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官能小説 フライト×KNIGHTの秘密の恋 前編
憧れを手に入れたけれど
『え? スチュワーデスなの? お給料いくら?』
『こんなに不在で連絡も取れないのに。もう嫌なんだ』
――好き勝手言わないでよ。いつも言いたい言葉を、ぐっとカクテルと一緒に飲み込む。
嫌な過去と言葉をツマミに独り飲みのカクテルが美味しいはずがない。
憧れの職種だったはずが、こうも恋に結びつかないと知っていたら、あの頃のわたしは目指しただろうか。麻衣香は涙のようなカクテルを押し返した。
「ありがとうマスター、飲みすぎたから帰ります」
夜の銀座からマンションに向かう私は城崎麻衣香。職業はAAC航空会社の国際線スチュワーデスで、フライトが決まれば、長期間は帰れない。
今の彼氏、久保吉秋には職業は秘密でOLと言ってある。そもそも呼び合う名前と携帯番号があれば逢えるし、充分付き合える。
ライトな感覚は現代の良いところでも悪いところでもあるけれど、秘密を安心材料なんかにして背中合わせに手を繋ぐのも悪くない。
スマートフォンのメッセージに気が付いた。吉秋だ。
『麻衣香さん。仕事が終わったんだ。ホテルで食事でもどうですか』
「……遅い時間に誘ってくるんだから。みえみえ」
出逢った時と変わらない。
『少し落ち着いて飲みたいので、ホテルで食事でもどうですか』から身体を繋いだ。
しかし、『可愛いよ、いい?』と足を持ち上げられて、腰を浮かされて、屈辱の体勢を取らされたと感じた瞬間、理性とプライドが勝った。
『やっぱり、嫌! ここまでにして』
……あまりいい経験になったとは言いにくい。
(それで終わりかと思っていたのにね……付き合って二か月になる)
獣の姿勢を思い出す度、頬が熱くなる。ああ、思い出したくない。もうあんな風になるのなら、セックスしたくない。
吉秋は優しいし、選ぶホテルのレストランも、間違いがない。思いやりもあるのに。
麻衣香と吉秋が付き合ってより、二か月が過ぎ、季節も遷り変って行った。今日も都会は、無関心の“らしさ”を醸し出し、冷えた夜を更に彩っていた。夏の終わりの暑さをもうアスファルトは覚えていなさそうな夜だった――。
少しは可愛くなってよ
「これ、わたしに?」エスプレッソ待ちになると、吉秋は麻衣香に紙袋を差し出した。中には小さな箱。
(何だろう)と見ている麻衣香に、吉秋は「今度の出張が長くてね」と夜景を見ながら遠い目をした。
運ばれてきたエスプレッソに癒されながら、麻衣香は「そう」と相槌を打った。紙袋をそっと隣の椅子に置いて、同じく苦めのエスプレッソを流し込む。
(開けたほうが嬉しいのよね、男って)思い出して箱を取り出そうとしたら、吉秋が焦ったように身を乗り出してきた。
「いや、帰ってからで。きみが寂しくないように。帰って来たら」
――ん?
吉秋は目をそらさずに、はっきりと麻衣香に告げる。嘘偽りのない目は苦手だ。麻衣香はさっと目線を逸らせたが、吉秋は動じない。
「きちんと抱くつもり」
動揺してエスプレッソの水面を激しく揺らしたのは気づかせない。
「ありがとう。家に帰って開けてみるね」
「麻衣香さん、好きだよ」
吉秋は少しワインに酔っているのか。潤んだ目をして、麻衣香を見つめた。異性を求める眼だ。麻衣香は包みをまた椅子に戻して、息を吐いた。
「そんな言葉でも、しないわよ。あんまりよくなかったし」
男にはきつい台詞だが、嫌なら終わればいい。
「セックスは好きになれない?」
「見せたくないものだらけなのよ」
エスプレッソの味が全くしない。カクテル以上に苦くなった液体をぐいっと流し込む。いつもいつも言えない言葉と共に。
***
「出張ってどのくらい?」
「外国に、10日くらいかな。エージェントに逢いに行くんだ」
「もしかして今から?」
「フライト時間まで過ごしたかったけど、遠慮する」
寂しそうな言葉にズキズキと胸が痛んだ。でも仕方がないでしょう。あんな屈辱は一度でいい。吉秋は別れ際に麻衣香の肩を抱き、そっと囁いた。
「そんなきみを変えてやろうと思って。少しは可愛くなってよ、麻衣香さん」
これでイクの、寂しい。抱かれたい
(可愛くなれ? 知らないわ)帰宅して、ソファにプレゼントを置いて、コートを掛けた。
「フライトまであと二週間か」と長期の休みを確認しながら、早速包みを開ける。淡いピンクの包装紙。箱に入っている。
なんだろうと首を傾げながら袋から取り出して放り投げた。
「マリン、ビーンズ……」ラブグッズがちょこんと箱に収められている。
よくできた形にしばし魅入って、麻衣香は眉を潜めた。
「可愛くなれ。で、これ? ……わたしに何をしてほしいわけ……っ?!」
驚いた衝動のまま物体を仕舞い、包みごとクローゼットに投げ込んで、浴槽に飛び込んだ。熱いシャワーを浴びているうちに、先ほどの形状と、「可愛くなって」の言葉を考えた。
なんで、吉秋はあれを贈って来たのだろう? ――可愛くなって欲しいから?
「納得してないんだけど……なんの意味が……」
カーテンを三回締め直して、ベッドに移動。スキンケアを済ませて、マリンビーンズを取り出した。
電池が必要だが全て揃っているので、セッティングし、まずスイッチを上げて行くと、それは動いた。青色のスキンも有ったので、微妙な気持ちで取り出して、被せた。
準備はOK……。
(せっかくくれたからよ。勿体ないでしょ、うん)
ラブグッズの効用は「自分磨き」にあるらしく、二つのスイッチをさっそく弄っているうちに、頬が熱くなって来た。独身女性、やはりこの形状を見て、冷静ではいられない。
「この私が一人Hなんて……あり得ない」
風呂上りであたたまっているし、試すには良いかも。麻衣香はぐいっとそれを宛がった。
つんつん突いて、ぐ、と下腹に込めたが、断念した。吉秋との時と同じ、途中で麻衣香の四肢は振動を拒んだ。
今更、処女ではないのに。どうしてできないのだろう?
「難しいものね」スイッチを切って、再度押し込めてみる。恐る恐るスイッチを入れてみるけれど、動きがまだ合わなそうだ。探るようにして先端を自分の襞に擦りつけてみた。
が、そこまで。夢中になりそうでいて、「無理、恥ずかし過ぎるし、こんな格好」また理性とプライドが邪魔をした。
これでは、二度目も同じ結果になってしまうだろう。
「やっぱり、相性かな。出張の夜にこんなものまで用意して」
――遠慮しておくよ。と告げた吉秋は寂しそうで、胸が痛かった――。
本当は、一緒に麻衣香と過ごしたかった? なのに、応えられず、ごめんね……。
「もう一度だけ……だよ」
振動にも慣れて来て、あっちこっち、早く遅く、と繰り返していくうちに、挿入感を感じる手応えがあった。
落ち着く姿勢を探して、知らず足を広げ、腰を浮かせた瞬間。
「――ああっ」小さな喘ぎとともに、奥までストンとやって来て、麻衣香ははっと気づいた。
「あたし、こうするとこんなに上手く挿入できたんだ……」
吉秋は気づいていた。
麻衣香の奥を愛するには、腰を浮かせて、道を開く必要があることを。段々と感度が上がると同時に、麻衣香は涙で頬を濡らしていた。
「これでイクの、寂しい」
偽り続けるのも、独りから目を逸らせて続けている自分も寂しい。
「可愛くなってよ」とあんな風に囁いてくれるのなら貴方がくれたラブグッズで。
『麻衣香さん、可愛いよ、大丈夫ですか?』
思い出した。一つになる前に、吉秋の腕も震えていたこと。あの時受け入れられたなら、あの優しさをもっと引き寄せられたのに。
心の雪解けと、絶頂が同時にやって来た。痺れる感覚の中、暫く麻衣香は目を閉じていた。
使ったグッズを愛おしく思えた瞬間、麻衣香の心はとうとう啼いた。
「ただ、逢いたい、抱かれたい。その気持ち、思い出した。吉秋に逢いたい」
⇒【NEXT】努力して来たから、みんな恋が凸凹でも巧く行くんだ。私だってこれから…(フライト×KNIGHTの秘密の恋 後編)
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あらすじ
憧れていたスチュワーデスとして働いている麻衣香。
でも、忙しいこの職業は恋に結びつかない…。
今の彼氏、吉秋にはOLと嘘をついて付き合っている。
麻衣香はセックスをそんなに好きにもなれなかった。
そんな中彼が渡してきたものは…?