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官能小説 優しい上司は、どろどろ甘やかし系ドSでした!


作品『優しい上司は、どろどろ甘やかし系ドSでした!』について

この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「妄想小説コンテスト」の優秀賞作品です。

甘口の日本酒

ああ、ほんとかっこいいなあ。


秋穂は隣に座る上司を横目に、ジョッキを傾けた。 すらっとした細身に、おしゃれな濃紺のスーツが決まっている。


爽やかな短髪に、色白の肌。切れ長の瞳は涼やかだけれど、優しげな印象で、その整った顔から繰り出される笑顔は、会社中の女性達をメロメロにしていた。


若干30歳で課長に最速昇進した仕事っぷりも相まって、社内の人気は不動のトップである。


居酒屋のカウンターに二人きり。
こんなシチュエーション、今日のこの状況でなければ最高だったのに。


小さくついたため息を聞きつけて、隣の男がこちらを向く。


「ほら、斉藤さん。いつまでもめそめそしない。大丈夫、君は頑張ったよ。次に活かせばいいんだから」


「かんざきかちょう〜」


優しい言葉に、枯れたはずの涙が滲む。
今日、秋穂は大きなミスをしてしまい、課総出でてんやわんやだったのである。


「でも、私皆さんにとっても迷惑かけて、そんな簡単に切り替えられませんよ……」


秋穂はお通しを突きながら、しゅんとする。
不運が重なったミスとはいえ、一日新しい仕事がまともにできなかったのだ。


課長である神崎も、秋穂と一緒に関係各所を飛び回り、帰ってきたのはとっぷりと日が暮れた後だったのである。


しばらく落ち込むには十分だった。


そんな秋穂の様子を見て、神崎はふっと笑った。


「斉藤さんはいい子だなあ。落ち込むのは、ちゃんと事の重大さをわかってるってことじゃないか。まだ2年目なんだからそれだけでも十分。ほら、飲んで飲んで」


「ううう……」


優しいフォローに余計泣けてくる。
煮物の優しい味が心に染みるようで、涙を誤魔化すように、ぐっと金色の液体を飲み干した。


「大将ー、ビールもう一杯!」


「いいよ、その調子。斉藤さん、好きなだけ飲んで食べてね」


「はい!」


その後はお言葉に甘えて、好きなものを頼みまくった。
塩ダレキャベツ、唐揚げ、刺身の盛り合わせ、揚げ出し豆腐、エイヒレの炙りに、馬刺し……。


思う存分食べて、どんどんアルコールも追加する。
酒に強い神崎のペースに乗せられて、どんどんジョッキが空いていく。


ビールに始まり、神崎に誘われて、自分じゃ滅多に頼まない日本酒も飲んだ。
さすが課長のチョイスといったところか、秋穂でもおいしいと感じるくらいの甘口で、少しきりっとしたそれは、するするっと飲めてしまう。
それ故に、気付いた時には、思った以上に飲み過ぎてしまっていた。

オフホワイトの天井

「あれえ、かんざきかちょー?」


意識が戻った時には、居酒屋ではなく、どこか見知らぬ部屋。
オフホワイトの天井が、柔らかい明かりに照らされている。


そして、なぜか神崎課長のアップ。
すごい。こんなどアップに耐え得るなんて、さすがのイケメン具合。

毛穴無いんじゃないってくらい、お肌ツヤツヤじゃないですか。羨ましい。


押し倒されている状態で、秋穂はにへにへ笑った。
おうおう、おいしい展開ですなあ。
人生で一度くらいはイケメンに押し倒されてみたかったんだよねー。自分の夢ながら、中々良い仕事をする。


そんなことを考えていると、神崎がにっこりと笑った。


「斉藤さーん?状況理解できてるー?そんな可愛い顔で笑ってると、今すぐ喰っちまうぞー?」


「かんざきかちょーなら、どんとこいですー。むしろごちそうさまでっす!」


「だめだ。これ酔ってるなあ」


神崎は起き上がって、ネクタイをくいっと緩めた。


「きゃー!かちょうのネクタイくいっかっこいー!」


「あれ、これ結構酔ってる?でも、逆に好都合か。斉藤さん、流されやすそうだもんな」


「え?なんですか?」


「いや、何でもないよ」


ぼそりと言った言葉は、秋穂の耳には届かず、神崎はにっこりと笑って誤魔化した。

「ほら、起きて水飲んで」


グラスを手渡されて、冷たい水を飲み干す。口の端から溢れた水が、ブラウスを盛大に濡らした。


「あらら、手の掛かる子だね」


タオルで拭いてくれながらぼやく課長を、ぼうと見つめる。


「ほら、飲み終わったらグラス返して」


「うん」


「タメ口かわいいな」


かわいいと言われ、訳もわからずにやにやしていると、グラスを片付けた神崎が戻ってきて、どさりと再び押し倒された。


男性に押し倒される女性の画像

「さあ、少しは酔いが醒めたかな」


「ぜんぜんよってませーん!」


「まだ、だめか」


酔ってる女の子抱く趣味は無いんだよね。神崎はため息をついて、おもむろにキスをした。
ひとつ、ふたつ、啄むようなキス。


「酔っ払いさん。素面になるまでキスするから、早く酔いを醒ましてね」


あまりの素早さと、言葉の意味が理解できなくて、瞬きする。
神崎はにやりとしながら、また唇を奪った。上唇を食んでから、下唇をぺろりと舐める。
そのまま、緩んだ口に熱い舌が潜り込んできて、歯列をなぞられる。 ぼんやりしている内に、舌をあっという間に捕えられて、くちゅくちゅと水音が響いた。


「んんっ、んっ」


思わず声を漏らせば、唇を離した神崎がうっとりと笑った。


「かわいい」


酔って赤い?が、さらに真っ赤になる。神崎課長がエロすぎて、頭が爆発しそうだ。
これは本当に夢か?現実か?
どっちだ!


「ほら、舌出して」


混乱したままのぼうっとした頭で、秋穂がぺろりと控えめに舌を出すと、もっとと促される。
仕方なくもう少し出すと、分厚い舌でねっとりと舐められる。


まずは舌同士を擦り付けるように、ゆっくりと。それから唾液をしっかりと塗りつけながら、表も裏も、すっかり舐められてしまう。


ぱっくりと舌を食べられて、じゅっじゅっと吸われれば、もう観念するしかなかった。舌を吸われながら、頭を撫でられて、耳の後ろを擽られては、ひとたまりもない。


「か、課長……、これは、もしや現実でしょうか……?」


ぷはっと息をして、ほんの少し素面に戻った秋穂は目の前の男に恐る恐る尋ねる。
神崎はため息をついた。


「もちろん現実だよ。夢だったら悲しいんだけど。それとも僕にこうされるの嫌?」


「す、すみません、嫌とかそういうんじゃなくて。その、神崎課長みたいな素敵な人に、キスされる展開は想定外でして……」


真っ赤な顔で呟けば、そっかあ、とまたねっとりとキスされる。顔を離されて、至近距離で視線を合わせる。優しげな瞳の中に、静かな欲望が見えた気がして、目が逸らせない。


「今からキス以上のこともするけど、現実だからね。よーく覚えといて」


「あの、や、やさしくおねがいします」


「善処する」


しかし、その言葉が守られることはなかったのである。

溶けていく思考

「んっ、ふあっ、ああぁっ」


ジュルジュルと音を立てながら、神崎が秋穂の足の間に顔を埋めている。太ももをがっちりと押さえつけられて、身動きしようにもできず、秋穂は喘ぐしかなかった。


「あっ、ぁん、かちょ、手、取って」


「だめ」


あっという間に全裸に剥かれた後、脱がされたブラウスで縛られた両腕は、頭の上で、シーツに力なく沈んでいる。神崎は楽しそうに、半泣きの秋穂の表情を見やる。


「抵抗できずに、どろっどろに溶かされる気持ちよさ、思う存分味わってね」


神崎はべろりと陰部を舐め上げる。
膣口から尿道を通り、敏感な肉芽まで、べっとりと唾を絡ませる。


「すっごい濡れてきた。気持ちいい?」


上目遣いで聞かれ、秋穂は恥ずかしさで目を瞑った。


「こら、目閉じちゃだめ。僕がしてること、ちゃんと見てて」


「やぁぁっ」


薄く瞼を開けると、神崎の赤い舌があられもないところをチロチロとくすぐっている。
恥ずかしい。でも、気持ちがいい。思考がドロドロと溶けていく。
足の間がじんじんとして、お腹の奥からトロリとしたものが溢れていくのを感じる。


神崎は蜜を器用に掬って、肉芽に塗り込めた。親指でほんの少し、皮をめくり上げられ、敏感な先端を優しく刺激される。
温かくて、ぬるぬるする。じんわりとした気持ちよさがどんどん溜まって、体温が徐々に上がる。


「気持ちいいでしょ。気持ちいいって口に出して言ってみて」


「そんな……」


「ほら、もっと気持ちよくしてあげるから」


「……き、きもち、いい」


「そう、よく言えたね」


「きゃっ!うあぁっ、やんっ!」


ちろちろと左右に舌を動かして、肉芽を舐められると、爪先が痙攣したように跳ねる。


「秋穂ちゃんのここ、真っ赤。一度イっとこうか」


名前で呼ばれて、優しく微笑まれたと思えば、容赦なく敏感な芽をジュルリと吸い立てられる。


「やっ!あっ、あっ、やぁぁぁあ!」


びくりと腰が震えて、あっさりとイかされた。
跳ねる腰を押さえ込まれて、快感を逃せない。上半身をくねらせて、喘ぐ。
背骨に沿って、ぞわぞわと気持ちよさが駆け上る。


「か、ちょ」


「ん?ちゃんと気持ちよかった?」


「は、はい」


「気持ちよかったです、は?」


「き、もちよかった、です」


「いい子」


はふはふと息を吐きながら、小さく返せば、神崎はよしよしと頭を撫でた。


「じゃあもう一回ね」


「ふぇ?」


イったばかりで敏感なところを、続けざまに責められる。


「やっ!ああだめっ、イっちゃうからあっ!」


その言葉に、ぴたりと動きが止まる。
あと少しというところで、刺激を止められて、秋穂は困惑しながら神崎を見上げた。


「……なんでぇ?」


「だめなんでしょ?」


意地悪く笑う神崎に、秋穂は涙目になる。


「ほら、どうしてほしい?」


「……えっと、あの」


「大丈夫。秋穂ちゃんは僕にやらしく舐められて、無理矢理恥ずかしいこと言わされようとしてるだけだから。全部僕のせいにして、素直に言ってみて」


「……もっと、きもちよくして……」


「うん、それから?」


「……それから、その、イかせてほしい、です」


恥ずかしさで瞳が潤む。神崎はごくりと唾を飲み込んだ。


「秋穂ちゃん、その顔反則。思う存分イかせてあげるから、イくときはイくってちゃんと言うんだよ。その方が気持ちいいからね」


神崎はそう告げると、怒涛の責めを再開した。
肉芽全体をべろりと舐めたかと思えば、指先で根元をぐっと押し込んで、皮を完全に剥きあげ、丸出しのそこを容赦なく舌で嬲る。唇でぎゅっと挟み込んで、舌で捏ね繰り回されると、秋穂はもう限界だった。


「あ、やっ、きもちい、あっだめ、イく、イ、っく、やああぁんっ!」


腰が浮き上がり、抑えられた膝がびくびく震える。
気持ちいい、すごすぎる。


秋穂はぴくぴく体を震わせながら、下腹部から広がる快感を、全身で味わっていた。神崎はその様子を満足げに見下ろす。
脇腹やお腹を宥めるように撫でながら、神崎はぼうっとしている秋穂に声をかける。


「ちゃんとイくっていいながらイけたね。気持ちよかった?」


「きもち、よかった、です」


秋穂は蕩けた顔で答える。
神崎はぐっと口元を拭うと、そっと秋穂にキスを落とした。ゆっくりとしたキス。

慈しむように、背中や?をそっと撫でられる。壊れものをそっと触るような手つきに、秋穂は、瞼を閉じた。


神崎はどうしてこんなことをしているのだろう。秋穂の頭の片隅に、ふと、疑問が浮かぶ。

気持ちいい、もっとしてほしい、でも、このまま流されてもいいの?

触れ合いそうな距離で

「どうして……?」


思わず溢れた言葉に、神崎は手を止める。


「何が?」


秋穂の髪を一房掬って、遊ぶ。
潤んだ瞳で見上げれば、神崎はその瞼にちゅっと吸い付いた。


「どうして、抱くのか?それとも、どうして縛るのに優しくするのか?」


神崎は秋穂の顔の脇に両手をついた。 鼻が触れ合いそうな距離で見つめ合う。 艶やかな唇が、ゆっくりと囁いた。


「秋穂ちゃんを、僕のものにしておきたいから。どっちの答えも同じ」


甘い、甘いキス。突然伝えられた思いの真意を考える前に、気持ちよくなって、訳がわからなくなる。


「待って、わか、んない」


「いいよ、今は」


ちゅぷり。


神崎の中指が、膣口に潜り込む。入り口をぐるりと掻き回し、具合を確かめると、ゆっくりと埋められていく。


「次はここだよ。あったかいね。まだ触ってないのによく解れてる」


「やぁ、んっ、あぁっ」


「ん、ここが気持ちいい?」


くいっと指を曲げられ、弱いところを擦られる。


途端にじゅわりと蜜が染み出す。知らないうちに指が増やされて、中の弱いところを探すように、奥まで進んでいく。時折ばらばらに動かされて、中全部が気持ちいいような、おかしな感覚になる。


「そこ……、だめ、うぁっ、やぁあんっ」


「だめじゃないよね、ほら、なんて言うんだっけ?」


「き、もちいいっ、です」


「そう、いい子」


神崎は指を動かし続ける。濡れた親指で、ぱんぱんに膨らんだ芽を擦るのも忘れない。壊れたように蜜が止まらなくて、シーツがドロドロに濡れている。


「んああぁっ、きもちいいっ、も、だめっ、へんになる……!」


「ほら、気持ちいいね。もっともっと乱れて見せて」


指がぎゅうっと腹側に押し上げられて、同時に肉芽をぐりぐりっと押し潰す。強すぎる刺激に、一瞬で目の前が真っ白になる。


「ほら、イっていいよ」


「ああああぁっ!!イくっ、イっちゃう!やぁぁあんっ!」


ふわっとした浮遊感と、ぱちぱちとした刺激に全身が支配されて、秋穂は腰が浮くほどの気持ちよさを味わった。イっている間も、ぐにぐにと蠢く指のせいで、高みから中々戻って来られない。


「も、だめ……、いやぁっ」


ちゅっちゅっと口づけられて、また中がきゅんと締まる。ふー、ふー、と荒い息をつきながら、秋穂はとろんとした目で、神崎を見上げた。


「そんな、かわいい顔しちゃだめ。我慢できなくなっちゃう」


くしゃりと笑った神崎は、ワイシャツを脱ぎ去り、カチャカチャとベルトを外す。


「挿れるね」


その言葉に秋穂はぎゅっと目を瞑った。神崎はその頭をそっと撫でる。耳元に近づいて、秘めやかに囁く。


「秋穂、好きだ」


ぱっと目を開いた瞬間、大きなモノが、ぐっと押し入ってくる。


「ああぁっ!」


圧迫感に思わず喘ぐと、神崎も?っと呻いた。最奥まで進めると、神崎はそっと覆い被さり、秋穂の?を撫でた。

両手を縛っていたブラウスを解いて、背中に回させる。汗ばんだ肌が密着して、一つになる。


「力抜いててね。その方が気持ちいいから」


ゆっくりと腰が動き出し、先ほど暴かれた弱いところを的確に責められる。高く張り出したカリが肉を掻き分け、ずりずりと抜かれたと思うと、またズンと奥を突かれる。


「あっ、あっ、んぁっ、イっちゃう、やぁっ」


「ん?もうイくの?いいよ、好きなだけ気持ちよくなりな」


硬い背中をぎゅっと抱きしめて、肩口に顔を埋める。恥ずかしくてたまらないのに、喘ぎ声を抑えられない。首筋を吸われながら、一際奥を突かれて、軽く絶頂する。


「んうっ、あっ、かちょ、きもちっ、も、あぁっ」


「課長じゃなくて、雪也。ほら、呼んで」


「ゆ、ゆきやさっ、ゆきやさんっ」


中のモノがぐっと一回り大きくなった。神崎の眉間がぎゅっと寄る。

腰をがしっと掴まれ、固定された。


「ごめん、自分で言ってなんだけど、それやばい」


「えっ?あっ、ちょっ!」


今までの穏やかな動きが嘘のように、激しいピストン。

欲望が爆発したようなそれに、秋穂は翻弄され、一気に高みに押しやられる。


気持ちいい。
脳まで痺れるような感覚に、怖くなって、背中に爪を立てる。神崎も応えるように抱きしめる力を強くした。


「あっ、きもちい、イく、イくっ、きゃああぁっ!」


「?っ」


中でドクドクと神崎が震えている。秋穂が無意識にぎゅっぎゅっと締める度に、神崎が気持ちよさそうに小さく呻く。低い呻き声がセクシーで、秋穂はまたぶるりと身を震わせた。


体の力が抜けると、一気に意識が遠のく。最後に優しいキスが落ちてきたのが、現実だったのか、夢だったのか、秋穂にはわからなかった。

シャワールームで

聞き慣れないアラームが鳴っている。寝返りを打って伸ばした腕が、大きな手に捕まり布団の中に戻される。


温かい体に包まれて、秋穂は一気に覚醒した。途端に固まった体に、くすくすと笑い声が落ちてきて、秋穂はがばりと起き上がった。
隣には、神崎が肘をついてにこにこ笑っている。


「か、課長!え、待って、ここどこですか?てか会社!」


「ほら、落ち着いて」


「むむむ無理です、落ち着いちゃいられません」


秋穂は頭を抱えて記憶を辿った。昨日は仕事で大失敗して、課長に飲みに連れてってもらって、えっとえっと、それから……。


「……!」


「思い出した?」


「お、思い出しました……」


あんなことやこんなこと、あられもない一部始終をすっかり思い出して、秋穂は青ざめた。


「ご迷惑をお掛けして、なんとお詫びをすればよいか……。てか、みんなに知れたら、会社で生きていけない。もう決死の思いで出社せねば……」


「ははは、何それ。僕としては言いふらしたいんだけど」


「や、やめてください!殺す気ですか!」


秋穂が必死の形相で叫ぶと、神崎はしゅんとして見せる。


「だ、騙されませんからね!昨日あんなに意地悪だったくせに!」


「あはは、バレたか」


「もうっ」


枕で軽く叩くと、神崎はごめんと一つキスをした。秋穂はそんな神崎をじっとりと睨んでから、ほんの少し寂しげに笑った。


「というか、課長こそ言いふらしたらまずいでしょう。大丈夫です。昨夜のことは死んでも言いませんから」


シャワーお借りしますね、と告げてバスルームに駆け込む。シャワーの熱いお湯を浴びながら、堪えきれなかった涙を洗い流す。


ばかだなあ。こんな時に自分の気持ちに気がつくなんて。


しゃがみ込んで膝を抱える。課長にとっては、きっと遊びだろう。それか、ちょっとした慰め?
どちらにせよ、この恋心は気付いた瞬間に叶わないことがわかってしまった。あーあ、今日から会社でどんな顔してたらいいんだろう。


「つらすぎ」


「何が?」


ガラリとドアが開いて、神崎が入ってくる。シャワーのお湯の中で抱き締められ、秋穂は身を竦めた。


「僕が、遊びで抱いたと思ってる?」


「ち、がうんですか」


神崎は秋穂の目をじっと捉えて、そのままキスをした。唇を奪われながらも、目を閉じられない。神崎の焦げ茶の瞳に、困惑した自分の表情が映っている。


「僕は、君が好きだよ」


神崎の目が優しく細まる。シャワーが止められ、髪からぽたりと水滴が落ちた。


「僕のものになってくれるまで、帰さないから」


「か、かいしゃ」


「今日は土曜で休み」


柔らかいバスタオルで包まれて、ひょいと抱きかかえられる。


「疑う隙間もないくらい、ドロドロに甘やかすから。覚悟してね」


返事は?と聞かれ、困惑しながらこくりと頷く。
いい子だね、と落ちてきたキスは、相変わらず甘く、柔らかかかった。


「さ、君の好きなところ、ベッドの上で一つずつじっくり教えてあげるよ」


「おてやわらかに、おねがいします……」


「善処する」


その後はもちろん善処してくれる訳がなく、全力で想いを理解させられた。


実は秋穂が入社したときからの一目惚れで、彼女に近づく男共を徹底的に排除していたり、裏で手を回して自分の課に異動させたりしていたことは、まだこの時、秋穂は知る由もなかった。


そして、あっという間に外堀を埋められて、同棲からのスピード結婚まで持ち込まれる未来は、すぐそこまで迫っていたのである。


END

あらすじ

仕事で大きなミスをしてしまった秋穂。憧れの課長に居酒屋で慰めてもらっていたら、いつの間にか飲みすぎてしまう。

意識が戻ると、そこは見慣れない部屋。
そしてなぜか課長に押し倒されていて…

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