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官能小説 甘くしびれる耳への愛撫


美智(30歳)の体験談

「ごちそうさま」

ふたりで、声をそろえて手を合わせた。
亮君と私は、この部屋に同棲してもうすぐ1年。
リビングでゆっくりテレビを観ながら食事をするのが、私たちの小さな贅沢。
でも今日は、なんだか亮君の様子がおかしい。
何を訊いても、返事が一瞬遅れる。
お気に入りのバラエティ番組を観ていても、目が半分しか笑っていない。
どうしたんだろう??

「ちょっとトイレ」

亮君が、ソファから腰を上げた。
私は、急いでリップグロスを塗り直した。
それから、亮君が大好きなキャンドルに火をつけて、と。
ソファに戻って、慌てて髪を整えた。
「おぉ。どうしたの?」
戻ってきた亮君が、ちょっと乾いた声で驚いている。
「ちょっと、ヘッドマッサージしようと思ってね」
私はそう言って、自分の膝をポンポンっと軽く叩いた。
スカートを押さえながら開いた私の両脚の間に、亮君はすんなりと座ってくれる。

気がかり

「気持ちいい〜」

今日の亮君の声が、ようやく少し、柔らかくなっていく。
そして。

しばらくマッサージをした後、私は亮君の耳を軽く指で支えて、唇で触れた。
フワッとしたキスを、耳に何度も何度も吹きかけた。

「ふぅぅ…」

嗚咽が混じった亮君の息を聞いて、今度は舌で耳をなぞる。
耳の外側のラインを確かめるように。
内側のくぼみを洗い流すように。
耳の奥に、舌先が届くように…。

「はぁぁう…」

亮君は、吸う息も吐く息も激しくなって、胸と肩が大きく動き始める。
それを確かめて私は、くちゅっと音を立てながら耳をくわえこんだ。
キャンドルだけの明かりでオレンジ色に浮かび上がる部屋の景色に、絡み付く唾液のこだまする私の愛撫。

「私はね、亮君がいてくれるだけでいい。生きててくれるだけで、それが一番の幸せだよ」

耳から口を数ミリだけ離して、半分は吐息で半分は声でささやいた。
少しグタッと亮君の体から力が抜けた。

灯を消して…

「この、グロスの香り、俺、好きだよ」

そう、ひとりごとみたいに呟いて、次の瞬間。
振り向いて立ち上がった亮君は、私をガッと抱き上げてベッドに連れて行った。
それから、泣きそうな、嬉しそうな、ちょっと悔しそうな、はしゃぐような。
グチャグチャにかき混ざった表情をして、私を抱いた。
激しくて、少し乱暴で、でも雑じゃない。
いつもより硬い中心を奥の奥まで届かせながら、亮君は、「好きだ」と何度も言った。

「本当だ」と、何度も言った。

私はただ、全身の細胞を支配していく甘くとろけそうなしびれの中で、しっかりと目を見て頷くだけだった。
ふたりで一緒に果てた後、亮君はそのまま眠ってしまった。
そういう日があってもいい。
何があったかわからないけれど。
全部、カラダで私にぶつけて、吐き出して、リセットできるならそれでいい。
私は、自分の唇がちゃんと柔らかいことを確かめて。
それから、眠っている亮君の唇に、目に頬に、そしてもう一度耳に、そっとキスをした。
すべての電源をオフにする、大事な大事な「おやすみキス」。

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あらすじ

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