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恋愛とセックスのかけ算/25歳 静香の場合
女友達
ミヨは周りから「ちょっと男癖悪いよね」と噂されるタイプだ。
ファションも薄手の露出系で、いかにもな女。
同性に嫌われる女投票では1位確実。
でも静香はミヨと一緒にいると楽しかった。
服とネイルの話題が3割、男の話題が7割を占めるスッカラカンの会話だが心からくつろぐことができた。
ほかの女友達は顔で笑っていても「私が一番幸せになってやる」的なこざかしさを感じる。
仕事でも恋愛でもコソっと一歩先に踏み出すような、気が置けない感じ。
ミヨはあっけらかんと本音を出すし、弱みも自分でわかっている。裏表がない。
この半年間、本命男はいないけれどセックスフレンドは二人いると公言しているところもいさぎよい。
寒さが緩んでコートを手に持って歩けるほど気持ちよい夜。
胸元が大きくあいたボーダーのシャツとショートパンツ、モスグリーンのタイツといういでたちでミヨが追いかけて来た。
「静香〜、待って待って。一緒に帰ろうよう。」
「ミヨ、今日は遅いんだね。残業がんばった?」
「いやあ、ロッカールームでマッチコム見てた。そろそろ本気のカレシ欲しくなっちゃってさあ。やっぱエッチだけじゃだめよ。ハート。ハートまで私のものにしたいの。あったかくなってくると屋外デートしたいもん、屋外エッチもだけど。エヘヘ」
意外な事を言うので静香は驚いた。
「本気じゃないエッチフレンドのハートはつかめないってわけね。ミヨ、もしかして結婚したい?」
「そ、結婚を考えたマジカレを見つけたいの。いつまでもミニやショートパンツが似合うわけじゃないもん。女の旬はあと一年。ね、静香の彼、結婚前提っしょ。見たい。写真見せて」
歩きながらスマホを取り出し、逸郎の画像を拡大して見せた。
ミヨはいきなり立ち止まり
「いいじゃ〜ん!いけてんじゃああん。ね、静香、イツローくんの友達紹介してよう。イケメンはイケメン友達が多い法則があるんだよ」
ミヨはやはりおもしろい。
静香はミヨに本気の恋人ができればいいなと心から思った。
ショートパンツからスラリと伸びた形のいい脚がちょっとうらやましく思えた夜だった。
幸せな時間

腕枕をしたスタイルで逸郎が呻いた。
「いててて、右腕しびれた。ちょい頭ずらして」
静香は微笑みながら逸郎の胸元に頭を置き換えた。
逸郎とこうしている時が一番幸せだ。
ほんわりと暖かい肌、洗い立ての髪の毛の香り、静香を抱きながら途切れる声でささやいてくれる「好きだよ」の一言。
逸郎が静香に入ってくるたびに愛が深まる気持ちになる。
逸郎はいつも波のてっぺんまで連れて行ってくれる。
逸郎の身体が静香に触れているあいだは、何もかも忘れて女になれる。
ネットや雑誌で「エッチのあとすぐ彼が寝ちゃって寂しい」という女子特有の悩みを目にするが逸郎はそんなことはない。
波の高みから滑り降りて息が落ち着いた頃、裸のままで静香を抱きしめてくれる。
髪の毛をゆっくり撫でながら。
「眠いでしょ」
と尋ねると
「エッチのあとは静香がいとしくてたまらない」
とスっと腕を差し出して腕枕をしてくれる。先に寝た事は一度もない。
逸郎の胸板を人差し指でなぞりながら静香は幸せな恋に酔いしれた。
逸郎の部屋には二人で撮った写真が飾られている。
日光の滝の前で撮ったもの。
滝のしぶきが陽の光に反射してキラキラ二人に降り注いでいる。
この日も湖のほとりのホテルで極上のセックスを楽しんだ。
旅先でリラックスしていたのか、いつになく大きな声を出し、芳醇な水に濡れ、乱れた夜。
写真を見るたびにその夜の自分思い出し、恥ずかしくなる。
逸郎も
「あんときの静香、すっごい感じてたよな」
とことあるごとに言う。
静香は逸郎にすべてをゆだねていた。
写真立てをうっとり見つめているとミヨからメールが届いた。
「この前のお願いきいてね!カレ友、期待してるよん」
静香はまどろんでいる逸郎にミヨの話をした。
「ちょっと男癖悪いんだけど、あっけらかんとしてて憎めない子なの。誰かいい人いないかな」
「いるいる、伸彦。彼女と別れて二年。募集中って騒いでた。サブローも一人もんだよな。いっしょにBBQでもする?」
「うん、じゃあ私も友達誘うから4×4でBBQしよう。ネットで確実に晴れそうな日曜さがすね」
逸郎は一昨年、BBQセットを買ったのに二回しか使った事が無いからコスパ悪いとぼやいていた。
やっと元がとれると思ったのかうれしそうだった。
風になびくスカート
突き抜けるような青空が気持ちいい日曜の昼下がり、川沿いの広場には食欲を誘うこおばしい香りが立ちこめる。
「このドラム缶コンロ、1万円もしたんだぜ。BBQはやっぱドラム缶コンロだよ。ワイルドー!」
逸郎がトングでフランクフルトをひっくり返しながら自慢している。
伸彦もサブローも缶ビールを片手に掴んで喉に流し込みながら焼けた野菜や肉を女の子達にせっせと運んでいる。
ミヨが甘ったるい声で叫んでいる。
「手伝いましょうか〜。ってか、すんごいよく働くんですね。男性の皆さん」
他の女性陣、多加子とマリエも手伝う気持ちはあったが、BBQ前半は男の領域だから女性は後片付けだけ協力してという逸郎の意見に従って食べるのに徹していた。
ミヨはいつもより濃いめのチーク、新発売の長めのツケマ。
なぜかミニスカートではなく膝丈のフレアスカートだった。
それも薄桃色の乙女チックなもの。
なぜこの日に限りミニではないかということに、静香はあとから気づいた。
風が吹くと「きゃあ」と言いながらスカートを両手で押さえている。
ミヨは狙って選んだスカートなのだ。
そしてミヨがシートの上に置いてあるバッグの中からリップクリームをごそごそ取り出すのを見て、あら?と思った。
先週、静香が見せたウォーターシャイニーのリップクリーム。
静香が好きでいつも使っているブランドのポールジョーのポーチも見えた。
何か違和感を覚えた。
「ミヨ、そのリップとポーチ…」
「あ、静香がこれいいって言ってたからおそろにしちゃった。たしかに静香、センスいいわあ。唇もツルツルしてきたよ」
おもしろくない気配だったが、場の雰囲気を考えてさらりと会話を替えた。
夕暮れまで、お互いの自己紹介やはまっていることなどを語って盛り上がり、健康的なBBQコンは終了した。
伸彦もサブローもサブローの従兄のケンもお笑い系で愉快な好青年だ。
「ミヨ、どうなの?誰か気に入った?」
後片付けの手を動かしながら、小声で聞いてみた。ミヨはネイルが気になるのか、指先に食器が当たらないよう不自然な動作をしている。
「みんなーいいー。みんなよすぎて一人に決めらんなあい」
スカートをひらひらさせながらミヨは意味深な笑いを浮かべた。
女の象徴
一緒にBBQに言ったマリエから着信があったので、オフィスの外に出てかけなおした。
外気はすっかり暖かく、ブラウスで出ると気持ちがいい陽気だ。
「マリエ、この前、BBQ付き合ってくれてありがと。なんかあった?」
「うん、まずいっしょ。どう考えたってまずいっしょ。あのあとさ、私、伸彦くんにゴハン誘われたから行ったのね。あ、ごめん、事後報告で。友達としてだよ。でね、伸彦くんがさ逸郎くんとミヨちゃんがこっそり会ってるって言うのよ。逸郎くんは静香のカレシだから、んなわけないって言ったんだけど、早めに伝えとこうって思って」
静香はキョトンとした。
思考が止まった。想像すらできなかった。
「だって、うちらラブラブなのよ。週末はいつも逸郎くんと一緒にいるんだよ、平日は毎日遅いし、ミヨと会う時間なんてないよ」
自信を持って答えた。疑うことすらしなかった。
「あのさ、男はさ、好きな女のためなら夜寝る前の十分でも会いに行くよ。平日か休日かなんて関係ないよ。」
胸の底がざわついた。
川辺でミヨがスカートをおさえる姿を思い出した。
うす桃色のフレアースカート。男に媚びる女というのは誰もが知っている。
静香はそれでもミヨを憎めなかった。
底抜けに明るいミヨに気持ちをあげてもらえる気がしていたから。
あの日、静香の持ち物と同じ物を二つ持っているのを見つけた時はしっくりこなかったが。
電話を切ったとき、生温い風がうなじを舐めていった。
ジトっとした汗がにじみ出ていた。
気づくと静香は逸郎の会社に向かっていた。
「急用があるからちょっと出て来て。十分で終わるから」
LINEを入れると、ただならぬ気配に驚いたのか逸郎は走って出て来た。
「なんだよ、なんかあった?会社来る事なんかないからびびったよ。あと1時間待ってくれれば一緒に帰れるけど」
「1分も待てない!確認したいだけ」
怒りとも動揺とも区別がつかない口調で言い切った。
「確認?なんの?」
「ミヨと会ってるかどうかの確認。誤解だよね。マリエから聞いたんだけど」
またなまぬるい風が吹いた。今度は春の嵐のように強い風。
静香はパンツをはいているので手でスカートをおさえたりはしない。
ドキリとした。
風になびくスカートは女の象徴。
静香はカジュアルな時はジーンズ。オフィスではパンツスーツ。
ミヨは制服以外の時は女性ですら気になる派手な装いをしている。
初めて危機感を感じた。遅かった。
ハンカチ
「誤解じゃないよ、ごめん。ミヨちゃんと会ってた」
静香は逸郎の足下を見つめた。視線をどこに置けばよいかさえわからなかった。
トクトクという胸の鼓動が最初はアリの足音のように、小さく、しだいに振り子時計のように正確にのど元で聞こえ始めた。ゆっくり口を開いた。
「いつも、仕事終わるの遅いよね。いつ会う時間があったの?」
逸郎が力なくポツンと答えた。
「残業の途中で1時間くらい抜け出したり、終電で会いに行ったり」
「終電で?ミヨの部屋に?あり得ない。何それ。ミヨがセフレいること知ってるでしょ。男癖悪いのよ。逸郎、遊ばれてるんじゃない」
「静香、それでもミヨちゃんのこと憎めないから一緒にいるって言ってただろ。裏表なくていい子って。僕もそう思った。明るくて男好きなのは、人一倍寂しがりだから、なんか一緒にいてあげたくなったんだ」
静香は言葉をなくした。だんだん息が浅くなった。
ヒッヒという息の音が自分でもわかる。
「バカよ、逸郎。伸彦かサブロー紹介するってことだったでしょ。自分が罠にはまってんじゃん。バカよ」
「ああ、男って単純なんだよ。胸が大きけりゃ目がいくし、見えそうで見えないスカートの中が気になるし。寂しいからって頼られたら肩を抱いてやりたくなる」
「浮気者!許さない」
「傷つけてごめん、でも僕、正直に話したから。すっとした。いつ言おうって思ってた」
「もう逸郎とは会わない。ミヨとも絶交」
逸郎はスマホで時間をちらりと見て背を向けた。
「残りの仕事終わらせないといけないから行くね。もう会いたくないならそれでいいよ」
静香は一人で立ちすくんだ。混乱していた。
「何それ?私がミヨを逸郎に会わせたからこんなことになった?なんてことしたんだろ」
不思議と涙は出て来ない。
ミヨへの怒りも沸点まで達したが、女の武器をうまく使うという意味では負けを認めざるをえない。
それを静香は後悔した。
女っぽい部分を逸郎に見せたことはあまりない。
セックスも旅先のセックス以外はワンパターンだったかもしれない。
きっとミヨはあの手この手で男性が喜ぶすごいセックスをしかけるんだと感じとった。
ミヨはミヨで私の真似をしたりして、逸郎好みの女になろうと動いていたにちがいない。
ぬかりない。完敗だ。
夜、マリエを自分の部屋に呼び出して飲み明かした。
ミヨと逸郎の悪口をひとしきり吐き出したら少しだけ気持ちが軽くなった。
翌日、オフィスの廊下でミヨとすれ違った。
ミヨが静香の腕をつかんで化粧室に引っ張り込んだ。
「ごめ〜ん。逸郎くんもらっちゃうね〜。私の本命になってくれるって。静香はきれいでしっかり者だから、すぐカレシ見つかるよ。私はだらしなくって、こんなだからもてないからさあ、逸郎くんちょうだいね」
あきれて答えが出なかった。
ビシッ!
気づいたときにはミヨの左頬を打っていた。
ミヨが上目遣いに静香を見る。
みるみる目に涙が溢れ出る。
十秒で透明のしずくが溢れだした。
かよわい女を見せつけるミヨ。男はこんな女になびくのだと、腑に落ちた。
ハンカチを差し出し、ミヨの涙を拭こうとした。
グレーのマニッシュなハンカチ。
ミヨは首をプルルッと振り、ポケットからレースがヒラヒラしている白いハンカチを取り出した。
細い肩を上下に揺らし、ハンカチで涙を拭うミヨは身震いするほど美しかった。
END
あらすじ
ミヨは周りから「ちょっと男癖悪いよね」と噂されるタイプだ。
ファションも薄手の露出系で、いかにもな女。
それでも静香は彼女のことが憎めなかった。
そんなミヨがある日、男性を紹介してほしいと、友達を集めBBQすることに…