女性のための無料 官能小説・官能漫画サイト
エルシースタイル(LCスタイル)は、登録商標です【商標登録第4993489号】
ラブコスメが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを固く禁じます
官能小説 優しい上司は、どろどろ甘やかし系ドSでした!
作品『優しい上司は、どろどろ甘やかし系ドSでした!』について
この作品は、小説サイト「ムーンライトノベルズ」と合同で開催した、「妄想小説コンテスト」の優秀賞作品です。
甘口の日本酒
ああ、ほんとかっこいいなあ。
秋穂は隣に座る上司を横目に、ジョッキを傾けた。 すらっとした細身に、おしゃれな濃紺のスーツが決まっている。
爽やかな短髪に、色白の肌。切れ長の瞳は涼やかだけれど、優しげな印象で、その整った顔から繰り出される笑顔は、会社中の女性達をメロメロにしていた。
若干30歳で課長に最速昇進した仕事っぷりも相まって、社内の人気は不動のトップである。
居酒屋のカウンターに二人きり。
こんなシチュエーション、今日のこの状況でなければ最高だったのに。
小さくついたため息を聞きつけて、隣の男がこちらを向く。
「ほら、斉藤さん。いつまでもめそめそしない。大丈夫、君は頑張ったよ。次に活かせばいいんだから」
「かんざきかちょう〜」
優しい言葉に、枯れたはずの涙が滲む。
今日、秋穂は大きなミスをしてしまい、課総出でてんやわんやだったのである。
「でも、私皆さんにとっても迷惑かけて、そんな簡単に切り替えられませんよ……」
秋穂はお通しを突きながら、しゅんとする。
不運が重なったミスとはいえ、一日新しい仕事がまともにできなかったのだ。
課長である神崎も、秋穂と一緒に関係各所を飛び回り、帰ってきたのはとっぷりと日が暮れた後だったのである。
しばらく落ち込むには十分だった。
そんな秋穂の様子を見て、神崎はふっと笑った。
「斉藤さんはいい子だなあ。落ち込むのは、ちゃんと事の重大さをわかってるってことじゃないか。まだ2年目なんだからそれだけでも十分。ほら、飲んで飲んで」
「ううう……」
優しいフォローに余計泣けてくる。
煮物の優しい味が心に染みるようで、涙を誤魔化すように、ぐっと金色の液体を飲み干した。
「大将ー、ビールもう一杯!」
「いいよ、その調子。斉藤さん、好きなだけ飲んで食べてね」
「はい!」
その後はお言葉に甘えて、好きなものを頼みまくった。
塩ダレキャベツ、唐揚げ、刺身の盛り合わせ、揚げ出し豆腐、エイヒレの炙りに、馬刺し……。
思う存分食べて、どんどんアルコールも追加する。
酒に強い神崎のペースに乗せられて、どんどんジョッキが空いていく。
ビールに始まり、神崎に誘われて、自分じゃ滅多に頼まない日本酒も飲んだ。
さすが課長のチョイスといったところか、秋穂でもおいしいと感じるくらいの甘口で、少しきりっとしたそれは、するするっと飲めてしまう。
それ故に、気付いた時には、思った以上に飲み過ぎてしまっていた。
オフホワイトの天井
「あれえ、かんざきかちょー?」
意識が戻った時には、居酒屋ではなく、どこか見知らぬ部屋。
オフホワイトの天井が、柔らかい明かりに照らされている。
そして、なぜか神崎課長のアップ。
すごい。こんなどアップに耐え得るなんて、さすがのイケメン具合。
毛穴無いんじゃないってくらい、お肌ツヤツヤじゃないですか。羨ましい。
押し倒されている状態で、秋穂はにへにへ笑った。
おうおう、おいしい展開ですなあ。
人生で一度くらいはイケメンに押し倒されてみたかったんだよねー。自分の夢ながら、中々良い仕事をする。
そんなことを考えていると、神崎がにっこりと笑った。
「斉藤さーん?状況理解できてるー?そんな可愛い顔で笑ってると、今すぐ喰っちまうぞー?」
「かんざきかちょーなら、どんとこいですー。むしろごちそうさまでっす!」
「だめだ。これ酔ってるなあ」
神崎は起き上がって、ネクタイをくいっと緩めた。
「きゃー!かちょうのネクタイくいっかっこいー!」
「あれ、これ結構酔ってる?でも、逆に好都合か。斉藤さん、流されやすそうだもんな」
「え?なんですか?」
「いや、何でもないよ」
ぼそりと言った言葉は、秋穂の耳には届かず、神崎はにっこりと笑って誤魔化した。
「ほら、起きて水飲んで」
グラスを手渡されて、冷たい水を飲み干す。口の端から溢れた水が、ブラウスを盛大に濡らした。
「あらら、手の掛かる子だね」
タオルで拭いてくれながらぼやく課長を、ぼうと見つめる。
「ほら、飲み終わったらグラス返して」
「うん」
「タメ口かわいいな」
かわいいと言われ、訳もわからずにやにやしていると、グラスを片付けた神崎が戻ってきて、どさりと再び押し倒された。
「さあ、少しは酔いが醒めたかな」
「ぜんぜんよってませーん!」
「まだ、だめか」
酔ってる女の子抱く趣味は無いんだよね。神崎はため息をついて、おもむろにキスをした。
ひとつ、ふたつ、啄むようなキス。
「酔っ払いさん。素面になるまでキスするから、早く酔いを醒ましてね」
あまりの素早さと、言葉の意味が理解できなくて、瞬きする。
神崎はにやりとしながら、また唇を奪った。上唇を食んでから、下唇をぺろりと舐める。
そのまま、緩んだ口に熱い舌が潜り込んできて、歯列をなぞられる。
ぼんやりしている内に、舌をあっという間に捕えられて、くちゅくちゅと水音が響いた。
「んんっ、んっ」
思わず声を漏らせば、唇を離した神崎がうっとりと笑った。
「かわいい」
酔って赤い?が、さらに真っ赤になる。神崎課長がエロすぎて、頭が爆発しそうだ。
これは本当に夢か?現実か?
どっちだ!
「ほら、舌出して」
混乱したままのぼうっとした頭で、秋穂がぺろりと控えめに舌を出すと、もっとと促される。
仕方なくもう少し出すと、分厚い舌でねっとりと舐められる。
まずは舌同士を擦り付けるように、ゆっくりと。それから唾液をしっかりと塗りつけながら、表も裏も、すっかり舐められてしまう。
ぱっくりと舌を食べられて、じゅっじゅっと吸われれば、もう観念するしかなかった。舌を吸われながら、頭を撫でられて、耳の後ろを擽られては、ひとたまりもない。
「か、課長……、これは、もしや現実でしょうか……?」
ぷはっと息をして、ほんの少し素面に戻った秋穂は目の前の男に恐る恐る尋ねる。
神崎はため息をついた。
「もちろん現実だよ。夢だったら悲しいんだけど。それとも僕にこうされるの嫌?」
「す、すみません、嫌とかそういうんじゃなくて。その、神崎課長みたいな素敵な人に、キスされる展開は想定外でして……」
真っ赤な顔で呟けば、そっかあ、とまたねっとりとキスされる。顔を離されて、至近距離で視線を合わせる。優しげな瞳の中に、静かな欲望が見えた気がして、目が逸らせない。
「今からキス以上のこともするけど、現実だからね。よーく覚えといて」
「あの、や、やさしくおねがいします」
「善処する」
しかし、その言葉が守られることはなかったのである。
溶けていく思考
「んっ、ふあっ、ああぁっ」
ジュルジュルと音を立てながら、神崎が秋穂の足の間に顔を埋めている。太ももをがっちりと押さえつけられて、身動きしようにもできず、秋穂は喘ぐしかなかった。
「あっ、ぁん、かちょ、手、取って」
「だめ」
あっという間に全裸に剥かれた後、脱がされたブラウスで縛られた両腕は、頭の上で、シーツに力なく沈んでいる。神崎は楽しそうに、半泣きの秋穂の表情を見やる。
「抵抗できずに、どろっどろに溶かされる気持ちよさ、思う存分味わってね」
神崎はべろりと陰部を舐め上げる。
膣口から尿道を通り、敏感な肉芽まで、べっとりと唾を絡ませる。
「すっごい濡れてきた。気持ちいい?」
上目遣いで聞かれ、秋穂は恥ずかしさで目を瞑った。
「こら、目閉じちゃだめ。僕がしてること、ちゃんと見てて」
「やぁぁっ」
薄く瞼を開けると、神崎の赤い舌があられもないところをチロチロとくすぐっている。
恥ずかしい。でも、気持ちがいい。思考がドロドロと溶けていく。
足の間がじんじんとして、お腹の奥からトロリとしたものが溢れていくのを感じる。
神崎は蜜を器用に掬って、肉芽に塗り込めた。親指でほんの少し、皮をめくり上げられ、敏感な先端を優しく刺激される。
温かくて、ぬるぬるする。じんわりとした気持ちよさがどんどん溜まって、体温が徐々に上がる。
「気持ちいいでしょ。気持ちいいって口に出して言ってみて」
「そんな……」
「ほら、もっと気持ちよくしてあげるから」
「……き、きもち、いい」
「そう、よく言えたね」
「きゃっ!うあぁっ、やんっ!」
ちろちろと左右に舌を動かして、肉芽を舐められると、爪先が痙攣したように跳ねる。
「秋穂ちゃんのここ、真っ赤。一度イっとこうか」
名前で呼ばれて、優しく微笑まれたと思えば、容赦なく敏感な芽をジュルリと吸い立てられる。
「やっ!あっ、あっ、やぁぁぁあ!」
びくりと腰が震えて、あっさりとイかされた。
跳ねる腰を押さえ込まれて、快感を逃せない。上半身をくねらせて、喘ぐ。
背骨に沿って、ぞわぞわと気持ちよさが駆け上る。
「か、ちょ」
「ん?ちゃんと気持ちよかった?」
「は、はい」
「気持ちよかったです、は?」
「き、もちよかった、です」
「いい子」
はふはふと息を吐きながら、小さく返せば、神崎はよしよしと頭を撫でた。
「じゃあもう一回ね」
「ふぇ?」
イったばかりで敏感なところを、続けざまに責められる。
「やっ!ああだめっ、イっちゃうからあっ!」
その言葉に、ぴたりと動きが止まる。
あと少しというところで、刺激を止められて、秋穂は困惑しながら神崎を見上げた。
「……なんでぇ?」
「だめなんでしょ?」
意地悪く笑う神崎に、秋穂は涙目になる。
「ほら、どうしてほしい?」
「……えっと、あの」
「大丈夫。秋穂ちゃんは僕にやらしく舐められて、無理矢理恥ずかしいこと言わされようとしてるだけだから。全部僕のせいにして、素直に言ってみて」
「……もっと、きもちよくして……」
「うん、それから?」
「……それから、その、イかせてほしい、です」
恥ずかしさで瞳が潤む。神崎はごくりと唾を飲み込んだ。
「秋穂ちゃん、その顔反則。思う存分イかせてあげるから、イくときはイくってちゃんと言うんだよ。その方が気持ちいいからね」
神崎はそう告げると、怒涛の責めを再開した。
肉芽全体をべろりと舐めたかと思えば、指先で根元をぐっと押し込んで、皮を完全に剥きあげ、丸出しのそこを容赦なく舌で嬲る。唇でぎゅっと挟み込んで、舌で捏ね繰り回されると、秋穂はもう限界だった。
「あ、やっ、きもちい、あっだめ、イく、イ、っく、やああぁんっ!」
腰が浮き上がり、抑えられた膝がびくびく震える。
気持ちいい、すごすぎる。
秋穂はぴくぴく体を震わせながら、下腹部から広がる快感を、全身で味わっていた。神崎はその様子を満足げに見下ろす。
脇腹やお腹を宥めるように撫でながら、神崎はぼうっとしている秋穂に声をかける。
「ちゃんとイくっていいながらイけたね。気持ちよかった?」
「きもち、よかった、です」
秋穂は蕩けた顔で答える。
神崎はぐっと口元を拭うと、そっと秋穂にキスを落とした。ゆっくりとしたキス。
慈しむように、背中や?をそっと撫でられる。壊れものをそっと触るような手つきに、秋穂は、瞼を閉じた。
神崎はどうしてこんなことをしているのだろう。秋穂の頭の片隅に、ふと、疑問が浮かぶ。
気持ちいい、もっとしてほしい、でも、このまま流されてもいいの?
触れ合いそうな距離で
「どうして……?」
思わず溢れた言葉に、神崎は手を止める。
「何が?」
秋穂の髪を一房掬って、遊ぶ。
潤んだ瞳で見上げれば、神崎はその瞼にちゅっと吸い付いた。
「どうして、抱くのか?それとも、どうして縛るのに優しくするのか?」
神崎は秋穂の顔の脇に両手をついた。 鼻が触れ合いそうな距離で見つめ合う。 艶やかな唇が、ゆっくりと囁いた。
「秋穂ちゃんを、僕のものにしておきたいから。どっちの答えも同じ」
甘い、甘いキス。突然伝えられた思いの真意を考える前に、気持ちよくなって、訳がわからなくなる。
「待って、わか、んない」
「いいよ、今は」
ちゅぷり。
神崎の中指が、膣口に潜り込む。入り口をぐるりと掻き回し、具合を確かめると、ゆっくりと埋められていく。
「次はここだよ。あったかいね。まだ触ってないのによく解れてる」
「やぁ、んっ、あぁっ」
「ん、ここが気持ちいい?」
くいっと指を曲げられ、弱いところを擦られる。
途端にじゅわりと蜜が染み出す。知らないうちに指が増やされて、中の弱いところを探すように、奥まで進んでいく。時折ばらばらに動かされて、中全部が気持ちいいような、おかしな感覚になる。
「そこ……、だめ、うぁっ、やぁあんっ」
「だめじゃないよね、ほら、なんて言うんだっけ?」
「き、もちいいっ、です」
「そう、いい子」
神崎は指を動かし続ける。濡れた親指で、ぱんぱんに膨らんだ芽を擦るのも忘れない。壊れたように蜜が止まらなくて、シーツがドロドロに濡れている。
「んああぁっ、きもちいいっ、も、だめっ、へんになる……!」
「ほら、気持ちいいね。もっともっと乱れて見せて」
指がぎゅうっと腹側に押し上げられて、同時に肉芽をぐりぐりっと押し潰す。強すぎる刺激に、一瞬で目の前が真っ白になる。
「ほら、イっていいよ」
「ああああぁっ!!イくっ、イっちゃう!やぁぁあんっ!」
ふわっとした浮遊感と、ぱちぱちとした刺激に全身が支配されて、秋穂は腰が浮くほどの気持ちよさを味わった。イっている間も、ぐにぐにと蠢く指のせいで、高みから中々戻って来られない。
「も、だめ……、いやぁっ」
ちゅっちゅっと口づけられて、また中がきゅんと締まる。ふー、ふー、と荒い息をつきながら、秋穂はとろんとした目で、神崎を見上げた。
「そんな、かわいい顔しちゃだめ。我慢できなくなっちゃう」
くしゃりと笑った神崎は、ワイシャツを脱ぎ去り、カチャカチャとベルトを外す。
「挿れるね」
その言葉に秋穂はぎゅっと目を瞑った。神崎はその頭をそっと撫でる。耳元に近づいて、秘めやかに囁く。
「秋穂、好きだ」
ぱっと目を開いた瞬間、大きなモノが、ぐっと押し入ってくる。
「ああぁっ!」
圧迫感に思わず喘ぐと、神崎も?っと呻いた。最奥まで進めると、神崎はそっと覆い被さり、秋穂の?を撫でた。
両手を縛っていたブラウスを解いて、背中に回させる。汗ばんだ肌が密着して、一つになる。
「力抜いててね。その方が気持ちいいから」
ゆっくりと腰が動き出し、先ほど暴かれた弱いところを的確に責められる。高く張り出したカリが肉を掻き分け、ずりずりと抜かれたと思うと、またズンと奥を突かれる。
「あっ、あっ、んぁっ、イっちゃう、やぁっ」
「ん?もうイくの?いいよ、好きなだけ気持ちよくなりな」
硬い背中をぎゅっと抱きしめて、肩口に顔を埋める。恥ずかしくてたまらないのに、喘ぎ声を抑えられない。首筋を吸われながら、一際奥を突かれて、軽く絶頂する。
「んうっ、あっ、かちょ、きもちっ、も、あぁっ」
「課長じゃなくて、雪也。ほら、呼んで」
「ゆ、ゆきやさっ、ゆきやさんっ」
中のモノがぐっと一回り大きくなった。神崎の眉間がぎゅっと寄る。
腰をがしっと掴まれ、固定された。
「ごめん、自分で言ってなんだけど、それやばい」
「えっ?あっ、ちょっ!」
今までの穏やかな動きが嘘のように、激しいピストン。
欲望が爆発したようなそれに、秋穂は翻弄され、一気に高みに押しやられる。
気持ちいい。
脳まで痺れるような感覚に、怖くなって、背中に爪を立てる。神崎も応えるように抱きしめる力を強くした。
「あっ、きもちい、イく、イくっ、きゃああぁっ!」
「?っ」
中でドクドクと神崎が震えている。秋穂が無意識にぎゅっぎゅっと締める度に、神崎が気持ちよさそうに小さく呻く。低い呻き声がセクシーで、秋穂はまたぶるりと身を震わせた。
体の力が抜けると、一気に意識が遠のく。最後に優しいキスが落ちてきたのが、現実だったのか、夢だったのか、秋穂にはわからなかった。
シャワールームで
聞き慣れないアラームが鳴っている。寝返りを打って伸ばした腕が、大きな手に捕まり布団の中に戻される。
温かい体に包まれて、秋穂は一気に覚醒した。途端に固まった体に、くすくすと笑い声が落ちてきて、秋穂はがばりと起き上がった。
隣には、神崎が肘をついてにこにこ笑っている。
「か、課長!え、待って、ここどこですか?てか会社!」
「ほら、落ち着いて」
「むむむ無理です、落ち着いちゃいられません」
秋穂は頭を抱えて記憶を辿った。昨日は仕事で大失敗して、課長に飲みに連れてってもらって、えっとえっと、それから……。
「……!」
「思い出した?」
「お、思い出しました……」
あんなことやこんなこと、あられもない一部始終をすっかり思い出して、秋穂は青ざめた。
「ご迷惑をお掛けして、なんとお詫びをすればよいか……。てか、みんなに知れたら、会社で生きていけない。もう決死の思いで出社せねば……」
「ははは、何それ。僕としては言いふらしたいんだけど」
「や、やめてください!殺す気ですか!」
秋穂が必死の形相で叫ぶと、神崎はしゅんとして見せる。
「だ、騙されませんからね!昨日あんなに意地悪だったくせに!」
「あはは、バレたか」
「もうっ」
枕で軽く叩くと、神崎はごめんと一つキスをした。秋穂はそんな神崎をじっとりと睨んでから、ほんの少し寂しげに笑った。
「というか、課長こそ言いふらしたらまずいでしょう。大丈夫です。昨夜のことは死んでも言いませんから」
シャワーお借りしますね、と告げてバスルームに駆け込む。シャワーの熱いお湯を浴びながら、堪えきれなかった涙を洗い流す。
ばかだなあ。こんな時に自分の気持ちに気がつくなんて。
しゃがみ込んで膝を抱える。課長にとっては、きっと遊びだろう。それか、ちょっとした慰め?
どちらにせよ、この恋心は気付いた瞬間に叶わないことがわかってしまった。あーあ、今日から会社でどんな顔してたらいいんだろう。
「つらすぎ」
「何が?」
ガラリとドアが開いて、神崎が入ってくる。シャワーのお湯の中で抱き締められ、秋穂は身を竦めた。
「僕が、遊びで抱いたと思ってる?」
「ち、がうんですか」
神崎は秋穂の目をじっと捉えて、そのままキスをした。唇を奪われながらも、目を閉じられない。神崎の焦げ茶の瞳に、困惑した自分の表情が映っている。
「僕は、君が好きだよ」
神崎の目が優しく細まる。シャワーが止められ、髪からぽたりと水滴が落ちた。
「僕のものになってくれるまで、帰さないから」
「か、かいしゃ」
「今日は土曜で休み」
柔らかいバスタオルで包まれて、ひょいと抱きかかえられる。
「疑う隙間もないくらい、ドロドロに甘やかすから。覚悟してね」
返事は?と聞かれ、困惑しながらこくりと頷く。
いい子だね、と落ちてきたキスは、相変わらず甘く、柔らかかかった。
「さ、君の好きなところ、ベッドの上で一つずつじっくり教えてあげるよ」
「おてやわらかに、おねがいします……」
「善処する」
その後はもちろん善処してくれる訳がなく、全力で想いを理解させられた。
実は秋穂が入社したときからの一目惚れで、彼女に近づく男共を徹底的に排除していたり、裏で手を回して自分の課に異動させたりしていたことは、まだこの時、秋穂は知る由もなかった。
そして、あっという間に外堀を埋められて、同棲からのスピード結婚まで持ち込まれる未来は、すぐそこまで迫っていたのである。
END
あらすじ
仕事で大きなミスをしてしまった秋穂。憧れの課長に居酒屋で慰めてもらっていたら、いつの間にか飲みすぎてしまう。
意識が戻ると、そこは見慣れない部屋。
そしてなぜか課長に押し倒されていて…