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官能小説 童貞彼氏とハジメテ彼女。


お互いがハジメテ

★作品について

この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「ラブコスメで乱れる!感じる小説コンテスト」のLC作品です。
ドキドキの小説をお楽しみください。

「……ごめん、俺、本当は…童貞、なんだ」

付き合って3ヶ月、格好良くて優しくて、職場内でもモテモテの彼。 そんな彼がまさか、今まで誰とも、経験がないなんて…。喜ばしいことだけれど、正直意外だ。

「えっ、あ、そうなんだ…。わ、わたしも、だから、一緒だね」

そう、何を隠そう、私も処女。

お互いが初めての相手、だなんて社会人になっていたら少し珍しいかもしれないけれど、嬉しいし安心して、緊張が解けた。

彼もゆっくり息を吐いてから、私の目を見て優しく笑う。

「……上手くはできないかもしれないけど、優しくするから。ひな、大好きだよ」

「……ん、っ……わ、私も…。ゆずるくん、大好き」

名前を呼ばれて、降りてくるキス。 大好きな彼氏との、幸せな時間が始まる……
と、思ったら。

「いっ、…痛っ…!はいんない…、なんで……?」

人生初のエッチは、そう簡単にはいかなかったのでした。

「ひな、明日土曜だし、今日は俺ん家で夕飯食べない?」

「え……、う、うん。わかった。楽しみにしてる」

「うん、俺も。また後でね」

一瞬だけ私の肩に触れて、何事もなかったように去って行ったのは、彼氏の藤原譲(ふじわら ゆずる)くん。
そして私、吉岡ひな(よしおかひな)の職場の同期でもある。

今年の3月に大学を卒業して地方銀行に就職した私たちは内定者研修で出会い、配属先の支店も一緒で、仕事にも慣れてきた夏の始まり頃に譲くんからの告白で付き合いはじめた。
柔らかい雰囲気で、優しくて、見た目も格好いい譲くんに好きだと言われたときは信じられなかったけれど、私たちのペースでお付き合いをしていってもう3か月。
私にとっては譲くんが初めての彼氏だけど、大きな喧嘩もなく順調に交際できている、と思う。

……そんな順調な交際に、問題が発生したのは先週末のこと。初めて訪れた、一人暮らしの譲くんの部屋。
お泊まりに誘われる、ということは、どんなことをするか自分でも理解していた。3ヶ月も待ってくれたなんて、譲くんの優しさだと思う。
シャワーを借りて体中きれいにしたし、可愛い下着もつけた。心構えも、できている。

「……ひな、いいかな」

薄暗がりの中、同じベッドで抱きしめ合っていると、譲くんが困ったような顔でそう言った。 私が頷くと、すぐキスされて、今まで味わったことのない感覚になって。気持ちいい、ということなのかは分からなかったけれど、譲くんが触れたところ全部が熱かった。

譲くんの手が、ショーツに伸びる。 恥ずかしい、少し怖い。そんな思いでぎゅっと目をつぶっていると、暫くの沈黙。 不思議に思って彼を見たら、すぐに目を逸らされた。

「ごめん、俺、本当は……」

その言葉は、予想もしていないことだった。 だって、格好良くて紳士的で、学生時代だってモテたであろう譲くんが今まで誰とも経験がないなんて、思わなかったから。

でも、大好きな彼のハジメテの人になれる。 それが純粋に嬉しくて、優しくする、と言われて安心して。 譲くんに身を任せたけれど、ゆっくり入ってきた指は正直少し痛かった。

…そして、挿入も。 あまりの痛みに私が泣いてしまって、結局その日はそれ以上先には進まなかった。 無理させてごめん、と譲くんは言ってくれるけれど、私は申し訳ない気持ちでいっぱいで、上手くいかなかった理由もわからなくて。

それから二週間。

譲くんは職場でも電話やメールでも以前と変わらぬ様子で接してくれた。 だけど今日、再び自宅に誘われて、あの時の不安が蘇ってきた。また、するのかな。痛かったらどうしよう。 仕事が手につかないまま、あっという間に陽が落ちていった。

海鮮のパスタ

一人暮らしをするようになってから覚えたという譲くんの料理は、とても美味しい。 今日は海鮮のパスタ。帰り足でスーパーに寄って食材を選んでいたら、なんだか新婚みたいでふわふわした気持ちになった。

「ごちそうさま。凄く、美味しかった」

「そっか、よかった。ひなが美味しそうに食べてくれる顔、好きなんだ」

譲くんの台詞にいちいちドキドキしてしまう。 お皿洗いを申し出たら最初は断られたけれど、私が粘ってやらせてもらうことになった。少しは彼女らしいことがしたい。

全部のお皿を洗い終えて水を止めたところで譲くんに後ろから優しくハグされた。肩に譲くんの顎が乗っていて、首に息があたって心臓が跳ねる。

「ゆ、ゆずるくん…?」

「…なんかこーいうの、いいなぁ。俺、今まで女の子を部屋に入れたりとか、同じ食卓を囲む?みたいなのなかったから、一緒に住んだらこんな感じなのかな、とか思ったりして」

横目で見た彼の頬が赤いような気がした。
同じようなことを考えていた。それが嬉しくて、私の顔も熱くなる。赤くなっているであろう頬にキスされて驚いていると、不意打ちのように耳に口付けられた。

「…っ、んっ!」

変な声が出てしまい慌てて口を押さえる。譲くんは濡れたような声で耳元で言った。

エッチな気分でドキドキする男女

「ひな、…今日、泊まっていけないかな」

譲くんと、一晩中一緒にいたい。たくさん話をして、同じご飯を食べたい。だけど、泊まる、っていうのはそれだけじゃなくて。
少し考えて、私は頷いた。譲くんはありがとう、と言って抱きしめる力を強くした。

「お泊まり道具、コンビニに買いに行ってもいい?」

「勿論。一緒に行こう。あとさ、近くにツタヤあるからDVDでも借りて観ない?ひなが前に観たいって言ってた映画とか」

手を繋いで夜道を歩くと、また幸せな気分になった。今日は、痛くないといいなー……

「んっ、…ぁ、ゆずる、くん」

「ひな…すげー可愛い。好きだよ」

唇、耳、首筋、胸元。

触れられる度に小さく声が漏れる。

下着まで全て脱がされて、素肌のまま抱き合うのは気持ちよくて。なんだか今日は上手くいきそうな気がする。

「っ、……!あっ」

譲くんの指がナカに入ってくる。最初は少し痛みが走ったけれど、時間をかけて慣らしてくれた。

「大丈夫?痛くない…?」

「うん、だいじょうぶ……、前より、へいき」

「よかった。…挿れても、いい?」

静かに頷くと、譲くんは緊張したような顔になって、ゆっくりコンドームをつけた。キスをされて、気持ちいいな、って思っているうちに下腹部に圧迫感。

「……、すごい、気持ちいい…。

ひな、無理してない?」

「ん、ぅ…、大丈夫、だよ…」

前回のときみたいに、泣くほど痛いわけじゃない。

でも、

(…これって、気持ちいいってことなのかな…?)

「好きだよ、ひな、大好き」

いっちゃう、ってなんだろう。

キスとか、言葉の方が満たされるような感覚がする。

暫くして、譲くんはいっちゃったみたいで、私の上に倒れこんだ。

「俺ばっかり…、ごめん」

「ううん、気にしないで。私も譲くん大好き」

抱き合って眠って、幸せだと思ったけれど、モヤモヤする気持ちは晴れなかった。

次の日の夜、私は同僚の薫ちゃんを誘って飲みに行った。薫ちゃんは同い年だけど、姉御系で仕事でもプライベートな相談でも頼りになる。今の彼氏と付き合ってもう3年になるらしい。

「それさ、藤原くんも悪いよねー。それにしてもまさかあの藤原くんがドーテイだったなんて」

「か、薫ちゃん、絶対言っちゃダメだよ、それ」

ビールを飲み干して、薫ちゃんはニヤニヤ笑う。

「私がおかしいのかなぁ…、ハジメテだから気持ちよくないのかな」

「……まあお互いの経験不足もあるんじゃない?」

「薫ちゃんは、……その、彼氏さんと、どんなエッチしてるの…?」

私が聞くと、薫ちゃんは少し赤くなって、何か思い出したように言った。

「あたしらは普通だけど…、

でも、やっぱり途中でマンネリ化してきてさ。去年くらいから、使うようになったんだ。オモチャ」

オモチャ。脳内変換が上手くできなくて、首を傾げると、薫ちゃんはまた笑った。

「ほーんとアンタは純粋だねー。ほらこれ、こんなの」

薫ちゃんが見せてくれた、スマホの画面には、

「な、なにこれ、これって…!」

ピンクの丸いものだったり、長くて、その、男性のアレをかたどったものだったり…、

「そう、大人のオモチャ。慣れてない人が自分の感度上げるためにも使うみたいだよ」

「感度…、気持ちよくなるように練習できたら嬉しいかも…。

でもこれ、どこに売ってるの?買うの恥ずかしいよね…?」

「あー、店でも売ってるだろうけど、さすがにね。通販でも、買えるんだよ。あたしらはネットで一緒に選んで買ってる」

薫ちゃんはいつも利用しているという通販ショップのURLをLINEで送ってくれた。

ラブコスメ……?

「ラブコスメ……?そういう名前だったら、なんか可愛いかも」

'初心者向け'とか'1人エッチ用'とか、説明が書いてあるので、初めてでも選びやすい。

「とりあえず、バイブ、はちょっと怖いから…。ローター、かな。でもキス専用美容液とか、香水も気になる…!」

洋服や雑貨を選んでいるような気分で、購入ボタンを押していた。 後日、荷物は思っていたよりもすぐ届いて、記載も「化粧品」にしたから家族にも怪しまれずに済んだ。

(うわぁ……、これが、ローター…)

家族が寝た頃、自分の部屋でこっそり箱を開ける。
下着姿になって、購入したローターのスイッチを入れると振動し始めた。思っていたよりもうるさくない。

「……っ、ん」

ナイトブラの上からローターを胸に当てると、振動が全体に広がって、少し変な気分になった。譲くんのことを思い出す。

'ひな、可愛いよ。好きだよ'

目を瞑って、譲くんのことを考えて。 息が上がってきたので、ゆっくりとローターをパンツの方へ。

「っ、! あっ」

大きな声が出そうになって、慌てて手で口をふさぐ。

(こんな感覚、知らない…!)

譲くんが触ってくれるところ、薫ちゃんが教えてくれたやり方、色々試してみると、自分で自分の体をよく知らなかったことに気付いた。 これなら、次に譲くんとえっちするときまでに、'感じる体'に変われるかもしれない…!

「ひな、なんか今日、違うね。どこが違うか、上手く言えないけど…」

譲くんと食事をして、デザートを食べている途中に、そう言われた。もしかして、もしかして…! そして帰り道、手を繋いで歩いていると、人気のなくなった瞬間、不意打ちのキス。

「…ごめん、なんか急に、キスしたくなった」

顔を背ける譲くんは、耳まで真っ赤だ。

(すごい、美容液の効果出てる…?)

実は、ローターと一緒に唇用の美容液も買っていた私は、今日はこっそりそれを使ってみたのだ。

「あのさ、ひな、今日はひなと一緒にいたいんだけど…」

真っ直ぐな譲くんの目。私はそれに頷こうとして、ふと思い出した。

(ま、まだ開発は終わってない…!)

ちゃんと気持ちよくなれる体になるまでは、えっちしても譲くんを困らせてしまうだけだ。

「ごめんね譲くん、今日はちょっと、帰るね」

「……そっか、」

その日も、次の週末も、私は譲くんのお誘いを断った。毎日一人でシているわけではないけど、少しずつ濡れるようになってきて、体が変わっていってるのがわかる。

これなら、譲くんに触ってもらっても大丈夫、かな…?

職場の飲み会

週末は職場の飲み会で、その後に譲くんのお家にお泊まりする約束をした。とは言っても、私たちがお付き合いしているのは一部の人以外には内緒なので、飲み会中は一定の距離を保っていた。

「吉岡ちゃんさぁ、最近雰囲気違うよね」

「え……そう、ですかね」

「うん、なんつーか、大人っぽくなったっていうか…えろ…いや、なんでもない」

私の隣には二年先輩の安斎さんが座っていて、お酒を頼んでくれたり、料理を取ってくれたりする。

「あ、あの、私今日はあんまり、お酒は…、強くないですし」

「えー、いいじゃん。甘いのとか飲んどけば?

それよりさ、吉岡ちゃんって、彼氏いるの?」

「え……、えっと、」

彼氏、いません。って答えればいいんだよね。
言おうとした瞬間、

「吉岡さん、携帯鳴ってるよ」

正面に座っていた、譲くんからの言葉。
携帯はマナーモードで、その距離からは聞こえるはずがなかったけれど、譲くんの目線に促されて鞄を開けた。

「……、!あ、あの、すみません、家族が…急に具合悪くなっちゃったみたいで。薬買ってきてって、連絡きたので、お先に失礼したいです」

上司や先輩に断って、その場を離れる。一緒に立ち上がろうとした安斎さんに、薫ちゃんが話しかけた。薫ちゃんはウインクをしている。

店を出て、近くのコンビニで待っていると、譲くんがきた。あの時、「家族が具合悪くなって薬買って帰って来いって連絡きたから、とか言って飲み会抜けて。俺もすぐ抜けるから」とLINEをくれたのは譲くんだったのだ。

いつもなら、飲み会を抜けるなんてできないのに。 勇気を出してちゃんと言う通りにしたのは、譲くんの視線が少しだけ怖かったから。

「……ひな、飲み過ぎじゃない?」

「だ、だって、安斎さんが」

「はぁ。……行くよ」

飲み物を適当に買って、私と譲くんはコンビニを出た。 譲くんは私の手を掴んで、一言も喋らず歩く。 タクシーを捕まえると、予定通り譲くんのお家に向かった。 譲くんの部屋に着いて、最初にされたのは激しいキスだった。

「ん!ぅ、あ、……んぅ」

私からするのか、譲くんからするのかわからないお酒の味。ぼんやりと分かるのは、こんなに強引なキスを譲くんからされるのは、初めてだということ。

「ひな、ベッド行くよ」

「えっ、待って、汗かいてるから!お風呂…シャワー、したい」

「いいよ、別に。俺も汗くせーし、同じだよ。それより」

話す間も無く、降りてくる唇。食べられちゃうんじゃないかってくらい、深くて、気持ちよくて。

「はっ……、ひな、唇ツヤツヤしてるし、甘いし、確かに最近エロいし、なんか隠してるみたいだし、なんなの。安斎さんなんかに目ぇつけられて、何してんの」

「やっ……、違っ、わたし…。譲くんと、気持ちよく、なりたくて…。譲くんに、喜んでほしくて!」

私の言葉で、服を脱がそうとしていた譲くんの手が止まった。

「俺……?」

私は譲くんに全ての事情を話した。 薫ちゃんから教えてもらったサイトで、ローターを買って少しずつ練習をしていること。 それと一緒に買った唇用の美容液を最近はつけていたこと。 話し終わると、譲くんはベッドの上で謝ってきた。

「ごめん!!俺、ひなにそんな思いさせてたの、ちっとも気付かなかった…!ほんと、ごめん。ただのクソ童貞じゃん。あー、もう」

「違うの。譲くん悪くないよ。一緒に気持ちよくなりたいから、したんだよ。好きだから、したの」

顔を上げた譲くんに、私からキスをした。私からしたのは、初めてかもしれない。

「…あのね、まだどうなったかわかんないけど、前とは体、違うかも…。譲くん、確かめて……?」

お酒のせい?それとも、ラブコスメのおかげで自分の体に自信が持てたから?今日の私は、少し大胆だ。

「いいの…?ひな」

頷くと、譲くんは私を抱きしめて、いつもみたいに優しいキスをくれた。

「痛かったり、気持ちよくなかったら、ちゃんと言ってね。 好きだよ、ひな。すげー好きだ」

「うん、わ、たしも…、譲くん、大好き」

譲くんの手が優しく胸に触れる。

「っ…、あ、っ、ゆずる、く」

「んー…、ひな、舐めていい?」

「んっ、あ、や、なんか、だめ、」

胸の先端を吸われ、体が跳ねてしまう。

「なんか、ほんとに、感度良くなってない…?…ちょっと妬いちゃうな、オモチャに」

ふて腐れたような表情の譲くんが可愛くて、少し笑うとキスマークをたくさんつけられた。その度にいちいち声が出てしまう。

「俺すごい幸せ」

「……すげ、濡れてるよ…。今までこんなんなったこと、なかったよね?」

パンツ越しの秘部に、譲くんの指が触れる。今までは、触られると少し怖いと思っていた部分だ。 譲くんにしがみつくと、ごくり、と彼の喉が上下したのが分かった。パンツを脱がせると、彼の指は割れ目を辿り、ゆっくりとナカに入ってきた。

「んっ、…!ぁ、あ、っ、んあっ」

「…ナカ、狭くて、あっつい。ひなの気持ちいいとこ、教えて?」

「わ、かんない、けど…なんか、へんっ…」

「すごいね。こっちも、気持ちい?」

「あっ…!りょうほう、は…だめ、!」

ナカと、秘部の突起と、両方を触られて、オモチャでも味わったことのない感覚が私を襲った。

「舐めていい?舐めるね」

「あっ、らめっ、譲く…、あっ、ああっ!」

指でナカをかき混ぜながら、譲くんの舌がそこを舐めてくる。お風呂入ってない、汚いよ。そう言いたいのに、声にならない。

「いっ、あっ、なんか、だめ、きちゃうっ、んっ…!ゆずる、くん、…!!」

目の前がチカチカして、恥ずかしい声が止まらなくて。

「あ、ああっ、っ、……ーー!!」

びくん、と大きい波のようなものが来て、力が抜けた。

「……ひな、もしかして、いま」

イッちゃった?
返事をしたくても、言葉が出なくて。 荒い息のまま譲くんを見つめていると、彼は困ったように笑った。

「ごめん、そんな顔されると、俺、我慢できないよ」

返事の代わりに、キスをした。コンドームをつけて、ゆっくりと譲くんが入ってくる。 自分でも、感覚が前回と違うのがわかった。

「ぁ…っ、あ、はいって、おっき…」

「…やべ、あったかい、し、キツい…。こんなの俺、ヤバイかも」

「あぁ、っ、あ、ん…っ、!」

「っ、ぜ、んぶ、入った…。ひなのナカ、ぬるぬるで、前と違う…。気持ちいい…」

私を見下ろす彼に息を整えながら微笑むと、「俺すごい幸せ」と言って少し笑った。その顔が格好良くて、そんなの私もだよ、と言おうとしたけれど、それより早く彼の腰がゆるゆると動き始めた。

「あっ、ああっ、んっ、っ!」

始めは少しぎこちなかった動きが、だんだんと激しい抽送に変わっていく。正常位で突かれて感じていると、譲くんの手が胸に触れ、尖っていた先端を摘んできた。

「やっ、あっ、ぐりぐりしちゃ、だめっ…、!!」

「ん、これがいーの?あ、ナカきゅってなった」

「い、わなっ、でぇ…!!あっ、やん、あっ」

譲くんの手にも言葉にも、全てに感じてしまう。<こんなに気持ちのいいこと、わたし、知らない。 名前を呼ばれ、瞑っていた目を開くと、視界いっぱいに譲くんの顔が広がった。

「…っ、!ふ、んぅ、ぁ、う」

「は、っ…、ひな、すごい気持ちいいよ…。頑張ってくれてありがとな。大好き…」

余裕のなさそうな、譲くんの表情が愛しくて。自然と涙が溢れる。

「ゆ、ずる、く…、わたしも、好き、大好き。

はじめて、譲くんで、よかった」

「あー…もう、可愛いことばっか言って…。ひな、ずるいよ」

私の頭を撫でる掌は優しいのに、譲くんはゆっくりと腰を押し付けてきて。泣きながらみっともなく感じてしまう。

「あっ…、奥、だめっ、それ」

「ん、だって奥すげー吸い付いてくんだもん。ああ、もうダメだ、俺」

ぐちゅり、と大きな音を立ててギリギリまで引き抜かれ、一気にまた奥まで入ってくる。そこからはもう、何も考えられなくて。

「ああっ!や、あ、あっ、はげし、だめっ、あ、んあっ、譲く、だめ、んっ、あっあっ」

「はぁ、っ、」

「ん、う、あ、すごいの、あっ、んっ、こわれちゃ、奥、あっ、あ、だめなのっ」

「ん、ごめ、ひな、出したいっ…」

口から勝手に出るのは、情けない母音と、彼の名前と、好きという言葉。譲くんはそれに応えるように何度もキスをくれて、私を呼んでくれた。

「んあっ、あ、いっ、ちゃ…!や、だめ、ぁっあっあ、…〜〜っ!!!」

「ぅあ、っ……、」

倒れ込んで、抱きしめ合って、もう、意識がふわふわして。それでも、譲くんがまた優しくキスをしてくれたということはわかった。

女って怖い…けど…

「俺ん家、姉貴も妹も気性荒くてさ。何となく女って怖いイメージ持ってて。 今まで付き合ったことがないわけじゃないけど、優しすぎるとか言われてフラれたことあるからどうしたらいいか分かんなくなってたんだ。 んで、恥ずかしながらこの歳まで童貞。…エッチしたいってまで思ったの、ひながはじめてだよ」

譲くんは顔を赤くしながら、過去を話してくれた。

「わ、わたしだってはじめてだったし、ハジメテが譲くんで嬉しいし、その…譲くんのハジメテ、貰えて嬉しいし…」

私も自分で言って恥ずかしくなって目をそらす。 すると譲くんが抱きついてきた。

「ひな、可愛い。俺のために、頑張ってくれて、ほんとにありがとう」

頬にキスをもらって、笑い合って。 私たちは気持ちのいいエッチをして、より心から通じ合えた気がした。

「……で、どこで買ったの?オモチャ。俺も見てみたいな〜…」

「……え、?」

そして王子様な譲くんは、実は'優しいだけ'じゃなかったみたい。

「あ、このあったかくなるローションとか、気になるかも。頼んでみようかな。バイブも興味あるけど、ひなが俺じゃ満足できなくなったら怖いしな…」

ラブコスメのサイトを見ながら、真剣に悩む譲くんがなんだか可愛くて。

「そ、それはないんじゃないかな、……譲くんが一番だし」

そう言うと、譲くんは携帯を置いてこっちを見た。

「……ひな、もう一回、したい」

「うん。わたしも…」

大好きな人のための、カラダ作り。それは二人の恋をより素敵なものに変えてくれる魔法かもしれません…!

END

この小説を読んだ方にオススメ!

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あらすじ

社会人一年目カップルの
吉岡ひな(22)と藤原譲(23)。
実は2人は、お互いがハジメテの相手…!
上手くいかないエッチに戸惑う恋愛初心者のひなは、ネットで見つけたラブグッズで感じるカラダ作りをしてみることに。
そんなひなの様子を譲は不思議に思い…。

ひなと譲は、憧れの「ラブラブで幸せなエッチ」を実現できるのか…?

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