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官能小説 隣のデスクの不機嫌男

元カレの結婚

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」のLC賞作品です。ドキドキの小説をお楽しみください。

男性と話すお酒の場

思えば彼は、付き合っていた頃から勘違いの激しい人だった。なんか、自意識過剰っぽいっていうか。
少し垂れ目で、甘い面立ちの元樹(もとき)は、鎮痛な表情で頭を下げている。目の前に置かれたアイスコーヒーのストローが、額に刺さりそうだな、とぼんやり思った。

「ごめん、酷い男だよな、俺」

正直、謝られてる意味も、酷い男の意味もわからない。

「メイコを裏切って、傷つけたのに、自分だけさっさと結婚して幸せになろうなんて……本当にごめん」

だくだくと吐き出される言葉に、ますます混乱を覚える。
えーっと。
たしか私たち、一か月以上前に別れましたよね?

元樹は隣の課の同期だ。周囲がおじさんやおばさんばかりで、ろくに飲み会も交流もない私を何かとかまってくれ、自分の課の飲み会に誘ってくれた。一人暮らしを始めたばかりで人恋しかったこともあり、すぐに付き合うことになった。
でもなんか彼と私って違うかも、っていう違和感は最初からあって、だから別れを切り出された時には円満にお別れしたはずだ。
いつも仲間に囲まれ、華やかな元樹と、限られた気の許せる友人がいれば満足な私とでは、休日の過ごし方も交友関係も違ったのだ。

恋人同士からただの同僚に戻って一か月。仕事上、用があって内線電話をかけたことは何度かある。他の人でもよかったが、元恋人という気安さから元樹を頼ってしまった。あれが私の未練だという勘違いを起こさせてしまったなら申し訳ない。彼の暴走の原因は私にもある。

と、反省もしてみたけれど。

「いや、ほんと。なんで鼻で笑ってやらなかったんだろう。こっちだって望んで別れてんだよ。未練なんて欠片もないよ。って言ってやればよかった。もう悔しくて仕方ない」

時間が経つにつれ、ムカムカと苛立ちが沸いてきた。
元カレの結婚話をわざわざ呼び出されて報告され、その上謝られるとか惨めで仕方ない。動揺で何も言えないまま帰ってきてしまった。
これじゃあホントに、元樹の結婚にショックを受けたみたいじゃないか。

「そりゃこっちはあいつと別れてから独り身ですがね! 別に寂しくないし! 勝手に結婚でもなんでもすればいいし」


あぁ。言ってて空しい。これじゃ本当に、まだ未練タラタラみたいじゃん。

「……そんなに悔しいなら取り返したら」

黙って愚痴を聞いてくれていた、隣のデスクのおじさん、もとい瀬野さんが唐突に言った。

「や、でもそんなことできるわけ……」

一方的な酔っ払いの戯言を、常に不機嫌そうな瀬野さんに浴びせていたことに気づいて呆然とした。今日は数少ない私の課の飲み会なのだ。新入社員の歓迎会。と言っても、今年は新入社員の配属がなかったから、ただの宴会なんだけど。
お酒の席とはいえ、なんて無作法をやらかしていたんだ私は。

遠慮のない瀬野さん

「できると思うよ。早見さん、普段から女捨てたような格好してるしガサツだし、一部のマニアにしかモテないような外見してるから、それさえ改善すれば」


「なっ!」

なんてことを!
確かに私は女らしい格好はしないが、きちんと化粧をしてるし髪だっていつもまとめている。言うほど女を捨ててはいないはずだ。

「そもそも男ウケが悪いんだよね、早見さんって。それは内面の良し悪しは別として、けっこうなマイナス要素だと思うけど」


ズバズバと遠慮のない瀬野さんの言葉に切りつけられ、ただでさえダメージを受けていた私の心は瀕死状態に陥った。
だからだと思う。元カレを取り戻すメイクを教えてやろうか、と言う瀬野さんの言葉に、頷いてしまったのは。
別に取り戻したくなんかない。それでも、私だけが元樹に未練を抱いていると勘違いされているような状態から、抜け出せるならいいかと思った。あっちの方が未練を引きずるようなことになったら、きっとせいせいすると思ったのだ。


初めて訪れた瀬野さんの家は、なんと実家だった。しかも両親のみならず、兄夫婦まで同居しているという。

「だから静かにしてくれる」

ぶっきらぼうな物言いは、いつもどおり不機嫌そう。もしかしてこれが普通なのかも。
っていうか私、全然うるさくしてないですけどね!

言いたい文句は山ほどあったけど、深夜に親しくもない先輩の実家にお邪魔しているという状況に臆して、喉の奥に留まってしまう。
小さなテーブルとベッドがあるきりの殺風景な部屋で、モヤモヤした気分を持て余していたら、隣の部屋から瀬野さんが戻ってきた。コトコトと小さな音を立ててテーブルに並べられた小瓶に息を飲む。っていうか眩暈がする。

「こっ、これは……?」

淡いピンクのおしゃれなボトル。チューブ。ペンシル的な何か。不機嫌そうで、ちょっともっさりした瀬野さんにはまったく似合わないパッケージの化粧品の数々。

「早見さんに足りないものだけど」


「いや、その発言にも大いに異議ありだけど、それ以前に、なんで持ってるんですか」


「まさか僕の趣味だと思ったわけ?」

心底から嫌そうにこちらを見る彼の視線は、私の方が変態だと責められているようだ。っていうかこんなもの持ってるおじさんってどうなのよ?


「義姉がハマってるんだ。子供産んでから、兄貴が子供一筋になっちゃってさ。母親になっても女扱いされたいって言って集め始めて」


「なるほど」

よく聞く話だ。妻から母親という立場になって、夫が女として見てくれなくなった、と。私には無縁の話なので、想像もつかないが。

「会社でも問題なくつけられる程度のものだから」

と選んでくれたらしいそれは、唇用の美容液とヘアオイル、目元用の美容液。暗に 「肌荒れてんぞ」と言われているような気になるが、まぁ親切心からなんだと信じておこう。

変身

ラブコスメを使う女性

「あの、お金は?」


「気に入ったら次からは自分で買って。今回の分のお金は、僕から義姉に払っておくから。電卓を叩く音を、もう少し静かにしてもらえればいいよ。隣でうるさくて、気が散るんだよね」

安定の不機嫌発言をぶちかました後、瀬野さんはタクシー乗り場まで送ってくれた。いい人なのか嫌な奴なのかわからない。それほど私の電卓がうるさかったということか。

帰宅してからさっそくもらったコスメ類を物色してみた。ヘアオイルは香り付きと香り無しの二種類。唇用の美容液もほのかに香る感じ。目元用美容液は、つけるとちょっと潤んで見えるという衝撃のコスメだった。
これが男ウケというやつか。今まで男の目線を気にしたことはないけれど、異性に好かれるのはやっぱり嬉しい。さっそく翌日からつけていくことにした。


小学生以来、髪に浮かんだ覚えのない天使の輪っかを乗せて、ツヤツヤストレートで出社した。いつもはバレッタでまとめてしまうけど、もったいなくて今日はまとめていない。
いやぁ、お手入れって素晴らしいですね。
唇はプルプルでいい匂いがするし、目元もウルウル潤んでいる。自分で言うのもなんだが、守ってあげたい女の子に出来上がっていると思う。


「ねぇ、ねぇ、どうですか。ねぇ」

深夜にご実家までお邪魔したおかげで、すっかり親しくなった気分で瀬野さんのところまで椅子を引きずっていくと、案の定嫌そうな顔をされた。

「うまいこと化けたね」


「言い方!」


「その女らしい顔で、いつもどおりガサツに来られると、アンバランスで動揺する」


「そんなに女らしいですか!ギャップ萌えするって話ですね?」

眉間の皺がますます深くなった気がするけど、今日はそれも気にならない。少なくとも女らしいというのは褒め言葉に違いない。


「瀬野さんって、若々しいですよね」

気分がよかったので、常々思っていたことを口にしてみた。年の割に肌艶がいいのだ。実年齢知らないけど。

「若々しいって……僕、早見さんとそんなに年変わらないけど」


「えっ」

嘘でしょ……。
自然、目が彼の髪に向かう。白髪だらけのもっさりとした髪に。

「変わらないって言っても、五つかな、年上だけど。若白髪の家系なんだ。人に頭触られるの嫌いだから、あんまり美容室にも行かないし」


「そ、そうなんデスカ……」

衝撃で片言になった。五個上か。そっか。けっこう年近いんだ。白髪を無くして、短く髪を切れば……うん、確かに二十代に見えるかも。
いつも落ち着いているから、なおのこと年嵩に見えるんだろう。

「髪の毛切れば、もっとかっこよくなるのに」

社交辞令を口にして、すごすご自分の席へ戻る。
昨夜は昔の男の愚痴を聞き、実家にも招いてくれたのに、以前と変わらぬ他人行儀。所詮私なんて、電卓叩く音がうるさいから協力してくれただけの、ただの隣人ということか。

未練

それから何日か、元樹の様子を遠目で観察して過ごした。さりげなく彼の視界に入りつつ、声はかけない。時々、元樹の方から物言いたげな視線を感じると、嬉しくて瀬野さんに駆け寄りそうになるのを我慢した。うっかり走り寄ったら嫌味爆弾を投下されてしまう。
そんな嫌味製造マシーン、兼、恋のスーパーアドバイザー瀬野さんはといえば、もっさりしていた髪を切った。白髪を染め、緩い癖毛を生かした爽やかな髪型に替えたのだ。古臭いメガネを華奢な縁なしメガネに替えて、あっという間にイケメンのできあがり。
おばさんたちにかまわれまくって、なんか面白くない。髪の毛切ったら、って言ったのは私なのに。

じっとり眺めていたら、ふと振り返った瀬野さんが言う。

「まだ元カレに特攻かけてないの? 外見だけじゃなく、脱いでも問題アリなら、また義姉のコスメもらって来ようか。黒ずんだちくび……」


「わー!わー!わー!」

私たちの会話を、耳をダンボにして聞いているおばさんたちから遮るように叫ぶ。

「会社での会話は選びましょうよ。ね!今夜にでも特攻かけてくるんで!」

イケメンになったって、中身は全然変わってない。瀬野さんはやっぱり失礼で遠慮のない隣人だった。

仕事が終わると、元樹の退社を見計らって私も会社を出た。さっきトイレで化粧直しも済んでいる。仕事中は香りのないヘアオイルをつけていたけど、改めて香り付きのオイルをつけ直してもいた。

「元樹!」

地下鉄への階段を降りようとする、見慣れた後ろ姿に駆け寄って声をかける。

「メイコ……どうした?」


「あのね、これ、結婚祝い。なんか元カノって立場で結婚祝いを渡すのもおかしいかなって思ったんだけど、元樹の幸せをお祝いしたくて……」

差し出した紙袋の中には人気洋菓子店のバウムクーヘンが入っている。声をかけるきっかけのために買ったけれど、かつて好きだった元樹の幸せを願う気持ちは本当。消え物を選んだのは、妻になる女性に嫌な気分になってほしくなかったからだ。


「なんで……こんなもの用意するんだよ。メイコはまだ俺のこと好きだろ? 俺だってまだメイコのこと想ってるのに」

ぎゅぅ、と元樹は紙袋ごと私を抱きしめた。熱い息が耳元にかかる。

「なんなんだよ。お前最近、どんどんキレイになった。何回も声かけようとしたのに、そのたびに逃げやがって。もう一度、やり直そ。そうすれば……」


「やり直して、どうするの?」

深呼吸を一度、した。思ったより、全然冷静。ドキドキしてるのは、今まで言われたこともなかった、元樹からの「キレイ」って言葉のせいだ。

「ねぇ、私と別れてから一か月ちょっと。まだ二か月も経ってない。それなのに、結婚を決めたのは、どうして?」


「それは……」


「相手の女性、妊娠してるんじゃないの?」

押し黙った元樹の態度に、確信する。

おかしいと思っていた。結婚を決めるには早すぎる。そして妊娠発覚のタイミングを考えれば、私と別れる前から関係があったのだろうとも思う。
今さらそれを責める気にはならないけれど。

「私はもう、元樹のことは好きじゃない」

ゆっくり、でもはっきり、あの日に言いたかった言葉を告げた。

「元樹と付き合っていた時は楽しかったけど、私たちは一緒に生きていくには違いすぎると思う。元樹はあなたが選んだ人と幸せになって」

言うだけ言って、背を向けた。
私たちは合わない。多分あのまま付き合い続けていても、長くはもたなかったと思う。彼が私を呼び出して結婚報告をしたのも、今から思えば、ただのマリッジブルーのようなものだったのかもしれない。未練なんて、どちらにもなかったのだ。

過去との決別

会社への道をのんびり戻る。
想像したような爽快感も達成感もなかった。気づかないうちに、元樹とのことは私にとって、すでに過去の思い出になっていたらしい。
すぐに帰れば、駅のホームでまた元樹と会ってしまう。さすがにそれは気まずいし、ひと駅分歩こうかな。
バッグをぶらぶら揺らしながら歩いていたら、前から瀬野さんが歩いてきた。目が合うとわずかに眉を上げ、皮肉っぽく唇を歪める。


「今夜にでも元カレに特攻かけるって言ってなかった?」


「かけましたとも」


「じゃあなんでこんなところにいるの。やっぱり脱いだら問題あるとか?裸に自信ないなら、そっちの方のコスメもあるよ」

なんで憎まれ口しか利けないのかなぁ、この人は。最近のやり取りで、楽しくなっちゃってる私もどうかと思うけど。

「裸に自信がある女なんて、そうそういませんよ」

それこそ、乳首は何色ならいいのかとか。たとえば、あそこの毛はどの程度手入れすべきなのかとか。そんなの、自信を持ってさらけ出せる女がどれほどいるのか。


「私に何が必要か、瀬野さん、確かめてくれます?」

一歩近づいて、体が触れるほどの距離で見上げれば、瀬野さんは瞳を揺らして顔を背けた。

「妙な色気を出さないでくれる」


「ガサツな女が色気を出すと、動揺しますか?」

風が吹いた。髪から爽やかな香りが漂う。そして多分、唇からも香っているはず。

「生意気だよ、早見さん」

熱い息を吐いて、瀬野さんが私の肩を抱く。もつれこむようにタクシーに乗り込んだ。


私の狭いワンルームマンションに入るなり、瀬野さんはむさぼるように口づけた。くすぐるように頬を撫で、唇を見つめる。

「柔らかいね」


「瀬野さんが……美容液くれたから……」

彼の視線に熱を感じて、私の息も上がる。他の誰でもなく、私を求めてくれている。

「じゃあ他に何がいるか、チェックしないと」

靴を脱ぎ、瀬野さんを部屋に引っ張り込む。服を脱ぐ時間すら惜しくて、短い廊下に上着を落としながらベッドに倒れ込んだ。
私の身体をまさぐる彼の手は性急だ。いつの間にこんなに惹かれあっていたんだろう。きっかけはほんの些細なことだったはず。会社では見せたことのない、弱気な自分。深夜の他人の実家。不機嫌な彼が差し出した、可愛らしいコスメ。長い髪に隠されていた、端正な顔立ち──。

自宅と会社を往復するだけの日常に現れたギャップを思い起こしていたけれど、口内を動き回る瀬野さんの舌に、それ以上考えられなくなった。
舌をこすり合わせる行為が、こんなに気持ちいいと思わなかった。うっとりしていると、脱げかけていたブラウスをスカートから引っ張り出される。プツン、と小さな音がして、背中に回った彼の手がブラのホックを外した。
待ちきれないように零れる膨らみが恥ずかしい。まるで自分から触ってほしいみたいだ。事実、私はすでに彼から与えられる刺激を求めて焦れていた。

長い口づけを続けながら、瀬野さんは膨らみに手を這わせる。下から持ち上げるように包み込み、やんわりと形を変えながら先端をいじった。ふくり、とそこが立ち上がるのを感じる。少し強い力で摘ままれると、腰が重だるくしびれた。
もっと。もっとして。訴えるように間近に迫った瞳を見つめると、優しく目尻が垂れて、笑ったのがわかった。
こんなに柔らかい顔で笑うんだ。
いとおしさが溢れて来て、私は彼の背に腕を回した。
この人が好きだ。

好き

感じあう部屋

与え合う体温に、気持ちが通じ合うのを感じて、私たちは一糸まとわぬ姿で抱きしめあった。心が満たされるって、こんな気持ちなんだ。
嬉しくて、思わず吐息が漏れた私の太ももを、繊細な指先が這いあがる。触れるか、触れないか。微かな刺激にぞくりと鳥肌がたつ。

「あっ、あ……」

甘ったるい声が漏れて、あわてて手で口元を覆うと、咎めるように彼は私の手を外した。やんわり手首を拘束し、シーツに縫い止める。大きく手を広げると、無防備に裸の胸がさらされた。
ふいに落ちた彼の顔が、私の胸に埋まる。と同時に、生温かい舌がゆっくり胸の先端をねぶった。不機嫌が通常運転のような男が、私の胸を舐めまわしている。そのギャップに頭が沸騰するような羞恥を覚えた。


「早見さん、今、ブルって震えたよ」


「だっ、だって、舐めるから」


「ふふ。舐めてるね。もっと舐めてほしい?」

上目遣いで、いじわるく私を見ながら、彼は伸ばした舌先で赤く立ち上がったところをいじる。

「気持ちいい?」


「気持ち、いいっ。あっ、もっと……じゃなくて、嘘、今の」

もっと、なんて、思ってたことがそのまま口に出てしまって、急いで否定したけれど。瀬野さんは嬉しそうに、片腕に引っ掛かっていたシャツを脱ぎ捨てた。いそいそと私のストッキングを引き下げる。ちなみにスカートは廊下のどこかに落ちているはずだ。


「口ではなんとでも言えるからね。本当に感じてるのか確かめないと。ここはどうかな」

太ももを撫でるように擦り上げ、ショーツの隙間から指を入れる。クチャ、と粘着質な音が微かに響いた。
くす、と小さな声で彼が笑う。

「やだぁ、恥ずかしい」

顔を伏せたいのに、まとめられた両手首は再び拘束されていて、伏せることもできない。
手首をほどこうと暴れる姿は、彼の弑逆心を煽るだけだったらしい。わざと音を立てるように、指が襞を行き来する。偶然のように爪が小さな粒を弾くたび、唇がわななき、あられのない声が漏れる。


「腰が揺れてるよ。足りないのかな」

足の間に座り込んでいた体を伸ばし、耳たぶを食みながら囁かれる。熱い息がかかって、奥からトロリと蜜が溢れたのがわかった。指の動きに合わせてクチャクチャ鳴っていた音が大きくなる。

「早見さんて、ホント正直だよね」

恥ずかしい。言葉で否定しても、体が刺激をねだってる。気づけばもどかしい指に擦りつけるように、本当に腰が揺れ動いていた。

「僕も限界なんだ。本当はここに来た時からね」


一瞬離れた体を追うように手を彷徨わせれば、指を絡めながら彼は戻ってくる。そして体の中心に熱いものが押し入ってきた。

「あぁ……」

擦りつけるように奥へと侵入する圧力に、ため息が漏れる。スーツの上からではわからなかった、厚い胸板に頬を寄せた。

「瀬野さん、スキ……」


「──え?」


がばりと体を起こし、彼は私をひたと見据える。

「……好きって言った?」


「言いました、けど」


「好きなの?」

好きじゃなきゃ、しないよね、普通。私から誘ったようなものだし。伝わっていると、思っていたのだけど。

「好き、です」

得てして高校生のような、甘酸っぱい告白をしてしまった。
ぐぐぅ、と体に刺さった楔がさらに固くなった気がする。


「元カレにフラれて、その腹いせだとか、そういうことじゃ……」


「フラれてません。どっちかって言うとフった? でもそれはどうでもよくって、全然別の話で、毎日瀬野さんと話すのが楽しくて好きになって……ひゃあっ」

一生懸命気持ちを整理していた思考を、突然の快感が押し流す。狙ったかのように私の良いところを、彼が突き上げたからだ。

「ごめん……腹いせでもいいって、思ってたから……僕も早見さんのこと、好きだからさ……」

切れ切れに、荒い息の間から彼が言う。激しく揺さぶられながら、私はその言葉を必死で拾った。

「ずっと、好きだったからさ……」

瀬野さんが、私のことを好き。ずっと好きで、いてくれた。
胸を温かくしてくれたその事実は、体の熱をさらに高める。
間断なく与えられる刺激に、私は大いに乱されたのだった。

「僕、若白髪のもっさり男だけど」

情事が終わった後のけだるい空気の中、滑らかな瀬野さんの腕に包まれて、私はうっとりと目を瞑っていた。心地よくて、ともするとこのまま寝てしまいそうだ。

「今はもっさりしてないし、別に髪型はどうでもいいんです。瀬野さんの、嫌味っぽいのに世話焼きなところとか、不機嫌顔なのにたまに笑うとかっこいいところとか、真面目ぶって美容液出してくるようなとことか、全部好き」

うっすら目を開けて見上げると、チュっとついばむようなキスが落ちて来た。ついでに溜め息と、褒められた気がしない、という呆れ声も。

「まぁ結果的に、それで好かれたんならいいんだけど」


「うん、好き」


すりすり顔を胸に擦りつけながら、足を絡めていると、太ももに固いものが触れた。何やら不穏な、熱くて固いものが。

「……ん?」


「安易にそうやって煽るから」


「え?」


「そうだった、君の裸に必要なコスメがないか、チェックするんだった」

いたずらっぽく笑って、瀬野さんは嬉しそうにまた、私の裸に指を這わせたのだった。

あらすじ

未練のある元カレの結婚報告にへこむメイコは、
会社の飲み会の席で愚痴を
いつも不機嫌そうな隣のデスクのオジさん「瀬野」に
うっかりぶちまけてしまう。

瀬野は女らしさを忘れたメイコに
彼女の不足を補うある化粧品を渡し…。

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ミハル エト
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フリーライター。萌えを手探り探求中。
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