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官能小説 花火、そして君と、恋焦がれる夜
第一章:夏の夜の再会
夏の夜風が、じんわりと肌に心地いい。浴衣の裾がふわりと揺れる中、夏帆は賑わう屋台の間を縫うように歩いていた。目的の人物を探す瞳は、きらきらと祭りの灯りを映している。
「確か、焼きそばの屋台だって言ってたかな」
人混みをかき分け進むと、湯気を上げる鉄板の前で、見慣れた後ろ姿を見つけた。
「拓海!」
夏帆の声に、拓海が振り返る。少し日焼けした笑顔が、祭りの喧騒の中で一層明るく輝いた。
「お、夏帆! 待ってたよ」
幼馴染で、高校生の頃までずっと同級生だった二人。卒業してからは、たまに連絡を取り合う程度だったけれど、こうして一緒に祭りに行くのは初めてだ。どこか気恥ずかしいけれど、胸の奥がほんのり熱くなるのを感じる。
「すごい人だね」と夏帆が言うと、拓海は「だな。でもせっかくだから、色々見て回ろうぜ」と、少し照れたように笑った。
第二章:高鳴る鼓動
「金魚すくい、懐かしいね」
金魚すくいの店先では、真剣な表情でポイを操る拓海の横顔に見惚れた。子供の頃から少し不器用で、いつも金魚を逃がしていた彼が、今日は慎重にポイを動かしている。その横顔は、あの頃よりもずっと大人びて見えた。
「よっし、どうだ!」
拓海がすくい上げたポイの中には、見事な赤と白の金魚が二匹。夏帆は思わず「すごいじゃん!やったね!」と声を上げると、拓海は得意げに笑った。その笑顔は、中学の時と変わらない、ちょっといたずらっぽい瞳をしていて、夏帆の胸をきゅんとさせた。
「夏帆もやってみるか?」
「えー、私、絶対無理だよ」
そう言いながらも、拓海が差し出した新しいポイを受け取ると、ふわりと彼の指先が触れた。その一瞬の触れ合いに、ゾクッと全身に電気が走ったような感覚がした。夏帆は慌ててポイを握りしめ、金魚に集中するふりをする。
次に二人が足を止めたのは、射的の屋台だった。カラフルな景品がずらりと並び、子供たちが目を輝かせている。夏帆が「あのクマさん、可愛いな」と呟くと、拓海は「よし、俺が取ってやる!」と自信満々に銃を構えた。
パン!と乾いた音がして、拓海が狙った景品は見事に落ちた。店のおじさんから受け取ったクマのぬいぐるみを、拓海は少し照れたように夏帆に差し出した。
「はい、これ」
「え……いいの?ありがとう、拓海!」
ぬいぐるみを抱きしめると、拓海の温かさがまだ残っているような気がした。彼の優しい眼差しと、少し赤らめた頬を見て、夏帆の心臓はさらに速く打ち鳴らされた。
屋台の食べ物を分け合う時間も、特別なものだった。焼きそばのパックを二人で持ち、フランクフルトを一本ずつかじる。他愛ない話で笑い合う中で、拓海の肩が時折夏帆の肩に触れる。その度に、ふわりと彼の匂いがして、胸の奥がきゅんとなる。
「そういえばさ、夏帆。大学で、彼氏できた?」
突然の拓海の質問に、夏帆は思わず口に含んでいたりんご飴を喉に詰まらせそうになった。
「げほっ、げほっ!な、なんで急にそんなこと聞くの!?」
拓海は面白そうに笑いながら、ペットボトルのお茶を差し出してくれた。彼の手が、私の手にもう一度触れる。
「いや、なんとなく。夏帆、可愛いから、きっとモテるだろうなって」
「もう、からかわないでよ……拓海こそ、彼女いるんでしょ?」
夏帆が尋ねると、拓海は少しだけ視線を逸らした。その瞬間、彼の表情に、少しだけ寂しさがよぎったように見えたのは、気のせいだろうか。
「……いないよ。毎日慣れないことばっかりで、忙しいし」
その言葉に、夏帆の胸に小さな、けれど確かな希望の光が灯った。いないんだ……。なんだか、ホッとしたような、期待してしまうような、複雑な気持ちで彼の横顔を見つめた。
第三章:花火の下の告白
そうこうしているうちに、花火の打ち上げ場所が近づいてきた。河川敷は人で埋め尽くされ、場所を探すのも一苦労だ。
「ここ、どうかな?ちょっと端っこだけど、よく見えるかも」
拓海が空いているスペースを見つけて、夏帆を促した。二人並んで座り、夜空を見上げる。ひゅー、と音がして、最初の花火が打ち上がった。
ドォォン!
空いっぱいに広がる大輪の菊。色とりどりの光が、夜空を鮮やかに彩る。その度に、拓海の横顔が光に照らされ、美しく浮かび上がった。
「すっごいね……!」
夏帆が感動して呟くと、拓海はふっと笑って、夏帆の頭をポンと叩いた。
「うん。でも、俺は花火よりも……」
拓海の言葉が途切れた瞬間、彼の視線が夏帆の顔に落ちてきた。彼の瞳が、夜空の花火の色を映してキラキラと輝いている。その瞳が、夜空の花火よりもずっと綺麗で、夏帆は息を呑んだ。
「……夏帆に見とれてた」
花火の音にかき消されそうなほどの小さな声。けれど、夏帆の耳には、その言葉がはっきりと届いた。心臓が、今までで一番激しく、高鳴り始めた。ドクン、ドクン。まるで、体の中に花火が打ち上がっているみたいだ。
「た、拓海……?」
夏帆が問いかけると、拓海はゆっくりと、夏帆の顔に近づいてきた。祭りの喧騒も、周りの人々の声も、何もかもが遠くなる。聞こえるのは、自分の心臓の音と、彼の吐息だけ。
彼の顔が、すぐ目の前にある。あと数センチ。夏の夜風が、二人の間をそっと吹き抜ける。そして、夜空には、今にも散りそうな、最後の花火が大輪を咲かせようとしていた。
ドォォォン!!

花火の爆音が響き渡ると同時に、拓海の唇が、夏帆の唇にそっと触れた。短く、甘く、そして、熱いキス。
花火が、夜空に散っていく。けれど、夏帆の心の中では、今、最高の花火が打ち上がったばかりだった。隣には、少し照れたように微笑む拓海がいる。
「夏帆……」
拓海が優しく名前を呼んだ。
第四章:二人だけの夜
祭りの帰り道、二人は並んで夏帆の家まで歩いた。夜の静けさの中、行き交う言葉は少なかったけれど、その沈黙は心地よく、互いの高鳴る鼓動だけが響いているようだった。
マンションに着き、夏帆の部屋の前で向かい合う。昼間の賑やかさが嘘のように、ひっそりとした空間に、二人の呼吸だけが響く。
「あの、夏帆」
拓海が意を決したように、夏帆の目を真っ直ぐ見つめた。その瞳には、花火の残像のような熱い光が宿っている。
「俺、今日、すっごく楽しかった。夏帆と一緒だと、昔も今も、なんか特別な気持ちになるんだ」
拓海の言葉に、夏帆の胸が締め付けられる。自分だけが感じていると思っていたこの気持ちを、彼も同じように抱いていたなんて。
「俺さ……ずっと、夏帆のことが好きだったんだ。昔から、ずっと」
その言葉を聞いた瞬間、夏帆の心臓が跳ね上がった。温かいものが込み上げてきて、視界が少し滲む。
「私も……私も、拓海のこと……」
言葉は、それ以上紡げなかった。ただ、拓海のまっすぐな瞳を見つめ返すことしかできない。
すると、拓海がゆっくりと、夏帆の顔に近づいてきた。花火の下でのキスよりも、もっと深く、熱い予感に、夏帆は目を閉じる。拓海の腕が、優しく夏帆の腰に回された。
「……っ」
唇が触れ合い、花火のように弾けた。甘く、柔らかく、そして、抑えきれないほどの情熱が、そのキスに込められている。拓海の舌が、そっと夏帆の唇をなぞり、開くことを許されると、熱い吐息が絡み合った。
「夏帆……」
彼の声が、愛おしそうに夏帆の名前を呼ぶ。もう、彼なしではいられない。そう本能が叫んでいた。
拓海がそっと夏帆の手を取り、夏帆の部屋のドアに手をかけた。
「…いい?」
彼の問いかけに、夏帆は小さく頷いた。ガチャリと、静かにドアが開く。
部屋に入ると、祭りの熱気が嘘のように静かだ。しかし、二人の間には、さっきよりもずっと熱い空気が満ちている。拓海がドアを閉めると、そのまま夏帆を抱きしめた。
「夏帆、本当に、ずっと好きだった」
彼の切ない声が耳元で響く。温かい手が、夏帆の浴衣の帯に触れ、ゆっくりと解いていく。衣擦れの音が、妙に色っぽく聞こえた。浴衣がはだけ、素肌に夏の夜風が触れる。その冷たさが、かえって肌の熱を際立たせた。
拓海の唇が、夏帆の首筋に優しく触れる。その度に、ゾクッと甘い痺れが全身を駆け巡った。
「ん……たくみ……ここ、玄関…っ」
夏帆の震える声が、拓海の耳に届いたのだろう。拓海が一瞬だけ動きを止めた隙に、夏帆は拓海の手を引き、寝室へと導いた。
寝室に入ると、彼の動きがより一層優しく、そして大胆になった。互いの服がゆっくりと脱ぎ捨てられ、肌と肌が触れ合う。祭りの熱さよりも、ずっと熱いものが二人の間を満たしていく。
拓海の腕の中に身を寄せた夏帆は、硬い胸板の鼓動を直接感じていた。安心感と、今まで感じたことのない深い興奮が同時に押し寄せる。
拓海は優しく夏帆の髪を撫で、囁くように「そばにいたい」と言った。
二人は顔を見合わせ、微笑んだ。そして、再び唇を重ねる。
激しくはないけれど、温かい吐息と優しい手が、お互いを求め合う。
そして、二人は一つになった。
静かな寝室には、温かい二人の呼吸だけが響いていた。夜はまだ始まったばかりだ。
END
あらすじ
卒業してからはたまに連絡をするくらいだった幼馴染の夏帆と拓海。
再会の約束をした場所は夏祭りで…