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官能小説 君は愛しい梔子の妻【LCスタイル】
この作品について
この作品は、小説サイト 「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、 「妄想小説コンテスト」の優秀賞作品です。
ネックレス
閨となる大きな寝台の上で、彼女は夫の訪れを待っていた。待つだけでは暇なのだろう、艶やかな黒髪を手櫛で梳かせば、擦り込まれた香油の甘やかな香りが鼻先を掠めてゆく。
(たった一度だけ、旦那様が枝を持って帰ってきて下さったっけ)
大ぶりな白い花だった。あれは何という名前だったか―――
「ハルデニア」
いつの間に帰ってきていたのか。薄明かりの中で、寝衣を纏った男が寝台のすぐそばで立っていた。波打つ亜麻色の短髪に、真夏におい繁る葉のごとく深い緑色の瞳。切れ長の目に通った鼻筋、唇には酷薄な笑みが浮かんでいるけれど、それすら甘やかな美貌のちょっとしたスパイスになっている。美形は得だ。オマケに、その肢体は細身ながら、緩んだ寝衣の胸元からは引き締まった筋肉がチラ見えしている。
(美形な上にお体も素敵なんて、希少だわ)
そんな希少な夫………ヨエルは、彼女の首元を見とめてあからさまに顔を顰めた。
「貴様、何だそれは」
視線の先を辿って、ハルデニアは首を傾げた。そこには、丸くカットされた大粒のエメラルドがぐるりと連なった豪奢なネックレスが輝いている。閨で付けるには、確かに綺羅びやかすぎる一品だ。
(やっぱり派手すぎよね、これ)
正直、ハルデニアもコレを付けるのは反対したのだ。けれど彼女付きの侍女曰く、今夜の下着のコンセプト……『閨の踊り子』を最大限に活かすためには、このネックレスが一番なのだとか。あまりに熱心に言い募るものだから、根がお人好しなハルデニアはつい押し切られてしまったのだった。
しかし、睦みあうにはこのネックレスは大きすぎて邪魔だし目もチカチカするだろう。既にハルデニアの目はチカチカしている。ヨエルの渋面も最もだ。
「何と趣味の悪い………っ!貴様は我がベイエルスベルヘン家の妻であるという自覚がないのか!?」
(………いや、そんな『趣味の悪い』ネックレスを買ってきたのは旦那様なのだけれど)
ハルデニアを貶めたようでいて盛大なブーメランがヨエルの後頭部にグッサリと刺さっている。けれども、ここで夫を立てるのも妻の役目だろう。口答えすることなく、ハルデニアは眉をハの字にしてそっと目を伏せた。
タレ目がちな黒い瞳、目元にある泣きぼくろ。そして、艶やかな髪が白い肌に黒く細い糸を垂らす様は傍目から見れば物凄く儚げに映るらしい。
『若い身空で愛する人に先立たれ、借金取りにその身を付け狙われる幸薄い未亡人のごときイケナイ色気が滲み出ておりますわ!!』とは、お付きの侍女の言である。きっと緊張をほぐすための、侍女流ジョークだろう。
「さっさと外せ、それは貴様のような女がつけても見苦しいだけだ」
怒気を孕んだ声に急かされ、慌てて首飾りを外す。宝石箱にしまおうと腕を伸ばしたところで―――焦れた夫に乱暴にひったくられてしまった。
高価で派手なネックレスは放り投げられ、部屋の隅に落ちていった。それを目でおっていたハルデニアの鼻先に………これまたヤケに綺羅びやかな代物がつきつけられる。
「見窄らしい貴様にはこれで充分だろう」
首筋に腕を回され、項でカチリと金具が嵌まった。胸に垂れ下がったそれを確率して、ハルデニアはふっとため息をつく。
(………コレが、私に『充分』ですって?)
細く繊細な金の鎖と、それに連なるようにエメラルドが行儀よく並んでいる。そして、小さな深緑を囲うように少し大きめのダイアモンドが配置され、まるで可憐な白い小花が咲いたようだ。
先程の品より“可愛らしい”デザインである。
「地味で、細くて、貧相………ハハ!貴様に実に似合いではないか!ハハハハハ!」
(こんなに華奢で繊細で、品が良さそうで、おまけに高価なネックレスが?………これこそ私には勿体無い気がするけれど)
あまりの居たたまれなさに顔を伏せたハルデニアを睥睨し、ヨエルはフンと鼻をならした。
「まぁ、あれだ。大粒の宝石で飾るには、貴様の首は細すぎるしな。この位の小さな宝石で丁度良いだろう。どうだ、俺の慧眼は!身に余る歓喜に咽び泣いてもよいのだぞ!!」
(満足げに頷いていらっしゃるわ………ううん、まぁ、何はともあれ旦那様が楽しいなら良いのかしら)
ハルデニアとしては、こんな身の丈にも容姿にも似合わない装飾品どう扱っていいか分かりかねる。何せ、実家で使っていたものより数十倍高価なネックレス。気後れしない方が可笑しい。踊り子風に仕立てられた下着の背中側は既に冷や汗でベッチョリだ。
けれど、そんな彼女の心中なぞ夫は知る由もない。
旦那様
彼は分不相応に飾り立てた妻を頷いたり角度を変えて眺めたりした後、徐に彼女を寝台へ押し倒した。
「さぁ、今宵も高貴なるベイエルスベルヘンの―――俺の!子種をたっぷりと付けてやる!身に余る光栄だと咽び泣きながら良い声で啼くと良い!」
どうやら物凄くテンションが上がりまくっているようだ。言うに事欠いてハルデニアに『啼け』とは、難しいというか、不可能な事まで仰る。
(せめて呻き声くらい上げられたら、少しは旦那様の嗜好にお応えすることが出来るのに………不甲斐ないわ)
ハルデニアは幼い頃事故に遭い、そのショックから声を失ってしまった。両親はそれはもう嘆き悲しんで、方々から無い金を掻き集めては高価な薬や高名な医者、眉唾な呪術師にまで頼ったものだ。けれど取り戻すことは叶わず………今ではすっかり諦めて、筆談と身振り手振り、あとは決まった指示を書いたカードを使って日常生活を営んでいる。
そうして貴族のご令嬢としてかなりの不良債権と化してしまった彼女は、結婚について夢を見ることはなくなった。
どこぞの好色な爺の後妻か、脂ぎった太ましい商人の愛人か、はたまた猟奇趣味みたく難のある貴族への輿入れか―――自分の未来はそのどれかだと思っていたのだが。
「何だ、震えているのか?貴様は見窄らしい上に軟弱だな」
(………まぁ、ある意味、難のあるお方ではあるわよね)
肌寒くて震えていた剥き出しの肩を、やけに熱い手のひらで掴まれる。そのままやや力任せに引き寄せられ、ハルデニアはすっぽりと彼の腕の中に収まってしまった。
耳元にかかる吐息が荒い。密着した体は寝衣ごしにも熱くて、薄着で冷えたハルデニアの体はすぐにポカポカに温まってゆく。
「震えても無駄だ。実家への融資を打ち切られたくあるまい?貴様は寝台で俺に足を開く以外に道はない………」
(いえ別に、褥を共にするのが嫌という訳ではないのですが)
言ってることは三文芝居の悪役だ。薄い唇は釣り上がり、パッと見は立場の弱い新妻をいざ嬲らんとする悪夫にしかみえないだろう。というか、ソノモノだ。
「財産もない、権力も、社交も出来ず愛想もない貴様のような女を正妻に据えてやっているのだ。本来なら貴様から頭を垂れ、『ご存分に抱いてくださいませ旦那様』と誘惑の一つ二つせねばならない立場なのだぞ」
超絶不良債権ハルデニアを正妻に据えた頭のおかしい男が何か言っている。ついでに、『正妻』と表現して外には愛人がいるような雰囲気を醸し出してはいるが………このヨエルという男、今の所娶った妻はハルデニアただ一人。これから増えるかもしれないが、一応新婚だからなのかこうして毎夜閨へやって来てくれる。なんとも律儀な夫なのだ。
(………うううん。そうよね、こんな不良品を娶って下さったのだもの。せめて妻として、御期待には応えなくては)
ハルデニアは一念発起。まずのしかかって来る夫をやんわりと押し返し、向かい合わせに座る。そして、次にパンツの紐に手をかけた。ハラリと解けた紐は、パンツと一緒にゆっくり滑り落ちてゆく………。
(後は、こうやって足を開けばいいのだったかしら)
視線を落とすと、幾ら食べても肉がつかない貧相な足が目に入った。膝に力を入れていざ、ご開帳―――
「ッな!!!!貴様!!!!やめろ!!何をしている!!?」
しようとした所で、いきなり膝を掴まれ押し止められてしまった。視線を戻すと、この上なく不機嫌そうな夫がハルデニアを睨みつけている。
「ききき貴様には!!俺の妻たる矜持はないのか!?恥じらいは何処へやった!!変態なのか!?」
(このやり方ではなかった?また知らぬうちに粗相をしてしまったのかしら)
しかし足を開いて見せろと言ったのは彼の方である。ハルデニアは夫の指示に従ったまでだ。と、いうことは、変態なのはこの旦那様ということになるのだが………
「いいいぃい良いか!?淑女というものは妄りに足を開いたりはしないのだ!!するならもっとこう、頬を染めるなり何なりして恥じらいを見せろ恥じらいを!!簡単に俺の言うとおりにするんじゃない!!少しは抵抗しろ!嫌なら嫌なふうに何らかの意思表示をしてみせろッ!!!」
なるほど、面倒くさ………いや、繊細な旦那様はどうやら彼女に『恥じらい』をご所望だったらしい。それならそう事前に言ってくれないと。ハルデニアは基本察しが悪いのでそういう細やかな心遣いは苦手なのだ。
「ハァッ、ハァッ………ふぅ………クソッ出鼻を挫かれた。今日こそ羞恥と屈辱に塗れながらも俺の手練手管に溺れ逃れ得ぬ快感に抗えず最終的に涙を流しながら種付けを受け入れる貴様を楽しんでやろうと思っていたのに―――ッ何だ、その目は」
余程動揺したのだろう、思っている事が全部口から早口でただ漏れだ。
ハルデニアは、額の汗を拭って体裁を整えようとする夫をついつい可哀想な生き物を見る目で見てしまうのだった。
(………本当に、難のあるお方ですこと)
ハルデニアは不良債権だが、このヘタレ………いや、必死に悪ぶってオレオレ系になろうと間違った努力を重ねているおバカ………絶妙な愛嬌に溢れる夫も、実に難のある男には違いない。
「全く貧相な上に情緒まで欠けているとは貴様はまったくッ――――――んンぅ!!?」
(まぁ、好色な爺や猟奇趣味男より何百倍もマシな事は確かなのよね)
ため息を一つ吐き、ハルデニアは小さく微笑む。そして、いい加減小煩い口………ではなく、賑やかな夫の唇を己の唇で塞いでしまうことにしたのだった。
紅い唇
「んっ、んぅ、ンっ………はぁ、くそ、くそくそくそ!相変わらず何だその唇は!紅くて柔らかくてこんな、こんなぁ……あ、―――んんンぅん」
懸命に舌を絡め、互いの唾液をかき混ぜるような濃厚なキスを繰り返す。キスという行為は、言葉はおろか喘ぎ声の一つも出せないハルデニアに出来る“ご奉仕”の一つだ。

「はぁ、あ、それにしても……貴様は本当にっ……ふ、キスが、上手くなったな。んっ……はぁ、仕込んだ甲斐があると、いうものだ……」
(『仕込んだ』というより、『練習した』が一番近いと思うのだけれど)
“閨事において、艶声は切っても切り離せないくらい大切だ”と書物に書いてあったから、声を出せぬ自分に出来ることを精一杯考えたのだ。
『閨事におけるご奉仕の練習がしたく存じます。つきましては、閨事の教師を手配して頂きたいのです』
そう書いたメモを渡したところ、何故かヨエルは真っ赤になって怒り狂った。
「貴様………ッお、俺という夫がありながら!!他の男と閨事の経験を積むというのか!?」
『旦那様とて、私以外の指導役とお勉強なさったのでしょう?何故私は駄目なのです?』
確か、殿方だって“筆おろし”と称して閨のお教室があると聞いた。子作りを円滑に行うための通過儀礼だというし、女だけが練習出来ないというのは些か不公平ではないか………!
そう筆談で懸命に訴えたものの、ヨエルは頑として首を横に振り続けた。
「兎に角!!駄目なものは駄目だッ!!」
『では、私はどのようにして旦那様へのご奉仕を学べば宜しいのです?』
「お、おぉおおおお俺と!!俺とすれば良いだろう!?むしろ貴様のような覚えの悪い女なぞ、根気強く気長な俺しか指南役は務められないに決まっている!そっ、そうだ!俺が!俺が教えてやる!!手とり足とり腰とり全部………ッ!」
はて、ヨエルは稀に見る短気な男であった気がするのだが。
ハルデニアは首を傾げ、なおも言い募る。
『ですが、旦那様は夜もお仕事が忙しいでしょう?』
「そんなモノどうとでもすれば良いのだ!!いやどうにかする!!もうこの話はこれで終わりだ!いいな!?」
『はぁ』
―――そんな訳で、ハルデニアは声を出す以外で出来そうな“ご奉仕”は粗方ヨエルに教わることになってしまった。それ故に彼女としては、『仕込まれた』というより『教わった』という感覚が強いのである。実質はまぁ、然程変わりないかもしれないけれど。
「ん、ちゅ………っ服を、脱がすぞ」
「……っ」
蕩けるようなキスを続けながら、二人は縺れ合うように互いの衣服を脱がせ合う。そうして剥き出した肌を合わせれば、汗ばんだそこはピットリと吸い付くように互いに吸い付いた。
「相変わらず不健康な色の肌だ」
「っ」
薄明かりに浮かび上がる真っ白な首筋に吸い付きながら、ヨエルは喉を鳴らす。キツく吸い上げたそこには、紅い印がくっきりと浮かび上がって来た。
「だが滑らかで、柔らかくて、甘い………貴様は本当にっ……ふ、罪深い女だっ……」
熱い唇が、首筋から下へ下へと降りてゆく。首元、鎖骨、脇、二の腕、臍―――そこで響く軽いリップ音と吸い上げられる感触が、ハルデニアの肌を泡立たせる。何だかんだで夫から存分に快楽を教えこまれた体は即座に熱を持ち………彼女の白い肌が淡く色づき始めた。
そんなハルデニアの変化を察知したヨエルは、ニヤリと笑って指先を肉の割れ目へ滑らせる。
「ッ!」
「っ、ハハハ!既に濡れているではないか!えぇ?これしきの愛撫で感じたのか、この淫乱妻め」
(そんなモノを嬉しそうに見せびらかさなくても………生理現象ですのに)
己の愛液に塗れた指先を微妙な面持ちで見つめるハルデニア。羞恥とは若干ズレた反応に肩透かしをくらいつつも、残念な夫は追撃の為にしどけなく開かれた股座に顔を埋めた。
「――――――ッ!!」
「ふ、ちゅっ………どうだ?貴様はココを舐められるのに弱かろう?」
(ソコの刺激に強い者がいるとすればそれは百戦錬磨の猛者ですわ!!)
心の叫びは兎も角、足腰を大げさにビクつかせたハルデニアの反応に気を良くしたのだろう。ヨエルは口角を上げ、殊更いやらしく彼女の蜜口を舌で舐め回し始めた。
「そうだ。愛いな……貴様はそうやって、っは……ん、俺の愛撫に、為す術もなくっ……ちゅ、陥落していれば良いのだ……」
「っ、―――!っ!っ!!」
「ん?この、コリコリとした肉の粒を舌先で潰されるのがそんなに悦いか!うんうん、そんな首を振って訴えずとも分かっている。もっとか?いいぞもっとしてやる。ついでにこの端なくグショグショに濡れそぼった蜜口も指で解して……」
「~~~~~~~~っ!!!!」
(そんな嬉しそうに解説しながら触れなくても………アッ!だめ!そんな!あっ、そこはだめぇえ)
ヨエルの舌先が、敏感なソコをコロコロと舐め転がす。包皮を剥かれ、しこり初めた肉の粒に吸い付かれ、敏感な蜜壺を指で掻き回されれば、流石のハルデニアも快楽に咽び泣いた。強すぎる快感を逃がそうと腰をくねらせるものの、夫の手ががっしりと腰を掴んで押さえつけ放してくれない。
(あっ、あっ、もう、くる、だめっ)
「んん?どうした?ハハ、イキそうなのか。ふ、ん……っいいぞ、俺に舐められてイくのだろう?許す、存分にイケ。そら、そら!!」
「ッ!――――――――ッ!!!!」
ジュルルっと肉粒を強く吸い上げられ、より一層激しく蜜壺を長い指でかき混ぜられ………ハルデニアは、あっけなく高みへ登ってしまった。そんな彼女のビクつく体を宥めるように撫でさすり、ヨエルはゆっくりと体を起こす。
「ハハハ!貴様、盛大にイッたな……ん、ふ。ちゅっ……はぁ、ああ良いぞ。その絶頂で蕩けた顔、だらしなくて淫靡で、たまらない………ッ」
(そ、そんな情感たっぷりに仰らなくても……あっ、いや!耳に触らないでっ!)
「ん?何だ貴様、そう耳まで真っ赤に熟らして……ハハハ!子猫のように震えているではないか。いつものすまし顔はどこへ消えた?」
ふぅっ……と耳穴に息を吹きかけられ、ハルデニアは全身をビクつかせた。達したばかりで敏感になっている上に、耳はなんというか、『弱い』のである。
しかし、そんな弱点を底意地の悪い難あり夫が見逃すはずもない。身をよじって逃げようとするハルデニアを軽々と押さえ込み、ヨエルは真っ赤に熟れた耳を食み、耳穴にまで舌を突き入れた。
耳をせめられて
「~~~~~~~っ!!!!」
「左よりも、右が好みだったかな。貴様は……」
耳殻に何度もキスをされ、グチュグチュと耳穴の中を舌でかき回される。生々しい水音が鼓膜を震わせ、まるで頭の中まで侵されているかのようだ。
「そら、左もだ。っハハハ!何を驚いている?片方だけでは不公平ではないか……ん、ちゅ。両方、しっかり、たっぷり、平等に………は、愛でてやるからな。安心しろ……」
(そ、そんないやらしい平等精神はいりませ……っひぃぁああーー!!!)
力が入らない手足を動かして抵抗するものの、か弱い女の力ではどうすることも出来ない。結局左耳まで存分に攻め抜かれてしまった。息も絶え絶えになりながらハルデニアが思わず睨みつけると、深い緑色と目があった。涙越しに見つめ合った夫の瞳は、獰猛な雄の欲望がギラギラと燃えたぎっていた。
「ッ……………っ……………」
「ふぅ、興が乗ってついつい俺の方が奉仕しすぎてしまったな。まあ良い。さて次は―――俺を、気持ちよくして貰おうか」
“旦那様を気持ちよく”
つまり、上級ご奉仕の出番、ということか。
珍しく察しの良さを発揮したハルデニアは腕を伸ばし、既に臨戦態勢になって先走りに光る夫の欲望に指を絡め――――ようとして、がっしりした手に掴まれてそれ以上の動きを封じられてしまった。
「ば、っ!?ま、待て待て待て何をしている!?何でいきなりソコを触っ………はぅっ!」
(あら?違ったのかしら)
まだ自由に動く指先でスリスリと先端を撫でさすると、真っ赤になった夫から艶やかな声が漏れる。毎度思うけれど、なるほど“艶声”とはよく言ったものだ。男の艶声ですら、これだけ嗜虐心や性欲を唆られる。出せぬ自分が閨事で魅力が半減以下になるのも頷けるというものだ。
「い、いいからっ!今日は手の奉仕はいい!それより……」
「っ」
「あるだろう?手の平よりもっと気持ち良い、貴様にしかない、奉仕に最適な場所が………」
掴んだままの一物が、泥濘んだ蜜口に押し付けられる。溢れた蜜が、猛った欲望に絡んでニチュニチュと音をたてる。その粘着質で淫靡な水音、そして肉襞に擦り付けられる固い感触に、ハルデニアは思わず頬を染めて下唇を噛んだ。
「ふ、ハハ!グショグショではないか。こんなに濡れて滑っていたら、少し力を入れただけでっ………ッ!ん、」
(あっ、あ、いや、まって心の準備がまだっ……!あぁあ……!!)
先程までの執拗な愛撫で蕩けきった蜜口は、さしたる抵抗もなくヨエルの剛直を受け入れる。熱い欲望は浅い場所で数度、前後に揺らして解した後、一息に彼女の奥を征服した。
「ッ…………~~~~~~!!!!」
「………はぁ、何ということだ。もう、奥まで………挿入ってしまった、な」
「っ!………っ、っ……!」
「うん?どうした、口を開いて閉じて……ついに、っく……声の出し方を思い出したか?………そら、そら!」
「ッ!!………ッ」
子宮口のあたりに、亀頭がグリグリと小刻みに押し付けられる。過ぎた快感でハルデニアの唇は震え、声成さぬ喉からはか細い息の音が鳴った。
「っハハハ!実に悦さそうな顔をするではないか。そんなに俺のは気持ちがいいか、んん?」
「………っ………っっ……!」
「はぁ、はぁ、あっ……おっと忘れる所だった。此処も、可愛がってやらねばな」
「ッーーーー!!!!?」
そう言って、舌なめずりしたヨエルは殊更にゆっくりと………ハルデニアの乳房を舐め上げた。お椀型のそれは、突き入れられる度に震えている。その魅惑的な動きを視姦しながら、彼はねっとりと薄桃色の頂きを口に含んだ。
(あっ、そんな!そんな同時になんて……っお、可怪しくなってしまう……!)
舌で転がされ、唇で食んで嬲られ、時に甘噛みされ、かと思えば強く吸い上げられ。勿論、その間も腰は止まることなく、蜜壺の蹂躙は続いている。
難はあるのに閨のスペックだけは高い夫に翻弄され、ハルデニアは既に息も絶え絶えだ。
「はぁ、はっ……どうだ、良いだろう?ああ、何てだらしの無いっ……蕩けた顔を、する。貴様は本当にどうしようもない、淫らな、妻だな。は、はぁ、っふ……ぁ!あ!あ!!んっふ、う」
「ッ、!!………っ!!!!」
ハルデニアの震える唇が、ヨエルの熱いそれで塞がれる。肉厚な舌で口内を蹂躙しながら、難のある夫は互いの絶頂へ向けて更に激しく腰を動かしはじめた。
バチュ!バチュ!と肌がぶつかる音と共に、荒い息と熱の篭った喘ぎ声が響き渡る。唾液を掻き回す音、激しくベッドの軋む音まで、様々な音がハルデニアの耳を犯し、さらに蜜壺を溢れさせた。
「あ゛、ぁっ………は、いい。かわいい、俺の、俺のっ……ん、ちゅっ、ふぁ、はぁ、ンっ……ぐ、ぅ」
(あ、ああ、旦那様……ヨエル様、あぁ、あ)
ヨエルの方が快感で理性が焼ききれたのか。深緑色の瞳は先程よりも蕩けて、薄い唇から甘い睦言のようなものが零れはじめる。こうなってきたら、欲の開放も近い。
ハルデニアは、彼の子種を余さず受け入れるべく広い背中に腕を回し、ギュッと夫にしがみついた。そして、それがまた、互いの快感を煽ってゆく。
「はぁ、アっ、あ、出る、出すぞ、貴様の膣内にっ………ん、たっぷり出して、やるからっ!はぁ、受けとめて、こどもを、こどもを作ろう……な?大事に、貴様と一緒に大事にする、からっ………あぁ、う!くっあ、出るッ」
「――――――――ッ…………!」
彼の欲望が弾けた瞬間。二人は同時に高みへ登り、共に白く激しい快感に包まれる。ハルデニアは己の一番深い所に注がれる白濁を感じながら、白い快感に酔いしれるように目を閉じ―――しばし意識を手放したのだった。
寝室にて
―――それから暫く後、寝室にて。ベッドに腰掛け男は頭を抱えていた。湯浴みの後なのだろう、未だ水気を含んでうねる亜麻色の髪を掻きむしり、何やらブツブツと呟いている。
彼の傍らには、その妻が安らかな寝息をたててうつ伏せに眠っている。無防備な寝顔はどこかあどけなく可愛らしい。
「う、うう。まただ、また………やってしまった………!」
―――そんなあどけない妻に、その後二度に渡る激しい情交を強いてしまった。お陰様で、今回も腕枕をしてゆったりピロートークする余裕もなく眠りに落ちてしまったのである。
因みに、寝台の横につけてあるテーブルには……妻と“お話”するためのメモ用紙と新品の万年筆が転がっている。今夜のために、彼がせっせと用意したものだ。
「今夜こそ、今夜こそハルデニアとゆっくり話そうと思っていたのに………今日は何をしたとか、何が楽しかったとか、好きな食べ物とか、好きな色とか、好きな宝石とか……くそっ!」
仕事が忙しく、朝は早くから出勤して夜は遅くに帰宅する日々。ようやっと彼女と結婚できたというのに、理想の新婚生活からは程遠い生活を送らされている。
「最近ずっと閨でしか会えていない………せめて、せめて朝食だけでも一緒に……いや、それよりも休暇だ。どうにかして新婚休暇をとって………こうなったら上司を締め上げるか………!!」
ハルデニアは知らない。
小さな頃、まだ少年だった難のある夫と出会って、ひょんなことから一目惚れされていた事も。
好色な爺の後妻にされそうになった所で、慌てた彼が掻っ攫うようにして娶って連れてきた事も。
毎日出てくるデザートに入っているものが、全て喉に良いとされる遠方の果物である事も。
辞表をチラつかせて上司を脅しつけた夫が、何と一月の結婚休暇をもぎとってきて、新婚旅行でテンヤワンヤすることも。
そして――――
「好きだ、大好きだ………愛しい、俺の、梔子の君……」
この口に大きな難のある夫が、梔子の妻にベタベタのドロドロに惚れこんでいる事も。
………………ハルデニアはまだ、知らない。
END
あらすじ
寝台の上で夫の訪れを待っていた彼女は、薄明かりの中寝衣を纏った彼と…
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