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【後編】恋愛とセックスのかけ算/21歳 萌奈の場合
お姫様気分
「でもさ、すっごい濡れてる。こんな濡れるものなんだね」
ペチャリペチャリと猫が水を飲むように、萌奈は二つに割れた部分を舐めあげる。
自分も同じ構造をしているのに、人の秘部を見ているとなまめかしくて、いやらしい気持ちになる。
ベトナム珈琲の練乳のように、ねっとりした液がくちびるの周りにまとわりつく。
嫌ではない。もしかすると、自分は男も女も愛せる体質かもしれないと思う。
ペチャリペチャリ。秘密の音が部屋に響く。
小さなボリュームでBGMが流れていることに気づく。
その音に負けないよう、更に舌を突き動かす。
隠れていた真珠のような突起がムクっと膨らみ、何かをねだる。
元カレは、その真珠をペロペロしながら指を入れてくれたことを思い出す。
萌奈は右手の指をそっと真珠の下にある割れ目に忍び込ませる。
「きゃあーーん」
ミチカは突如大声で叫ぶ。
「あ、痛い?」
ミチカが首を振る。
「もっと、もっとたくさん入れて。ミチカのそこ、いじめていいから」
相手が自分の動きに寄って様々な反応を返してくれことが心地よい。
肌は熱味を帯び、腹が波打ち、吐息が乱れる。
さらに、エッチな言葉でねだる。甘える。恥ずかしがる。
そうしているうちに、女の部位がねっとりとした迎え汁をどんどん放出する。
そして、萌奈の方も感じたくなってくる。
「ミチカちゃん、私も……私も気持ちよくなりたい」
ミチカが今度は同じことを萌奈にしてくれる。
ペチャリペチャリと音をたてて、真珠を掘り起こしてくれる。
「……ん……いい……」
萌奈もまた濡れそぼる。
ミチカは初めてとはいえ、探るように萌奈のそこを舐め回す。
舌の動きが戸惑いがちで、じれったい。
そのじれったさもまた萌奈の欲情をかきたてた。
「ミチカちゃん、私にも指入れて、その中でかき回して……」
ミチカは言われた通り、指を入れ、萌奈の中でじっとり回転させる。
最初はおそるおそる……。萌奈が良さそうな顔を見せると、大胆にぐるりぐるりとかき回した。
萌奈は、両手で自分の乳房を揉み始める。
上半身は自慰をし、下半身はかわいい女の子に指で責められている。
こんな世界があったんだ。
萌奈は、お姫様気分でラブホセックスの広がりを知る。
いきなり達する。ミチカの細い指が萌奈を白い世界に押し上げた。
しばしその白い世界で遊び、萌奈は戻ってくる。
脱力。けだるい感覚が萌奈を襲う。
大の字になって、天井を見ながらつぶやく。
「女の子とエッチなことしちゃった……でも、すごくよかった」
ミチカがまた萌奈の上にかぶさってキスをする。
「ありがと。これでこっち、一皮むけた。大人になれた」
「セックスって、する人によってこんなに違うんだね。男としかしたことないから、なんか、成長したって感じ」
「こっちのカラダで勉強してくれた?」
「……うん。反応がいいと、相手は喜ぶってことがよくわかった。今までの彼氏には悪いことしたな。最中にいちいち確認しなかったし、マグロってやつだった……」
ミチカが一瞬悲しそうな顔をする。
「萌奈ちゃんがほかの彼氏さんとこんなことするのは悔しいけど、そこはしょうがない」
萌奈はミチカの頬に短いキスをする。
「こっち、セフレになろう……」
「ラブホで女子会する友達以上の関係……」
「いいね。友達以上。このお部屋すっごくきれいで快適だもん。また来ようよ」
「バイト増やさなきゃ」
「私もネットショッピング、自粛する。フリマサイトもしばらく開かない」
「あ、ハニートースト注文しよう。まだ時間たっぷりあるから」
アイスクリームがたっぷりのったハニートーストを裸で食べながら二人はタウンページサイトを開いた。
ミチカのバイト先を探す。
「これどう? お菓子屋店員、楽しそう」
「うれ残ったお菓子、もらってきて」
「レストランのほうがよくない? ゴハンの心配ないし。ゴハン無料で食べれる」
会話の合間合間にキスを交わす。
友達以上の関係が始まった。
初デート
吉岡との初デート。
吉岡は有楽町の高架下の店に連れて行ってくれた。
萌奈は胸元が大きく開いたピチッとした素材のセーターを着ている。
大きなドロップ型のトップがついたペンダントを盛り上がった胸の上で揺らす。
「夜景は見えないけど、美味い店がたくさんあんだよ」
「うん、初めて来た。お店たくさん並んでるんだね。端っこから全部はいってみたいな」
「いいよ、制覇しよう。今日はここのアイスバインが食べさせたくてね」
塩漬け豚肉の煮込みをフォークでつつくとホロリと身が崩れる。
一口入れると、ジューシーで絶妙な塩味。
「おいしい! このキャベツの酢漬けに合うね。吉岡さん、ナイスチョイス。」
ビール好きの吉岡はすでにミュンヒナーを2杯飲み干し、顔を赤らめて満足げだ。
「萌奈ちゃんの食べっぷり、ほんといいわ?。うちの会社の女子たちって太るからって食べるの遠慮するし、カロリー計算のアプリいじってばかりでつまんね。そんな痩せたいかな?」
萌奈はメニューを珍しそうに見ながら答える。
「スマートな女性がきれいって男の人たちが認めたのかどうか疑問だな。ファッションサイトがあおってない? モデルさんみんな痩せてる。男の人が抱きしめた時、フワっとしてるほうが気持ちいいと思うんだけどな。抱いた時、骨ばってるのってどうよって」
「そうだね、萌奈ちゃん、わかってるじゃん。萌奈ちゃんは痩せてはないけど、自分の体型よくわかっててすごくかわいいし、セクシーだ。制服もよかったけど私服もいい。胸、強調してて、目のやり場に困る……」
「そっ。大きいんだから隠さず、目立たせたいの。アメリカではグラビアモデルになれるかもね。日本じゃ無理だけど」
二人はさらに意気投合した。
「萌奈ちゃん……まじタイプ。毎週会ってよ」
吉岡が萌奈の胸元に手を伸ばし、ペンダントトップをいじりながらつぶやく。
「うん。私も吉岡さんのこと、好き。いろいろ知りたいな」
「趣味とか家族構成とか?お決まりのこと?」
萌奈は笑って、吉岡に顔を近づけた。
「おねえちゃんはそういうの聞きなさいって言うけど、私は吉岡さんがどのくらいエッチか知りたい」
吉岡が親指を立てる。
「僕は草食系じゃありませーん。付き合った相手は高校から数えると6人。前の彼女と別れた理由は……彼女がエッチ嫌いだったから」
萌奈は顔をしかめた。
「それはダメだね。でも、私もそんな積極的じゃなかったんだ。それじゃいけないと思って、勉強し始めたとこ」
「へえ?ネットで勉強?」
「……えへへ。そうだよ」
萌奈はミチカとの関係はごまかした。
「今度の週末、うち来る?2kでわりと広いんだ。車の模型が散らかってるけど」
「行く! お弁当持ってく。からあげとかメンチカツの」
「さすが、女子力高いね。男が好きな食べ物わかってる」
?
吉岡のマンションは隅田川沿いだ。
下町と呼ばれているが、おしゃれなカフェが駅前に軒を連ねていた。
その合間に昔ながらの和菓子屋や生地屋が挟み込まれている。
今と昔が交じり合う居心地がよい街。
昔から棲む人々と最近住み始めた若者。
挨拶こそ交わさないが排他的ではない。
上手に下町ライフを楽しんでいる。
車の模型で散らかっている部屋からは隅田川が見える。
「リバービューってやつ。水のそばって落ち着くんだ。会社ではPCとにらめっこだから家では川の景色を見てる」
「そうかあ。私も会社ではPCばっかで肩こってるけど……家でもずっとスマホ見てるよ」
「スマホが身体の一部になってる系女子?」
「そう。まさに」
話しながら自然にキスをする。
吉岡は萌奈のワンピースの背中に手を這わせ、ファスナーを引き下げる。
「ええ?お弁当持ってきたのに、食べないの?」
「……あとでゆっくり。まずは、萌奈ちゃんをいただきたいのです」
部屋の隅にある大きめのパイプベッド。
二人は服を脱いで重なる。
しならせる背筋
吉岡は想像通り、慣れた動きだった。
萌奈の腋に手をはさみ、ゆっくり横腹を撫でる。
「いい……いいよ。このプルプル感。僕が触ると萌奈の身体が波打つ。最高にセクシー」
「吉岡さんも、筋肉ついててたくましいね」
「洋太って呼んで。二人きりの時は」
「洋太さん……もっとさわって」
30分以上、吉岡は萌奈の肉厚を楽しんだ。
胸元に頭を乗せたまま、右手をすべての部位に滑らせる。
萌奈をうつ伏せに寝かせ、ヒップラインにくちびるを這わせる。
「うわあああん、気持ちよくてどうにかなりそう」
萌奈はヒップをあげて四つ這いになる。
萌奈の太ももの間からかわいらしい割れ目が覗く。
吉岡は膝立ちになり、萌奈のヒップを左右に開く。
膨れ上がったソレでテラっと光るその部分を責める。
「きゃああああ……」
萌奈が猫の背伸びのように背筋をしならせる。
「ああ……やっぱり最高だ。萌奈のここ、厚みがあって、弾力抜群。締め付けられる。吸い取られそうだ」
「痩せてる女子より、そこの具合がいいの?」
萌奈が振り向いてエッチな質問をする。
吉岡はギュっと目をつむって、腰の動きを止めて頷く。
我慢できないという顔付きだ。
「んんん……感じる……」
「僕もだ……萌奈……もう」
「待って!」
萌奈が腰を引く。ぬるりと抜ける。
「どうしたんだ」
「まだ、終わらないで。今度は私が気持ちよくしたげるから」
吉岡を仰向けに寝かせ、激しいキスをする。
吉岡の乳首を舌先でチロリと舐める。
「……うっ」
「言ったでしょ。私、勉強してるの。どこが感じるかだいたい分かるの」

ミチカのどこが感じるか試した夜のことを思い出す。ひとつひとつ。
どの部分をさわればミチカが声を出したか、どんな強さで噛めばミチカがビクンとしたか。
目の前に横たわる吉岡がミチカだと思って丁寧に舐める。噛む。吸う。息を吹きかける。
「うわ……もうたまらない。すごいよ、萌奈ちゃん……なんでそんな、うまいの」
「実はね、マネキン人形で練習してるの。ネットで買ったきれいな人形」
とっさに嘘をつく。
「入れさせて」
吉岡が辛抱できず、萌奈の上に位置替えをする。
「私達、うまくゆきそうね」
「ああ、すごいうまくいくよ」
吉岡がまたも萌奈に侵入する。
今度は後ろからではなく、前から。
「んぐぐ……あああああ」
足を吉岡の腰に巻き付け、締め上げる。
「……あ、だめだよ。そんな締めちゃ……あっ」
数回、腰を押し付けただけで吉岡が果てた。
萌奈は不完全燃焼だが、ミチカと学びあった成果を感じることができた。
吉岡の横顔にキスをして、そばにあったシーツを身体に巻き付け、冷蔵庫に向かって歩く。
喉がカラカラだ。
「ビーナスだ。裸のビーナス」
吉岡が薄目を開けてつぶやく。
「ビーナスの像ってふくよかだもんね。私はダイエットなんかしないよ、絶対。ね、お水飲んだらまたしようよ」
?
その日、二人は何度も重なった。
萌奈が作って持ってきた肉料理たっぷりの弁当のおかげで、パワーが夜中まで持続した。
何度かミチカからLINEが流れてきたが、スルーした。
それほど、吉岡とのセックスは楽しかった。
これまでの彼氏達とは受け身セックスだったことを悔やんだ。
「洋太さん、女子がエッチだと、ドン引きする男子のほうが多い?」
「そりゃ、自信がない男の話だよ。僕みたいなエッチ好きにはむしろ嬉しい」
「よかった……洋太さんが草食じゃなくて」
「僕も。萌奈がふくよかで、エッチが上手いことが分かってよかった」
浮気相手
ミチカは新しいバイトを始め、張り切っていた。
駅構内にあるお菓子屋の販売員だ。
声優の夢も捨てていないので、お客とは思い切り明るいアニメ声で話す。
「かわいい声ですね」と言われると嬉しい。
?
久々にミチカとサンマルクで会う。
「萌奈ちゃん、まじでショッピング熱冷めたんだね。一押しアイテムのLINEくれなくなったから、こっち、寂しいよ」
「ミチカちゃんと女子会する資金貯めてるんだってば」
ミチカが、顎をクイっと上にあげて笑う。
なんとも言えずかわいらしい。
「こっちももうすぐ初給料日。また行こうよ。新宿のラブホ?」
「いいよ。ミチカちゃんと勉強会したおかげで、すっごくいいエッチできた」
「えっ? もう? この前、付き合おうかなって言ってた彼氏さんでしょ。するの早くない?」
「じらしてさせないより、早めにしてつなぎとめておこうって思ったんだ。ねえちゃんの教えもあって」
ミチカがいつものようにベトナム珈琲の底によどんだミルクをクルクルかき混ぜる。
「ま、めでたいことだから祝福するわっ」
「祝ってくれる顔つきじゃないね」
ミチカがテーブルの下にある萌奈の手を握る。
「悔しいけど、おめでと……でも、時々抱っこしてくれる?この前みたいに」
「うん。約束したじゃない。内緒でラブホ女子会しようよ。あのホテルで女子会すると恋が実るって伝説、まじかもね。ミチカちゃんも彼女できるかもしんない」
「こっち、今、萌奈ちゃんが好きなの。彼氏さんにはかなわないから、セカンドにしてね」
萌奈は不思議な気がしていた。
普通、浮気相手は男のはず。
セカンドが女ってどういうことだ。
ばれても「女友達」と言えばそれですむ。いや、ばれる心配はない。
萌奈とミチカが一緒にいても誰も何も疑わない。
この関係で傷つくのは誰だ?
ミチカが嫉妬しているのはそれとなくわかる。
萌奈にとっては大切な女友達以上の存在。
考えていると、ループにはまる。
吉岡と付き合うと決めたけど、ミチカのことはやはり大事だ。
「月末、行こう! ラブホ。いい香りのお風呂に入ろう」
萌奈はテーブルの下のミチカの手を握り返した。
マニッシュな姉御肌
ミチカはお菓子屋のバイト先で売れ残ったマフィンとプリンが入った箱をかかえ、新宿のラブホテルに向かう。
リゾートみたいな豪華な部屋で萌奈と二人きりで過ごすことを目標に仕事を頑張った。
立ちっぱなしでふくらはぎがパンパンに張る。
個数やお釣りを間違えると激怒する客の対応には緊張する。
でも、萌奈と会うためと黙々と働いた。
前は何事もヤル気が出ず、中途半端な態度でバイトをしていた。
変わった。積極的でいきいきしている萌奈を見ていると、近づきたい衝動にかられる。
ミチカは足取り軽く新宿の繁華街を歩く。
ドスン。
足早に歩いてきたジーンズ姿の女にぶつかり、ケーキの箱を落としてしまった。
「悪い。ほんと、悪い」
男っぽい口調の女が箱を拾ってミチカに手渡す。
キリっと上にあがった眉尻。涼し気な目元。
白いジャンバーをラフにはおって袖を肘までまくっている。
足元を見ると素足にシルバーのフラットローファー。
マニッシュな姉御肌。
かっこいいの一言に尽きる。
「これ、ケーキ? 弁償する。あたしがぶつかったんだから」
ぽーっとした。
かっこよすぎて胸がドキドキする。
「……い……いいです。泥がついたわけじゃないし。こっちもボっとしてたし」
「でも、形くずれたと思う。中、見て」
箱をあけるとプリンの上に乗っかった生クリームがべっとりはみ出ている。
「いいんです。いいんです。あの……」
「もしかしてあなた……」
かっこいい女はそう言いながら名刺を差し出した。
BARカオス ジュン
「間違ってたらごめん。女性客が多いバーやってんだ。二丁目で。遊びに来て。ケーキこわしたからお詫びする」
「ジュンさん?」
女はスっと手をあげて、タクシーを止める。
「じゃ、急いでるから。そのリュックのうさぎちゃん、かわいいね」
タクシーで去った女を見送り、ミチカは熱いため息をつく。
沈黙のソーダ水
二度目のラブホ女子会。
萌奈と二人きりの世界。今回の部屋も、まさにバリ島。
籐の椅子が置かれ、木目調のインテリア。プルメリアの花まで飾られている。
本物のバリ島に行かなくてもここで充分、旅行した気分になれる。
ミチカはずっと萌奈に抱きついていた。
「旅行に来てるみたいだね。東京じゃないみたい……」
ミチカは嬉しくてたまらない。
萌奈は、ミチカのショートヘアをやさしく撫で回す。
「彼氏の話していい?」
「……うん。いいよ。」
「難しい仕事を任されてて、ずっとPCに向かってるんだけど、私といる時はPCもスマホも見ないって言ってくれたんだ」
「えー、萌奈ちゃんのほうがスマホ依存症だから、自分もスマホ見れないとキツイっしょ」
「ううん、そんなことない。私、ネットの世界からリアルのほうに引っ越そうとしてるんだよ。フリマアプリも開かないようしてる」
ミチカは伏目がちにつぶやく。
「じゃあ、こっちとの夜のLINEはもうしなくなるの?」
「それは、続けるよ。でも、ネットの話題じゃなくなるけど」
はがゆい気持ちが、ミチカに芽生える。
「話題が彼氏さんのことばかりになるなら、嫌だな……」
悲しそうな顔をするミチカを見るのは辛い。
萌奈は割り切らなければミチカにも悪いと反省した。
「ねえ、友達以上の関係だよね。恋人じゃない。ヤキモチ焼くなら、続けられないよ」
ミチカはどう答えていいか分からない。
しばらく黙っていた。数分後、言葉より先に嗚咽が漏れた。
背中が上下に揺れる。しゃくりあげるミチカの背中を萌奈がさする。
涙でびしょびしょになった頬にキスをする。
「私も変な気持ちが続いて悩んでるんだよ。ミチカちゃんのことは大好き。でも、カレと一緒にいるとやっぱりカレが一番。男の人との恋を実らせたい」
「彼氏さんとも私とも付き合うって言ったじゃない……」
ミチカは細い声を振り絞る。
漫画のラストシーンのような悲しげな声。
「うん。そうしたい。でも、カレに悪い気もする」
二人は1時間近く、無言でソーダ水を飲んだ。
プルメリアの香り
「せっかくラブホに来るために、こっちは頑張って働いたのにな。旅行気分になりたい」
ミチカが先に言葉を出す。
「そうだね。お風呂であったまろうよ」
萌奈はこの前のようにミチカの服をゆっくり脱がせ、ロビーでもらったバスソルトをたっぷり入れたバスタブに誘う。
温かいお湯が二人の葛藤をほぐしてくれる。
じんわり血管が開き、汗がにじむ。
悩む気持ちが汗とともに絞り出される。
「萌奈ちゃん、ごめん。彼氏さんとのこと邪魔しないなんて言いながら、こっち、すごい嫌がってた。独り占めしたいって胸の中で思ってた」
「いいよ。あやまらないで。私も迷いがあったんだから。男の人と女の人、同時に好きになれるもんなの?って」
「萌奈ちゃんはこっちの理想の人だったんだ。趣味も合うし、ネットの話もとぎれないし。女の子でこんなネット話で盛り上がる人いないもん」
「そうだろうね」
「身体も好き。ぷっくりしてて包み込んでくれる……」
ミチカが萌奈の乳房に手のひらを重ねる。
「このおっぱい、他の男の人が触ったり舐めたりしてると思うと、やっぱり……嫌だ」
萌奈は決めた。
女子会はこれで最後だと。
「じゃあ、エッチな関係はなしにして、カフェで会う友達になろう。お茶友」
ミチカは、バスタブの湯の中にもぐって10秒出てこなかった。
「プハー!」
お湯から顔を飛び出させ、ミチカが言う。
「一回死んだ。溺死。で、蘇った。新しいミチカ。強くなったミチカ」
「あはは、カッパみたいだよ。カッパミチカ」
二人は湯気に包まれながら、最後の長いキスをした。
部屋にはバリの民族音楽がやさしく流れている。
小さなトリップ。
最高の女子会。
ラブホを出ると外は暗くなっている。
新宿の繁華街のネオン達が起き始める時間。
「あのね、萌奈ちゃん、ラブホ女子会すると恋が叶うって言ってたっしょ」
「うん。ねえちゃんから聞いた。ただの噂だよ」
ミチカは、じっと萌奈を見つめる。
「ほんとだよ。きっと。萌奈ちゃんは彼氏さんできたし、こっちも新しい恋を探す決心ができた」
ミチカは、白いうさぎのホルダーがついたリュックを背負い直し、スタスタ歩き始めた。
うさぎがピョンピョン揺れている。
ジーンズのポケットにはBARカオスの名刺が刺さっていた。
いつもより速く、力強い足取りだった。
「ミチカちゃん、また会おうね。カフェで……」
萌奈は背中に向かって声をかけた。
ミチカは振り向かずに手をバイバイと振った。
萌奈はラブホの玄関を振り返る。
熱帯のヤシの木が生い茂り、バリの石像が立っている。
「いいなあ、リゾート気分って。今度は洋太さんを誘ってみよ」
女子会をすると恋が叶う……そう教えてくれた美梨に感謝した。
ちょっとだけ心に風が吹き込んだが、プルメリアの香りの暖かな匂いがした気がした。
END
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あらすじ
主人公・萌奈の姉はラブホテルで女子会をやって、女の子同士でレクチャーし合ったり、バイブを使ったりして男のツボを押さえる実技訓練を行なっていたことを聞かされた。
萌奈は興味を持ったものの、それはさすがにヤバいと思っていた。そんなある日、休日にカフェチェーン店に行ったところ、スマホのイヤホンジャックで同じものを持っているとミチカから声をかけられる。