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官能小説 勇気のキスをあなたに

退屈

★作品について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「女性の為のHなラブコスメ小説コンテスト」のLC賞作品です。ドキドキの小説をお楽しみください。

性生活について話す女性

「はあー。最近、つまんないなー」

チェーン展開している居酒屋の一室。
私の大きなため息と共に吐き出された言葉に、同僚の里奈(りな)がうろんな眼差しを向けてくる。

「なあに? 瑠美(るみ)、すっごい暗いんだけど」

「だってさー、だってさー、なんかこー萌える? 悶える? 出来事がひとっっつも無いんだもん! 仕事はキツいし、好きな芸能人は結婚しちゃうし、旦那──祐介さんとはセックスレスだし……」

「・・・最後のはけっこー、爆弾だと思うわよ。まあ、前からそっちの方があっさりだってあなたから聞いてはいたけど……」

「もーぶっちゃけるとね、レス歴一年よ、一年! 某特撮ヒーローやらカップ麺は三分で戦ったり食べたり出来るのに、その何十倍もの時間を無駄にしてんのよ?分かる!?」

「いやぁ、例えが古いし微妙すぎて逆に分かんな……」

「結婚して三年。そりゃあ、夫婦になれば嫌でもマンネリにはなるってもんよ。それは私にだって分かってる。お互いの好き嫌いは勿論、ほくろの場所まで覚えるぐらいの距離だもの。でもね、問題はそこじゃあないのよ!」

「そこじゃないんだ……」

半ば、後退り気味の里奈の視線をひたりと捉えながら、私は生ビールを勢いよく机に置いた。とりあえずの生を四杯。泥酔とはいかないがそこそこ酔っている自覚はある。目の前の友人兼同僚が、いつもほんわかのほほんとしている自分の旦那に見えるくらいには。

「私、髪とかメイクとかこれでも少しは頑張ってるの! なのに、完全にスルーってどーゆー事? 『可愛いね』の一言で、夕飯一品は増えるのよ? だのに、祐介さんはその一言さえ言ってくれないの。……エッチだってそう。別にマンネリでも良いのよ、マンネリでも。AVじゃあるまいし、素人が毎回毎回あんなにタフなプレイ出来ないわよ。でもね、いちゃいちゃって大事じゃない? 女子ってぎゅってするだけでも悶(もだ)える生き物でしょ?」

「まー確かに。二十九歳の女を『子』の枠組みに入れるかは別として。それは一理あるわね」

「でしょお!? なのに、なのにね、そーゆー事が一向に無いのよ。『寝るねー』『おやすみー』ではい、終ー了ー。────幼児だってお布団の中でもう少し喋るわよ!」

「つーか、幼児の方が朝から晩まで煩いわよ」

四歳の娘がいる里奈の冷静な突っ込みに少し我に返った。里奈は私より三つ年上の三十二歳。私が新入社員、里奈が中途採用で同じ時期に入った頃からの付き合いで、年数の長さでいったら祐介さんよりもずっと長い。ちらっと彼女に目をやると、お店の注文タブレットを見ながら、綺麗な爪でカチッカチッと操作していた。
私だって女として少しは努力しているつもりだが、彼女には素直に敗けを認めている。それこそ、知り合った当初から。
片方の肩からさらりと流しているセミロングの髪は艶々で白髪はもちろん、傷みもない。髪色を褒めたところ、にこやかに『今年流行りのアッシュブルーとナチュラルブラウンを混ぜてもらったの』と言われて『へ、へえー・・・』としか返せなかった自分の女子力が悲しい。目元だって今にも泣き出しそうな垂れ目で所謂『色っぽい』お姉さま系である事は間違いない。そんな彼女に自分のレスな性生活の事を話すなんて、最初はこれでも躊躇(ためら)ったし、やっぱり恥ずかしくて言い出せなかった。それこそ、レス中のこの一年はぐだぐだと悩みつつも話し出せない程には踏ん切りがつかなかった。

『レスでも、普通に仲は良いし──愛しているし』

そう思って、日々をなんとなく過ごしてきた。でも、この前祐介さんの誕生日祝いをしたときに、ふと我に返ったのだ。
(あれ? この前エッチしたのって去年の誕生日前じゃない……?)
その事に気づいた途端、愕然(がくぜん)とした。誕生日だからって都心の夜景が見える高層階レストランを予約して。一通りのやり取りが済んで『いただきまーす』の段階での事。大袈裟かもしれないが雷に身体が撃たれたような衝撃だった。私は今二十九歳、今年で三十歳になる。仕事はそこそこ順調で、一生続けていきたいとは思っているしキャリアも大事にしている。最近では三十過ぎてからの出産も珍しくないし、妊娠出産に関してははあまり重要視していなかった。それは祐介さんも同じだろう。でも、それとこれとは全くの別問題であって、うん十年と連れ添った老後の夫婦じゃあるまいし『このお茶は美味しいねぇ、婆さん』『そうですかぁ、爺さん』な状態になるのは正直、まだまだ早すぎると思う。
それなのに。
『うわぁ、瑠美。この前菜のテリーヌ美味しいよ!』
目の前に座る彼はホクホク顔で皿の上の料理について熱く語っていたのである。

浮気とセックスレス

「はあああー……」

『恐怖の誕生日』
その時を思い出したら、さらにどんよりとした気持ちになってしまう。一緒に飲んでいる里奈には申し訳ないが到底浮上しそうにない心持ちだ。

「うーん、なんだか悩みは深そうねぇ……。で? 瑠美、あなたはどうしたいわけ?」

「んあー?」

空になった生ビールを端っこに置いて、新しく来た五杯目を鷲掴みにする。里奈がなにも聞かずに注文してくれた品だ。これだから、モテる女は気配りが違う。段々と絡み酒になっている気はしたが、出されたアルコールを美味しく頂きながら、口を開いた。

「べっつにー。今さらさー『瑠美、すきだー! あいしてるー!』なんて言って欲しいわけじゃないのよ? それこそ、独身の頃からあんまり言わなかったしさー」

「まあー、あなたの旦那さん草食系だものね」

「そ! 年上なのに、ゆるふわでそこが可愛くて結婚したのー!」

「はいはい。それで?」

「それでー……」

机に突っ伏しながら言葉を探す。身体がアルコールで火照っているのか、手にしたジョッキの冷たさが指に染みる。ふと、祐介さんの顔が思い浮かんだ。今日の飲み会の事を告げると、久しぶりの里奈との飲みだからか『楽しんでおいで』と優しく微笑んでくれた。少しの残業のあと、飲みに行く前にメールをしたら、彼は定時で上がっていたらしく、『今日はチャーハンを作ったよ。気を付けてね、いってらっしゃい』とチャーハンの写メつきメールが返って来た。彼は基本的にチャーハンか野菜炒めしか作れない人だから、高確率でそうなるとは思っていたが、写メまで送られてきたので歩きながら思わず吹き出してしまった。
芸能人ほどキラキラしているわけじゃない。漫画みたいに壁ドンなんてしないし、歯が浮くような台詞も言ったりしない。照れ屋のはにかみ屋で愛の囁きなんて滅多に口に出来ない不器用な人。
でも。
それでも。

「いちゃいちゃしたいよー……」

そう思う気持ちに気がつくと、いくらでも溢れ出して止まらなかった。そんな感傷まじりの私の言葉を聞き流しながら、枝豆を片手に振っていた里奈が、次の瞬間、平然と爆弾発言を投下してきた。

「じゃあ浮気しちゃえば?」

「っっはああああ!?」

私は伏せていた身体を跳ね上げた。若干、酔いが回ってふらりとしたが、聞き捨てならない言葉に勢いよく噛みつく。

「私の話聞いてた!? せっかく、祐介さんとの穏やかな会話を思い出してたのに! ああ、あんたはなんつーことを言うのよ!」

「だって、穏やかなだけじゃ物足りないんでしょう?」

「ま、まあ、それはそう。・・・だけど!」

「浮気でも本気でもしちゃえば? あー、最近入った佐野君? あなたの事タイプだって言ってなかったっけ?あの子とかどうなの?」

「ちょ、ちょっと里奈ぁ。洋服買うんじゃないんだからさぁ。あの子どう? なんて簡単に言わないでよぉ」

「──だって、冗談っぽく言ってるけど、佐野君結構まじな感じだと思うわよ? あなたの様子を伺ってます的なオーラがビシバシ出てるもの。今のうちにきちんと対処しないとちょーっとヤバイ感じね。あなたって押しに弱そうなタイプだし……。あ、これは私の勘だけど」

「里奈あああああ」

里奈が淡々と発した言葉に二の句がつげない。確かに最近入った同じ部署の佐野君は私がタイプだと公言している。冗談っぽく飲み会の席限定だけれど。きっと、ネタだと思って他の人は気付いていないと思っていたけれど、佐野君の距離は確かに少し近い。話をするときはパーソナルスペース犯しまくりで近付いてくるし、笑いながら腕に触れるなんて日常茶飯事だ。フレンドリーな今時の子なんだ、きっと。そう思うように流していた事をずばりと指摘されたようでなぜか私がドキリとしてしまう。

「ふふっ。その様子だと少しは気付いてた? ま、安心してよ。別に不倫の噂なんて立ってないから」

「し、してませんから、当然です!」

なぜか、敬語になってしまった私の返答を聞きながら、里奈がふっと真顔になって言葉を続ける。

「じゃあ、やっぱり佐野君はダメなのね? 旦那さんじゃなくちゃ、嫌なのね?」

「……うん」

さっき浮かんできた祐介さんの事が私はやっぱり大好きだし、愛していると思う。草食系な『私だけの王子様』だ。素面(しらふ)で言える台詞じゃないし、例え、泥酔して言ったとしても、翌日恥ずかしさから悶え死ぬほどの苦しみを味わうと思うが。

「佐野君が良いとか悪いとか、そんなんじゃないし、そもそも告白もされてないのに言う事ではないかもしれないけど。──私は祐介さんだけにぎゅってして欲しいし、いちゃいちゃしたいと思ってるよ」

「そう」

里奈はなぜか満足そうに頷いて、にっこりと微笑んだ。綺麗な色の唇が蠱惑的に思えて、同姓の私でもドキリとする。

「あ、あー、里奈みたいに色っぽかったらなぁ。祐介さんもドキドキしてくれるのかなぁー」

「試してみる?」

「へ?」

問い返した私を見返す里奈が、今までで一番小悪魔な女性に見えた。

ラブコスメ

「ラブコスメかあ……」

里奈と飲んだ次の日。
今日は祐介さんの方が残業になってしまった為、家で一人夕飯を作りながら呟く。

『ラブコスメって知ってる? 女性の性活の悩みを解消する製品があるの。今はね、ネットで普通に買えるのよ?』

里奈が『とっておきの秘策』として、教えてくれたラブコスメ。里奈もお子さんを出産してから性生活の悩みが尽きなかったらしく、悩んだ末に乳首の黒ずみを軽減させる石鹸を買ったらしい。子供を産むと、脇の下や乳首の辺りが黒ずむことは姉からも聞いて知っていたが、完璧に見える里奈もそれに悩んでいるとは驚きだった。

『悩んで、何もしないよりも色々試してみた方があとで後悔しないじゃない? 私は中途半端は嫌なの。出来る限りの努力はしたいのよ』

そう言って微笑んだ里奈の顔は妻であり母であり、一人の女性としてとても美しかった。育休後に戻ってきた里奈は乳児を抱えながらも独身者顔負けで仕事していた。旦那さんのサポートもあったとは思うけれど、その努力は並大抵の物じゃないと私にも理解できる。おしゃれで色っぽくて仕事が出来て。正直、悪いところなんて探さないと見つからないぐらいの人にも悩みがあるんだという、当たり前の事を改めて思い知った。

「みんな努力してるんだ……」

大人のおもちゃと言われる物は祐介さんとまだ付き合っていた頃にラブホテルで使った事がある。二人とも使うのを躊躇(ためら)い初々しく手に取ったのを覚えている。祐介さんは昔から自他共に認める草食系だ。お姉さんが三人もいるせいか、物腰は柔らかいし穏和な性格が外見にも表れている。少し色素の薄い茶色の髪が綺麗で目元もふんわりと優しげで、外見を裏切らない誠実な人柄にあっという間に惚れ込んでいた。彼にも人並みに性欲はあるだろうけれど、それを押し付けたりはしないし、『エッチをしなくても一緒にいるだけで幸せ』というのはレスになった当初にも言っていた気がする。
彼は私がいちゃいちゃしたいと思っている事に気が付いているのだろうか。そもそも、レスになったきっかけだって私の仕事が繁忙期で、夜寝るためだけに帰ってくるような生活が続いた事を彼が心配した末に起こった事だった。それが一年も続いているんだから、今となってはどんなに忙しくてもいちゃいちゃをサボらなければ良かったと当時の私を殴ってやりたいが、今さら口に出してねだれるほどの気概は持てなかった。

「買ってみようかな……」

ふと、そんな勇気がわいてきた。直接『あなたとエッチな事がしたいです』なんて言えないし、言って断られるのはすごく怖い。『今更』とか『疲れてるから』なんて言葉は心情的に聞きたくないし、自分が元々の原因だと分かっているからこそ、解消したくても中々踏み出せずに二の足を踏んでしまう。そうやって、あれこれ今まで悩んでいたけれど、ようやく里奈に話して一歩前に進めた気がする。
断られるのが怖い。だったら、口に出さずとも態度で気付いてもらえば良い。漸くそう思い直す事が出来た。

「──うっし! 女は度胸!」

私はささっと夕飯を作り終えると、食べるのを後回しにして、スマホを手に取る。さっそく里奈に教えてもらったラブコスメのサイトを検索する事にしたのだ。

「ふーん。色々あるじゃん。……って、ええ!?」

ラブコスメの種類とその内容に驚いて目を瞬かせる。驚きのあまり、一人声をあげてしまった。

「ラ、ラブコスメって、グロスとか香水もあるの……?」

里奈から色んな種類があると聞いてはいたけれど、予想以上のラインナップにすぐに食い付いてしまう。

「ふむ、キスしたくなるキス専用美容液〈ヌレヌレ〉に彼の性衝動をかきたてるベッド専用の香水〈リビドーロゼ〉……か」

私の欲しいものがそこにあった気がして、ふと我に返ると、スマホを握りしめて必死にスクロールしている自分の姿に思わず笑ってしまう。

「────うん」

個々のデザインも可愛いし、これなら部屋に置いても違和感はない。美容液は普段から使えるようにポーチに入れてもおけるだろう。肌が弱い私にとって植物由来の成分を使っている事も後押しする要因になった。
(良いなぁ)
そう思い、スイスイとスクロールを続けていると里奈からメールが届いた。

《ラブコスメのサイト見たー? 私も新しく欲しいものがあるから、良かったら一緒に買ってあげるよ》

タイミングよく来たメールに幸先の良さが感じられて益々嬉しくなる。女性向けの為か見やすいサイトの一覧には性の悩みが解消されるグッズが沢山揃っていた。『悩んでいるのは私一人じゃない』そう語りかけてくれるような気がして、寄り添われた気持ちになった。

「お願いしますっと……」

期待と感動、ほんの少しの不安を胸に抱きながら、勇気を振り絞って返信を送った。

香り

ラブコスメを使って感じている男女

「あれ? なんかさっきと違う香りがしない?」

里奈から美容液と香水を受け取った週の金曜日。祐介さんがお風呂から上がってくるタイミングで美容液と香水を身に纏(まと)った。美容液は普段から唇の乾燥対策も兼ねてつけるようにしているものの、香水は付けるのが初めてだったので緊張してしまった。

「そっ、そうかなぁ? ……えっと、もしかして臭い?」

鼻をクンクンさせて、部屋の香りを確かめている祐介さんに不安を覚えてつい口に出して尋ねてしまった。

「いや。臭くはないけど……」

否定する祐介さんの顔色が心なしか赤い気がする。本当はここで抱きついてみせれば効果が分かるのかもしれないが、こちらも変に緊張してしまって動き出せない。

「あ──っと、ね、寝る? 寝るよね?」

「そう……だね」

お互いにギクシャクしながら、ベッドに向かう。
セミダブルのベッドは二人がぴったりとくっついて寝るのにちょうど良い。新婚の頃はそれだけで嬉しかったし、レスの頃でもそれは変わらなかったのだが。
(今はちょっと離れたいかも!)
美容液と香水の効果を意識しすぎて、心臓がバクバクしている。血が逆流しているような、動揺を覚えていた。
(あれ、エッチってどうやるんだっけ? キスしたときに歯は当たらないかな!?)
一体、自分はいくつだと思っているんだ、ずーずしい奴め。という心の声が聞こえたような気がするが黙殺した。
(うわーん。祐介さん、眠るか、喋るかどっちかにしてくれー!)
いつもは、すぐに寝付いてしまう祐介さんがなぜかぴったりと私の腰に手を回したまま微動だにしない。嬉しい。確かに嬉しいが久しぶりすぎて対応に困ってしまう。

「ねえ、瑠美…………」

心なしか低く艶が乗った声で話しかけられ、腰がぞわりと反応する。

「な、なに……?」

「ボディソープ? シャンプー? ……変えた、よね?」

「あ、ああ、うん。ちょっとお風呂上がりに付ける香水をね……つけてみたの」

「香水?」

「そ、そう」

「ふーん……」

心の中では反応がもらえた事に狂喜乱舞していたけれど、緊張と祐介さんの声の低さが気になって、どもってしまった。

「それってさぁ、……誰のため?」

「え? あ、っっんむ!?」

問い返す間もなく、祐介さんが私の唇を覆いつくす。いつもの祐介さんからは想像も出来ない激しいキスに、驚きと戸惑いと喜びで訳のわからない状態になってしまう。

「あ、んうっっ。ちょ、ちょっと待っ……!」

「だめ、待たない」

話をしようと唇を離そうとするも、祐介さんの唇がすぐに被さってきて声が出せない。ぬるぬるとした舌が深く差し込まれて、祐介さんの唾液と共にぐちゃぐちゃに混ざりあってしまう。

「あ、あん、っん……」

「っ……。瑠美さぁ、口紅もつけてるよね? すごく良い香りがする」

「くち、べに……?」

荒い呼吸の合間に聞かれて思考が追い付かない。途切れ途切れに考えて、それがキスしたくなる美容液だと思い当たる。

「……これ、は、キス、したくなる美容、液で」

「……へー。キスしたいんだ。誰としたいの? 俺? ──それとも別の誰か?」

「え? あっ、んうっ!」

何も考えられずに美容液の事を口にするが、そう言った瞬間にも祐介さんのキスは激しさを増すばかりで、止められることはなかった。

「瑠美は渡さないよ──他の誰にも。例え瑠美が嫌がっても、絶対に俺のものだから。……ちゃんと覚えておいてね?」

「えっ? あ、あんっ!」

突然、寝間着(パジャマ)の上から乳首を擦られてびくついてしまう。祐介さんは嬉しそうにしながらも熱を帯びた視線でそこだけを弄り続けている。何か重大なすれ違いをしている気がするのに、身体が熱くて頭が回らない。

「あ、あん、や、やめ、そこばっか……!」

「へえー? そんなに嫌? 身体はとっても気持ち良さそうに揺れてるけど」

「だっ、だっ……て、ああん!」

「うん、分かってるよ。瑠美はおっぱい弄られるのが大好きだもんね? 服の上からじゃ刺激が弱くて物足りないんだよね? 直接触って欲しい? それともこのまま、かな?」

そう言いながら、強めに両の乳首を摘ままれ、舌を刷り込ませて唾液を交換するような口づけをされると、快感に囚われた身体は軽く達してしまう。

「あ、ああん、んんんっっ!」

「ふふっ、瑠美は可愛いなぁ」

祐介さんは呆然としている私の服を脱がせると、自分の指を私の股の間に擦り付けて頬を緩ませた。

嫉妬

「瑠美、キスと胸を弄られただけで、もうぐしょぐしょだね? パンツにまで滴らせて……。ほんとにえっちな身体だなぁ」

「そ、それは……祐介さんが……ああん!」

「俺が……なに?」

「ゆ、祐介さんが……あああああ!」

答えようとした瞬間に、くちっという音をさせて、一本の長い指が中へと入ってきた。その圧迫感と異物感に一瞬、息が止まりそうになる。

「ああ、きついなぁ……」

「あ、あ、あ、あん、あんっ、あん」

祐介さんは嬉しそうに頬を緩めると今度は反対の指で陰核を摘まみ出した。中をぐちょぐちょとかき回される感触と、陰核をゆっくりこねこねと擦る動作が反比例して、頭がおかしくなりそうな程の快感を覚える。自分が祐介さんに操られているように感じるほど啼かされている事が分かっていても、身体中を駆け巡る快感が止まらなかった。

「あっ、またイッちゃっ……! あ、あんっ、あ、あああああーっっ!」

「ああ、イケたね。きゅうって中が締まって俺の指を締め付けてるよ? ふふ、とっても可愛い。────ねえ、瑠美。俺のモノも君の中に入れて良いかな……?」

「────え? あんんっ? んんっ!」

「──っふ。君は俺のだって思い出させてあげるから。覚悟してね」

強すぎる刺激に、私が気を散らしていると、みちっという音と共に祐介さんのモノが私の中へとゆっくりゆっくり入ってきた。

「あ、ああ!」

「はぁっ、きっつ……」

祐介さんが何かを堪えるように苦し気に目を細目ながら少しずつ奥へと進んでくる。私は嬉しくて苦しくて訳のわからない涙で顔をぐしゃぐしゃにさせていた。お互いのキスもどんどんと深くなり、既に唇が痛いほど腫れ上がっている気がするのに、やめる事は出来なかったし、しようとも思わなかった。

「祐介さん、祐介さん……!」

「っっ! 瑠美、きもち、いい……?」

「うん、はあ、きもちいい! きもちいいよおぉ」

「っほら、俺のが全部瑠美の中に入ったよ? ……ここも触ったら、瑠美、またすぐにイッちゃうかもしれないね?」

祐介さんがぬるついた陰核に触れて、ゆっくりと擦り始めた。

「ああっ、だ、ダメぇ、そこぉ!」

祐介さんの熱が奥があたる度に気持ちよくて涙がにじむのに、陰核と一緒に浅いところから深いところを一気に突かれるとおかしくなるほどの衝撃と快感にまた気をやってしまいそうになった。もう、頭が沸騰したように熱くて、快感を追うこと以外、何も考えられなくなっていた。

「あ、ああん、あう! し、して、いっぱいいっぱい触ってぇ祐介さぁん」

「────して、良いの?」

「うん! ゆ、ゆうすけさんのが欲しい! ずっと欲しかったの! ゆうすけさん大好き!」

「あ、それは、やばっ……つっ!」

「あ、あ、あう、あんんっ! ん、ん!」

タガが外れたように、容赦なく腰を振り始めた祐介さんにしがみつくように、私も背中へと手を回した。もう離れたくない。ずっと一緒にいたい。そうした今までの想いまで一緒になっているかのように、その行為に耽って、頭の中が真っ白になった。

『覚悟して』そう言った祐介さんの瞳が今までにない熱を秘めていて。自分から起こした行動だったのに、祐介さんが《男》だという事をあたらめて認識させられたようで、実は彼の本気を分かっていなかったのは自分の方だったのかもしれない。と激しさを増す口付けと行為に意識を薄くしながらも悟っていた。

幸せ

「──それで? 私に感謝の言葉はないわけー?」

「ええっ!?」

週明け。
腰に拭えない異物感を抱えながらも何とか出社すると、隣の部署の里奈がわざわざやって来て、朝礼前に耳元でこそっと囁いた。心なしか、目がいたずらを成功させた子供のように光って見える。

「な、なんの話?」

「とぼけなさんなって。──お悩みは解消出来たようで何よりね」

「なななな、何で知ってぇ!?」

慌ててそう問いかけるが、里奈は不敵に微笑むだけで何も言わない。そのまま、実に楽しげに口元を緩ませているので、それに見とれたうちの部署のヤローどものピンクな視線がうるさい。

「朝礼始めるぞー」

分からない答えと週末から持ち越した腰の怠さにイライラを感じながら、再度里奈の袖を引こうとしたが、運悪く課長による朝礼のサインが出てしまった。

「じゃ、私も自分の席に戻るわぁー」

「ちょ、ちょっと里奈ぁぁぁ」

「あ。そうそう」

そのまま無情にも私を置き去りにしようとした里奈だったが、思い直したのか去り際にこそっと小さな声で耳打ちしてきた。

「首の後ろのキスマーク、たっくさんあるから、なるべく隠した方が良いわよ。──あ、さっき佐野君はじっと見て青ざめてたけど。ね?」

「な────」

「ふふっ」

女っぽい吐息を残して去っていく里奈の後ろ姿がなぜか週末の祐介さんと重なる。

『今日は暖かいからマフラーもスカーフもいらないね』そう言って、ご機嫌に話していた今朝の祐介さんはこの事を予想していたのだろうか。同じ会社だけれど、いつもは一時間早く出社して、仕事をこなす祐介さんが今日は私と同じ通常の時間に出勤していた。
互いの部署へと向かうための別れ際に、さっと触れられた首もとが熱を帯びたように熱い。

『悪い虫は、悪さする前に追い払っておかないといけないよね』

今朝は理由が分からなくて首を傾げたけれど、祐介さんは去り際、確かにこう言った。

「里奈のやつめ……」

きっと、お節介な友人が佐野君の事を忠告したに決まっている。そういえば、先週の金曜日に『お宅の旦那さんに言伝てがあるけど、ついでになんか伝言するー?』と聞いてきた里奈の態度がおかしかった気がする。ニヤニヤを通り越してニマニマしていて、色っぽかったが多少気持ちが悪かった。
そうか、あのときか。

「まったく……」

自分では呆れた声を出したつもりだったが、どうにも嬉しげな声しか漏れ出てこなかった。
お節介で優しい友人とヤキモチ焼きな旦那様。
腰はガクガク、首筋にはキスマークだらけで困ってしまう所だけれど。私が望んでいた以上に愛されている証明、愛している証明が出来た。これからは、意外に嫉妬心が強い彼に手を焼くかもしれないが、それもまた自分の喜びだと思うと頬が緩んで仕方がない。

「ふふっ。幸せ、かも?」

私はこっそり呟くと、頬を引き締めて仕事に戻った。今日は祐介さんと外で夕食をとる約束をしている。週末はずっと一緒でさっき別々になったばかりだけれど、もう会いたくて、我ながら素直すぎる心と身体の連動に気を抜くと笑みがのぼってしまいそうだ。

私に勇気をくれた小さな美容液は今日もポーチの中で眠っている。

END

あらすじ

瑠美は居酒屋で友人の里奈にため息をついた。
ときめきはないし、彼氏の祐介とは1年以上セックスレスで、
たかが退屈といえど闇は深い…。
そんな悩みの中、
里奈に勧められ女性の性生活の悩みを解決する
ラブコスメと出会い…。

著作者:藤ノ宮 まこ

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