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小説サイト投稿作品41 「嫉妬の威力」
「嫉妬の威力」
〜LC編集部のおすすめポイント〜
果乃と英司の二人は秘密の社内恋愛中。
梅雨が明けて最初の爽やかな日曜日、会社メンバー参加のBBQでそれは突然起こった…!?
周りの人たちも巻き込んで恋のバトルが白熱!
ハラハラドキドキの2人の秘密の恋の行方を確かめてくださいね♪
途中、一体どうなってしまうの?!とハラハラさせられましたが、それが余計に面白くてあっという間にこの世界に引き込まれます。
でもこの小説のような関係なら是非してみたいものです!彼の対応もカッコよくてドキドキしました!
秘密の関係
梅雨が明けて爽やかな日曜日。果乃は彼の車に乗って、海浜公園へ向かっていた。
特に社内恋愛に厳しくない我が社だけど、皆が知っていようともやっぱり公にする人は少ないし、隠している人達もいる。私たちもそう。
彼とはたまたま同じ課の2つ上の先輩、真優さんに誘われて行った飲み会で知り合った。
背はほどほどに高く子犬のような甘いマスクの彼は留学経験があって、物怖じせず人懐っこくて男女問わず周りに人が集まってくるタイプの人。
入社4年目で責任のある仕事をたくさん任されるようになっても、そのプレッシャーに やりがいを感じている姿は、やっぱり素敵だと思うし、当然社内でもそれなりに人気があるのに。
どうして私なんだろう…私は人目を引くほど美人ではないし、白雪姫なんて呼ばれている真優さんみたいな可憐な可愛らしさもないのに。
「ん?どした?」
ぼんやりネガティブ思考になっていると、赤信号で車を止めた彼に運転席から顔を覗き込まれた。
「私、来てもよかったのかな…」
今日は彼の同期主催のバーベキュー大会。
はじめは仲のいい同期とその彼氏彼女で10人程度のつもりが、いつの間にかその倍くらいの人が参加することになってしまい、
会社のレクレーション大会的に当初より広い場所を借りて行うことにしたらしい。
「もう着くのに今更そんなこと?」
車が再びスタートして交差点を曲がると、緑の木々が並ぶ海浜公園が見えてきた。
「だって…」
私達の仲を知ってるのは彼の仲良し同期さんたちだけだから、他の人たちがいるのにこうして一緒に行くこと自体どうなんだろうって思ってしまう。
「大丈夫だよ、果乃の同期も来るから安心しろ」
優しく頭をよしよしと撫でられた。この安心をくれる手が大好きだ。
おまけに彼は私の面白味のないストレートの髪を好きだと誉めてくれるから、前より念入りに手入れをするようになった。
「そうなの?誰だろう…」
それじゃあ余計に上手く誤魔化さないと。
「俺が相手してやれないときは斎藤さんのそばにいればいい」
「なに言ってるの?英司くんがいたらダメでしょう。私なら平気だよ」
駐車場に車を止めた彼が『はあ?』っと目を細めて私を見た。
「な、なに?」
「それどういう意味だ?」
「どういうって…」
もちろん、私たちが付き合ってるってこと、バレないようにしないとダメでしょう?
そう答えようとしたらフロントガラスをトントンと叩く音に続いて、秘書課の原園実穂さんの笑顔のどアップが。
「果乃ちゃーん!おはよー」
実穂さんに『おはようございます』と頭を下げてから彼を見ると、苦笑いして頷かれたので助手席から降りた。
「キャー果乃ちゃん今日もかわええのぉ」
実穂さんに頬っぺたをふにふに両手で引っ張られて変顔にさせられる。
「みひょさん…いたゃいれす」
「この変態オヤジ、果乃に触るな」
彼の仲良し同期の1人、秘書課の実穂さんはクールビューティーな外見からしていかにも仕事がデキる美人秘書って感じなのに、中身は残念なことにオヤジそのもの。
お洒落なワインが似合いそうでも、飲むのはいつもビールだし煙草も美味しそうに吸う。
何故かオヤジにだけはモテる私は、中身がオヤジな実穂さんのハートを出会ってすぐに射止めてしまった。
かわいいって言いながら小動物のように私を扱う実穂さんだけど、最近は相談に乗ってもらう頼りになる姐さんな存在になっている。
「煩いわね、果乃ちゃん北川とはいつ別れるの?私もっといいの紹介してあげるよ」
そう言って実穂さんは自分の担当食材を彼に押し付けると私の手を引っ張って行く。
「ふざけんなよ!おいっ実穂!」
「あ、あのっ」
振り返って彼を見る私に実穂さんは前を向いたまま言った。
「いいのよ、これで私も一緒に来たように見えるでしょう?」
「あっ」
「せっかくいいお天気だし楽しくやろうよ」
『ね?』って言われて、申し訳ないと思いつつ彼を振り返るのを止めて笑顔で頷いた。
昨夜焼き鳥屋さんで愚痴ったこと、ちゃんと聞いててくれたんだ。
決して流行りのお洒落な焼き鳥やさんではなく、オヤジばかりの立ち飲みのお店で私にハツとかカシラとかボンジリとかを注文させて楽しんでるだけかと思ったのに。
「実穂さん、ありがとうございます」
「いいのよ、あたし北川を苛めるの趣味なの。今日も何かあったら痛い目みせてやるわ」
「えっ、それって…」
どういうことでしょう?恐々実穂さんを見ると、満面の笑みが返ってきてブルッと身震いした。その笑顔怖いです。
「さて、涼しいとこに逃げるとしようか」
もう何も聞かない方がいい。
「はい」
実穂さんの後に素直について行く。これからバーベキューの前にバレーボール大会が開かれる。
昨日の会話の中で実穂さんは『絶対にバレーボールなんてしない』って、たらふくビールを飲んでいた。
おそらく二日酔いだと思うけど、それを指摘したら私だけ参加させられそうだから黙っている。
運動音痴…特に球技が苦手な私だって絶対にバレーボールは嫌だ。
ヤキモチ
トーナメント方式のペアマッチになったために運よく?!私と実穂さんペアは棄権して近くの木陰で見学していた。
「ねえ、北川のペアのあれ誰?」
「え?」
てっきり仲良し同期仲間の 田辺さんか加瀬さんとペアかと思っていた私は、その光景を見てドクッと胸に嫌な痛みを感じた。
英司くんの腕に親しげに腕を回してはしゃいでいるのは女の子。
「今年入社した企画部の新人亜稀ちゃんです…」
「はあーん、アレが里美の言ってたやつね」
彼女が英司くんを狙ってるらしいと、田辺さんの彼女で海外事業部の里美さんが教えてくれたのはつい先日のこと。
つい気になってどの子がそうか見に行ってしまったから、すぐにわかった。
「ずいぶんとあからさまね」
隣で実穂さんがふんって鼻を鳴らす。
「そう、…ですね」
嫌な気持ちを堪えて続けて見ていると、試合に勝った二人がハイタッチして喜んでいる。英司くん楽しそう。
いつもお家でデートが多いけれどそれはインドアな私に合わせてくれてただけで、
本当はこうやってアクティブに体を動かしたりする方が好きなのかも。
そう思ったら泣きそうになった。負ければいいのに。そんな私の黒い感情を悪魔が嘲笑うように2人は順調に勝ち進んで決勝戦に。
「あっ」
亜稀ちゃんがサーブをミスして彼に謝ると、彼がよしよしと頭を撫でた。
――やめて
「果乃ちゃん?」
――その手は私のなのに
「…何でもありません」
どす黒い感情を隠すように 実穂さんに向かって無理矢理笑うと、いつの間にか隣に来ていた里美さんが私の肩に腕を回した。
「あの子元バレー部だってさ」
わぁーって歓声が上がって見ると、 彼が決めたアタックが入り優勝したところだった。
亜稀ちゃんが飛び込むように彼に抱きついて喜んでいる。…あんな嬉しそうな英司くん初めて見た。
「ちょっと!なにアレっ!」
走ってきた環さんは腰に手を当てて自分のことのように怒っている。その後に来た真優さんは、持ってきた冷たい缶ジュースを私の頬に当てた。
「北川くんには似合わない子よねー」
英司くんの仲間なのにみんなが私の味方で嬉しくて、でも黒い感情が消えてくれなくて心の中がぐちゃぐちゃになる。
お墨付き
「私の果乃ちゃん悲しませるなんて…」
「へっ?!」
「懲らしめてやる」
すくっと立ち上がった実穂さんに他の三人が
『そうねよねー』とか『北川くんのくせに』とか『報いは受けるべきよ』って、大きく頷いた。
「み、みなさん何を…」
するのでしょうか?という疑問とともにバーベキューが始まった。
環さんは柔らかい笑みを浮かべながら、『焼きお願いします』とかテキパキと自分の思うように人を配置し、
里美さんと田辺さんは何を言ったのか亜稀ちゃんを私が見えないところへ連れて行ってしまった。
「果乃ちゃんの威力見せてあげましょ!」
真優さんが持っていた化粧ポーチからすごくいい香りのするヘアパフュームを私の髪にシュッとかけて『煙の側にはいかないこと』って怖い顔をした。
「真優さん?」
意味わかりません、と首を傾げると、『眼鏡王子のお墨付きよ』ってにっこり首を傾げ返されてしまった。
そして実穂さんは私を連れて…本当の中身は残念な性格だけど、それは仲間にしか明かしてないから 会社では当然秘書課の高嶺の華の1人として君臨してる実穂さん。
「原園さん、何か飲みますか?」
そう言って話しかけてきたのは企画部の加藤さんだ。個性派の俳優さんに似てて社内にファンが多いイケメンさん。
「原園さんはワインですよね」
あ、この人は総務の矢口さん。
環さんが『矢口くんが入ってきた年、急に備品の補充依頼が増えたんだよ』って言ってたこの人もイケメンさんだ。
「寺本って原園さんと仲がいいんだな」
って、同期の中では一番仕事のできると噂の坂井くんに初めて話しかけられた。
あっという間にイケメンさん3人に囲まれてしまってドギマギしつつ、実穂さんの威力に内心で舌を巻いた。
「果乃ちゃん、何食べよっか」
えっ、イケメンさんを無視ですか?!実穂さんにとって彼らは特別ではないみたいだ。
「えっと…」
「果乃ちゃんていうんだ、所属どこ?」
「白雪姫のところだよね」
加藤さんと矢口さんから話しかけられて、私はコクコクうなずくのが精一杯。
「そっか、やっぱ可愛いね」
「経理はハズレないからね」
「ですよね、同期の中では一番ですから」
あり得ない誉め言葉に真っ赤になった頬を隠すように慌てて下を向く。
「でしょう?」
実穂さん!さっきまで無視だったのに、なぜそこ乗っかるんですか!!
「今度から出張の手続きは果乃ちゃんに頼むことにしよう」
加藤さんにニコってされる。
「是非そうしてあげてください」
「み、実穂さん」
実穂さんは綺麗に微笑みながら、こっそり私にだけわかるように指差しした。
「あっ」
加藤さんの肩越しの向こう、加瀬さんの隣で英司くんがこっちを見て睨んでいた。その怖い顔に、咄嗟に顔を背けてしまう。
「あれ?なんかいい匂いする」
矢口さんが私の側でクンクンと匂いを嗅いだ。
「うん、俺も思ってた。寺本の髪だと思うんだけどいい匂いするよな」
どうなってるの??助けを求めて実穂さんを見ると、あの満面の笑みをされて再び身震いが…
「どれどれ」
加藤さんがサラッと私の髪をひとふさ持ち上げて匂いを嗅いだ。
「ホントだ」
加藤さんに耳元で甘く囁かれて軽く目眩がした。眼鏡王子のお墨付きって、こうゆうことだったんですか!?真優さんー!!
「髪、サラサラで綺麗だね」
あっ、頭を撫でられる……英司くん以外の人は嫌だなってぎゅっと瞳を閉じた瞬間、背後から強い力に抱き寄せられた。
「気安く触んな!」
「えい……北川さんっ!」
英司くんと言いかけたのを慌てて言い直しても、彼は私を抱き締めたままで。
「これ俺のだから!」
えっ!と驚く周囲を無視して彼は私の手を引っ張るようにしてずんずん歩いて行く。
このとき、実穂さんと加藤さんが拳を合わせていたのを私が知るのはずっと後のことだった。
仲直りのキス
「英司くん」
「うるさい!」
「酔ってるの?」
「んなわけあるか!車で来てるのに飲めるかよ」
気づくと駐車場まで来ていて、彼の車が目の前だった。
「そっか…ごめんね運転させちゃって」
ぐいっと助手席に押し込まれた。
「謝るとこ違うだろ!」
バタンッと大きな音でドアを閉められて、泣きそうになった。
「ごめんなさい」
運転席に座った彼に謝る。
「何が?」
「…」
会社の皆にバラすことになってしまって、って言おうとしたけど、意地悪な言い方をされて涙ぐんでしまった。
「俺より加藤さんのがよくなった?」
「違う!」
「じゃあ何?今日は最初から加藤さん狙いだったとか?」
「どうしてそんなこと言うの?!」
どうして私ばかりが責められてるの?段々悔しくなってイヤイヤと首を振った。
「ハッキリ言えよ!」
「英司くんだって亜稀ちゃんと楽しそうだったじゃない!」
「は?」
予想外の答えだったのか、彼は驚いて瞳を丸くした。
「亜稀ちゃん可愛いし、本当は私なんかよりああいう元気な子が好きなんでしょう?あの子だとオープンにできるみたいだし」
ドアを開けて飛び出そうとすると、腕を引かれて戻される。
「離して!」
堪えていた涙が堰を切ったように溢れだした。
「果乃っ…」
言葉を失って彼がはっと息を飲んだ。
「別に無理して私と付き合ってくれなくてもいいから!」
彼の顔が辛そうに歪んだ。
「……俺は果乃がいい」
見つめる瞳に嘘はないと確信できる。
「英司くんっ」
腕に飛び込むとぎゅっと強く抱き締められて、頭に深い安堵のため息と共に唇が落とされた。
「心配させてごめん。彼女とは何もないから信用してくれ」
腕の中でうなずくと無理矢理顔をあげさせられる。
「頼むからもう泣かないでくれよ」
「うん」
「果乃の涙すげー威力。俺、生まれて初めて心臓抉られたよ」
瞬きで涙を払って小さく笑うと、優しく唇が重ねられた。
「私だって抉られたよ?」
「ん?」
「亜稀ちゃんの頭を撫でたとき」
「そんなことした俺?」
ムッとして口を尖らせると、目尻を下げて甘く笑った彼に頭を撫でられた。
「ごめん、もう他のやつにはしないから」
そう言っていつものように手を差し入れて、彼が私の髪の感触を楽しんでいる。
「あのさ、」
「なぁに?」
うっとり見上げると、予想外の色気を含んだ彼の瞳にたじろぐ。
「加藤さんのためじゃないなら何これ」
「えっ?…んっ」
チュッと口付けられて、戸惑いながらもドキドキと胸が高鳴っていく。
「今朝はこんな匂いしてなかったよな」
「それは…んんっ」
啄むようなキスが徐々に激しいものに変わっていく。
「あっ…」
シートを倒されて、髪に顔を埋めながら荒い呼吸をする彼の手が、服の上から胸の形を確かめるように動き出す。
「ヤバい…我慢できない」
「あっ…だめっ…」
「…戻りたいか?」
どこになのか、何になのか 頭が上手く働かなくて首を振ると、起き上がった彼がシートを元に戻して私にシートベルトをかけた。
「英司くん?」
「家に帰ろう」
「ええ?!」
「本当は来たくなかったんだ。せっかくの休み、家で果乃とゆっくりしたいのに」
その言葉を聞いて胸に喜びの光が射す。
「運動とかアウトドア好きじゃないの?」
「果乃がやりたいっていうなら付き合うけど家でのんびりする方が好きだって知ってるだろ?」
「…うん」
私の知ってる英司くんは、いつだって素の英司くんだっんだ。そのことがはっきりわかって、顔が綻んでいく。
「果乃?」
「英司くん、大好き」
「ばっ…おまえ何煽ってんだよ!」
ぐいっと顎が掴まれる。
「そんなつもりは…やっ…んんっ」
力強く口付けられて、入り込んできた舌に身体の芯が火をつけられる。
「あっ…」
唐突に離れた彼の息があがっている。
「帰るぞ!いいな?!」
「……はい。あっ、でも」
「何だよ!」
「鞄とか…」
「あークソッ!待ってろ!」
私のぶんも一緒に大急ぎで荷物をとって戻ってきた彼の一言に、全身が真っ赤になった。
「覚悟しとけよ」
いつもより早いスピードで流れていく窓の外の景色を見ながら、心の中でみなさんに感謝する。
実穂さん、環さん、里美さん、懲らしめは物凄く上手くいったみたいです。そして、真優さん。…手塚課長のお墨付きはすごかったです。