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【後編】恋愛とセックスのかけ算/22歳 アユカの場合
無難なデート
翔一とは何度かデートをしてみた。
最初は可もなく不可もなく、無難なデートだった。
結婚には決定打に欠ける。
のらりくらりしていると翔一の本性が見え隠れするようになった。
丸テーブルをはさんで、翔一が抹茶ラテを飲みながら家電の話をしている。
なぜ家電屋に宝飾品売り場を作るのか、マーケティング戦略とかブランドエクイティとかなんとかの難しい話題を持ち出した。
アユカは耳たぶを握りながら壁の絵画を見る。
抽象画。
テーマがさっぱりわからない。
「あの……そろそろ店、出ませんか。ちょっと外の空気吸いたいな」
と誘う。
翔一は都会生まれ、都会で働いていたのに、女に対してはうまい対応ができない、恋愛経験がさほどないアユカでもわかるくらい翔一は自分に酔う気質だ。
アユカが退屈そうなのも気づかない。
できる男アピールが強すぎる。
20代の頃、年上女に遊ばれたと言うが、年上か、よほど気が強い女でないと普通に話せないのではないか。
洋品店の店番しか仕事ができないアユカを見下しているのかとすら思える。
だが結婚するには申し分ない相手。
田辺社長はいい人だ。
あんなお義父さんが欲しい。
宝飾の勉強もしてみたい。
遊歩道を歩きながらアユカは質問をしてみる。
「翔一さん、ずばり聞きますけど、結婚考えてますか……私と」
翔一は歩く速度を変えずに答える。
アユカを置いてスタスタ先に行くのも、気遣いがない証拠だ。
「ああ。結婚するにはいいと思う。アユカちゃんは街の人達に好かれてるし、お客さん商売が向いてる。料理も上手って美佐枝さんから聞いてる」
アユカはムッとする。
「それって、新しく始める仕事のために私が必要なだけってこと?お手伝いさんとか、派遣スタッフみたいに思われてる……」
「いや、失礼。そういう意味じゃない」
翔一は狼狽している。
いたずらを叱られた子供のように。
「悪かった。つい、条件からはいってしまって。アユカちゃん、ほがらかで、いつも笑ってて雰囲気いいと思ってるよ。まだ何回かしか会ってないけど、結婚を考えたい。親父もお袋もアユカちゃんなら、いい母親になるだろうって……」
「今度は母親?仕事の手伝いさせようとしたり、子供産ませて、子育てさせようとしたり、なんかピンとはずれだと思います」
翔一は黙り込む。
たくましい手
翔一は、田舎から出てきた純朴な女に、核心を突かれてさらに動揺した。
そして、想像以上にしっかりしたアユカを気に入った。
「アユカさん、僕に理想の結婚相手になって欲しいと思う?そしたらどうすればいいか教えてくれ。前にも言ったけど、僕は過去の苦い経験があるから恋愛とかくだらないと考えるようになったんだ。恋愛と結婚は別。仕事や家事を上手に切り盛りしてくれる人柄のいい女性と結婚したいとずっと考えてた。それじゃダメってことだよね。じゃあ、教えてくれ。どうすればアユカさんの理想形に近づくか」
アユカも面食らう。
「昭和なタイプですね。30代なのに。田辺社長……お父さんの女性観をそのまま真似してるだけに見えます。自分の女性観持たなくちゃ」
「どういうことだ?」
「本当に好きな女性はどんな人なの?計算抜きで。昔付き合った年上の人のどこに惹かれたんですか」
翔一は空を見上げながら考えている。
ポツポツ話し始める。
「すごく好きだった。彼女は裏表なくて、喜怒哀楽がはっきりしてた。泣く時は大泣きする。笑う時はゲラゲラ笑う。僕に抱きついて……」
アユカが続ける。
「ベッドも最高だったんじゃないですか」
翔一は一瞬驚いたようにまばたきする。
「……ああ……アユカさんに言うことじゃないけど、とても」
「翔一さん、ほんとの姿見せてくれてありがと。やっと見えた。翔一さんが」
アユカは翔一が仮面を脱いでくれたのを感じとった。
そして一気に、翔一の気になる点を並べ立てた。翔一はうなだれたまま神妙な顔立ちで聞いている。
「翔一さんのダメ男のとこ、最後に……」
「やっと最後か」
「女性と歩く時は速度を合わせて!そういう気配りができる男性を私たち女子は求めてるんです」
翔一の顔がほころぶ。
いい笑顔。
アユカは翔一の手を取る。
ごっつりしてたくましい手だ。
「都会のサラリーマンに見えないです。うちの田舎の郵便局の人みたい。日曜は親の田んぼ手伝ってるみたいな」
イチから始める
二人はすっかり打ち解け合い、空気がなごむ。
「翔一さん、私、セックスの経験ってそんなないんです。だから翔一さんの昔の彼女さんみたいに、気持ちいいエッチできないかもしれない。リードとか……無理です」
「え?」
「だから二人で、イチから始めませんか。セックスも」
「おいおい……」
「私、バージンみたいなものですから」
つい3週間前、木野と試したことは棚上げだ。
結婚するなら田辺デンキの息子とするべきだと、アユカの本心が選んでいる。
実家の母も美佐枝も大喜びするだろう。
3ヶ月しなければバージンに戻るという美佐枝の論を3週間に勝手に短縮した。
翔一は、恋に関しては殻にこもっていた自分を反省した。
アユカがチクチク、鋭い針でつついてほじくり出してくれた。
「あの、じゃあ、これから……」
翔一が口ごもる。
「ホテル行きましょうって、男の人から言わないと困るんですけど。さすがに女子から行きましょうって言いにくいでしょ」
「アユカさん、今日は奔放っていうか。ギャップあるね。純朴なイメージだったんだけどな」
「こういうのが嫌いじゃないとわかったから、本性見せただけです」
「そしたらイチから初めて見るか」
「そう。それとね、キスもしてないのに、ホテル行こうなんて言うのはおかしいです」
アユカがちょっと怒った素振りを見せる。
陽が沈みかけ、あたりは薄暗い。
翔一がアユカの肩に両手をかけてチュッと軽いキスをする。
「まだ手もつないでないから、手つないで、ホテル行きましょう」
「じゃあ、予約する」
翔一がスマホで高級ホテルに電話をする。
「はい?ラブホテルじゃないの?」
「汐留にある高層ホテルがいいだろ。ブリッジも見えるし、女性受けするんじゃないかな。僕は接待でよく使ってたけど」
「田辺デンキの息子さんだから、高級ホテルが似合う……はい。わかりました。どこでもお供します」
シックな真紅
広い窓越しに湾岸が見下ろせる洒落た部屋だ。シックな真紅を基調にしたインテリアが情熱を掻き立てる。
アユカは思わず佐賀弁が出そうになるが、わざと東京弁で嬉しがる。
翔一はミニバーを開けて、ウイスキーを取り出し、炭酸で割る。二人で渦巻き模様のソファに並んで座り、お酒を入れる。
横並びのままキスをする。
「すごいですね。手つなぎとキスとエッチを一日で同時にしてしまうってことになるんですよ」
アユカが茶目っ気たっぷりに笑う。
「こんなこともあるんだな。我ながらびっくり。親父には内緒だよ」
「もちろん、美佐枝おばちゃんにも言わないでね」
「でも……」
「でもなんですか?」
「もし、セックスしてうまくいかなかったら結婚をあきらめなくちゃいけない?」
アユカはちょっと考える。
「ううん、最初うまくいかなくても、何度もトライすればいい。きっとだいじょぶ。何事も練習!」
二人ははシャワーを浴びてバスローブ姿で抱き合う。
翔一の手がアユカの胸を覆う。緊張して身体が固くなる。
木野とのスタジオセックスが蘇る。
だいじょうぶだ。あのシャッターの音を思い出せば、リラックスできる。
違う自分が顔を出す。
アユカはされるままに身を投げ出す。カシャッという音を頭のなかで反復させる。気持ちがたかぶってくる。
翔一の動きはぎこちない。木野と比べると慣れていない手つきだ。
「前の彼女はどうしてくれた?」
アユカが尋ねる。
「舐めてくれた。腹もここも……」
アユカは正座の格好で身体を前にかがめる。
少しばかりふくらんだシンボルを両手で包み、先っちょだけをかわいらしい口に入れる。
「やばっ」
翔一が小さな声をあげる。
はい。奥様

1かーい、2かーい、3かーい……。
翔一の出し入れをアユカは数える。痛みを忘れるために。
12回くらいで、翔一は動きをストップし、「クハっ」とうめき声をあげる。
翔一の頬にキスをしながら伝える。
「あのね。自分ばっか気持ちよくならないでね。私、まだスタンバイしてなくてちょっと痛かったの。今度は直してね」
翔一が大の字に寝たまま薄目を開けてつぶやく。
「はい。奥様。このたびのご無礼をお許し下さい」
「奥様……」
キュンとする。
セックスは気持ちよくないとはいえ、未来の夫候補から「奥様」と呼ばれるのは悪い気がしない。
アユカは、都会の男と2度めのセックスをした。
いつもどおり店番をしているとリサからメールが届いた。
「アユカちゃん、忙しい?木野さんがベトナム出張から帰ったからまた3人で写真撮影会しようって。この前撮ったアユカちゃんの写真、JPEGにしたって言ってたよ。一緒に見ようよ」
リサみたいにきれいな人と会えるだけで気持ちがはずむ。
木野にも会いたい。
だが翔一と結婚前提で付き合い始めたのでもうセックスは断ろうと思った。あの日は、カメラマジックにかかったから違うアユカがいたずらしただけのことだ。
アユカはリサと日時を決めて、スタジオに向かった。木野は派手な動物柄プリントのシャツを着てうれしそうに二人を迎えてくれた。
「やあ、ベトナムのお土産あるよ。蓮の葉茶とアオザイ娘のストラップ」
リサがワオウ!と言いながら受け取る。美人は、いかなるアクションもかっこいい。絵になる。
木野がアユカをちらっと見る。
「またチコリに会いたいな」
「いつでも。友達に言えば遊びにおいでって言ってくれるよ」
「あらああ、二人だけの意味深会話ね。この前の撮影したっていう写真見せてよー」
リサがねだると、木野が広いテーブルに印刷した写真を30枚ほど並べた。
もちろんヌードはない。
ワンピースを着てほほえむアユカの写真。
チコリを抱いて頬ずりしている写真。
「きれいー。アユカちゃん、モデルになれるね」
「ああ、ファッションサイトをやってる知人に見せたら、ぜひモデルして欲しいとさ。どう?アユカちゃん」
新しい扉
「夢みたい!やってみたい。でも婚約者に相談してみなくちゃ」
二人が驚く。
「え?アユカちゃん結婚するの?」
リサに向かって笑顔で答える。
「急展開ってやつ。商店街の電気屋の息子さんと見合いしてトントンって」
木野もマジ顔で驚いている。
「……いやあ、まいったな。アユカちゃんに一目惚れしたのになあ」
「モデルとして一目惚れでしょ。でも、お仕事なら許してくれると思う。ちゃんと話す。だからモデルやらせてください」
いつかのように二人でカメラの前に立つ。
いろんなことがあり、自信ができたアユカはリサに引け目をとらないほど堂々とポージングした。
背中を伸ばす。胸をあげる。肩越しに振り向く。
左肩をちょっと前に出す。腕で気分を表現する。
リサがたじろぐほどいいポーズを作る。リサが倉庫に置いていた黄色い麦わら帽子を持ってきた。
「アユカちゃん、これかぶってみて。絶対似合う。顎、細いし。目で感情表せるし。自分のこときれいに見せることができる女性しかこういう帽子、似合わないんだけど。今のアユカちゃんなら似合うよ」
リサが黄色い帽子をかぶせてくれる。
「ほらあ、サイズもぴったりだし、とっても華やかな感じ。今着てるクリーム色のサマーセーターとばっちり合ってる。ね、木野さん」
「ああ、いい。これから海行くか?車で飛ばせば陽が高いうちに着くぞ。湘南なら」
リサを初めてインスタで見つけた風景。
今はアユカがその中にいた。
青い海をバッグにお嬢様気分の黄色い麦わら帽子をかぶって、冷たいドリンクを持つ。
水滴がついたグラスを頬に当てるとヒヤっとする。
「冷たい!」
右目をつむった瞬間、木野のカメラがカシャッと爽快な音を立てる。
リサが、カメラの側から拍手をした。
「ナイス!!」
インスタで海の色を完璧ブルーに補正してみた。
タヒチっぽい海に黄色い麦わら帽子の写真。
うれしくてインスタにアップした。
「とても素敵な写真だね。ますます好きになったよAYURINさん」
翔一からメッセージが届いた。
アユカは胸の中でピンクのハートがフワフワ浮いているのを感じた。
自撮りした写真にハートを描いて、翔一に送る。
新しい扉が2つ、同時に開いた瞬間だった。
END
あらすじ
主人公・アユカは佐賀の高校を卒業して、東京の叔母の美佐枝家に居候している。ある日、何枚も撮られた。Rizrisaという綺麗な女性をスマホで見つけ、すぐにメッセージを送った。
すると、練習用のモデル募集しているということで写真を撮られることになった。そして、何枚も撮られていく中で褒められながら「下着もいらない」と言われた。