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官能小説 卒・業
失恋と失業


別れ話を切り出されたのは、彼のアパートに泊まった翌朝だった。
「実っていうんだろ、元カレの名前」
葉摘(はつみ)は、ぎくりとした。
「夜中に寝言で呼んでた。俺とした後でだぜ」
頬を赤らめる葉摘に、彼は続けた。
「葉摘はいつも、誰かのイメージを俺に重ねてたよな。それっぽくないとか、似合わないとかさ」
その通りだと、葉摘は思った。
今まで付き合った男たちも、みんな同じことを言っていた。
「実ってやつのレプリカにされるの、俺、ごめんだから」
こうして、葉摘はフラれた。
その三日後、葉摘の勤めるブティックの閉店が決まった。
以前から売り上げが伸びず、どうなるかと噂されていた矢先だった。
25歳にして、失恋と失業のダブルパンチか──。
ため息をついた葉摘は、ふと、久しぶりに実家に帰ろうと思った。
葉摘の故郷は、東京から5時間もかかるド田舎である。
18歳で進学のため上京し、卒業後も東京で仕事を続けた葉摘は、忙しさにかまけて、滅多に家に帰ることもなかった。
指定席に乗り込むと、列車は走り出した。
窓の外の景色を眺めるうちに、葉摘はいつしか、実のことを考えていた。
仙道実(せんどう みのる)は、葉摘の幼馴染の同級生。
家が隣同士で、いつも一緒に遊んでいた。
高校は別々になったが、二人の気持ちが離れることはなく、ごく自然のなりゆきで、葉摘は実と付き合い始めた。
実はいつも葉摘のそばにいた。
それは永遠に続くと思っていた。
だが──。
別れは突然訪れた。
東京に進学を決めていた葉摘に、
「俺も一緒に上京したい」
と言っていた実が、卒業ギリギリで、地元の会社に就職してしまったのだ。
母子家庭の実の家が大変なことは、葉摘も知っていた。
だが、「なんとかする」という実の言葉を、ずっと信じていたのだ。
何よりも、自分になんの相談もなく決めたことが、葉摘には許せなかった。
「自分勝手。結局、私のことそんなに好きじゃなかったんだ」
葉摘に責められ、実は寂しそうな目をした。
実の状況を思いやる余裕は、当時の葉摘にはなかった。
あれから葉摘は、実と一度も会っていない。
あの頃に戻れたら
葉摘が実家に帰ると、両親と弟の弘希がそろって迎えてくれた。
二階の自分の部屋をそのままにしてくれているのが、葉摘にはありがたかった。
疲れが出たのか、その晩はぐっすり眠った。
翌日は日曜で、両親は親戚の法事に出かけ、弘希も友達と遊びに行くという。
葉摘は部屋を片付けることに決め、二階に上がった。
まずは洋服を処分しようと、タンスの引き出しを開けた葉摘の目に、セーラー服が飛び込んできた。
たちまち、葉摘の心は高校時代に引き戻された。
あの頃に戻れたらいいのに──。
懐かしさに駆られ、葉摘はセーラー服に袖を通してみる。
ふいに、実と初めてキスした日のことを思い出す。
あれは高一の夏。
唇が触れただけのぎこちないキス。
なのに、あんなにドキドキして…。
(そういえば、こんな甘酸っぱい心地だったかも…)
バッグの中からベリーの甘い香りのタブレットを口に含み、転がした。
甘酸っぱさがじんわり全身に浸透するような感覚にひたりながら、葉摘はベッドに横たわる。
実の思い出が、次々と脳裏に浮かぶ。
実の声。
実の手。
実の笑顔。
そして最後に会った時の、実のあの寂しそうな目──。
葉摘は泣いた。泣いて泣いて、泣きじゃくった。
「葉摘、戻ってるんだって?」
聞き覚えのある声に、葉摘は目を開けた。
どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。
声の主は、開いたドアから入ってくると、ベッドに寝ている葉摘を見下ろした。
その顔は間違いなく、成長した実だった。
夢だ、と葉摘は思った。実のことばかり考えていたから、夢を見ているのだ。
「さっき、弘希が出かける時ばったり会ってさ、『姉ちゃんが二階にいる』っていうから、ちょっと寄ってみたんだ」
葉摘は、実をぼんやり見つめる。
「実、かっこよくなったね」
夢の中だと思えば、どんなことでも言える。
「…葉摘こそ、きれいになった」
照れたように、実は言う。
「でも、その恰好、何?それに、なんで泣いてんの?」
「思い出してたの、実と別れた時のこと」
「え?」
「実は上京するって思い込んでた。私と一緒にいるためなら、何とかしてくれるって。なのに地元に残るって聞いて、すごく悲しかったの。実にとって、私はその程度だったんだって。私、実のことが本当に好きだった。だから…」
夢だと思うと、どうしてこんなに素直に言葉が出てくるのだろう。
「ごめんね、実」
葉摘は実に抱きついた。
夢ならここで終わるはずだ。
でも、実の体は温かい。
これは現実だと、葉摘は気づいた。
過去からの卒業
黙って聞いていた実は、葉摘を見つめてこう言った。
「謝るくらいなら、もう一度俺にチャンスをくれよ」
夢でも現実でもいい、実と結ばれたい──。
葉摘は頷いた。
だが、いざ葉摘にキスしようとして、実はためらった。
「なんか、いけないことしてるみたいだ」
「そんなことない、続けて。お願い」
葉摘は、実の顔を引き寄せる。
実の唇が、葉摘の唇に重なる。
そっと入ってきた実の舌が、葉摘の舌に絡みつく。
あの頃と違うようで同じ、甘酸っぱい感覚とベリーの香りが二人を包み込む。
と同時に、実の手が、セーラー服の上から葉摘の胸に触れ、ゆっくりと撫で回す。
めくるめく快感に、葉摘は身をゆだねる。

長く熱いキスの後、実はやっと唇を離した。
「菜摘のキス、なんか美味しい」
その言葉に、かぁっと顔が熱くなった。
「実、キスうまくなってる…」
実は言い返す。
「葉摘こそ、昔はこんなに胸、大きくなかったよな」
「さ、触ったことなかったでしょ」
そう、あの頃は二人とも純情で、ぎこちないキス以上のことは何もできなかったのだ。
実は真顔になり、葉摘を見つめる。
「俺、ずっと思ってた。葉摘とこんな風になりたいって」
「私も」
葉摘は、たくましくなった実の胸に、顔を埋めた。
実は葉摘のセーラー服を脱がせ、ブラジャーを外し、パンティに手をかけた。
葉摘の恥ずかしい部分があらわになる。
実はそこを、指で愛おしそうに撫でる。
「大人になったな」
実に言われ、葉摘の快感は否応なく高まる。
実は、固くなった自分の男性自身を、ぐっしょり濡れた葉摘の秘所にそっと入れる。
「実も、お…大人になった」
あえぎながら、葉摘は言う。
実の腰の動きが徐々に激しくなる。
葉摘もそれに応える。
お互いの名前を呼びながら、二人は求め合い、やがて同時に果てた。
今、実の腕の中で、葉摘はつぶやく。
「私、やっと今日、過去から卒業できたような気がする」
葉摘をぎゅっと抱きしめて、実は言った。
「俺も」
あらすじ
主人公の葉摘は25歳で失業と失恋を同時に経験。
忙しくて帰れなかった実家に久しぶりに帰ろうと決心する。
実家の自室で葉摘は偶然、高校の時にきていた懐かしい制服を見つけ袖を通す。
すると、上京の際喧嘩別れした元彼・実(みのる)との甘酸っぱい思い出がよみがえり…。