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官能小説 かしましガールズ!

昼休みの屋上

ラブコスメについて話すかしましガールズ


ある会社の昼休み、屋上はひとときの騒がしさに満ちる。

「それでね、あそこのパンケーキ、超おいしかったの!」

「えー!でも一時間待ちは確実なんでしょ?」

「中がたった四席しかないって本当?」

ベンチに腰かけながら、制服を着た三人の女たちが昼食もおろそかに会話に興じていた。長身でショートボブの優香を真ん中に、左にロングヘアーで小柄な藍、右にポニーテールが特徴の真理子が座っている。

「うん。一時間半ぐらい待ったよ。カウンター席もあったけど、狭かった」

「やっぱりね。うーん、私も食べてみたいけど、並ぶのはなあ…」

「そうそう!パンケーキは魅力的だけど、せわしなく食べるのはちょっとね」

藍と真理子に否定され、話題を振った優香がむっと口をとがらせた。

「もうっ、せっかく皆とも行こうと思ってたのにー!」

そうしてさっさと弁当に戻ってしまった優香に、藍と真理子は慌ててなだめに入った。

「ごめんごめん、優香。冗談よ、今度一緒に行かせて?」

「うんうん。機嫌直して一緒に行こう!」

優香が顔を上げ、にこっと笑う。

「こっちも冗談!わかってるよ、今週末皆で行こうね!」

そうしよそうしよ!と三人ではしゃいでいると、通りがかった磯部課長に声をかけられた。禿頭で細身、猫背な三人直属の上司だ。

「お、かしましガールズ!」

優香と藍、真理子はぽかんとして顔を見合わせた。

「課長。なんです、それ?」

代表して優香が問うと、磯部課長がタバコをふかしながらにっと口角を上げた。

「社内では有名だぞ?お前たちの仲の良さは」

「それがなんで?かしましガールズ?になるんですか?」

「俺が名づけた。かしましいはやかましいってことだ。やかましい女たちだからな。?やかましガールズ?よりマシだろ?」

 磯部課長のセンスに、えー!?と、三人はさっそくかしましく騒ぎ出す。

その様子を見て、磯部課長はくっくと喉を鳴らした。

「二十代後半のお前たちを?ガール?って言ってやってるんだ。ありがたく思えよ」

「そんなあ…ひとまとめにしないでくださいよぉ」

藍がそう抗議するも、磯部課長は意にも介さない。話をそらされてしまう。

「昼休みはもうすぐ終わるぞ?早く飯、食っちゃえよ」

「あ…」

真理子は自分の弁当箱を見下ろし、中身がまったく減っていないことに気づかされる。優香と藍も同じようなものだった。

「大変、急がなくちゃ!」

「早く、早く!」

慌てて弁当に戻る?かしましガールズ?を脇目に、磯部課長は余裕で二本目のタバコをくわえたのだった。

優しい声と笑顔

午後、オフィスに戻った三人は、再び集まりたくなる衝動に打ち勝たなければならなかった。磯部課長が他部署から長身の美青年を連れてきたからだ。

「今度からこの総務部で働いてもらうことになった、秋月亮くんだ」

磯部課長の紹介とともに、秋月亮と呼ばれた青年が一歩前に進み出る。三十代前半ぐらいだろうか、落ち着いた物腰だ。

「営業部からきた秋月です。この総務部では係長を務めさせていただくことになりました」

よろしくお願いしますと頭を下げた秋月亮に、優香と藍、真理子の三人は目を奪われる。
茶色がかったさらさらの髪に、彫りの深い顔立ち、がっしりとした体躯、先ほどの礼儀正しい挨拶…どこを取っても非の打ちどころがない。こんな素敵な男が自分たちの上司になるなんてと、信じられない気持ちだった。

総務部には既婚者と彼女持ちばかりで、恋愛対象になる男がいなかったから余計にそう思えた。
?かしましガールズ?の中で話題を提供することの多い優香はつい、机の下でスマートフォンを操作してしまう。宛名はもちろん、藍と真理子だ。

『秋月って人、イケメンじゃない?やばくない?』

藍と真理子もスマートフォンを手にしていたのか、即返事がかえってくる。

『やばい、やばい!格好良すぎる!』

『やっぱり係長って呼ばなきゃかな!?それとも学生の頃みたいに先輩って呼んじゃう!?』

藍と真理子の興奮ぶりに、思わず優香はくすりと笑みを漏らしていた。
すると鋭い磯部課長に名指された。

「おい、かしましガールズ!こそこそと何をしている!」

優香、藍、真理子は慌てて姿勢を正し、スマートフォンを隠した。
しかし秋月は?かしましガールズ?という単語に反応してしまう。

「誰と誰がかしましいんです?」

くすくすと笑う秋月を前に、三人は顔を真っ赤に染めてうつむいた。

磯部課長が「あれとあれとあれだ」と、こちらを指すものだから、恥ずかし過ぎて顔が上げられない。ほかの社員たちも忍び笑いを漏らしていた。
けれど秋月だけは、楽しそうに言ってくれるのだった。

「君たち、よろしくね」

その優しい声と笑顔に、優香と藍、真理子はぽうっとなり、午後の仕事がほとんど手につかなくなってしまった。

タライの衝撃

それから一週間、?かしましガールズ?こと優香と藍、真理子の三人は、秋月を「先輩」と呼び、彼の下で精力的に働いていた。
秋月から与えられる仕事を競うように取り合い、かしましさも鳴りを潜め、それは磯部課長も目をみはるような変貌ぶりだった。

そんなある日の昼休み、いつものように屋上のベンチに並んで座っていた三人だったが、雰囲気はこれまでになく険悪だった。

「だから私が譲るって言ってるでしょう!」

イライラして優香が怒鳴ると、ひるむことなく藍が鋭く言い返してきた。

「譲るって言うけどさ…結局振られるのが怖いだけなんじゃないの?」

「そんなつもりじゃ…私はただ、2人のことを思って…」

本来なら止める役割にある真理子も、うんざりした様子だ。

真理子の提案に、しかし優香はうなずかなかった。

「じゃあどうするのよ。真理子だって先輩のことを好きなくせに」

その言葉に、真理子が傷ついたような表情を見せる。

「私は…私は3人でこのまま仲良くいたかっただけよ…どうしてそんな言い方するの?」

秋月先輩に想いを寄せる三人は、取り合うどころか譲り合いに発展してしまった。それぞれ意地があり、ムキになったところ、気づけば引き返せないケンカになっていた。

そこに割って入ったのが、今日もまた屋上で紫煙をくゆらせていた磯部課長だった。

「おいおい、そんなことで争うな。もっと穏便に―」

「課長は黙っててください!」

優香の言葉に藍と真理子が賛同する。けれど協調したのは最初だけだった。すぐに三人は目をそらしてしまう。

そうして三人はいつの間にか空になっていた弁当箱を片づけると、さっさと屋上をあとにした。残された磯部課長はやれやれと肩をすくめた。

別々にオフィスに戻った三人だったが、トイレでばったり鉢合わせしてしまい、気まずい空気のまま、優香と藍と真理子は仕方なく一緒に歩いていた。すると曲がり角で秋月の姿が目に入り、三人は反射的に壁に身を隠す。

そして次の瞬間、頭からタライが落ちてきたような衝撃に襲われてしまう。

「うん、僕も愛してるよ。わかってる、結婚式は―」

秋月は窓辺でスマートフォンを耳に当て、柔らかい声でそうささやいていたのだ。相手はおそらく彼女だろう。それも会話から察するに、結婚の約束までしているらしい。

「じゃあ、昼休みが終わるから。また今夜、僕の家でね」

そうして電話を切った秋月は、三人に向けたことのないような幸せそうな顔でオフィスに入っていった。
優香と藍、真理子は言葉を失い、しばらくその場から動けないでいた。

褒め言葉

「ねえ、あそこの下着、着け心地最高よ」

「ほんと?私も買ってみようかなあ」

「それよりあそこの化粧品!ヌレヌレっていう唇用の美容液があるんだけど、限定の桃フレーバー、本物の桃みたいな香りですごくよかったの!絶対お勧めだから!」

昼休み、ベンチに並んで座る優香と藍、真理子はぺちゃくちゃと話し合っていた。三人はとっくに秋月に見切りをつけ、いつものように弁当もおろそかに会話に興じていた。

「そう言えば係長、頭やばくない?」

「うんうん、このままじゃ課長まっしぐらよね!」

「私もそう思ってた!」

優香の振った話題に、藍と真理子がくすくす笑う。
そこに通りがかった磯部課長が、溜息まじりに声をかけてきた。

「誰が俺まっしぐらだって?」

「げっ、課長!聞こえてたんですか…?」

おそるおそる問うた優香に、磯部課長が目を細め、胸ポケットからタバコを取り出した。

「まったく…お前らは切り替えが早いな」

「褒め言葉と受け取っておきまーす」

藍が言うと、真理子がうんうんと同意にうなずいた。

磯部課長がタバコをふかしながらふっと笑う。

「?かしましガールズ?は健在だな」

三人は顔を見合わせ、自分たちの友情を表す単語―?かしましガールズ?も悪くないと思う。昼休みだけでは足りないほど話題がつきない、女同士の気楽なおしゃべり。それは、男性にはわからない、女性たちだけの特別に楽しいひとときなのだ。



END

あらすじ

優香に、藍と真理子が揃えば会社の屋上がたちまち騒がしくなる。

そんな彼女たちを課長は“かしましガールズ”と名付けた。

新しく配属されたイケメン上司に色めき立つ“かしましガールズ”。

しかし、彼の登場によって彼女たちの友情に亀裂が…!?

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