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官能小説 甘美な支配


オフィスに残された二人

残業を終え、オフィスにほとんど人影はなかった。煌々と輝く蛍光灯の下、25歳のOLであるあなた、佐倉芽衣(さくらめい)は、最後の書類を片付けていた。時計はもうすぐ21時を指そうとしている。

「芽衣、まだ残ってたのか?」

背後からかけられた声に、びくりと肩が跳ねた。振り返ると、そこには営業部のエースであり、芽衣の直属の上司である東城蓮(とうじょうれん)が立っていた。30歳になったばかりの彼は、細身ながらも鍛えられた体躯と、どこか冷たさを秘めた切れ長の瞳を持つ男だ。普段は完璧な上司として振る舞う彼だが、誰もいない場所での二人きりの時だけ、その表情は一変する。

「東城さんこそ、まだいらっしゃったんですね」

努めて平静を装うが、心臓は早鐘を打っていた。昼間の彼とは違う、獣のような視線が、芽衣の全身を絡めとる。東城はゆっくりと芽衣に近づき、その視線は芽衣の手元の書類から、徐々に芽衣の顔へと移動した。

「ああ。お前が帰らないから、心配でな」

その言葉は優しいのに、どこか独占欲が滲んでいる。東城の指先が、芽衣の頬にそっと触れた。ひんやりとした指先が、肌の上を滑る。それだけで、芽衣の体は甘い痺れに襲われた。

「早く帰って休め。無理をさせたくない」

優しい声とは裏腹に、彼の目は芽衣を試すように見つめていた。まるで、「俺に身を委ねろ」と言っているようだ。

「……はい」

思わず、か細い声が漏れる。東城は満足げに微笑むと、そのまま芽衣の顎を掴み、顔を上げた。

「顔色が悪い。まさか、俺がいない間に、他の男と何かあったのか?」

冗談めかした口調だが、その瞳の奥には確かな嫉妬の色が宿っている。芽衣は慌てて首を横に振った。

「そんなこと、ありません!」

「そうか。ならいい。だが、俺以外の男に、その可愛い顔を向けさせるな。分かっているな?」

その言葉は、命令だった。拒否権など、最初から存在しない。芽衣はただ、こくりと頷くことしかできなかった。

密室の誘惑

東城は芽衣の手から書類を奪い取ると、それをデスクに放り投げた。そして、芽衣の体を自分の方へと引き寄せる。

「疲れているだろう。少し休むか?」

彼の言葉に、芽衣の頭の中には瞬時に「休憩室」の文字が浮かんだ。しかし、東城が向かったのは、彼の個人オフィスだった。広い部屋には、重厚な革張りのソファが置かれている。夜のオフィスに似つかわしくないその空間に、芽衣の胸は期待と不安で高鳴った。

部屋のドアがゆっくりと閉まる。カチャリと鍵をかける音が、やけに大きく響いた。東城は芽衣をソファに座らせると、自分は芽衣の正面に膝をついた。まるで、崇めるように、芽衣を見上げる。

芽衣の膝に手をかける東城

「今日は、頑張ったな」

彼の指が、芽衣の髪をそっと撫でる。その柔らかな触れ合いに、芽衣の体は震えた。

「東城さん……」

「ん? 何か言いたいことでもあるのか?」

彼の声は低く、甘く響く。その声に誘われるように、芽衣の口から言葉がこぼれた。

「私……」

言いたいことは山ほどあった。昼間の真面目な上司と、夜の顔を持つ彼のギャップに戸惑う気持ち。けれど、同時に彼の独占欲に包まれることに、抗いがたい魅力を感じている自分もいる。

「……もっと、触ってほしい、です」

その言葉は、もはや理性を失った本能の声だった。東城の瞳が、獲物を見つけた獣のように輝いた。

「ほう? 随分と大胆になったじゃないか、芽衣。良い子だ」

彼はにやりと笑うと、片手を芽衣の頬から首筋へと滑らせ、そのままシャツの襟元へと差し入れた。ひんやりとした指先が、デコルテの肌に触れる。

「そんなに焦らなくても、時間はたっぷりある。今夜は、誰にも邪魔されない」

彼の言葉は、芽衣の羞恥心をさらに煽った。しかし、それ以上に、彼の甘い声と指先が、全身を快感で満たしていく。

東城の指が、シャツのボタンを一つ、また一つと外していく。ボタンが外れるたびに、冷たい空気が肌を撫で、芽衣の体はびくりと震えた。

「怯える必要はない。俺はお前を、誰よりも愛している」

そう言って、彼は外したボタンの間から、芽衣のブラウスを押し広げた。純白のブラウスの下から、わずかに透ける黒いブラジャーが見える。

「……っ」

羞恥心で顔が熱くなる。しかし、東城はそんな芽衣の様子を楽しんでいるかのように、ゆっくりと、しかし確実に、芽衣の服を剥がしていく。

「もっと見せてみろ。俺のために、その美しい体を」

その言葉に、芽衣の脳裏には、昼間のオフィスの光景が過った。真面目な顔で指示を出す東城、そしてその隣で、彼を見上げていた自分。そんな昼間の光景と、目の前の現実のギャップが、芽衣の羞恥心をさらに煽った。だが、その羞恥心は、快感へと変わる前触れだった。

本能への誘い

東城は芽衣のブラウスを完全に脱がせると、そのままブラジャーのストラップに指をかけた。

「これを外したら、もう後戻りはできないぞ、芽衣。それでもいいのか?」

彼の問いかけに、芽衣の心臓は激しく波打った。理性では「ダメだ」と叫んでいるのに、体はもう、彼のものになることを望んでいた。

「……はい」

か細い声で答えると、東城は満足そうに微笑んだ。そして、カチャリと音を立てて、ブラジャーのホックを外した。黒いレースが、芽衣の胸から滑り落ちる。

「美しい……」

東城の視線が、芽衣の胸元をじっと見つめる。その視線に、芽衣の肌は粟立った。彼はそのまま顔を近づけ、芽衣のデコルテにキスを落とした。ひんやりとした彼の唇が、肌の上を滑る。

「は、ひ……っ」

甘い痺れが全身を駆け巡り、芽衣の体はのけぞった。東城はそのまま首筋に吸い付くようにキスを落とし、小さな吸い上げの音を立てた。

「こんなにも敏感な体で、よく昼間は耐えていたな」

彼の声は嘲笑を含んでいるのに、その手は優しく芽衣の体を撫でていた。そのギャップが、芽衣の心をさらに揺さぶる。

東城の手が、芽衣のスカートの裾へと伸びる。ゆっくりと、しかし容赦なく、スカートのボタンが外された。

「夜の俺は、昼間のお前とは違う。だが、どちらの俺も、お前を愛していることに変わりはない」

そう言って、彼は芽衣のスカートを足元へと脱がせた。残されたのは、黒いショーツだけだ。

「完璧だ。俺のために、こんなにも美しく成長してくれた」

彼の視線が、芽衣の足元から太ももへとゆっくりと移動する。太ももの内側を指先でなぞられると、芽衣の体はさらに震えた。

「……や、め……」

か細い抵抗の声が漏れる。しかし、東城はそんな芽衣の言葉を気にする様子もなく、その指先はショーツの縁へと伸びていく。

「抵抗するな、芽衣。お前は、もう俺のものだ」

彼はそう言って、ショーツをゆっくりと引き下げた。完全に裸になった芽衣の体に、冷たい空気が触れる。

「ああ、なんて可愛らしいんだ」

東城の目が、芽衣の秘密の場所をじっと見つめる。その視線だけで、芽衣の体は熱を持った。

彼はそのまま芽衣の腰を抱き寄せ、唇を重ねた。深く、激しいキスが、芽衣の理性を奪い去る。舌が絡み合い、息が苦しくなるほどに深く、互いの存在を確認し合う。

「ん……っ、んん……」

キスをしながら、東城の指が芽衣の太ももの内側を優しく撫でる。そして、そのまま、ゆっくりと、芽衣の秘密の場所へと触れた。

「ひゃあっ……!」

突如として訪れた快感に、芽衣の体は大きく跳ねた。東城はそんな芽衣の反応を楽しむかのように、指をさらに深く差し込んだ。

「どうだ? 気持ちいいか? 俺の指で、そんなに濡れて……可愛いな、芽衣」

彼の言葉が、芽衣の羞恥心をさらに煽る。しかし、同時に、その指がもたらす快感に、芽衣の意識は遠のいていく。

「んぅ……っ、もっと……」

理性はもう限界だった。芽衣の口からこぼれたのは、本能的な懇願の言葉だった。

「良い子だ。もっと、俺に全てを晒せ」

東城はそう言って、さらに指を深く、早く動かし始めた。快感の波が、芽衣の全身を駆け巡る。視界が白く霞み、頭の中が真っ白になる。

「ぁあ……っ、と、うじょ……さん……!」

芽衣の意識は、快感の波に飲まれ、遠のいていった。東城はそんな芽衣を優しく抱きしめ、その耳元で囁いた。

「お前は、もう俺なしではいられない体になった。俺の愛の証だ」

支配と安堵の日常

夜が明け、芽衣は東城の腕の中で目を覚ました。オフィスに朝日が差し込み、昨夜の出来事が夢ではなかったことを告げている。東城はまだ眠っているが、その腕は芽衣をしっかりと抱きしめていた。

(私、東城さんのものになっちゃったんだ……)

羞恥心と、同時に満たされたような安堵感が入り混じった感情が、芽衣の胸に広がった。

朝、東城はいつものように完璧な上司の顔に戻っていた。しかし、芽衣と目が合うと、一瞬だけ、その瞳の奥に昨夜の情熱が宿るのが見えた。

満員電車に揺られながら、芽衣はふと東城の存在を感じた。彼の指が触れたデコルテや、彼がキスを落とした首筋が、微かに熱を帯びているように感じる。職場に着き、デスクに座ると、東城の席が目に入る。彼はもう、真面目な顔でパソコンに向かっている。

(この人、本当に昨夜と同じ人なのかな……)

そんなことを考えていると、東城が芽衣のデスクに近づいてきた。

「芽衣、今日のプレゼン資料、確認してくれ」

いつもの、上司としての命令口調だ。しかし、その手元には、さりげなく小さなチョコレートが置かれている。芽衣が顔を上げると、東城は小さく微笑んだ。

「疲れているだろう。甘いものでも食べて、もう少し頑張れ」

その優しい言葉に、芽衣の心臓は再び高鳴った。彼は決して口には出さないが、常に芽衣を気にかけている。そして、その優しさの裏には、確固たる「支配」と「独占欲」が隠されていることを、芽衣はもう知っていた。

夕方、体調が優れず、芽衣は少し気分が悪くなった。顔色が悪いことに気づいた東城が、すぐに声をかけてきた。

「どうした、芽衣。顔色が悪いぞ。無理はするな」

彼は普段、人前では決して見せないような優しい顔で、芽衣の額にそっと手を当てた。

「熱があるんじゃないか? 今日はもう帰れ。無理は許さない」

その言葉は、心配と同時に、芽衣を支配しようとする彼の本能的な欲求が垣間見えた。

「大丈夫です……」

「大丈夫じゃないだろう。俺の目の前で、無理をするな」

東城はそう言って、芽衣の退勤を促した。その日、芽衣はいつもより早くオフィスを後にした。東城の優しさに包まれながら、同時に彼の支配の網が、自分を確実に絡めとっていることを感じていた。

家に帰っても、東城の存在は芽衣の中に残り続けた。彼の声、彼の視線、彼の指先の感触……。それら全てが、芽衣の日常を侵食していく。

夜、ベッドに入り目を閉じると、昨夜の光景が鮮明に蘇る。彼の甘い言葉、そして彼がもたらした快感。それは、もう芽衣にとって、なくてはならないものになっていた。

東城のいない日常は、もう考えられなくなっていた。彼の愛と支配に、芽衣の心は完全に堕ちていた。そして、そのことに、もはや恐怖も羞恥心もなく、ただ深い安堵と幸福感だけを感じていた。

(東城さん……)

そう呟くと、芽衣は枕に顔を埋めた。明日、オフィスで彼に会えるのが、今から楽しみで仕方なかった。

END

あらすじ

オフィスの誰もいない夜、芽衣は上司の東城と二人きりに。
完璧なビジネスマンの顔を脱ぎ捨てた彼から漏れるのは、抗えない独占欲…

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