 「いつもギュッと抱き締めて」(ペンネーム:大神ルナさん)


「いつもギュッと抱き締めて」(ペンネーム:大神ルナさん)

〜LC編集部のおすすめポイント〜

デートのたびに燃え上がる2人の、季節によって変わるちょっと不思議な関係を描いた作品です。

2人の熱いベッドシーンやその逆のシーンが対照的で、続きが気になりつい読み進めたくなりました!

夏にだけ優しい愛撫をしてくれる彼。その理由とは…!?

 

浮かされたようにベッドを共に…

四季の中で、秋と冬と春は熱に浮かされたようにベットを共にする。

厚着して待ち合わせて、買い物なんて特にしないで、手を繋いでどちらかの家に行く。
歩く速度は速く、握りあう手には力がこもっていて、会話をする余裕すらなかった。

互いに会う時間がなかなか取れず、いつだって顔を見れば、肌を合わせるのが待ち遠しくて仕方がない。

マンションに入れば、いよいよ我慢ができなくなって、少しの合間でもキスをしてお互いの体をまさぐりあった。
エレベーターが到着を告げる音を立てれば、なけなしの理性でなんとか離れて荒い息を整える。

鍵を開けて部屋に入れば、もう邪魔をするものはない。
玄関で濃厚なキスを交わし、縺れるように靴を脱いで、抱えられるまま彼の腰に両足を絡み付かせた。

壁に押し付けられて、舌を絡ませ唾液をすすりあうときに、彼の片手はスカートの下に入り、下着の中へと進入してくる。
彼が確認しなくても、あたしには分かってる。すでにそこは熱く濡れて、受け入れる準備を整えているって。

「いいから…はやくっ!」

唇を離してどうにか告げてから、あたしは彼の首にきつく吸いついた。

はっ、と息を吸う音がしたかと思うと、下着を横にずらして彼が一気に押し入ってきた。

慣れているとはいえ、1週間ぶりの感触に息をのんだ。
それとともに締め付けると、彼の口からは苦悶にも似た声がもれる。あたしの思考は、もうまとまらない。

彼が動きだす前に、自分で小刻みに腰を動かした。だって、疼いてしかたがない。
直ぐに呼吸を整えた彼は、あたしの腰をギュッと掴み、主導権を握りはじめる。
叩きつけるように抜き差しされ、あたしは彼の頭を抱き締めて快感の波に堪えようとした。

「あ…ああっ!」
「くっ…」

更に下半身を押し付けて、2人同時に絶頂を迎えた。

もっと激しく抱き合うためにベットに移動するあいだも、彼は中に入ったまま。
ベットに下ろされて、彼が軽く抜けるとすぐに情欲が溢れた。

それは彼も同じようで、互いの服を脱がしあって覆い被さってくる頃には、あたしのお腹の上で主張を始める。
そこからは、さっき以上の行為が待っていた。

会話なんてない。前戯だってない。甘い愛撫もない。
ただ、原始的な欲求に突き動かされるままに繋がりあう。
だからか、この3つの季節にするセックスは、終わった後に淋しさをあたしの心に残す。

いつもと違う、夏のあなた

夏。
暑さの激しいこの季節。会う回数は変わらないけど、待ち合わせ場所は変わる。

待ち合わせは、あたしの部屋。
彼は合鍵を持っているし、あたしはゆっくりと彼が来るまでの時間を楽しむ。半身浴をして、体のケアを入念にする。
お風呂から上がり、体を拭き終えて、ブラキャミとショーツを身につけると、あたしは用意しておいた椅子に座った。
念入りにボディークリームをすりこんだ。

肌を出す機会が増えるこの季節になると、乾燥する冬よりも肌には気をつかう。
自分のためというより、この季節だけのあることのために…。

ボディークリームの蓋をしめると、玄関の扉の閉まる音が響いた。
あたしは、ショートパンツを穿くとバスルームを出た。
彼はすでに缶ビールを飲みながら、ソファーで寛いでいる。あたしも缶ビールを持って、彼の横に座った。

「なんで、そんな離れて座んだよ」
「だって、外から帰ったばっかで暑いでしょ?」

あたしは、彼を見つめた。

その目は熱く燃えていて、これまでの季節と同じように見えた。
でも、だらしなく座った彼は、片足をソファーの上で立て、早急な態度は見せない。

「暑くねーよ。こっちこい」

のんびりと体を動かし、あたしの腰に腕を回して足のあいだに抱き寄せる。
背中が彼の胸板に当り、ギュッと抱き締められる。手はあたしの腕を撫で、肩と首の間に彼は顔を埋めて深く息を吸った。

待ちわびた愛撫

このときを待っていた。夏だけ、彼はゆっくりと抱き締めてくれる。
気だるげに腕を撫でながら、肩や首に優しくキスをしてくれて、長い愛撫が始まった。

しばらく、性的な接触はキスと撫でる手だけ。
いつもなら、とうに奥深くまで繋がっているだろうって頃に、キャミソールの下に片手が忍び込んでくる。
脇腹を上がり、肋骨を撫であげながら、彼に抱き締められてからずっと疼いてる胸を包み込む。

何度も触ってるはずなのに、初めて触る肌触りと感触を確かめるみたいな揉みかたに、あたしは吐息を漏らした。
でも、彼は急いでくれないし、何度も揉み続ける。

「ねえ…はやくっ」
「まだだ」

彼はあたしの肌に舌を這わせはじめた。

生殺しにも近い状態の中、ようやく胸から離れた手はお腹の方へと下がっていく。
ウエストがゴムのショートパンツの中に難なく滑り込み、ショーツの上から待ちわびて熱く濡れている場所を上下に擦る。

「ああっ!」

彼が片手を肩に回していなかったら、ソファーから転げ落ちていたかもしれない。待たされた体には、それだけの快感を生んだ。

荒い息を繰り返し、ぐったりと彼の胸に寄りかかり、余韻を楽しんでいるとギュッと抱き締められた。
なんだか、自分だけイカされたことが恥ずかしい。

この肌触り、たまらない

「ねえ」
「ん?」

彼は満足げに答えると、また肌を撫ではじめた。

「どうして…この季節になると優しいの?」
「優しい?」
「うん…こうやって、抱き締めてくれるから」
「ああー、いつもは悪い」

彼はばつが悪そうに言った。

「…いつもは、布が多いだろ?脱がせることに必死で、脱いだら脱いだで我慢ができない」

彼の腕に、また力が入った。

「んで、この季節は布は少ないんだけど、肌が気持ちよすぎて抱き締めたくなる。どこもかしこも気持ちよくて、いつまでも触っていたくなる」

そう言って、また彼はキャミソールの下に片手を滑り込ませた。

「この肌触り。たまらないよ」

待ちに待った愛撫。焦がれていた前戯。羨ましかった抱擁。
嬉しくて、恥ずかしくて、照れて、あたしはまた始まった愛撫に抗議の声を上げた。

そして、そんなあたしを彼は笑いながらギュッと抱き締めた。

大神ルナさん/著

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