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官能小説 イケメン彼氏を感じさせる方法 後編【LCスタイル】
デート

そして土曜日。
灯里は『リュイール フォーメン』を枕元に忍ばせ、瞬の到着を今か今かと待っていた。
お昼ご飯は、瞬が駅前のカフェでサンドイッチを買ってきてくれると言っていたので、スープだけ用意した。野菜を切ってコンソメで煮込むだけの簡単なスープなのだが、緊張のせいか頭があまり働かず、作るのにやたらと時間がかかってしまった。
ピンポーン
チャイムの音で灯里は体をびくりと震わせる。
玄関のドアを開けるとそこには瞬がいて、「灯里、今誰が来たか確認せずに開けただろ」と頭を小突かれた。
先週まで涼しい日が続いていたのだが、今日は小春日和という言葉がぴったりの暖かい日だった。
そのため瞬は白いカットソーに紺色の薄手のカーディガン、黒いスキニーパンツという装いで、久しぶりに瞬の春服を見た灯里はぼーっと見とれてしまう。瞬は背も高いし、細身だが肩幅もしっかりあってとにかくスタイルがいい。暖かくなって服が薄手になると、それがより際立って見えた。
(こんな人が彼氏なんて……本当に夢みたい)
もう一年ほど付き合っているが、何度デートしても、何度体を重ね合わせても、灯里は瞬にドキドキしてしまうのだ。
「灯里?とりあえず中に入っていい?」
「う、うん!なんかぼーっとしちゃってごめんね。入って入って」
瞬に目の前で手をひらひらと振られて意識が現実に戻った灯里は、慌てて瞬を部屋の中へ招き入れた。
「今日は結構暑いな」
日差しの中を歩いてきたからだろう。瞬はわずかに汗ばんていて、部屋に入るとすぐにカーディガンを脱いだ。中に着ている白いカットソーは七分丈で、綺麗に筋肉がついて少し筋張った瞬の腕が露わになる。続く大きな手は指が長く、滑らかで、いつもあの手で高められているのだと思うと、灯里の心臓はまたうるさいくらいに高鳴り始めた。
「灯里、なんか今日変じゃない?体調でも悪いの?」
瞬に心配そうに見つめられて、灯里は慌てて我に返る。
確かに今日の自分は変だ。
でも、体調が悪いと思われて目的が果たせなかったら嫌だと思い、「大丈夫だよ!」と無理矢理笑顔を作った。
それから二人は他愛もない話をしながらサンドイッチとスープで昼食をとり、その後は最近二人ではまっている海外ドラマを一話だけ見た。
お家デートの度に少しずつ見ているのだが、やたらと長くて一生見終わらないんじゃないかという気がする。
隠しごと
(そろそろ頃合い……だよね?)
いつもであればこれぐらいのタイミングで瞬がキスをしてきたりして、なし崩し的にセックスにもつれ込むことが多い。
灯里は口から心臓が飛び出てしまうのではないかというほど緊張してきた。
「やっぱり今日の灯里、変だよね?俺に何か隠し事してるでしょ」
「してない!瞬くんに隠し事だなんて、そんなことするわけないよ!」
「嘘。じゃあなんでそんなに挙動不審なの?それにさっきから枕の方ばっかり見てる。俺が気づかないとでも思った?」
『枕』という単語を出されて、灯里の心臓は飛び跳ねた。自分ではまったく気づいていなかったが、知らず知らずのうちにラブコスメを隠している枕元を何度も見ていたらしい……。
「見ちゃおうかなー」
瞬は少し意地悪く笑うと、枕元に手を伸ばした。
「だ、だめっ!」
灯里は慌ててベッドと瞬の間に体を割り込ませる。どうせ隠されているラブコスメはこれから瞬に使うものなのだから、見られてまずいというわけではない。けれど、灯里は恥ずかしさのあまりつい隠してしまったのだ。
灯里のその様子を見て、瞬の眼差しは剣呑なものになった。
「へえ、そんなに見られたくないんだ。一体何を隠してるの?」
瞬は灯里をベッドに追い詰め、肩のあたりを押してそのままベッドに押し倒した。
一年間付き合ってきたが、瞬の怒ったような顔を見るのは初めてだ。その眼差しの鋭さに、灯里はひるんだ。
「浮気の証拠があるとか?この間の飲み会でも、竹内と仲良さそうに話してたよね」
「違うっ!そんなことしてないよ……!竹内くんとも普通に話してただけだし」
突然『浮気』なんていう言葉を出されて灯里は驚いた。飲み会のときはたまたま隣が竹内だったから当たり障りのない話をしていただけで、そんなことを瞬が気にしていたなんて思ってもみなかった。
「竹内の口から、灯里が調子悪くて帰ったって聞かされた俺の気持ちわかる?正直、腸が煮えくりそうになったよ」
「それは……ごめんなさい。急に気分が悪くなったから、瞬くんに伝える暇がなくて……」
仄暗い表情をした瞬は、灯里をベッドに押し倒したまま顔を近づけ、噛みつくようなキスをした。舌で無理矢理灯里の口をこじ開け、荒々しく貪る。それと同時に灯里のスカートに手を差し込み、ストッキングごとショーツを引き下ろした。
「は……あっ……瞬くん、やめてっ……!」
瞬にこうされるのは嫌ではないが、変な誤解をされているし、なによりこのままではいつも通りの受け身なセックスになってしまう。一回体制を立て直したくて、灯里は抵抗をした。
「なんで拒否するの?もう俺が嫌になった?そんなの……絶対に許さないから」
灯里の抵抗によってますます誤解を深めてしまった瞬は、灯里の秘所に指を伸ばし、すでに潤っていたそこをにちゃにちゃとかき回した。
「あっ、瞬く……だめ、だめ」
「ほら、嫌がってても体は喜んでるみたいだよ。安心して、今日はすぐ挿れてあげるよ」
そう言うと瞬はズボンの前だけくつろげて、すでに猛り切った塊を取り出した。いつも必ずつけるはずの避妊具を手にとることもなく、そのまま灯里の秘所に押し付ける。
いつか瞬との結婚を夢見ている灯里だが、二人の気持ちがすれ違ったままこんなことをするのは嫌だった。
「瞬くん!!だめ!!!本当のこと言うからーーーー!!!!」
灯里は足をジタバタさせながら大声を出した。
頭に血が上っていた瞬も、さすがに冷静になったらしく、灯里から少し体を離した。
「ごめん、瞬くん。こんなことになるとは思ってなくて……。隠してたの、これなの」
灯里は枕の下に手を入れて、隠していた『リュイール フォーメン』を取り出す。
「なにこれ、ハンドクリーム?」
灯里が出したものを見て、瞬は目を丸くした。確かにぱっと見たところチューブ状のハンドクリームか何かにしか見えない。
「こ、これは男の人の……に塗ると気持ちよくなるっていうジェルなの。私、いつも瞬くんにしてもらってばっかりでしょ?それだといつか飽きられちゃうんじゃないかって不安で……。私も瞬くんに何かしてあげたいって思ったの」
灯里は恥ずかしさのあまり少し俯きながら話した。
瞬は灯里の言葉に驚き、固まっている。
「ね、これ、使ってみてもいい?」
上目遣いに瞬を見ると、瞬は急に灯里をぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。
「灯里、可愛すぎる……!今日様子が変だったのは、これを使ってみたかったからなの?」
「う、うん……。だって、なんか想像しただけでドキドキしちゃって……」
「可愛い。灯里、灯里……」
瞬はたまらないといった様子で、灯里の髪や頬、唇にたくさんキスを落とした。
してくれる?

「……じゃあ、してくれる?」
至近距離で瞬に見つめられて、灯里はまたも心臓を高鳴らせながらこくりと頷いた。
瞬をベッドに押し倒し、邪魔なズボンと下着を取り去ると、手にジェルを取り、恐る恐る瞬のものに手を伸ばした。
少し冷たかったからだろうか。触れた瞬間、瞬の体がびくんと動き、灯里はなんだかその様子が可愛いなどと思ってしまった。
にゅるにゅると手を動かすと、すでに勃ち上がりかけていた瞬のものはあっという間に大きくなった。
(これがいつも私の中に入ってるんだ……)
何度か見たことはあるものの、初めて触る瞬の熱い塊。それが自分の中に入っているところを想像してしまい、灯里も自分の秘所が濡れてきているのを感じた。
「どう?気持ちいいかな?」
「うん……、いいよ。それに、灯里が俺のを触ってるっていうのが、エロすぎてやばい……」
何かに耐えるように微笑む瞬の顔には不思議な色気があり、何もされていないのに灯里の下腹部もきゅんきゅんと疼いた。
その後、「もうちょっとだけ強く」と言われてその通りにすると、瞬は息を荒くする。
「はあ、灯里……灯里の中でイキたい。ねえ、もう挿れていもいい?」
「うん、私も、瞬くんがほしい……!」
瞬は体を起こして、今度は素早く避妊具を装着すると、中途半端におろされていた灯里のストッキングとショーツをはぎとり、自身を灯里のなかに埋めていった。
「んん、……は、あ……」
あまり慣らしていないから少し苦しい。けれど、まともに触れられてさえいないのに灯里のそこはすでにぐちょぐちょで、たいした抵抗もなく瞬のものを飲み込んだ。
「ごめん、苦しい……?」
「少しだけ。でも、大丈夫だから……」
苦しいけれど、いつも余裕そうな瞬が、我慢できないとばかりに性急に体を繋げてきたことが嬉しかった。
「あっ、あっ、瞬くん……!そんなにしたら、すぐにイっちゃう!」
いつも最初はゆっくりと腰を動かす瞬だが、今日は最初から激しい。灯里は瞬く間に絶頂感に襲われて、それに抗うように首をいやいやと振った。
「俺も、もうもたない……。一回出していい?」
灯里はこくこくと頷きながら、抗いきれなかった快感の波にさらわれた。灯里の中が痙攣し、それにつられるように瞬も達したようだ。
(勇気を出してみてよかった……)
いつもになく激しいセックスに呼吸を乱されながら、灯里は思う。もちろんいつものセックスも素敵だが、自分の手で瞬を高めるのもすごく興奮した。それに、その後の少し強引なセックスも、いつもより求められているようで嬉しかった。
灯里がセックスの余韻に浸っていると、後始末を終えた瞬がまた新しい避妊具を取り、パッケージを破っていた。
「え、瞬くん、またするの……!?」
「ああ、今日はたくさんしよう?」
ニコリと笑った瞬の笑顔の下には少し黒いものも混じっているような気がして、灯里はちょっとだけ背筋を冷たくしたのだった。
***
「ひどいことしようとしてごめん……」
「いいよ。私も変に恥ずかしがって、隠したりなんかしてごめんなさい」
あの後何度か愛し合った二人は、灯里の狭いシングルベッドの上で寝転がっていた。心なしか灯里の声は少し枯れている。
「灯里がしてくれたの、すごい嬉しかった。でも、灯里がそういうことしなくても俺は飽きたりしないし、手放すつもりもないから、安心していいよ」
瞬の思わぬ告白に、灯里の頬は赤くなった。
「ありがとう、瞬くん。でも、私……今日瞬くんのを触ってみて、あの……私もすごく興奮したの。瞬くんが感じてる顔が見れて嬉しかった。だから……またしてもいい……?」
「いいに決まってる……!」
瞬はまた灯里をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
END
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あらすじ
今日は灯里の瞬を感じさせるラブコスメ作戦決行のお家デート。
緊張のせいかあまり頭が働かず、
ぼーっとしたり不自然な態度になってしまう灯里。
灯里の様子を不思議におもった瞬は、
彼女が隠し事をしていると疑って…。
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