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【前編】恋愛とセックスのかけ算/27歳 蓮の場合
東京は自分の国

蓮の自宅がある高層タワーのクラブフロア。朝日が東京タワーに反射して、まばゆいほどだ。
蓮の両親が34階に住み、33階の2LDKを蓮に生前贈与してくれた。
蓮は毎朝、タワーのクラブフロアで珈琲を飲みながらPCでニュースと株価をチェックする。
天井から床まで磨き上げられた大きな硝子越しに見る東京は自分の国のようでもあり、よそよそしくもある。
存在を誇示する大きなビルから、親指で押せば簡単に地面に埋め込まれそうな小さなビルまで。
蓮の立つ場所からはくっきり見える。
反対側の窓まで歩くと、霞がかったスカイツリーがある。
下町と言われていたあたりも今では新しい商業施設がビッシリ立ち並び、賑やかさをましている。
珈琲のおかわりをクラブスタッフに頼んで、蓮は下の世界を見下ろしていた。
会社には好きな時に出社すればよい。混雑時の満員電車に乗らずともよい生活を蓮は何不自由なく手に入れている。
僕は恵まれている
祖父が起こしたアジア地域ターゲットの貿易会社が軌道に乗り、父はバブル期に祖父が儲けた金で不動産投資をした。当たった。
その恩恵を3代目の蓮が受け継いでいる。蓮は私立の一貫校に進み、グローバルに活躍できる人間を育てる大学に入った。
在学中、アメリカに留学したので語学は堪能。今は大手外資系の会社に席を置き、東京とシカゴを往復している。
テーブルの上のスマホが震える。母の美佐からだ。
「蓮ちゃん、上にいるの。ねえ、エッグベネディクト作ったのよ。朝ごはん、食べにいらっしゃい。オランデーズソースも手作りよ。とうさん、皇居まで走るって言って出かけちゃったのよう」
還暦を迎えようとしているのに、美を保つことにすべてを費やし、まるで40代に見える母。
父の会社の役員報酬も受け取っているので、使い切れない金を持っている。
「かあさん、今日はキャピトルのラウンジで打ち合わせがあるんだ。そろそろ出なくちゃ」
「あらあ、残念。野菜食べなくちゃだめよ。350グラムね。とうさんみたいにでっぷりしちゃだめよ。あなたはスリムでかっこいいんだから」
「わかってるから。切るよ」
「あ、蓮ちゃん」
「なに?」
「土曜はあけておいてね。岸ノ下さまがお嬢さまと一緒におうちに遊びにいらっしゃるの。久しぶりに蓮ちゃんに会いたいそうよ」
「成城の家のほう?」
「そう。牧野さんにお掃除頼んでるのよ」
「はいはい」
蓮の両親はいたるところに家を持っている。平日はタワーに住んでいるが週末は成城の豪邸に戻っている。
本物の百人斬り
その夜、蓮は大学のカヌー部の仲間の恵一と赤坂で飲んでいた。
一ツ木通りから少し入ったところにコソっとある常連しかいないバー。
「おい、蓮、おまえ30になるまでにはチェリーボーイは卒業しろよな。今時、国宝ものだぞ」
恵一が蓮の股間をポンっと叩く。
ハードサイダーをグビリと音をたてて飲み干し、蓮は恵一を睨む。
「こんなとこで言うなよ。誰かに聞かれたらかっこ悪いだろ」
「誰も本気にしないよ。すでにギャグの域だ。お前みたいに見てくれのいいリッチマンが童貞なんてあり得ないからな。周りで百人斬りって噂が流れてるぞ」
恵一は黒光りする布で仕立てたスーツを身にまとい、マット系のワックスでヘアスタイルを決めている。
大手代理店の名刺さえ出せばどんな女性も一晩寄り添ってくれる。恵一こそ本物の百人斬りだ。
同じお坊ちゃまなのに、恵一は親に反抗しながら一線逸れた生き方をしている。
女は退屈な時に撫でたり、じゃれてやったりすると喜ぶ猫みたいなもんだと思っている。
上等の女にちやほやされそうな企業に就職もした。
恵一の就職先選びは「女にもてる」という動機しかないと仲間たちは笑っていた。
そんな破天荒な恵一と中学の頃から離れられない。
蓮は自分がやりたいことを恵一がやってくれる、生きたい世界を恵一が生きてくれる。
だからそばにいると心地よい、とどこかで気づいていた。
「そうだ、蓮の会社で言い寄ってくるキャット女、どうなった?サキちゃんだっけ」
「あいかわらずすごいよ。エレベーターには必ず一緒に乗ってくるし、食事誘えって毎日、メール来る」
「楽勝でやれるぞ。でも男ってのは厄介だよな。あっちから近づいてくるとおもしろくない。手に入らない物をなんとかして勝ち取るって過程にスリルと昂りを感じないか」
「お前はそうかもな」
「蓮もそうだよ。かぐや姫を狙って贈り物を探しに奔走した奴らの気持ちがわかるよ。どっかにいないかな。月の世界から来た手に届きそうにない上等女。サキちゃんみたいにあっちからキャットみたいに寄ってこない女」
「俺はそんな人を見つけたらすぐに童貞を捧げるさ。それまでは百人斬りのイメージのままかっこつけとくよ」
「いやいや、サキちゃんで練習しとけよ。いざという時、うまくいかないとかっこ悪いぞ」
二人は高笑いした。
優越感
「蓮さん、お疲れ様!」
会社の廊下で沼崎サキが声をかけてきた。
「待っててもゴハン誘ってくれなそうだから、あきらめました。でもね蓮さんの好きな珈琲なら付き合ってくれるでしょ。新しい珈琲屋、パドラーズかゴリラコーヒー行ってみません? 評判すごくいいんです」
「サキちゃん、俺、忙しいんだよ。シカゴの会社の案件かかえてるの知ってるだろ」
サキはグイグイ押してくる。
「はい。でも夜、よく一ツ木通りで見かけるので、息抜きしてるんだなって知ってますよ。一ツ木通り行く前、1時間でいいから珈琲付き合ってください。そしたら私、気が済みます」
明るい色のフレアスカートから細い脚がシュっと伸びている。
スカートをヒラヒラさせてかわいらしく笑っているが、目は真剣だった。4ヶ国語堪能で将来有望だと言われている。
サキほど聡明でスタイルがよかったら男なんて誰でもデートしたいだろう。
なぜ僕なんだ。蓮は一瞬優越感を感じた。
「いいよ。珈琲だけなら」
つい了承してしまった。サキの顔がパっと明るくなる。
「よかった!やっとゆっくり話せる!」
「なんだよ。それ。会社で話せばいいじゃないか。仕事の相談なら会議室取って話を聞くけど」
「もう、蓮さん。そういうとこがいいんです。女心をわかってない純な感じ。しびれます」
「はあ?」
サキは日時と場所をメールすると言い残し、長い髪を揺らして走り去った。
フローラルの香りが蓮の周りをただよった。
夜、恵一にサキと珈琲飲みに行くと伝えると恵一はすかさずけしかけた。
「やっちまえ。寝ろ。とりあえずそのキャット女とやっとけ。あとが楽だ。自信がつく」
過激な言動
新しくできた珈琲屋は、今風の装いの女性客で座るところがないほど混んでいる。
「カフェってこんだけいっぱいあんのになんでどこも混んでるんだろ。日本人は珈琲民族になってるってことだな」
「そうですよね。コンビニでもおいしい珈琲、座って飲めるようになってるし。蓮さん、混んでる場所おきらいですか」
「うん。あまり好きじゃないけどたまにはいいかな。人が発するエナジーを感じ取ることができる」
サキは、髪の毛を耳にかけ、蓮に顔を近づけた。白鳥のデザインのピアスがキラリと光る。
「蓮さんとお食事はあきらめましたけど、いいことするのはあきらめてないんです。ここでエナジーを充填したなら、いいことしにホテル行きましょうよ」
「何言ってんだよ。いきなり」
「いきなりじゃないです。ずっと蓮さんとそういうことする場面、妄想してます。彼女にしてって言ってるわけじゃないんですよ。まあ、そうなればいいけど、重い女にはなりたくないし。ただね、パーフェクトな男と抱き合ってみたいだけ」
蓮は言葉に詰まる。過激なサキの言動に、スマートに対応する方法が思いつかない。
「……意味がわからない」
珈琲屋の片隅でコソッとしゃべっていたが、すぐ近くに学生風のカップルが立って大声で話し始めたので二人は外に出た。
「さっきの学生カップルだってすることしてるんですよ。彼女の方はけっこうかわいいのに、彼の方は地味で迫力がない。お洋服もいけてない。ミスマッチなカップルでしょ。セックスだっていいわけないと思いませんか」
「サキちゃん、そんな言い方ないんじゃないか?」
「私は一流の女でいたいんです。だから抱き合う彼もパーフェクトでないといや。本命でなくてもいい。たまに抱き合える彼が欲しいんです」
「セフレってことか?」
「ちがう!」
サキの語気が強まる。
「そんな軽いものじゃない。蓮さんがさっき
言ってたようなエナジーを受け渡しできる男性」
サキは手を取って、蓮の目をキッと見つめる。射抜かれた。蓮はサキの意のままにタクシーに乗せられる。恵一の言葉が背中を押した。
『とりあえずやっとけ。自信がつく』
童貞を捨てておくのも悪くない、蓮はタクシーの座席の横にいるサキの左手を握りしめた。
やっと私に興味を持ってくれた
乃木坂と六本木の間にある高級ホテル。
サキは慣れた様子でクラブフロアでチェックインし、ライブラリーに向かう。
薄暗い照明が、疾る心臓音をなだめてくれる。
「ここで写真集を見てるとシアワセな気分になるの。建物の写真や風景の写真。一緒に見ましょう」
肩透かしをくらった気分だ。蓮は翻弄されている。すぐに部屋に入って、ベッドでもつれ合うと予想していた。
洋館に置いてあるような彫りをほどこした木製椅子に腰掛け、写真集を広げる。
「写真見ると、その場に瞬間移動したみたいになれるでしょ」
「サキちゃん、簡単に旅できていいね。飛行機乗る手間がはぶける」
気が効いた受け答えができない。ださいな俺……。蓮は会話能力のなさに我ながらあきれる。
20分位、サキのうれしそうな様子を見ていると、なんだかかわいく見えてきた。
このあとどうすればいい? ホテルまで来て、ライブラリーで遊ぶだけで終わるわけがない。
このあとどうする? ……そうか、部屋でシャンパンを頼めばいい。
酒の力を借りれば、サキの希望通りのもつれ合いができるはずだ。
しかし、なぜサキは、積極的に誘ったくせにこんなところで足止めするんだ?
女性経験のない蓮にはサキの不可解な行動が読み解けない。
「サキちゃん。あの、そろそろ部屋に行こうよ。シャンパンでも飲まないか。ここならロデレールも置いてあるだろ」
サキはチラッと蓮を見て、こっくり頷く。
珈琲屋で蓮としたいと言い切った時のサキとは違い、やけにしおらしい。
部屋は広々としていた。自宅から見る東京の夜景とは違い、建物が大きく見える。
低い階層から見る夜景もまた格別だ。和紙のアートファブリック。洋風の中にも和心があり、洗練された内装だ。
「いい部屋だね。サキちゃんは、どんな部屋に住んでるの? あれ、実家暮らしだっけ。ひとり暮らしだっけ」
「うれしい。やっと私に興味を持ってくれた。蓮さんにあれこれ質問されたかった」
サキは、質問には答えず、紺のスカートのファスナーをはずし、スルスルっと脱いだ。
スペックでジャッジする女
パサっとスカートが絨毯の上に落ちた。ストッキングごしに白いパンティが透けている。
大胆に誘ったり、しおらしくなったり、すると今度は自分で脱ぐ。女はわからない。
女性の下着姿を生で見るのははじめてのこと。蓮は脈が速くなるのを感じ取る。
だめだ。ここでおろおろすると見くびられる。相手はパーフェクトな男に抱かれたいと言っている。
男をスペックでジャッジする女は最低部類だと思う。蓮は目の前のヤル気まんまんの女をどう扱っていいかわからない。
「あ、あの。ルームサービスでワイン……」
とっさに電話に向かう。
サキが今度はクリーム色のカシュクールをゆっくり脱ぎ捨てる。
「あ、あの。床に置くと、汚れるからバスルームのバスケットに入れたほうが……」
サキは何も言わずストッキングも脱ぎ捨て、蓮に抱きつく。
フローラルの香り。女の匂い。蓮は棒立ちになる。
こういう時、両手を腰に回すのか肩に置くのかわからない。
いや、待て。キスだ。本来、キスが先だ。蓮はサキの顎をこぶしで持ち上げる。
サキは目を閉じている。よかった。
これが女が望む顎クイだ。そして、くちびるを合わせて舌を割り込ませればいい。
蓮は頭のなかで順序を考えながらサキに口付ける。プヨっとした柔らかなくちびる。
舌を入れる前にくちびるを噛むのか? 恵一が噛むともだえる女がいると言っていた。
サキの上唇を噛む。
「痛い」
サキが顔を離す。
「悪い。つい……」
「蓮さん、もしかしてハード系? そういうの好き?」
ハード系もソフト系もない。何がハードかすらわからない。
恵一の受け売りと、ネットで転がっていた基本情報しか知らないのだ。
「わかった。なるべく合わせるから、ハードにしていいです。でも蓮さんもスーツ脱いで」
蓮はライトを消して全裸になった。サキは下着だけつけている。
ウエストのくびれがほのかな闇に浮き上がりなまめかしい。
だが、蓮は次の一手を考えすぎて股間がピクリともしない。
あらわになった秘部
サキがリードする形でベッドで重なり合う。蓮はブラジャーの上から膨らみを確かめるように触ってみる。
いつか見たアダルト動画を思い出す。そうだ、パンティの股のところを指でこすっていた。
するとパンティにシミができるんだ。それがGOの合図だ。蓮は人差し指で布の上から上下にこする。
「あん……脱がしてくれないの?」
「しょっぱなから脱がすのか?」
サキは答えない。しかたない。脱がせてみよう。腰骨でひっかかるパンティを力強く降ろす。
「恥ずかしい……」
サキが両手で顔を隠す。照明は薄暗い。サキのヘア部分がよく見えない。
蓮は枕元のライトをつけた。おお、これが女の部分か。サキの両足の間にはいって、あらわになった秘部を覗き込む。
本物を見るのははじめてだ。いったい、どうなっている。
パッカリ割れたパーツの中に桃色の粘膜がのぞく。心なしかテラっと光っている。
「うわ、ゼリーみたいな液で覆われてる」
「蓮さん、やめて。ジロジロ見ないで。ブラジャーはずさずに、下だけ裸にするなんて変わってる」
サキは自分でブラジャーを取った。それほど大きくはない膨らみの上に真珠大の乳首がのっかっている。
蓮はそれを口に含まなければならないと思った。股間からバストトップに上体を動かし、右胸にかぶりつく。
ほわっとしていると思いきや弾力があるので驚いて、歯に力がはいってしまう。
「痛い」
「ごめん」
「蓮さん、激しいのね。もっとジェントリーだと思ってたのに」
乳首を口にふくんだまま、あいている右手をさっきの割れ目に動かす。どこがどこかはわからないが、指を奥に潜り込ませる。
ネチャっという音とともに蓮の長い指が奥まで飲み込まれる。
⇒【NEXT】蓮は頭をひねった。27年間生きてきて、女が理解できたことはない。(【中編】恋愛とセックスのかけ算/27歳 蓮の場合)
あらすじ
主人公・萌奈の姉はラブホテルで女子会をやって、女の子同士でレクチャーし合ったり、バイブを使ったりして男のツボを押さえる実技訓練を行なっていたことを聞かされた。
萌奈は興味を持ったものの、それはさすがにヤバいと思っていた。
そんなある日、休日にカフェチェーン店に行ったところ、スマホのイヤホンジャックで同じものを持っているとミチカから声をかけられる…