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官能小説 彼に内緒のワタシ

少しだけ…

「あー、つっかれた……」

帰宅後、香澄は食事とシャワーをすませると大きなため息と共にベッドに倒れ込む。最近は仕事が忙しく疲れはたまるばかりだ。
(はー、癒されたい)

疲れると人肌が恋しくなる。
彼氏はいるが互いに忙しく、最近は顔もろくに合わせていない。
渡した部屋の合い鍵は、しばらく使われていないままだ。香澄は大きなため息をついた後、気分転換にスマホを眺める。するとエッチなバナー広告が目に飛び込んできた。

興味本位でクリックし、何となくサンプルを見てしまう。
ちょっとしたストレス発散にとエッチな画像や漫画を読んでいるうちに少しだけムラムラしてきた。
(そういえば最近してないっけ)

最後に抱かれたのはいつだろう。
(あの時は確か……)

抱かれた記憶を思い返しているうちに、ただでさえムラムラしていた身体がより一層疼いてしまった。
(……もう)

その時、ふと以前罰ゲームで押しつけられたピンクローターの存在を思い出す。処分に困り棚の奥にしまったままだ。香澄はベッドから立ち上がると、引き寄せられるように棚を開け確認する。
(いやいや、待って。無理無理!)

香澄は自分の身体を慰めるようなことは滅多にしない。そんな香澄がいきなりこれを手に取ることはハードルが高すぎた。しかし仕事のストレスと寂しさが身体の熱に変わり、香澄に発散して欲しいと訴えてくる。
(ああもうっ!)

少し照れくさいが誰かに見られているわけではない。
(少しだけなら)

香澄は再びベッドに横になると寝間着の中に手を滑らせ熱を帯びた場所まで指先を沿わす。
恥じらいもあり、直接ではなく下着の上から指先で熱の中心に触れる。
すると既に少しだけ濡れていたようで、下着が愛液で汚れてしまった。布越しに指先まで湿ってしまう。

久しぶりだということもあり妙に興奮してしまった。指先を何度も動かし少しずつ集まってくる甘さに身体を震わせた後、香澄が知っている一番気持ち良い場所を指先で弾く。

「んっ……」

久々に味わう感覚に自然と甘い吐息が漏れてしまう。
(あ、止まらないかも……)

少しだけの予定がその気持ち良さに何度も何度も繰り返し敏感な場所を刺激してしまう。
身体が火照ってきた香澄はもっと深い快楽を引き出そうと、空いた片方の手でブラジャーをズラした。

「あっ……」

既に硬くなり立ち上がっていた乳首をコリコリと指先でイジると、下半身の刺激と相まって全身の感度が高まっていくのが分かる。
(だめ、もっと……)

香澄は思わず寝間着を脱ぎ捨てる。
下着の布さえも煩わしく思え、直接中に指を滑り込ませると愛液でぐっしょりと濡れていた。人差し指を熱くなった秘所へとぐっとすすめるがこんな細いものでは物足りない。
(あ、……無理っ、もっと欲しいかも)

香澄は躊躇いつつも、再びローターを手に取る。使用することに羞恥心や背徳感がないわけではない。
しかしとにかく今、この高ぶった欲情を何かで塞ぎたくてたまらない。
(せっかくもらったし使わなきゃ、悪いから)
香澄はそう自分に言い訳をしたあと、手にしたローターをゆっくりと蜜口に当てスイッチを押す。

「あっ!……っ!」

途端、香澄は身体を大きく震わす。指とは比べものにならない激しい動きに、ただでさえ感度の上がっていた性感帯がゾクゾクと刺激され思わず喘ぎ声が漏れてしまう。
香澄は気持ちよい場所を探ろうとローターの場所を移動させる。
(……っ、クリのとこ凄っ……)

ぐっとそこに擦り付けると振動をより直に感じ、その反動で香澄は仰け反ってしまう。全身に広がる甘い刺激をより深く感じようと、瞳を閉じ快楽に集中する。
(あ、……駄目、……あっ、イキそう)

もう少しで絶頂というときだ。
香澄の耳にガチャリという物音が玄関から聞こえた。
(……え?)

まさか、と青ざめてしまう。

「香澄ー、いる?」

(えっ、う、うそ!?)

予期しない来客

彼氏の圭介だ。一気に現実に戻されてしまった。香澄は思いもよらぬ来客に混乱してしまう。
(何で? 今日来るって連絡あったっけ?)

疑問に思いつつも、今の最優先はこの半裸状態を何とかすることだ。
そうして香澄が慌てて寝間着を着たところで圭介が部屋へと入ってきた。

「香澄久しぶり、ごめん寝るとこだった?」

「ど、どうしたの急に?」

「連絡入れといたじゃん」

「え?」

慌ててスマホを確認すると圭介から『今から向かう』と通知が入っていた。自慰行為に夢中になりすぎたせいで気がつかなかったようだ。
(あぶなかった……)

何とか乱れた服を正し、一応の体裁を整えたことに改めて安堵する。

「ねえ、香澄?」

「なあに?」

しかし香澄は致命的なミスを犯していたことに気づかなかった。

「それって」

そう言われ目配せされた先には??
(ひっ!)

声にならない悲鳴を上げる。

圭介の視線の先にあったもの。それはベッドの脇に所在なさげに佇んでいるローターの姿だ。 (え、うそ! 隠し忘れてた!?)

香澄は慌ててベッドの上へと登り、ローターを身体の後ろで庇うように隠す。

「ま、待って! 違うから、違うから!」

圭介の言葉を遮るように香澄は弁解する。

「違うの、たまたまだから。私が買ったとかじゃないから!」

圭介は少しの間ぽかんとしていたが、香澄の必死の弁解を聞くとその必死な様子がツボに入ったようだ。声を殺して笑い出す。

「へ〜」

「貰い物で、ちょっと見てただけだから」

「ふ〜ん、そう」

「……ちょっと、さっきからムカつく。そのにやにやした顔やめてって」

睨みつけ抗議すると、圭介はベッドに座り香澄の側までにじりよる。含みのあるムカつく笑顔だ。

「本当は使ってたでしょ?」

「……違っ!」

「うーそ」

「きゃっ!」

香澄は後ろから抱え込むように抱きしめられる。そして脚をM字に開かされたと思うと、圭介の指が服の中に忍び込み、先ほどまで熱くなっていた秘所に伸びる。

「だってこんなに濡れてるんだよ? ほら、もう糸引いてる」

わざと指と指の間の糸が引く様子を見せられ、香澄は羞恥心のあまり赤面してしまう。

「もう、やめてよ馬鹿!」

「ごめんごめん」

からかう様子に腹が立ち、香澄は圭介の拘束から逃れようと抵抗する。
しかし更に強い力でぎゅっと抱きしめられる。

「そっか〜、……そうだよね」

「何よ!」

「…なかなか会えなくてごめんって思って」

耳元で呟かれた切なそうな声に、香澄はこれ以上何も言えなくなってしまう。

「会えなくて寂しかった? 拗ねてる?」

「まあ……お互い忙しいし」

「だよねー、グッズに浮気されるのも仕方がないよね」

「だ、だから違っ!」

「じゃあ、今日はその分甘やかしてあげる」

男性が強引に女性にキスをする

香澄は強引に圭介の方を向くよう肩を捕まれると、唇に一度軽くキスを落とされる。
(……もう)

その何とも余裕そうな笑顔に、香澄はかなわないな、とため息をつきつつも自然と笑みがこぼれてしまう。

「あっ」

「何?」

「これせっかくだし使っていい?」

そう言って圭介は視線を送ったのはローターだ。

「……馬鹿」

軽く拗ねると今度は深く口づけられる。香澄は嫌がったフリをしつつも舌を絡ましその気だということを伝える。

本当は先ほど触れられた時から熱の高ぶりが再発して仕方がなかった。
先ほど一人で使用した時のローターの刺激を思い出し、期待でいつも以上に興奮してしまう。

「…香澄、好きだよ」

「……もう」

そして何より久々に感じる圭介の熱に心が満たされていくのだった。

END

あらすじ

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