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官能小説 初めてのHはアナタと〜優しい愛撫で愛されて〜


なんか、笑ってない?

「なんか、笑ってない?」

隣を歩くタケルくんに指摘されて、私は顔を上げた。予想以上に近い距離で目が合ってしまい、ドキッと鼓動が高鳴る。

「私、笑ってた?」
「うん、ニヤニヤしてた」

かぁっと頬が熱くなるのがわかる。慌てて視線を前に戻して、歩みを早めた。

「さっきのご飯が美味しかったから……かな?」
「俺とのデートが楽しかったから、じゃなくて?」
「そっ、それはもちろんあるけど!」

そう答えると、タケルくんはおかしそうに笑う。
ますます顔が熱くなるのを感じて、私は頬に手を当てた彼――タケルくんと出会ったのは、数か月前の合コンだった。今まで一度も彼氏ができたことのない私を心配して、友人が誘ってくれたのだ。
男性と話すだけでも緊張してしまう私がこんなにも打ち解けられたのは、多分、タケルくんの人懐こさのおかげだと思う。

「由梨」

名前を呼ばれて、再びハッとする。彼の指が、私の手に触れた。

「今日は、このまま帰る?」

彼に触れている指先が、痺れたみたいに熱い。一瞬だけ迷った後――私は、彼の指に自分の指を絡めた。

「うち、行こうか」

タケルくんは、私と目を合わせずにそう呟く。彼の手が少し震えている気がしたのは、私の気のせいかもしれない――

付き合って3カ月

合コンの後、タケルくんからアプローチを受けて、私たちは付き合うようになった。付き合って3カ月、何度かキスはしたけれど、彼の家に行くのは今日が初めて。

(いよいよ……なのかな)

大学に入ってから一人暮らしをしているという彼の部屋は、必要最低限のものだけが置かれ、綺麗に整っていた。

「はい、粗茶ですが」

冗談めかして、彼がお茶を出してくれる。 お礼を言って受け取りながらも、私の意識は、視界に映るベッドに囚われたまま――

「初めてのエッチって、めちゃくちゃ痛いよ」

友人のそんなセリフが頭をよぎる。初めてを捧げるなら彼がいい、だけど、やっぱり怖い。

(でも……これを逃したら、さすがに飽きられちゃうかもしれないし。ここは、女として覚悟を決めて――)

「えっと……由梨?」
「はっ、はい!」
「…………緊張してる?」

心配そうな、困ったような彼の目が私を映す。
その表情に、無理やり鼓舞した気持ちは一気にしぼんでいって――

「少し、だけ……」
「嘘つけ。めーっちゃ緊張してる」
「……わかる?」
「わかるよ。それに……由梨が初めてだってことも、わかってるつもり」

頬にかかった髪に、彼が触れた。
それを耳にかけながら、優しくキスをしてくれる。

「俺は……由梨とエッチしたい。でも、由梨が大事だから……無理強いするようなことは、したくない」
「うん……」

怖い。ドキドキする。怖い。でも――したい。

「痛く……しないでくれる?」

そっと見上げると、タケルくんはふっと笑う。

「ガンバリマス」

そう言って、もう一度唇を重ねる。
彼のキスがすごく優しかったから……この人なら、大丈夫だと思えた。

ベッドに押し倒されて

「……っ、わっ」

ベッドに押し倒され、彼が首筋にキスをする。服の上から体をまさぐる手が少しくすぐったくて、思わず身をよじった。

「服は、俺が脱がせるのと自分で脱ぐのとどっちがいいですか」
「……それ、言わなきゃダメ……?」
「ごめん、意地悪だったね?」

くすくすと笑いながら、彼がブラウスにボタンを外していく。途中でふと気づいて、照明を暗くした彼の横顔に、ドキッとした。

(タケルくんって……こんな表情、する人だっだっけ)

胸元にキスをしながら、背中に手をまわして下着のホックを外す。そんな彼をぼうっと見下ろしていたら、ふいに目が合った。

「あ……」
「なーに?」

悪戯っぽく笑って、胸元に舌を這わせる。口元は笑っているのに、目は私を射抜くみたいに鋭くて――肌を這う舌の感触と相まって、必要以上にドキドキする。

「ここ、舐めるとどんな感じ?」
「ん……ぞわぞわ、する」
「じゃ、ここは?」

タケルくんの舌が、今度は胸の先端をつついた。

「――っ!」

意識とは別に、体が勝手にびくっと跳ねる。電流みたいにぴりぴりした感覚が体を駆け上ってきて、思わず息を飲んだ。

(な、なにこれ……っ)

「……大丈夫だったら、続けるね」

タケルくんの舌が、やさしくそこを舐めて、タケルくんの手が、やんわりとそこを揉んで。息が上がっていくのが恥ずかしくて、思わず手で顔を覆うと、彼の手が、私の手を取り払った。

「だーめ。……ちゃんと見てて」
「ん……」

ちゅっと軽いキスを落とされ、タケルくんの手が下腹部へと移動する。優しく腰をなぞりながら、スカートを脱がしていく。下着の上からそこをなぞった彼は、ほっとしたように息をついた。

「よかった……ちゃんと濡れてるみたい」
「そう、なの……?」
「ん。……触るね?」

下着も脱がせると、タケルくんはそっと足の間に指を這わせた。再びぴりっとした快感が走って、思わず足を擦り合わせそうになる。

「閉じないで。力抜いて……俺の指に、集中して?」
「う、ん……ぁっ」

官能小説挿絵:ベッドの上で愛しあう男女

自分の口から漏れた甘い声が、自分のものじゃないみたいでドキドキした。タケルくんの指の動きに合わせて、腰が勝手に動いて――

(なんで……止められない……?)

「んっ、や、だぁっ……それ……っ」
「痛い?」
「ちが……っ」

(なんか、変な感じ……!これが、気持ちいいってこと……?)

タケルくんは私をいたわるように頭を撫でて、そして、私の中に指を沈めた。

「――っ!」

びくっと身体が跳ねて、中がきゅっと締まるのがわかる。熱を帯びた吐息まじりに、彼の名前を呼ぶと、優しく微笑み返された。

「ん。入ったよ。……よく頑張りました」

私の頭を撫でて、キスをして――

「もうちょっと頑張れる?声、我慢しなくていいから」

胸元へのキスと同時に、中の違和感が変化した。彼の指が中で動いたんだと思うけど、何が何だかよくわからない。

「大丈夫?痛い?」
「う、ううん……へい、き……だけど、ぁっ」

(こ、怖い――!)

よくわからない快感に、飲み込まれてしまいそう。思わずぎゅっと彼の袖を握ると、タケルくんの目が、私を捉えた。

「……やっば……かわいい」
「っ……!」

呟くような彼の声に、びくんと体が震えた。足先から熱が出ていくみたいな、痺れるような変な快感。

「っあ、ぁ――」

一瞬頭が真っ白になって、怖くなって目を閉じた。びくびくという震えが収まり、荒い呼吸のまま目を開けると、タケルくんが私に馬乗りになって服を脱いでいるところだった。

「軽くイったでしょ?」
「え……」
「ごめん、今日は指まででもいいかなって思ってたんだけど……かわいすぎて、我慢できない」

熱っぽいまっすぐな視線に見下ろされて、心臓の音がうるさくなる。無意識のうちに手を伸ばした私を、タケルくんは強く抱きしめてくれた。そして、入り口にそれが押し当てられて――

「痛かったら、言って?」

耳に、頬に、唇にキスをしながら――彼が入ってくる。押し広げられる感覚と、じんとした鈍い痛み。

(でも……思ってたほどじゃないかも)

痛みより、どちらかというと充足感のほうが強い。気持ちよさそうに表情を歪めるタケルくんを見ていたら、なぜだか、泣きそうになった。

「由梨……っ、なか、やばい……っ」
「ん、ぁっ」

ゆっくりと、労わるように彼が動き出す。鈍い痛みも、次第に快感に変わっていって――彼の肌の感触に、私はそっと目を閉じた。

大好きな、人懐こい笑顔

「あ、あの……ありがとう……」

ラブタイムも終わり、タケルくんに腕枕をされながら、私はそっと呟いた。

「ありがとうって、どうして?」
「思ったより痛くなかったし……タケルくんが、優しくしてくれたからだなって思って……」

タケルくんは、ふっと笑って、私の頭を撫でる。

「由梨がかわいいから、優しくしたくなるんだよ」

私の大好きな、人懐こい笑顔。

(私……この人を好きになって本当に良かった)

けれど、タケルくんはその笑顔をちょっと意地悪なものに変えて、後を続ける。

「まぁ、かわいいからイジメたくなるっていうのもあるけど」
「えっ……いじめ……!?」
「まぁそれは追々ね。ゆっくり教えてあげる」

彼の言葉と優しいキスに、鈍い熱を残したそこが、じんわり疼く。

「ん……楽しみに、してる……」

私の呟きに、タケルくんが照れたように目を泳がせた気がしたけれど、それはやっぱり、私の気のせいだったかもしれない――


END

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あらすじ

由梨の事を心配した友達がセッティングしてくれた合コンで出会った彼。
彼の人懐こさのおかげで打ち解け彼からのアプローチを受けお付き合いが始って今日で3カ月。
デート後、初めて彼の家に行く事になり…。

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