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私の秘密

隣から、すやすやと寝息が聞こえる。
時折小さくうなる声に、私は思わず息を殺した。

もともと遠距離恋愛だった私と彼。同棲を始めてまだ3ヶ月。
付き合い自体は2年。

なのに…そう、セックスレスなのだ。

彼と私は年の差1つ。けれど、彼は私が初めてで、しかも淡白だった。
そのせいか、1ヶ月に1回ホテルにいければいいほう。
前の彼とは濃密な関係だった私にとっては、それがかなりつらかった。

何より。

隣に眠っているのに、すぐそばに肌を感じるのに、何もしてこない彼に苛立っていた。

ーーー

そんなある夜。
お酒を飲んだ私は、普段なかなか素直に甘えられない分、ここぞとばかりにキスをねだる。
首に手を回し、唇を押し付けて。
まだ少しぎこちない彼の舌を優しく愛撫して。

「ね、ひろちゃんのここ…すごく硬くなってるよ?」

くすくすといたずら交じりにささやいて、いとおしいそれにそっと手を触れた。
それだけで「んぅ……」とまるで子犬のように鳴く彼。
それに気を良くした私は、すっと背中に手を伸ばす。

「ひろちゃん、ここ弱いよね」

服の上から背筋をくすぐるだけで、彼の甘い声が耳朶をくすぐる。
それが気持ちよくて、もっと聞きたくて、私は肩甲骨から背骨をたどり、尾てい骨のあたりに指を滑らせた。

「あ、そこ……綾、だめだって」

身をよじって私にすがりつく彼。
それが楽しくて何度もくすぐっていると、急に激しく唇を押し付けられた。

「んっ…ぁ…」

息もできないくらい激しいキス。不意打ちに驚いた私の指が止まると、今度は私の服の上から、彼の指が踊りだした。

「どうしたの?ココ、立ってるよ……もしかして感じてる?」

耳元で笑い混じりのささやき声。
それと同時に乳首を引っかく指。

服の上からのもどかしさに、私は背をのけぞらせた。

「こっちも好きだよね?」

「あ…っ、そこ、だ、め」

背骨をすっと降りる指。
同時に攻められる乳首。

けれど、それが唐突にとまった。

「…ひろちゃん?」

訝るように彼を見ると、彼は困ったように笑ってこう告げた。

「ごめん、眠くなった」

え?ここまでしておいてそれはないでしょう!?

正直そう思ったが、よく考えれば彼はもともと朝型人間。
夜10時を過ぎれば眠くなる人だったことを忘れていた。

すっかりやる気が萎えた私は、あきらめ混じりにため息をつく。

「はいはい……ん、おやすみ」

ちゅっと軽くキスをしてくるりと背中を向けた。
そうすると、1分もたたないうちに寝息が聞こえる。

「…ひろちゃんのばか」

つぶやいて、大きく寝返りを打った。
それでも彼は目を覚まさない。

それをしっかりと確かめると、もう一度彼に背中を向けて横になる。

切ない表情の私

「…っ、」

少し体を丸めるようにして、自分の胸元に手を当てた。さっきいじられた乳首がじんじんとうずいて仕方がない。
そっとパジャマの下に手を入れ、薄いシャツの上からそっとこすってみる。

「ぁ……」

思わず声が漏れてしまうくらい、気持ちいい。
ひとりエッチは初めてじゃない。

けれど、隣に彼が眠っているこの状況でするのは…初めてだ。

「ぅ、ん…」

彼を起こさないように声を殺す。
ゆっくりと円を描くように胸のトップをこすり、左手はズボンの上から太ももに。

(綾のここ、すべすべで気持ちいいんだよね)

頭の中で彼の声がこだました。
いつもされるように優しく撫でさすり、右手は少し強く爪を立てる。
それだけで堪え切れずに、体が震えた。

(こうするの、好きでしょ)

かりかりとくすぐるように爪をたてると、じんわりとショーツが濡れるのがわかる。
その感触にもっと欲しくなり、右手をするりとショーツに差し入れた。

(ほら…こんなに濡れて…)

「ぁ…ッ」

 小さな喘ぎ声が漏れる。茂みの奥はぬるりとぬれていた。

「ん……」

不意に、隣から寝言が聞こえる。思わず体を硬直させるが、とろりとあふれる蜜に触れた指は止まらない。なけなしの理性でなんとか手を止め、

「ひろちゃん…?」

小さな声で呼びかけるが、返事はない。
それにほっとすると同時に、いけないことをしているという背徳感と官能の波が押し寄せた。

「…っ、ぁ…」

必死で声を殺し、敏感な真珠を指で転がす。
冷え性な指先の冷たさとそこの温度差に思わずびくりと体が震える。

(ん?ここ、いいの?ほら、震えてるよ)

瞼を閉じると、あるはずのない腕の感触。抱きしめられていると空想しながら、指でゆっくりと割れ目をなぞる。
くちゅり…と小さな音を立てて中に入ると、指先で入り口をかき回しながら、手のひらでそこ全体を大きくこすり上げる。私はこれが一番好きだった。

「ぁ、ぁぅ……っ、ぁ」

堪え切れない熱い吐息。隣で彼が眠っていることも忘れて、淫靡な甘い罠に落ちる。

「ーーーーーっ!!」

声が漏れる瞬間、なんとか息を止めて絶頂を迎えた。
気怠い体をそのままに、ショーツから抜いた手はとろとろに濡れている。

やってしまった、とか、彼が悪い、とか、気持ちよかった、とか、あらゆる感情がごちゃ混ぜになってため息になった。

快感とほんの少しの罪悪感、素直になれない自分への苛立ち。

それを全部ないまぜにして…私だけの秘密はまだ続く。

END

あらすじ

同棲している彼とはセックスレス。
今夜も誘いをかわされてしまった私は、我慢しきれず寝ている彼の隣で…

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