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官能小説 夢のあなたに会いたくて〜久しぶりのH〜(前編)【LCスタイル】
曜子(33歳)の体験談
かつては、愛する人のすべてが知りたかった。愛する人への好奇心は湧水のように次から次へと溢れ、永遠に枯れることはないと思っていた。
そして孝則の側で7年が過ぎ、その後夫婦となって3年が過ぎようとしている。
出会ってからおよそ10年。
今では、お互い愛を語らずとも愛を感じられるようになった。
というより、愛を感じずとも愛が存在していることが当たり前になったと言うべきか。
気づけば、湧水はほとんど溢れ出なくなっていた。それは夫も同じだろう。
私も孝則も、結婚前から勤めている会社で働いている。ふたりとも30代に突入し、会社では比較的重要なポストにいる。
どちらもそれなりに忙しく、子供もまだいないため、お互いの自由を尊重しながら支え合っている。所帯じみたライフスタイルを嫌う私達の関係は、
「家族」より「パートナー」というニュアンスに近いかもしれない。
都心のこじんまりとしたマンションは、シンプルでセンスのいいインテリアで整えられ、とても居心地が良い。
私はふたりの間に、いわゆる「価値観の違い」を感じたことがなかった。
喜びも怒りも、そして悲しみも、おおむね同じポイントで感じ、心地良いと思う環境も似ていたからだ。
だからこそ、10年も穏やかに寄り添ってこられたのだろう。
私達は、眠る前によく語り合う。
その日にあった出来事から、噂話や食べ物のことまで、ありとあらゆることが話題にのぼる。
それは、とてつもなく温かく、優しさに満ちた時間だった。
ふたりが夫婦であることを確認し合う、唯一の時間と言ってもいい。
セックス?最後にセックスをしたのはいつだろう?
ごくたまに、気まぐれのように身体を重ねることはあったが、孝則が知り尽くした私の身体は、もはや彼の好奇の泉から新たな水を溢れさせることはない。
孝則の淡々とした愛撫は、私から自信を奪い、情熱を奪った。
肌のぬくもりが、逆に心を冷やしてしまうなら、むしろ何もしないほうがいい…そう口に出したわけではないが、 次第にお互いセックスを避けるようになっていった。
「セックスレス」が「愛の終わり」とは思ってはいないが、孝則が私に「女」を見出すことは終わってしまったのかもしれない。
「重要なのはセックスじゃなく心の絆だ」と自分に言い聞かせ、今の生活に満足しているふりをしながら、一方でそんな思いに戦慄することもなかったわけではない。
快感が電流のように…
「曜子…」
耳元で孝則が、私の名をささやいている。
「きれいだね…。君をこうして抱きしめることができるなんて、夢のようだ」
孝則はそう言いながら、一糸まとわぬ私の身体を力いっぱい抱きしめた。
彼も何も身につけていなかった。孝則の引きしまった胸板に頬を寄せると、ドックン、ドックン…と力強い鼓動が響いてくる。
「心臓の音が聞こえる…」
「緊張しているんだよ…」
そう言って孝則は、私の背中に骨ばった大きな手をゆっくりと這わせた。快感が電流のように走った。
「あっ…」
「もっと声を出して…」
息が荒くなってきた彼は、キスをしながら少し強引な感じで舌をからめてきた。
孝則は、一心不乱と形容しても過剰ではないくらい、我を失い私の身体を求めた。
強く私の胸や尻をもみしだき、私の奥のほうを何度も容赦なく突き上げた。
水が…水が湧き出てくる。とめどなく…溢れ出てくる。痛みにも似た快感がこみあげてきて我慢できなくなった私は、声にならない声をあげ、ついに…果てた。
と、次の瞬間ハッと息を飲んで目をあける。私は、見慣れた薄暗闇の中にいた。 夢を見ていたらしい。隣では、孝則が規則的な寝息をたてている。夢の中の彼とは似ても似つかぬほど穏やかな顔をして。
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